トップニュース 2018年9月27日 / 18:01 / 41分前更新 焦点:ゆっくり縮む世界株式市場、「品薄感」が支える強気相場 4 分で読む • • [ロンドン/ニューヨーク 26日 ロイター] - 貿易摩擦やホワイトハウスの予測不能さ、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る混乱に金利上昇──。今年に入って世界の株式市場はこれらの悪材料に見舞われてきたが、基本的な堅調地合いは崩れなかった。 米国株の主要指数は最高値圏で推移し、世界株の指標は足元で年初来高値を4%しか下回っていない。 そして結局のところ、こうした相場展開は単純に品不足という需給面の要因に支えられているのではないだろうか。 実際、株式市場は世界的にゆっくりと縮小している。JPモルガンの分析では、流通市場から消えていく分を穴埋めできるほど新株は発行されておらず、2016年には史上初めて株式が需要超過となった。昨年はかろうじて供給超に戻ったものの、今年は需要超になる可能性があるという。 この先投資家の需要を一定と想定した場合でさえ、供給状況からみて上場株の品薄感は強まることになる。新規株式公開(IPO)や追加売り出しが減る一方、企業の自社株買いや現金調達の合併・買収(M&A)、上場廃止などによって世界中の株式が吸い上げられているのだ。 トムソン・ロイターのデータに基づくと、今年1─8月の企業上場で増えた株式はおよそ1260億ドル前後。これに追加売り出しや従業員への株式割り当てなどを含めたとしても、今年1兆ドルを超えるかもしれないという自社株買いの規模には遠く及ばない。 こうした傾向がすぐに逆転すると予想する向きは乏しい。一部の市場関係者は、企業経営者の間に株式市場に付随する予測できない変化や常に投資家の目が光っている状況に対する幻滅があり、同時に債務を利用した資金調達(デット・ファイナンシング)の方がコストが安いという事情を引き合いに出している。 シティのストラテジスト、ロバート・バックランド氏は「株式市場に上場を続けるのは痛みを伴う。手続きの煩雑さや短期主義、過剰な監視が全て厄介だ。ただ本当に基本的な問題は、企業は最も安価なマネーがある場所に向かうという性質にある」と話した。同氏は、2003年以来「脱株式化」の流れが続いていると唱えている。 事実上のゼロ金利時代には企業が株式発行よりも債券市場を資金調達先に選んだことで、脱株式化は加速。また元来投資よりも自社株買いを優先する強い動機を持っていた企業は、昨年の減税でさらにその傾向に拍車がかかった。 バックランド氏は、米国の株式は年間約1.5%のペースで減少していると試算するとともに、株式を通じた資金調達が期待できるはずの新興国でも株式の増加は止まろうとしていると付け加えた。 米連邦準備理事会(FRB)を筆頭に主要中央銀行が超金融緩和局面に一区切りをつけつつあるのは確かだ。ところがJPモルガンのアナリスト、ニコラウス・パニギルツォグロウ氏は、脱株式化を本格的に食い止めるには、米10年債利回りが4.5%まで上がり、企業の借り入れコストが6%と今より200ベーシスポイント(bp)高まる必要があるとみている。 現実を見ればFRBが利上げを継続しているとはいえ、10年債利回りは3%近辺にとどまったままだ、と同氏は指摘する。 JPモルガンによると、株式の減少が最も目立つのは米国で、今年の純減規模は2000億ドル相当だった昨年の2倍に達する可能性があある。 インドスエズのシニア株式アナリスト、ローラン・ゴダン氏はシカゴ大学のデータを引用し、1995─2000年は年間平均680件だった米国の株式上場は2009─17年には180件に減り、ニューヨーク市場の上場企業数は1997年が7500社だったが、昨年は3600社前後になったと述べた。 フランクフルトとロンドンでも上場企業数は03─18年にそれぞれ45%と20%の減少を記録したという。 <企業像の変化> 借り入れコストが上昇しているからといって、大型上場の人気が復活するとは限らないかもしれない。 その理由の1つはプライベートエクイティ(PE)の存在だ。過去10年半では、デルやヒルトン・ホテルなどPEによる買収に続いて上場廃止になったケースがしばしばあった。 低コストの資金が手に入る時期が長らく続いたことで、PEが株式公開を避けたがっている企業に振り向けられる資金はなお1兆ドル程度はあるとみられる。 ゴダン氏は「PEからコストの安い資金を調達できる限り、企業は非公開化を望む。予見可能な将来において、それは変わらないだろう」と話した。 企業や社会の性質の変化もまた脱株式化の強い原動力となっている。現代の多国籍企業はかつての巨大製造業ほど資本集約的ではなく、例えばフェイスブックは、重機やセメントのメーカーに比べて新規事業立ち上げや事業拡大にお金を必要としない。 民泊仲介のエアビーアンドビー、配車サービスのウーバーなどは、ホテルや工場を建設することなく、自動車や住宅といった既存の資本ストックを活用する技術に依拠している。 (Sujata Rao、Helen Reid、Chuck Mikolajczak記者)https://jp.reuters.com/article/global-stocks-dearth-analysis-idJPKCN1M70UD 外為フォーラムコラム2018年9月27日 / 09:20 / 7時間前更新 コラム:タカ派的FRBと貿易摩擦、市場に吹く2つの逆風 Gina Chon 2 分で読む [ワシントン 26日 ロイター BREAKINGVIEWS] - タカ派的な米連邦準備理事会(FRB)が、貿易摩擦とともに投資家の新たなリスクとなっている。FRBは26日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で、今年3回目の利上げに踏み切った。一方、米国債の発行が増えている中で、FRBのバランスシートの縮小が加速しつつある。 物価上振れと減税による景気刺激効果を巡る懸念から、ハト派のFRB当局者さえ、以前より引き締めに積極的になった。オバマ前政権が任命した唯一の理事として残るラエル・ブレイナード氏は今月、利上げペースを上げなければならないかもしれないとの見方を示した。 FRBは26日公表した見通しで、年内12月にもう1回、そして来年中に恐らく3回の利上げに動くことを示唆したほか、今回からは金融政策を「緩和的」と表現するのを取りやめた。 同時にFRBは、金融危機後に4兆5000億ドルまで膨らんだ資産の削減を急いでいる。昨年10月にバランスシート縮小を開始した時点で、毎月最大100億ドルに設定した資産圧縮幅は、来月から最大500億ドルに引き上げられる。 米国債にとって最大級の買い手であるFRBが購入を絞るのと逆行するように、国債発行は増加傾向にある。減税に起因する歳入減と歳出拡大のため、来年の財政赤字は1兆1000億ドルまで膨張しかねない。今年下半期に政府が予定している借入額は7700億ドルと、前年同期を60%も上回る。米国債の供給が増え、需要が減ることで、利回りが全年限にわたって上昇してもおかしくない。 もう1つの逆風は関税だ。米政府は24日から約2000億ドル相当の中国製品に対する10%の追加関税を発動。来年には税率が25%に切り上がる。 こうした中でウォルマート(WMT.N)などの小売業者は、消費者物価が連動して上昇する可能性があると警鐘を鳴らす。大手企業の経営者で構成するビジネス・ラウンドテーブルは今週発表した調査で、全体の3分の2の経営者が貿易摩擦は設備投資に悪影響を及ぼすと回答した。 米経済は依然として好調で、8月の失業率は3.9%だった。しかしFRBの金融政策正常化のスピードアップと、米国債増発、制裁関税合戦の激化が重なり合えば、市場の動揺を引き起こす恐れがある。 ●背景となるニュース *FRBは26日までのFOMCで、政策金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp)引き上げ、2.00─2.25%とすることを決めた。現在の引き締めサイクルが始まったのは2015年12月で、これまでに利上げは8回実施されている。 *筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。 https://jp.reuters.com/article/indonesia-bi-ratehike-idJPKCN1M7111
外為フォーラムコラム2018年9月27日 / 17:21 / 1時間前更新 コラム:FRB「自動利上げ」終焉で問われる対話能力
井上哲也 野村総合研究所 金融イノベーション研究部主席研究員 4 分で読む [東京 27日] - 米国の中央銀行である連邦準備理事会(FRB)が26日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、声明文から「利上げ後も金融は緩和的である」との表現を削除したのは、パウエルFRB議長が声明発表後の記者会見で説明したように、それ自体が政策スタンスの変更を意味する訳ではない。 しかし、実体経済に対して刺激的でも抑制的でもない「中立的な政策金利」の水準とFOMCメンバーの大勢が考えている3%への到達が視野に入ったという点で、象徴的な出来事である。 <新局面で高まる対話の重要性> 中央銀行が金融政策を運営する上で幅広い経済主体と対話を行うことは、米国に限らず世界共通の課題であり、過去20年以上にわたって意識されてきたことである。その上で、これからのFRBは従来以上にその必要性に迫られるだろう。 その最大の理由は、利上げの影響が経済活動や金融市場に徐々に顕在化するからである。少なくともこれまでは、FOMCの議事要旨を見ても利上げの影響への言及を探すことは難しかった。しかし、政策金利の上昇に対する連動性が相対的に高い消費者ローン金利などは着実に上昇しており、今後、家計の支出を徐々に抑制することになろう。同時に、これまで抑制されてきた長期金利が多少でも上昇すれば、広い範囲の資産価格に影響が生じうる。そうなれば、利上げに対する反発も、トランプ米大統領に限らず徐々に広がりを見せることが考えられる。 国際環境も徐々に複雑化するとみられる。現在の米国にとっては、好調な国内経済だけでなく、海外経済が一部の新興国を除いて安定的に拡大していることも大きな支えになっている。しかし、通商摩擦の長期化や原油高による国際的な購買力の移転、さらに米国の金利が上昇することによる資本フローや為替レートの変動などを考えれば、国際金融市場のボラティリティーが上昇し、海外景気のばらつきが拡大することが考えられる。 