米地区連銀景況報告:関税の影響に警鐘、経済成長緩やか FRBが公表したベージュブックによると、米経済は緩やかなペースで拡大した By Sarah Chaney and Sharon Nunn 2018 年 9 月 13 日 05:12 JST 【ワシントン】米連邦準備制度理事会(FRB)が12日公表した地区連銀景況報告(ベージュブック)によると、最近発動された関税や今後の関税計画を受け、米企業は投入コスト上昇への対応を強いられる中、貿易を巡る緊張の高まりに懸念を示している。 全米12地区の経済情勢について8月31日以前に収集した事例報告をまとめた今回の報告によると、米経済は緩やかなペースで成長した。 トランプ政権は多額の輸入品に対して関税を発動したうえ、追加関税を課す構えも示し、米製品に対する報復関税の発動を招いた。 企業は景気の先行きにおおむね楽観的な見方を維持しているものの、貿易摩擦を背景に多くは不確実性を指摘している。貿易を巡る懸念が強まっていることから、事業投資を先送りしたケースも見られた。 多くの企業は、関税による原材料費の上昇を価格に転嫁することはできないと述べている。一例として、メリーランド州の缶製造業者は「値上げすれば顧客が別のパッケージ形式を探し、永遠にビジネスを失うことになると懸念」している。 ニューヨーク地区の企業に関しては、最近発動された関税が製造業や運輸セクターの投入コスト上昇につながった。同地区の企業は貿易政策が事業に及ぼす影響に懸念の声を上げている。 リッチモンド地区の空港運営会社は、新たな関税を背景に事業が減速しかねないとの恐れから、設備投資に慎重になっている。 ただ、企業によっては関税の影響は最小限にとどまっている。ボストン地区の銃器メーカーは、事前に向こう2年の鉄鋼価格を固定したと述べた。 全般的には、消費者信頼感が高水準となる中、需要をけん引している面もあると企業は指摘している。バージニア州の窓メーカーは数年ぶりの堅調な業績を達成し、力強い消費者信頼感が寄与したとの見方を示した。 関連記事 米景気後退、目先は可能性低い FRB悩ますイールドカーブ 【バロンズ】バブルの発生と崩壊、もうひとつの見方
ゴールドマン、米株弱気相場入りの可能性を警告−貿易摩擦激化で Lu Wang 2018年9月13日 8:38 JST • JPモルガンやUBSも貿易摩擦で予想される打撃を強調 • 米国株は他市場を上回る好調さでも、ウォール街の慎重姿勢は強まる 今年に入り貿易摩擦がエスカレートする中で米国株の投資家は冷静さを保っているが、ウォール街から聞こえてくる警告は強まるばかりだ。 最近、ゴールドマン・サックス・グループとJPモルガン・チェースもそれに加わり、全面的な貿易戦争が起きた場合に米企業が被るリスクを強調している。今週それぞれ発表したリポートで両社のストラテジストは、企業利益への打撃に関する試算を示した。ゴールドマンの米国株チーフストラテジスト、デービッド・コスティン氏は米国が全輸入品に10%の関税をかけるシナリオでは弱気相場入りを想定していると指摘した。 UBSグループのストラテジストのキース・パーカー氏も先週、トランプ米大統領が中国の輸入品に対する新たな関税発動を検討する中で米国株の際立った強靱(きょうじん)さが危険にさらされていると投資家に警告を発した。S&P500種株価指数が今年、世界の他の地域との比較で2014年以来最高の年に向かっていることを踏まえれば、こうした懸念は投資家の姿勢と食い違っているように見えるが、企業幹部の間で高まりつつある不安感とは重なる。 7000件余りの決算報告書と電話会議の内容を調査したJPモルガンの分析結果によると、前回の決算シーズンでは減税より関税の方が頻繁に話題となり、35%の企業が関税を脅威と指摘した。ドブラフコ・ラコスブハス氏ら同行のストラテジストは25%の二国間関税が実施された場合、S&P500種株価指数の構成企業全体で1株利益は最大10ドル落ち込む可能性があると予想。今年の予想は1株当たり165ドルだ。 ラコスブハス氏はリポートで「貿易摩擦の高まりが今後、特に来年について1株利益を大きく押し下げる恐れがある」と分析している。 一方、ゴールドマンのコスティン氏が描くのはもっと暗いシナリオだ。中国製品への25%関税賦課でS&P500種構成企業の来年の成長は吹き飛びかねないとした。米国が海外からの全ての輸入品に10%の関税をかけるというより極端なケースでは、米国側のコスト上昇で企業利益は10%落ち込む可能性もあるという。 投資家のセンチメントも悪化し、バリュエーションは下がりかねない。結果的にその最悪のシナリオではS&P500種株価指数は2230に下落し得ると、コスティン氏は今週のリポートに書いている。これは先月付けた過去最高値2914を23%下回る水準で、従来の弱気相場入りの定義を満たす。 出典:ゴールドマン・サックス 原題:Goldman Warns of Bear Market in Latest Wall Street Trade Alarm(抜粋)
