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日経平均2万4000円の勢いは本物か?2018年度下期の日本経済を予想
https://diamond.jp/articles/-/180860
2018.9.29 三井住友アセットマネジメント 調査部 ダイヤモンド・オンライン
皆さんこんにちは。三井住友アセットマネジメント調査部です。毎週土曜日に「ビジネスマン注目!来週の経済、ここがポイント」をお届けしています。
今週で9月も終わり、いよいよ来週からは2018年度も下期に入ります。今年度はこれまでのところ、米国トランプ大統領の強硬的な通商政策が話題となっているものの、世界的に景気はむしろ堅調で、企業業績も順調に伸びています。日本や米国などの主要国では、雇用や賃金も比較的順調に伸びていて、人々の景気に対する感じ方も前向きなものとなっています。
株式市場についても、追加関税などのニュースで下落することはありましたが調整は短期間で終わり、好業績を背景に上昇傾向にあります。米国のSP500やダウ平均は最高値を更新していて、日本株も日経平均が2万4000円台に乗り、1991年以来の高値を期待する声も聞かれるようになっています。
そこで今週は、2018年度の下期に入る前に、景気の先行きを示す主要な経済指標をいくつか確認して、今後の経済状況について考えてみたいと思います。
今回確認する指標は、米国のISM製造業新規受注指数、台湾電子製品輸出、OECD景気先行指数、日本の実質輸出、景気ウォッチャー調査・製造業です。
米国経済は絶好調だが、
IT産業はやや停滞気味
まず、米ISM製造業新規受注指数を見ていきましょう。ISMとは全米供給管理協会(ISM=Institute for Supply Management)のことで、この協会が算出する製造業の景況感を示す指数です。米国の主要景気指標の中では発表されるタイミングが最も早く、景気の転換をよく示す先行指標とされることから、高く注目されています。指数が50を上回ると景気拡大を示唆し、下回ると景気後退を示唆するといわれています。
直近のデータは8月分で、前月の60.2から65.1へと大きく上昇しています。また上昇しただけではなく水準も50を大きく上回っているため、米国では製造業の堅調な拡大が続いていると見られます。ISMに寄せられたコメントを見ても、事業環境の強さを指摘する声が目立ちます。米国経済はしばらく好調を維持すると見てよさそうです。
次は、台湾の電子製品輸出です。台湾は世界のIT産業にとって重要な部品の調達先ですので、台湾からの電子部品の輸出動向は世界のIT業界の先行きを推し量る有力なデータと見られています。
こちらも8月分が直近の値ですが、米国のISM製造業新規受注指数とは異なり、前年比は1.3%と、7月の同7.2%に比べて伸びが大きく鈍化しました。3ヵ月移動平均の伸びも鈍化し、3ヵ月前や6ヵ月前の状況と比べて勢いが落ちてきています。
なお、IT業界については、三井住友アセットマネジメント独自の分析によると、今後、スマートフォンの新製品の生産が本格化することもあり、上向きの動きが期待できるセグメントがある一方で、半導体製造装置関連では受注の弱まりや部品在庫の増加を懸念する声が出ています。世界的にIT業界の動向はやや鈍化しつつあると見られます。
世界経済は拡大が続いているものの、勢いは低下
3つ目はOECD景気先行指数です。こちらは足元の経済全般の流れを把握するには適している経済指標です。足元の指標の強弱感を把握しやすくするために、6ヵ月前比年率が注目されますが、直近の7月分を見ますと▲0.9%(6月同▲0.7%)となり、前月からマイナスが一段と拡大しました。
地域別の6ヵ月前比年率の動きは、ユーロ圏、日本でマイナスが拡大しているほか、米国もマイナスに転じています。OECD以外の新興国を見てみると、中国、インドは改善が続いているものの、ブラジルは鈍化傾向、ロシアはマイナスが拡大しています。このように、国・地域によってまちまちな状況となっています。世界経済は株式市場が示唆するほどは好調な状況ではないことが読み取れます。
4つ目は日本の輸出動向で、8月の実質輸出(為替変動、物価変動を調整した上で、三井住友アセットマネジメント調査部にて季節調整)は前月比0.0%(7月0.3%)と、3ヵ月連続で足踏みとなりました。7月については西日本豪雨や台風の影響による出荷の遅れの影響もあったと見られますが、それが解消した8月も横ばいにとどまったため、実勢として足元の輸出は低調になると見られます。なお、9月についても、台風21号による被害で関西国際空港の機能が滞った影響が下押しに寄与すると見られるため、現時点では日本の輸出は勢いが落ちることになりそうです。
地域別では、8月は、米国向けが前月比6.2%(7月0.1%)と大きく増加しました。一般機械や輸送用機器の輸出が大きく増加しており、豪雨や台風による出荷の遅れが解消したことなどが寄与したと見られます。ただし、7月と8月を均して4−6月期と比べると▲0.7%減少しており(1−3月期の前期比は+1.8%)、米景気が堅調で推移している割には、日本からの米国向け輸出は冴えない状況です。
一方、米国以外の地域向けの輸出も総じて減少し、7月と8月を均して4−6月期と比べて見ても精彩を欠いています。
財別では、輸出がしっかりしているのは、電気機器やはん用・生産用・業務用機器などの一般機械です。一方、自動車などの輸送用機器はEU向けや米国向けを中心に弱含んでいます。
日本経済は安定的に推移しているが、
株価の上昇継続には業績の伸びが必要
最後に取り上げるのが日本の景気ウォッチャー調査で、特に製造業DIの季節調整値に注目します。こちらの8月分データは、「現状」が1.7ポイント改善(7月は0.8ポイントの改善)の50.1で、「先行き」も2.5ポイント改善(7月は▲1.0ポイントの低下)の51.6となりました。この数値も、50が景気判断の分岐点となります。8月は、現状も先行きもいずれも50を上回りました。
西日本豪雨の影響により7月の景気ウォッチャー調査・製造業DI(季節調整値)は落ち込みましたが、その影響が晴れたため改善につながった模様です。 9月は台風や地震の影響があったため、同DIは再び低下する可能性がありますが、災害以外の要因で悪化していることはないと見られますので、基調としては景気ウォッチャー調査・製造業DIは概ね堅調と考えられます。ただし、目覚ましく前向きとも言い難く、景気動向は安定的な推移が示唆されている状況といえます。
以上のように、いくつかの重要な先行指標を見ますと、日本を取り巻く海外景気は米国以外は力強さを欠き、日本経済の成長の勢いがどんどん増していく状況とは言い切れないようです。株価は、高値を更新する米国株式市場に連動するように足元で上昇ペースを速めました。また、8月ごろに発表された4−6月期の日本企業の業績も堅調な増収増益となっており、これまでのところ、利益に対する株価の割高感は出ていません。今後も、株価上昇が続くかは、経済の勢いがやや減速している環境下でも企業が業績を伸ばし続けられるかどうかが重要と考えられます。
(三井住友アセットマネジメント 調査部長 渡辺英茂)
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