米国内外の経済や金融で先行きの不透明性が高まれば、FOMCメンバーの間でも政策運営に関する意見の違いが次第に鮮明になる可能性もある。政策金利が中立水準に近づいていることとも相まって、FRBが従来のように四半期に1回の利上げを行う「自動操縦モード」を続けることは不適切となり、文字通り、虚心坦懐に経済金融情勢を評価したうえで利上げの適否を判断する局面に入ることになる。 こうした局面でこそ、FRBが家計や企業、金融市場と政策運営の考え方を共有することが、一段と重要になる。FRBは、利上げに伴う様々なマイナスの影響を評価した上で、経済や金融の過熱リスクを抑えることが相対的に重要と判断した場合に利上げに踏み切る。その際、幅広い経済主体と適切な理解を共有できなければ、利上げの影響が過大になったり過少になったりする結果、意図した政策効果が実現できなくなる恐れがある。同時に、金融市場が利上げの意図を適切に消化できなければ、政策の方向性を見誤り、資産価格を中心としてボラティリティーの不要な上昇が起きて金融システムへのストレスが生じる恐れもある。 <求められる各FOMCメンバーのリスク評価公表> 幸い、パウエル議長は対話の重要性を強く意識しているようだ。実際、6月に行われた就任後2回目の記者会見では、金融政策が幅広い経済主体に影響することを意識し、冒頭説明で「家計や企業にも分かりやすく話す」と宣言。今回の記者会見でもこうしたスタイルを維持した。また、経済学のアカデミックなキャリアを持たないパウエル議長が、8月のジャクソン・ホールでの講演で示唆したように、経済分析の枠組みや概念を尊重しつつ、その限界も明確に意識するスタンスにあることも、テクニカルタームの多用を避けつつ家計や企業にとって分かりやすい対話につながる面があろう。 それでも、今後の難しい局面を乗り切る上で、FRBにはいくつか具体的な課題も残るように見える。 例えば、FOMCは四半期に1回、メンバーによる経済見通しを集約して公表するほか、声明文などを通じてFOMC全体としての上向きか下向きかのリスク評価を説明している。しかし、FOMCの個々のメンバーがリスクをどう評価しているかは個別の講演を聞く程度しか手がかりがなく、メンバー間でのウエイトやその変化を知ることは実際に難しい。政策の方向性を理解する上で重要な情報であるだけに、何らかの形で公表することが望まれる。 この課題は政策金利の先行きに関する予想の公表方法にもあてはまる。つまり、FOMCの各メンバーによる政策金利の推移に関する予想はいわゆる「ドット・チャート」の形で公表されており、(特定はできないが)個々のメンバーの予想やその変化を外部からフォローすることができる。一方で、各メンバーがそれぞれの予想についてどちら向きのリスクを意識しているかは分からない。この点も、分かりやすい形で公表するには工夫が必要であろうが、政策の方向性を理解する上で有効な手助けとなりうる。 また、金融システムの状況をどう評価しているかについても、何らかの情報提供が望ましい。米国では、監督当局の合議体である金融安定監督評議会(FSOC)がマクロ的な金融システム安定の責務を一義的に負うだけに、FRBが金融システムの評価を発信することには制約が大きいことは否定できない。 しかし、パウエル議長が今回の記者会見でも確認したように、金融システムの状況は金融政策の運営にとって重要な与件である。また、金融政策の適切さは、実体経済と金融の双方の過熱いかんによって判断されるべきというのが世界金融危機の重要な教訓である。FOMCの議事要旨には、金融システムに関する執行部の分析とFOMCメンバーによる議論も掲載されているが、金融の専門家でない家計や企業にもそうした評価を簡潔に共有できる仕組みがあることが望ましい。 金融政策に関する対話の枠組みは、イエレン前議長の下で整備されたものが踏襲されている。既に決定している来年初からの記者会見頻度の増加と合わせて、パウエル議長のカラーがどのように実現されるのか注目したい。 *井上哲也氏は、野村総合研究所の金融イノベーション研究部主席研究員。1985年東京大学経済学部卒業後、日本銀行に入行。米イエール大学大学院留学(経済学修士)、福井俊彦副総裁(当時)秘書、植田和男審議委員(当時)スタッフなどを経て、2004年に金融市場局外国為替平衡操作担当総括、2006年に金融市場局参事役(国際金融為替市場)に就任。2008年に日銀を退職し、野村総合研究所に入社。主な著書に「異次元緩和―黒田日銀の戦略を読み解く」(日本経済新聞出版社、2013年)など。 *本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。 (編集:山口香子) https://jp.reuters.com/article/fed-column-inoue-idJPKCN1M70SJ 外為フォーラムコラム2018年9月27日 / 17:16 / 1時間前更新 コラム:貿易戦争懸念の後退か、ドル115円シナリオの現実味=鈴木健吾氏 鈴木健吾 みずほ証券 チーフFXストラテジスト 4 分で読む