トランプ氏支えるポピュリズム、金融危機が原因でない−バーナンキ氏 Jesse Hamilton、Christopher Condon 2018年9月13日 12:56 JST 現在の政治動向の起源を10年前の信用市場崩壊に求める考えに異議 一般の人々の不満は過去数十年間にわたり高まっていたと指摘 バーナンキ元米連邦準備制度理事会(FRB)議長は12日、2016年米大統領選でドナルド・トランプ氏を勝利に導いたポピュリズムの躍進や左派の進歩主義者の台頭について、08年の金融危機への米政策当局の対応が引き金となったものではないとの考えを示した。
バーナンキ氏はブルッキングズ研究所で開かれたイベントで、現在の政治動向の起源を10年前の信用市場崩壊に求める考えに対し、賃金の伸び悩みや社会的地位の向上機会の縮小などを背景に一般の人々の不満は過去数十年間にわたり高まっていたと指摘。経済のメルトダウンとそれに続いた銀行救済は助けにならなかったが、それらが主な要因となったというわけでなく、「前提に誤りがある」と論じた。 同イベントには、バーナンキ氏と共に最前線で危機対応を指揮したポールソン元財務長官と、ポールソン氏の後任として財務長官に就任したガイトナー元ニューヨーク連銀総裁も参加し、グレートリセッション時の被害を食い止めるために取った措置のほか、その後に講じられた施策が危機再発を防ぐことができるかどうかなどを巡り議論を交わした。 原題:Bernanke Rejects Tie of 2008 Crisis to Trump-Aiding Populism (1)(抜粋)
トルコ中銀、利上げ判断 通貨下落歯止め焦点に トルコショック 中東・アフリカ 2018/9/13 17:11 【イスタンブール=佐野彰洋】トルコ中央銀行は13日、金融政策決定会合を開き、通貨リラの急落や物価高騰を受けて、政策金利を引き上げるかどうかを判断する。金融引き締めを嫌うエルドアン大統領からの圧力が続く中、金融市場は3〜4%程度の利上げを予想している。通貨安に歯止めを掛けることができるかが焦点だ。 中銀は7月の前回会合で市場予想の大勢に反し、主要な政策金利である1週間物レポ金利を年17.75%で据え置いていた。8月にはトルコ在住の米国人牧師拘束問題を原因にリラが急落する「トルコショック」が発生し、新興国を中心に世界の金融市場を揺さぶった。 信用不安が再燃したアルゼンチンの中銀は8月末の追加利上げで政策金利が年60%に達した。トルコやアルゼンチンだけでなく、ブラジルやインドの通貨も過去最安値に沈んだ。 トルコ中銀は市中銀行への資金供給を中心となる1週間物レポ金利よりも割高な翌日物貸出金利(19.25%)に切り替え済みだ。 しかし、リラ安の進行で8月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比17.9%に達し、9月以降の20%超えが確実とみられている。中銀は3日の声明で「物価安定への重大なリスク」に言及、「必要な措置を講じる」と利上げを示唆していた。 年初から4割下落したリラの対ドル相場は、13日朝、決定会合を控え1ドル=6.3リラ台と9月に入ってから最もリラ高の水準で推移した。市場は利上げを織り込み済みだが、小幅な利上げにとどまれば、中銀への信認が一段と低下し、資金流出を招く恐れがある。 リラ売りを抑え込もうと政府が小手先の対策を繰り返していることも実体経済の重荷となっている。8月、銀行監督当局は国内銀行が外国投資家と行う為替スワップの取引量を、規制上の自己資本の25%までに制限した。 投機筋によるリラ売りを封じる狙いだったが、相場変動のリスクをヘッジしたい企業や銀行の取引まで制限する副作用が発生。「3カ月先のリラ相場や金利水準が算出できず、銀行同士で資金の貸し借りができない」(外銀関係者) その結果起きたのが、市中金利の高騰だ。中銀によると、8月末時点での企業向け貸出金利は加重平均で年32%。3カ月で13%近く上昇した。 エルドアン氏は13日公表の大統領令で、不動産取引や賃貸契約をリラ建てとするよう定めた。既存契約も30日以内の改定が必要となる。リラ相場の下支えと同時に外貨建て契約が一般的な小売りチェーン救済が狙いとみられるが、商慣行の突然の変更で混乱が生じそうだ。 自動車リースや電力、小売りなど「借り入れは外貨、収入はリラ」という内需型企業を中心に破綻や社債償還の不履行が相次ぎ表面化している。資金繰りの悪化や資材コストの上昇で、建設工事の中断や遅延も目立つ。 