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限界集落に新たなコミュニティ なぜ山奥に若者が集まるのか?
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180915-00020282-forbes-bus_all
Forbes JAPAN 9/15(土) 11:30配信
嶺北と呼ばれる高知県本山町エリア
高知県本山町。人口約3700人、高齢化率も高いこの限界集落に、いまたくさんの若者が訪れている。キーマンは嶺北(れいほく)と呼ばれるこの地域を拠点に活動する、NPO法人ひとまき(旧 NPO法人ONEれいほく)の矢野大地さんだ。
矢野さんは東日本大震災の際に1年間被災地で活動。ボランティアに来た人々の滞在拠点を運営する中で、場所を通じてコミュニティが広がり、その場所から新たなプロジェクトが生まれる瞬間をたくさん見てきた。その経験から、大学卒業後、高知県嶺北エリアを中心に現在の活動に取り組んでいる。
ひとまきの主な活動内容は、滞在拠点を4軒運営し、全国各地から人生のキャリアに悩む若者の無料滞在を受け入れること。無料というのが矢野さんのこだわりで、滞在費用は取っていない。約2年間の活動で述べ3000人を受け入れ、ひとまきをきっかけに27人が移住、11人が長期滞在している。
運営資金は、過去の滞在者や活動に共感してくれたサポーターからの寄付と、移住促進や商品PRなどの行政委託事業から得ている。これからは出来るだけ行政事業を減らし、寄付によるサポーター収入の割合を増やしていくという。
「滞在希望者があまりお金を持っていないというのもありますが、お客さんとして扱いたくないという想いがあります。清掃なども自身でやってもらっていて、田舎暮らし体験とかではなく、みんなで生活するために必要なことを、みんなでやろうという価値観です」
滞在費用がかからないと、価値観が合わない人も来てしまうのではないか? そう思われる方もいるだろう。ところが、この滞在拠点は想像を超えるほどの山奥にある。ここまでわざわざくる人なので、その時点でスクリーニングができているのだ。確かにいくら無料とはいえ、「無料だから滞在したい」という人はここまで来ないだろう。
私が主催する「地方創生会議」も和歌山の奥地、高野山で開催している。東京からの移動時間は約5時間。もっと時間がかかる地域もある。
それでも全国から人が集まってくるのは「全国からわざわざ高野山まで行く人とつながりたい」という理由があると思っている。アクセスの良さを売りにするのではなく、わざわざ行くことに価値をつけるという逆転の発想で、人を集めることは重要な視点だ。
大事なのは「コンテンツ」
アクセスをよくするために交通機関を充実させる話はよく聞く。しかし、そこに予算を使うのではなく、そもそものコンテンツを充実させれば、アクセスが悪いことさえ、コンテンツに出来るのではないだろうか。
実は私自身も昨年10月に矢野さんを訪ね、ひとまきの拠点を訪れた。歓迎会を開いてくれたのだが、ほとんどが移住者だった。そして滞在者の若者は共通して、ネットリテラシーがとても高かった。ビットコインやブロックチェーン。最新のWebサービスやSNSの運用論など、都会のITベンチャー界隈と変わらない水準の会話が行われていた。
地域の差別化に必要なこと
自然が豊か。ご飯が美味しい。歴史や文化がある。どれも地域の魅力ではあるが、それは日本中、どの地域も魅力だらけで、それだけでは差別化にならない。
ひとまきの運営メンバーは全員SNSを活用し、ブロガーも多い。日本トップクラスのブロガーであるイケダハヤト氏もこの近くに住んでおり、さまざまな形で連携をしている。
ひとまきは、限界集落だがテクノロジーに精通したコミュニティがあり、フリーランスやクリエイターとして生きていきたい人材にとっては魅力的だ。使われていない空き家、あまり知られていない産品など、伸びしろが豊富にある。この環境に魅力を感じる人材は多いだろう。
地域に人を集めるためには、どの地域にもあるようなものをアピールしても効果がない。「その地域の特色×コミュニティ」を意識し、不特定多数にPRするのではなく、どんな人に来て欲しいかを狙い定めたアプローチが今後さらに必要とされるのだと思う。
小幡 和輝
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