[東京 27日 ロイター] - トランプ政権の通商政策が徐々に変化を見せている。対中摩擦は長期化懸念が強まる一方で、欧州や日本など友好国に対する交渉には一定の進展が見え始めている。 トランプ大統領は2017年に環太平洋連携協定(TPP)交渉からの離脱や北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しなどを打ち出し、2018年1月には太陽光パネルと洗濯機に対する緊急輸入制限(セーフガード)を発動。その後も鉄鋼・アルミニウムや中国に対する関税引き上げを実行に移し、さらに自動車や自動車部品に対する関税引き上げを示唆するなど、相手かまわず強硬な通商政策を次々と打ち出した。世界が報復関税の応酬合戦となり、貿易戦争状態へ突入することに対する警戒感が市場で強まった。 過去において、米国では1929年の大恐慌を受け、フーバー大統領が国内産業保護のため1930年にスムート・ホーリー法を成立させ、2万品目以上の輸入品に対して関税率を平均約50%引き上げた。これに対し多くの国が米国からの輸入品に高関税をかけて報復し、結果として世界の貿易量は急減。米国の恐慌が深刻さを増しただけでなく、世界恐慌が引き起こされた経緯がある。 それだけに同じ轍(てつ)は踏まないだろうとの見方がある一方で、トランプ大統領の一見乱暴ともいえる一方的な関税引き上げと、それに対する相手国からの報復の連鎖は、市場に世界貿易戦争の再来を警戒させるに十分だった。 実際、中国とは関税の報復合戦が続いている。米国の関税引き上げに対して中国が即日報復措置を発表し、これに対して米国がさらなる関税引き上げを示唆するというパターンも、24日時点で既に3順目(米国が第3弾の関税引き上げを発動させ、中国がこれに報復したことで、トランプ大統領が第4弾の関税引き上げを示唆した状況)だ。米中の摩擦は単なる貿易不均衡の問題だけではなく、知財を含むハイテク分野などでの主導権争いの要素も含んでいるとの見方もあり、長期化する可能性が高まっている。 <対中以外の通商摩擦に変化> だが一方で、対中以外の通商摩擦にはやや変化がみられる。7月25日にトランプ大統領はユンケル欧州委員会委員長とトップ会談を行い、大豆や液化天然ガス等の輸入拡大を欧州から勝ち取るとともに、自動車を除く工業製品に対する関税や非関税障壁、補助金の撤廃に向けての協議を開始し、協議中はさらなる関税引き上げを留保することなどで合意した。 また、8月終盤にはNAFTA再交渉に関してメキシコと合意に至り、カナダとも詰めの協議が続いている。米議会にNAFTA新協定の文書を提出する期限が9月末に迫るなか、「時間切れになってしまうかもしれない」(ライトハイザー米通商代表部代表)状況ではあるが、その場合でもメキシコとの2カ国間協定の発効手続きを先行させるとしており、カナダの後日参加も受け入れる姿勢を示している。 日本に対してもトランプ大統領は7日、貿易協議が合意できなければ「大変な問題になる」とのけん制を行っていたが、25─26日に行われた日米の貿易協議と首脳会談では、今後、2国間貿易協議を行っていくことや、協議中は自動車関税を引き上げないことなどで合意に至っている。 欧州や日本との協議は継続中であり、カナダのNAFTA復帰も不透明という状況ではある。しかし、今年前半に見られた「相手かまわず強硬な通商政策を次々と打ち出し、報復の応酬によって関係が一気に悪化する」状況とは異なり、友好国を中心に「交渉のテーブルに着く」ステージに移行している。24日には米韓の改訂自由貿易協定に両国首脳が署名するに至ったが、今後は一定の譲歩を米国が獲得しつつ合意に向かうパターンが増えていくだろう。 <実体経済へのリスクは限定的か> このような動きを受けて、米国の通商政策を巡る市場の懸念も「世界貿易戦争」から「米中貿易摩擦」へリスクがスケールダウンしてきている。こうなると、米中貿易摩擦が実体経済にどの程度の影響を与えるかが重要となろう。 これに関しては国際通貨基金(IMF)が2019年の試算として、米中それぞれの実質経済成長率を0.9ポイント程度押し下げるとの見方を示している。しかし、米国は減税効果に加え連邦政府のインフラ支出も予定しており、これらが2019会計年度中に3000億ドル規模の景気下支え効果につながるとみている。ちなみに米国の今年4─6月期実質国内総生産(GDP)年換算額の0.9%はおよそ1700億ドル弱となり、上記財政措置はこれを大きく上回る。 一方、中国はすでに今年前半より金融緩和や人民元安容認などによる景気下支えモードに入っており、加えて鉄道投資や減税などにより19兆円規模の景気刺激策も打ち出している。これらによって、両国の貿易摩擦による景気下押し圧力は相当程度緩和されるとみており、世界経済に悪影響を与えるリスクも限定的ではないかと考えている。 リスクといえば、夏場の新興国を巡る混乱も徐々に落ち着きを取り戻しつつあり、今のところ世界経済を揺るがすほどの事態とはなっていない(これは前回コラムの予想通り)。夏場にドル円の上値を押さえていた「貿易戦争懸念」や「新興国懸念」といったリスクの存在感が小さくなってきていることが、9月後半にドル円を113円台に押し上げた背景のひとつではないかと考えている。 かねてからの予想通り、これらリスクが秋以降に縮小傾向をたどれば、市場の注目はファンダメンタルズや金融政策に回帰し、ドル円の押し上げ要因となるだろう。 米国の経済は総じて良好だ。