10日発表の4〜6月期の実質成長率は前年同期比5.2%増と1〜3月期に比べ約2%減速した。消費や投資の落ち込みで2019年にはマイナス成長に転じる可能性が指摘されている。 不良債権の増加は金融システムの健全性を損ないかねない。米JPモルガンによると、トルコの民間部門は19年6月までの1年間で1464億ドル(約16兆円)の対外債務を返済する必要がある。このうち3分の1を銀行などの金融部門が負う。協調融資や社債の借り換えが順調に進むか、市場は注視している。 米が中国に新たな通商交渉を提案、摩擦激化回避で Bloomberg News 2018年9月13日 4:24 JST 更新日時 2018年9月13日 18:01 JST 米国からの招きを受け具体的作業を開始−中国商務省の報道官 協議はワシントンで行われる可能性が高い−関係者 米中両国政府は新たな通商協議に向けて具体的な作業に取り組んでいる。両国が緊張を和らげ、貿易摩擦のさらなる激化を回避できるかもしれないとの期待が浮上している。
中国商務省の高峰報道官は13日、北京での定例記者会見で、中国が米国からの招きを受け、両国が具体的作業に取り掛かっていると明らかにした。事情に詳しい関係者3人によれば、ムニューシン財務長官の主導で米政府高官らが最近、中国側を協議に招請した。匿名を条件に語った関係者の1人によると、中国側が同意すれば新協議はワシントンで行われる可能性が高い。 米国による通商交渉の提案については先に、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が匿名の情報源を引用して報じていた。クドロー国家経済会議(NEC)委員長は同報道を確認し、「これは前向きな事態だ」と発言。「われわれは現在、連絡を取り合っており、意思の疎通は密になったと言える」と述べた。 原題:U.S. and China Signal Another Round of Trade Talks Is Coming (抜粋) 中国:8月のファイナンス規模は予想以上に拡大、政策が後押し Bloomberg News 2018年9月12日 19:24 JST 中国経済全体のファイナンス規模は8月に予想以上に拡大した。緩和的な政策が効果を表し始めた。 中国人民銀行(中央銀行)が12日発表した8月のファイナンス規模は1兆5000億元(約24兆3400億円)と、ブルームバーグがまとめた市場予想の1兆3000億元を上回った。7月は1兆400億元だった。 8月の人民元建て新規融資は1兆3000億元。市場予想は1兆4000億元。7月は1兆4500億元だった。8月のマネーサプライ(通貨供給量)M2は前年同月比8.2%増で、市場予想の8.6%増を下回った。 原題:China’s Funding to Economy Rises in August on Policy Support(抜粋) 最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
ドル・円は上昇、米中協議期待やトルコ利上げ観測でー株高も追い風 池田 祐美 2018年9月13日 12:32 JST 更新日時 2018年9月13日 15:31 JST • 朝方に付けた111円17銭から午後に一時111円47銭まで上昇 • これまでネガティブにみていたものが好転する期待ー東海東京証 東京外国為替市場のドル・円相場は上昇。米中貿易協議への期待やトルコの利上げ観測などを背景とした新興国懸念が後退した。日本株が大幅上昇し、リスク選好のムードが広がったことも相場の追い風になった。 13日午後3時18分現在のドル・円は前日比0.1%高の1ドル=111円42銭。朝方に付けた111円17銭を日中安値に水準を切り上げ、午後には一時111円47銭まで上昇した。 東海東京証券金融市場部外貨管理グループの吉田幹彦グループリーダーは、「市場全体でこれまでネガティブにみていたものが好転する期待が高まっている。北米自由貿易協定(NAFTA)交渉、英国の欧州連合(EU)離脱交渉、そして新たに出てきたのが米中通商交渉再開に対する期待」と説明。「ドル・円は、日本株が株価指数先物とオプションの特別清算日が重なるメジャーSQを控えた短期的な需給で上げたことにつられている感じがする。クロス円も上げている」と述べた。 米政権による中国への通商交渉提案に関する記事はこちらをご覧下さい。 この日の東京株式相場は反発。日経平均株価は前日比216円71銭(1%)高の2万2821円32銭で引けたほか、中国上海総合指数も4営業日ぶりに反発している。米長期金利は時間外取引で一時1ベーシスポイント(bp)高の2.97%を付けた。 