4─6月期実質GDPは前期比年率プラス4.2%(2次速報)でアトランタ連銀のGDPナウによれば7─9月期GDP予想も同+4.4%(9月19日現在)と、2%程度とされる潜在成長率の倍以上の成長を示している。4─6月期の企業決算でもS&P500採用の500社合計で約25%もの増益となり、これを反映して米株価はNYダウ、S&P500、ナスダックいずれも直近1カ月で史上最高値を更新した。 さらに直近1カ月の米経済指標を振り返ると、9月4日発表の8月ISM製造業景況指数は14年ぶりの良好な数字、20日の新規失業保険申請件数は49年ぶり低水準、11日に発表された8月中小企業楽観指数や7月JOLT求人件数はいずれも過去最高の良好な数字を記録している。 このような状況を受け、米連邦準備理事会(FRB)は26日(日本時間27日早朝)に今年3回目となる0.25%の利上げを行った。声明の「金融政策は緩和的」との文言が削除され、今後は中立的な状態に移っていくことが示されたが、2020年にかけての緩やかな利上げ姿勢は維持されている。「利上げの終わりが見えてきた」「利上げが米経済をオーバーキルする」との意見も聞かれるが、これらの議論をするには時期尚早だと考えている。 一方、日銀はフォワードガイダンスで「2019年10月の消費増税に対する悪影響にも強力な金融緩和で対応する」姿勢を示した。取り方によっては2020年も視野に入れた緩和継続ともいえる。 リスクの後退とともに、これらファンダメンタルズや金融政策への評価が年末にかけてのドル円を115円方向に押し上げる展開を引き続きメインシナリオにしている。 鈴木健吾氏(写真は筆者提供) *鈴木健吾氏は、みずほ証券・投資情報部のチーフFXストラテジスト。証券会社や銀行で為替関連業務を経験後、約10年におよぶプロップディーラー業務を経て、2012年より現職。 *本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。
ワールド2018年9月27日 / 18:36 / 6分前更新 インドネシア中銀、政策金利を0.25%引き上げ ルピア支援策も計画 1 分で読む
[ジャカルタ 27日 ロイター] - インドネシア中央銀行は、政策金利である7日物リバースレポ金利IDCBRR=ECIを0.25%ポイント引き上げ5.75%とした。 中銀は、経常赤字削減と海外投資家による国内資産投資の拡大が目的としている。 中銀は5月中旬以降、政策金利を5回にわたり1.5%ポイント引き上げた。 ロイター調査によると、エコノミスト25人のうち20人が0.25%の利上げを予想していた。 預金ファシリティー金利と貸出ファシリティー金利も0.25%引き上げ、それぞれ5.00%と6.50%とした。 中銀はまた海外投資家にオンショアでの為替ヘッジを促すルピア支援策を計画していることも明らかにした。 ルピアの対ドル相場IDR=は年初から約9%下落し、1997─98年のアジア金融危機以来の安値水準付近で取引されている。 27日の市場では、中銀の発表を受けて1万4905ルピアから1万4910ルピアに若干弱含んだ。 中銀は来週、為替の代替ヘッジ手段を提供するため、さまざまな通貨に対するオンショアでのルピアのノンデリバラブル・フォワード(NDF)取引に関する指針を発表する。 中銀は海外投資家や外貨建て債務を保有するインドネシア企業が、オフショアNDFではなくオンショア市場を利用するよう望んでいる。 ペリー・ワルジヨ総裁は、ルピアの安定性を強化するため、27日の利上げは「銀行と企業に代替ヘッジ手段を提供し、金融市場を深化させる国内のNDF取引を許容する政策によって支援される」と述べた。 キャピタル・エコノミクスはこの日の利上げについて、インドネシアの引き締めサイクルが「まだ終了していない」ことを示していると指摘した。 ワルジヨ総裁は、中銀のスタンスは引き続きタカ派的だとも述べた。 トップニュース2018年9月27日 / 14:56 / 27分前更新 焦点:メキシコとカナダ分断、米国「NAFTA戦略」の舞台裏 Dave Graham 4 分で読む
[メキシコシティ 25日 ロイター] - メキシコ大統領選に勝利した翌日、アンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール氏は、トランプ米大統領から祝福の電話を受けた。だがトランプ氏が念頭に置いていたのは、お祝いよりもさらに重要な用件だった。 それは「メキシコの新大統領は、2国間貿易協定を考慮してくれるだろうか」という問いかけだ。 ロペスオブラドール氏は、7月2日に受けたこの電話に対して、カナダを含む3カ国間の貿易協定が存在しなければ、2国間協定についても「可能性を否定しない」と応じた。この電話会談に耳を傾けていた同陣営の外交政策顧問ヘクトル・バスコンセロス氏がそう明かした。 ロペスオブラドール氏のこの回答が決定的な転機となった。それまで、米国とカナダ、メキシコの3カ国は年間1兆ドルを超える3カ国間貿易の枠組みを決める北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉に向けて、この1年間、厳しい交渉を重ねていた。 これまで、メキシコとカナダは互いに協力して米国からの経済的・政治的圧力に抵抗してきた。トランプ大統領は、世界最大の経済大国である米国にとってさらに有利な条件を要求し、NAFTAは米国の労働者にとって「災難」だと繰り返し表明していた。 だが、左派の野党候補者ロペスオブラドール氏が大統領選に勝利したことで、トランプ大統領はメキシコとカナダを分断させ、自身の望む1対1での交渉によって合意を得るチャンスを得たのだ。 トランプ大統領は先月、退任するメキシコのペニャニエト大統領に触れ、「あの資本主義者よりは(ロペスオブラドール氏を相手にする方が)うまくやっていけるだろうと考えている」とウェストバージニアで行われた政治集会で支持者に語った。 メキシコの交渉姿勢が変化したのは、対立する現政権と新政権の双方が大統領交代前に米国と交渉したほうが、互いに有利だと認識したためだ。ロイターがNAFTA再交渉をよく知る十数人に取材したところ、そうした変化の裏側が浮かび上がってきた。 オブラドール新政権は、国内問題に注力するため、トランプ大統領との対立回避に熱心だった。新政権で要職に就く3人によれば、次期大統領は外交への熱意が希薄で、現大統領から引き継ぐ複雑な貿易交渉のかじ取りという「頭痛の種」を避けたいと願っている。 「国内政策こそ、最善の外交政策だ」とロペスオブラドール次期大統領は幾度となく公言している。 一方、NAFTA再交渉協議に詳しい関係者によれば、退任するペニャニエト大統領サイドでは、2年にわたる苦労の絶えない交渉から何か目に見える成果を挙げたいと願っていた。 同交渉は任期の3分の1に影を落とし、投資を滞らせ、メキシコの通貨ペソを混乱させた。メキシコでは制度上、大統領の再選を認めていないが、ペニャニエト氏が後継として支持した候補は大差で敗れた。 NAFTA再交渉の大半を通じてペニャニエト政権は、トランプ大統領に有利になるよう仕組まれた同交渉において、カナダとメキシコが手を結べば、もっと影響力を発揮できると考えてきた。 両国経済は米国に強く依存しており、メキシコ輸出の約80%、カナダ輸出の約75%が米国向けだ。これに対して、米国の輸出先としては、メキシコ、カナダ両国を合わせても3分の1強にどとまっている。 しかし、トランプ大統領がロペスオブラドール氏に祝福の電話をしてから2カ月も経たない8月27日、米国とメキシコの交渉は合意に達した。 「メキシコは自力で何とかしなければならなかった」──。メキシコの経済団体である企業家調整評議会(CCE)の国際交渉部門トップで、NAFTA再交渉のメキシコ民間部門代表を務めるモアゼス・カラチ氏はそう語った。 メキシコ当局者によれば、カナダからはすでに、同国も同じ道を選ぶ可能性があるという示唆を受けていたという。昨年初め、カナダのデイビッド・マクノートン駐米大使は、カナダは自国の国益次第で、3国間でも2国間でも交渉に応じると公言していた。 カナダのフリーランド外相のオフィスは、米国とメキシコの合意について、そして同合意がカナダと米国の協議に与える影響について、コメントを拒否している。また米国政府からも回答は得られていない。 <取り残されたカナダ> 米国とメキシコの2国間合意を受けて、カナダ経済界や政界幹部の多くが、米国と独自協定を結ぶよう同国のトルドー首相への圧力を強めている。 カナダ政府にとって重要ないくつかの交渉テーマでメキシコが譲歩したことにより、カナダの交渉力は弱まってしまった。 そうしたテーマの1つが、不公正な貿易慣行に対する保護措置だとカナダ側が想定している、「チャプター19」と呼ばれる加盟国間の紛争解決メカニズムだ。カナダ産木材が不当な補助金を受けていると米国が糾弾したとき、カナダはこれを利用して自国の木材輸出を守った。 また、保護対象となっているカナダの酪農産業を米国企業に開放するよう求める米政権の要請に対しても同国は抵抗している。 カナダ当局者は、交渉においてメキシコが譲歩しすぎたと考えている。カナダの交渉担当者と親しい有力民間セクターの組合指導者はそう漏らす。「メキシコはいくつかの重要分野において降伏したというのが全般的な印象だ」と、カナダの民間労組Uniforのトップ、ジェリー・ディアス氏はロイターに語った。 <交渉期限> メキシコのペニャニエト現大統領としては、8月末までに合意に達する必要があった。米議会が合意を検証して承認するまでに90日かかるため、それより遅れれば、同大統領が退任する11月30日までに署名できなくなるからだ。 一方、共和党のトランプ大統領は、3国間の協定を望む一部の共和党議員からの抵抗に依然直面しており、11月6日の米中間選挙で共和党が敗北し、下院もしくは上院での過半数を失うリスクもある。 Slideshow (2 Images) トランプ大統領がメキシコとの合意に漕ぎつけたことは、中間選挙で共和党有利に働くかもしれない。2016年の大統領選挙でトランプ勝利に貢献した州、特に農業が盛んな州では、メキシコとの貿易が途絶すれば打撃を被るはずだからだ、とCCEのカラチ氏は指摘する。 個人的な人脈もスムーズな合意への道を開いた。 メキシコ側で交渉を主導した中には現政権のビデガライ外相が含まれており、彼はトランプ大統領の娘婿であり顧問を務めるジャレド・クシュナー氏と親しい関係にある。2人はトランプ大統領の就任以前に、米金融業界の人脈を通じて顔を合わせている。 協議に詳しい当局者によれば、ロペスオブラドール次期政権で首席交渉官を務めるヘスス・セード氏の参加も、合意に至るプロセスを加速したという。