外為どっとコム総研の神田卓也調査部長は、「米雇用統計以降、流れが変わったと感じていて、賃金が伸び始めたことによって、米長期金利が上がり始めている。これがドル高・円安、円が全般的に売られる一つの要因になっている」と分析。「将来的には米金利の方向に目が向かって、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)以降は、最終的な米長期金利と米利上げの到達点がどこになるのかという論争になっていくだろう」と述べた。 米国ではこの日、8月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。市場予想は前月比0.3%上昇が見込まれている。7月は0.2%上昇だった。 欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)、トルコ中央銀行はこの日、金融政策会合を開く。市場ではECBとBOEは現状維持、トルコ中銀は1週間物レポ金利を17.75%から21.00%へ引き上げると見込まれている。 ユーロ・ドル相場は同時刻現在、ほぼ変わらずの1ユーロ=1.1624ドル。ポンド・ドル相場は0.1%安の1ポンド=1.3033ドル。ドル・トルコリラ相場は0.4%高の1ドル=6.3673リラ。前日に一時6.3319リラと8月29日以来のリラ高・ドル安水準を付けた。 ステート・ストリート銀行の若林徳広在日代表兼東京支店長は、トルコ金融政策の相場への影響について「予想以上の3%超え利上げなら、真剣と受け止められるだろう。ショートがたまっているので、トルコリラは上昇すると思う。欧州はトルコに近いのでユーロ・ドルにも波及すると思う」と指摘。ただ「ユーロは1.1650ドルでは上値が重い」と語った。 日本株反発、米中交渉の再開期待広がる−資源セクター中心幅広く上げ 長谷川敏郎 2018年9月13日 7:56 JST 更新日時 2018年9月13日 15:31 JST • 米国が中国に対し新たな通商交渉を提案、海外原油や非鉄市況上げ • SQ控え先物主導の買い戻しと市場関係者、売買は盛り上がり欠く 13日の東京株式相場は反発。米国と中国の通商問題改善への期待が広がり、国際商品市況の上昇も好感された。中国経済の動向に敏感な鉱業や石油、非鉄金属、商社、海運株など資源セクター中心に情報・通信や電力、小売株など内需セクターも上げ、東証1部33業種中、32業種が高い。 TOPIXの終値は前日比18.70ポイント(1.1%)高の1710.02、日経平均株価は216円71銭(1%)高の2万2821円32銭。TOPIXは5日以来の1700ポイント回復、日経平均は8月31日以来の高値。 三井住友アセットマネジメント株式運用グループの平川康彦シニアファンドマネージャーは、「貿易問題や国内の通信や医薬品の政策リスクなどさまざまな面で不透明感が強い。景況感からは日本株がレンジの上値を抜けるほど力強くない」とし、「下げに備えている投資家が多く、話し合いなど通商交渉に対する多少の期待感が出るだけでも買い戻しが入りやすい」と話した。 東証内 Photographer: Junko Kimura/Bloomberg 米中貿易摩擦の激化を避けようと、米政府は中国に対し新たな通商交渉を提案した。中国が同意すれば、協議はワシントンで行われる可能性が高い。次官級で米中通商協議が8月22日から再開された前回のケースでは、過度の通商懸念が後退する格好で、日本株は8月末まで反発傾向を強めた経緯がある。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鮎貝正弘シニア投資ストラテジストは、「今回の米中交渉は閣僚級と伝えられている。次官級の際も交渉見通し後はショートカバーが入っており、前回と同様の相場パターン」とみている。 東証1部の売買代金上位ではソフトバンクグループやファーストリテイリング、トヨタ自動車など株価指数のウエート構成比が高い銘柄が上昇。先物上昇に絡むインデックス主導の相場展開をうかがわせた。あす14日には株価指数先物・オプション9月限の特別清算値(SQ)算出も控え、三菱モルガンの鮎貝氏は「裁定業者の巻き戻しが加わり、裁定買いを誘発した」と言う。 また、12日のニューヨーク原油先物は1.6%高の1バレル=70.37ドルと続伸。米国の制裁でイラン産原油の輸出が乱れた上、米原油在庫が落ち込んだことも材料視された。米中新協議への期待で同日のロンドン、ニューヨーク市場で銅など非鉄金属価格も上昇、きょうの日本株市場で資源セクターが買われる要因となった。取引開始前に発表された日本の7月の機械受注は、前年同月比13.9%増と市場予想の4.3%増から上振れ、機械など設備投資関連業種も堅調。 ただ、売買代金は盛り上がりを欠くなど先行き不透明感の強さも顕著だ。