5年ごとに協定見直しが行われない場合にNAFTAを解消する、いわゆる「サンセット条項」を米国が要求したことについて、行き詰まりを打開したのはセード氏だった、とビデガライ外相はメキシコのテレビ番組に明かした。 2国間の対立を抑え、交渉を継続する上で不可欠だったのは、交渉の常連メンバーであるクシュナー氏とビデガライ外相の結びつきだった。メキシコ経営者連盟(COPARMEX)のグスタボ・デオジョス会長はそう指摘する。「近年のメキシコ外相の中で、最もホワイトハウスと話ができたのはビデガライ氏だ」 <貿易での譲歩> 8月末を交渉期限とすることに両国が合意したことで、双方とも、いくつかの大きな成果を手に、交渉のテーブルを離れることになった。 メキシコの交渉担当者は米国側を説得し、特定の季節にメキシコ産農産物の輸入を抑制するという要求を撤回させ、また世界貿易機構(WTO)のルールに基づいて米国が課税する工業製品への関税については、NAFTAによる適用除外とすることを確保した。 一方、米国は、自動車産業でより多くの雇用を維持できる可能性が高まった。メキシコが同セクターの労働者40─45%について、最低1時間16ドルという最低賃金条件を定めることに合意したためだ。これは彼らの大半が現在得ている賃金の5倍に相当する。 ペニャニエト現大統領はこの最低賃金に関する米国の要請を、自国の労働問題に対する保護主義的介入だと抵抗していた。カナダ労組Uniforのディアス代表によれば、ロペスオブラドール氏は、この条件に対してもっと寛容だという。 ロペスオプラドール氏は賃金の改善を望んでおり、メキシコから米国への移民を抑制する手段として、メキシコ経済の発展促進を支援するようトランプ大統領を説得した。 メキシコにとっては、カナダ抜きで交渉を進めることが、合意に至る道を開く上で最も重要な譲歩の1つだった、ということになるかもしれない。 「わが国の国益を守るような合意に向けて前進したいのか、カナダを待つことで、そうした国益そのものをリスクにさらすのか、われわれは決断しなければならなかった」とCCEのカラチ氏。「同じ立場であれば、カナダも同じように動いただろう」 (翻訳:エァクレーレン)
トップニュース2018年9月27日 / 18:31 / 11分前更新 焦点:日米通商交渉、関税先送りでも「自動車」は日本の喉に刺さったトゲ 2 分で読む [東京 27日 ロイター] - 貿易不均衡の是正問題に焦点が当たっていた今回の日米首脳会談で、安倍晋三首相はトランプ米大統領を相手に、自動車輸出への25%関税の実行を回避する交渉結果を獲得した。ただ、会談後に発表された共同声明の詳細を読み込むと、自動車問題は日本の喉に刺さったトゲになる可能性がある。政府・与党関係者の中には、一定期間の先送り後、何らかの対応を迫られるリスクを意識する声も出ている。 今回の共同声明[nL4N1WD08B]は、表面上の文言を読むだけでは、解釈が難しい部分が少なくない。たとえば、日本政府が強調する米通商拡大法232条を適用した日本からの輸出車への追加関税の課税回避だ。 共同声明では「日米両国は上記について、信頼関係に基づき議論を行うこととし、その協議が行われている間、本共同声明の精神に反する行動を取らない」との部分がある。日本側は、この部分を指して232条の適用は、交渉継続中にはないとの見解を表明している。 同様に表面上の文言の裏にある意図を読み取らないと、米国のこの先の政策対応を読み誤る部分がある。それは「米国としては自動車について、市場アクセスの交渉結果が米国の自動車産業の製造及び雇用の増加を目指すものであること」という部分だ。 政府・与党関係者のひとりは、1)日本での米国車輸入拡大、2)米国での日系メーカー現地生産拡大、3)日本からの対米輸出削減──のいずれとも解釈可能と述べるとして米側が意識しているのは「現地生産拡大と輸出削減だ」と解説する。 その関係者は、今回の合意で日本側は、現地生産拡大と輸出削減について「実質的に先送りできた」と評価する。 しかし、上記の部分が声明に盛り込まれたことは「米国の勝利」と指摘する。そのうえで「どこかの時点で、現地生産拡大と輸出削減を巡って、米国から押し込まれるリスクを抱えることになった」と予想する。 実際、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は26日の首脳会談後、記者団に対し、日米交渉のキーエリアは自動車であると認めた。 また、安倍首相や茂木敏充経済再生担当相は、交渉開始で合意した2国間の物品貿易協定(TAG)は、自由貿易協定(FTA)ではないと強調している。 しかし、共同声明では「日米両国は、所要の国内調整を経た後に、日米物品貿易協定(TAG)について、また、他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じ得るものについても、交渉を開始する」、「日米両国はまた、上記の協定の議論の完了の後に、他の貿易・投資の事項についても交渉を行うこととする」と盛り込まれた。 その点に関連し、ライトハイザーUSTR代表は、日米通商協議について2部構成とし、第1段階で早期の成果を得る展開に期待を示し、早期の意味について、向こう数カ月中との見解を示した。さらに完全なFTA締結を目指すとしている。 先の政府・与党関係者は、日本は実質的に先送りの「果実」を得たとの見方を示したが、その根拠の1つが大統領貿易促進権限(TPA)を適用した米側の交渉方針だ。 この権限を行使した交渉を実行するには、協定署名の90日以上前に、議会に対しその協定の趣旨、内容を通告する必要があり、その上で議会での採決が必要になる。日本側には、最低でも90日間(約3カ月)の時間的余裕が生まれる。 この間に安倍政権は、国内調整を進めるということになりそうだ。 竹本能文 編集:田巻一彦
トップニュース2018年9月27日 / 11:31 / 7時間前更新 日米貿易交渉入りで合意、協議中は車関税回避:識者はこうみる 1 分で読む
[東京 27日 ロイター] - 日米両政府は米東部時間26日(日本時間27日未明)、2国間のモノの貿易を自由化する物品貿易協定(TAG)の締結に向けた交渉を始めることで合意した。 トランプ米大統領と首脳会談を行った安倍晋三首相は同日、交渉の継続中は米国が各国に対して検討している自動車への追加関税は、日本に対して発動されないことを確認したと明言した。 市場関係者のコメントは以下の通り。 ●米国の強硬姿勢になお警戒 <大和証券 チーフグローバルストラテジスト 壁谷洋和氏> 結果的には先送りかもしれないが、この段階で自動車への関税引き上げの方向性が決まってしまえば相当ネガティブだった。これを回避できたことに関してはポジティブと受け止められる。今後は、日本側がどこまで米国側の要求をのむかだろう。牛肉やコメをはじめ、農産物の輸入をどこまで拡大するかということがポイントとなりそうだ。 (安倍政権としては)支持率との兼ね合いもあり、一方的に米国からの要求をのむことは難しい。日本側はTPP(環太平洋連携協定)で決められた枠以上の部分は譲歩したくないと考えているが、自動車については「聖域」のように扱っている面があった。米国が改めて自動車の部分に踏み込んでいくような動きをみせた場合、日本としてはあまり強く出ることができなくなる恐れがある。 中国や欧州、NAFTA(北米自由貿易協定)を巡る米国の一連の強気な姿勢を考慮すると、日本に対しても強硬姿勢をとる可能性は消えていない。政治基盤の安定が日本株の上昇の前提になっていることを考えると、支持率に揺らぎが生じれば相場の先行きに不透明感が出てくる。 ●難航しても株式市場への影響は軽微 <りそな銀行 チーフマーケットストラテジスト 黒瀬浩一氏> 日本に対する自動車関税引き上げについては、もともとトランプ大統領が不用意に発言したに過ぎず、政権内で意見が固まっていたわけではない。今回の日米交渉の結果、自動車への追加関税は行わず、日本側は農産物の輸入で譲歩するという方向性が決まったとみている。交渉は今後も難航するだろうが、農産物の問題であれば、株式市場への影響はほとんどない。日本株は目先的に急上昇の反動安があっても強い基調は続くとみている。 https://jp.reuters.com/article/japan-us-trade-talks-instantviews-idJPKCN1M705Z イタリア新政権、試される結束−ブラックロックも予算編成に注目 John Follain 2018年9月27日 13:34 JST • 財政拡大がどこまで可能かを巡り2人の副首相と財務相が対立 • 成長率と債務、財政赤字の目標は首相の帰国後に最終決定へ イタリアのポピュリスト政権は、財政負担の大きい選挙公約の実現に幾ら支出するかを決める2019年予算の枠組みで合意を目指しており、連立パートナーの結束を問う最初の大きな試練を迎える。 反エスタブリッシュメント(既存勢力)政党「五つ星運動」の党首であるディマイオ副首相兼経済発展相と、右派政党「同盟」の書記長を務めるサルビーニ副首相兼内相は、財政拡大が予算でどこまで可能かを巡りトリア財務相と対立し、数週間にわたり緊張が続いた。 成長率と債務、財政赤字の目標に関する最終決定は、コンテ首相がニューヨークで開かれた国連総会から帰国するのを待って行われる。ANSA通信によれば、首相はニューヨークで、米資産運用会社ブラックロックのローレンス・フィンク氏とニューヨーク証券取引所(NYSE)のステーシー・カニンガム社長に対し、改革プランを説明した。コンテ氏は27日に帰国し、同日午後に閣議が開かれる予定。 ローマのルイス大学のロベルト・ダリモンテ教授(政治学)は「五つ星運動は過去数カ月で同盟に対し形勢不利となり、非常にいら立っている。同盟との関係を安定させると同時に強い結果が必要だ。予算概要は政権の結束と回復力を測る試金石になる」と指摘した。 Europe’s Biggest Debtor Italy has more public debt than any other EU country Source: Eurostat, 2017 data 原題:Italy’s Populist Government Confronts First Big Test of Unity(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-09-27/PFP4P36JTSE901?srnd=cojp-v2
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