野村証券投資情報部の若生寿一エクイティ・マーケット・ストラテジストは、「トランプ米大統領が日本に対し通商交渉でどういう要求をしてくるのか。たとえ厳しい要求であっても、悪影響によるボトムがはっきりすれば、相場の先行きは見通せるようになる。大統領の手のうちのカードが見えないうちは霧が晴れない」としている。 • 東証1部の売買高は13億4675万株、売買代金は2兆3464億円、売買高は前日から8%弱減った、値上がり銘柄数は1511、値下がりは513 • 東証1部33業種は鉱業、ゴム製品、海運、石油・石炭製品、卸売、電気・ガス、非鉄金属など32業種が上昇、下落はその他製品の1業種 • 売買代金上位では三菱商事、武田薬品工業、ダイキン工業、ブリヂストン、住友金属鉱山が高い、これに対しゴールドマン・サックス証券が投資判断を下げた東京エレクトロン、野村証券が判断を下げたSUMCOは安い
2018年9月13日 / 16:54 / 30分前更新 焦点:オプションは膠着継続を示唆、日経2万3500円超えの確率15% 2 分で読む
[東京 13日 ロイター] - 日本株は再び上昇局面に入っているが、オプション市場の動きが示唆するのは膠着相場の継続だ。貿易戦争への懸念が根強いとみられ、日経平均.N225が2万3500円を超える確率は15%となっている。一方、2万1000円を下回る確率も9%と小さい。堅調な企業業績などから大幅な株安も見込まれておらず、上下に動きにくい展開が続きそうだ。 <2万3500円のコールが活況> 日経平均が300円近く上昇し、NT倍率.NTIDXが13.30倍を超えた11日、オプション市場のトレーダーの間で話題になったのが、10月限の権利行使価格2万3500円のコール・オプション(買う権利)だ。出来高は前日比6倍の3911枚、プレミアムは同64%高の46円と急伸した。 9月限の株価指数先物・オプションは13日が取引最終日となり、日経平均先物ミニとオプションは10月限に限月交代する。SQ(特別清算指数)算出週では期近物から期先物へのロールオーバーが進むが、2万3500円コールの商い急増は「日経平均を押し上げたい投資家の存在を意識させた」(国内証券トレーダー)という。 しかし、建玉の中身をみる限り、2万3500円を超えるような株高は、強く想定されているわけではない。オプションSQ算出日(10月限は10月12日)に、イン・ザ・マネー(コールの場合、権利行使価格が原資産の日経平均を下回る状態)となる確率を示すデルタは、足元で2万3500円コールでは約0.15、2万3000円コールで約0.34となっている。 簡単に言えば、10月12日に日経平均が2万3500円を超える確率は15%、2万3000円を超える確率は34%と市場は予想していることになる。 9月末には配当権利落ちがあり、その影響額は「160円程度」(銀行系証券)とみられている。13日の日経平均終値から160円引くと2万2661円。これを基準とすれば2万3500円は3.7%程度高い水準にすぎない。 eワラント証券の投資情報室長、小野田慎氏は「上昇局面では(2万3500円の)コールを手仕舞い、アップサイドのもの買う動きが出ることも考えられる。だが、デルタは低く、到達の確率もそれほど高くない。売り手も結構出てくる水準だ」と指摘。「短期的な主戦場はやはり2万3000円」と話す。 <2万1000円割れの確率は9%> 一方、10月限プット・オプション(売る権利)は、権利行使価格2万1000円の建玉が12日時点で1万1945枚。2万2000円が8815枚となっている。2万円以下の建玉ではこれらよりも多いところもあるが、その多くはリンク債に絡んだポジションの影響を受けたとみられている。 2万1000円プットの出来高は11日に2809枚、12日に2927枚となり、10日の8倍以上に膨らんだ。にもかかわらず、12日のプレミアムは10日比33%安。2万3500円コールのプレミアムの変動と比較すると大人しい。 日経平均 22821.32 .N225NIKKEI INDEX +216.71(+0.96%) .N225 .N225 足元のデルタは2万1000円プットで約マイナス0.09。日経平均が2万1000円を下回る確率は9%という計算になる。 米中貿易戦争への懸念もあるが、足元の企業業績は堅調との見方も多い。ちばぎんアセットマネジメント調査部長の奥村義弘氏は「仮に米国による2000億ドル規模の対中関税が実際に発動されれば、一時的に株価が大きく調整するリスクがあるが、市場の織り込みも進んでおり、下値の堅さをみせる可能性もある」とみる。 長田善行 編集:伊賀大記
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