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「ウチの社長は中国人」日本人社員が語る働き心地
https://diamond.jp/articles/-/179162
2018.9.7 姫田小夏:ジャーナリスト ダイヤモンド・オンライン
日本人が中国人社長の下で働くケースが増えてきたが、その実態は?(写真はイメージです) Photo:PIXTA
中国企業による日本人の雇用が都心部で顕在化している。新宿区のハローワークで「中国語ができる」を条件に検索をかけると、中国資本の求人票がいくつも出てくる。その数は想像以上に多い。
在日の中国企業で働くのは、ネイティブスピーカーの中国人が中心だったが、ここに中国語を得意とする日本人が加わり始めた。最近は語学力の有無にかかわらず、企業買収や企業再建で経営者の交代が起きる流れの中で、中国人経営者の下で働く日本人も出てきた。
中国企業に雇用される日本人社員は、どんな環境で、またどんな思いで働いているのだろうか。いくつかのケースを取材した。
日本人社員に業務が集中!
誰もが知る中国有名企業の職場
「これからは中国の時代だ」――高校時代の恩師にそう言われたことをきっかけに、Aさんは北京に飛んだ。2年間の滞在で中国語を身に付けたAさんは、帰国と同時に大手中国企業のX社の日本法人に就職した。X社は、聞けば誰でも知っている有名企業である。
Aさんの入社の動機は「中国語のスキルを生かして稼ぎたい」というものだった。しかし、この中国企業の提示する賃金は相場よりも低い。だが、考えあって入社時はそこに目をつぶり、まずは働いてみることにした。
配属されたのはコールセンターだった。数週間が過ぎ、仕事にも慣れてくるころには、社内事情も見えてきた。その実態は次のようなものだった。
「この会社は、中国人に甘い対応をするんだな、という印象を持ちました。例えば、コールセンターでは電話の着信量が多いときでも、中国人スタッフは対応しません。電話を受けるのはほとんど日本人スタッフだけで、時には苦情処理にも当たります。本来ならば率先して電話に出なければならない中国人スタッフは『マネジメント業務が忙しいから』と電話に出ないのです」(Aさん)
十数人規模のコールセンターをリーダー役として取りまとめるのは中国人で、その下には日本人スタッフと中国人スタッフが約半数ずつ勤務する。だが、真面目に頑張るのは日本人スタッフで、中国人は「さぼりがち」だとAさんは率直に語る。Aさんによれば、中国人には「さぼりながら給料をもらうのが得」だと考える傾向があるという。
入社して1年、Aさんはこの職場を去った。当初は賃金の安さに目をつぶったものの、まったく昇給の気配がないからだ。
入社当初は賃金を低く抑えるのが中国流だが、上海などには「実力発揮」とともに昇給のチャンスが広がる企業もある。しかも中国での賃金の伸びは、日本以上に高い。だがX社は、Aさんの賃金交渉に応じなかった。
経営状態が悪いのではないか――調べてみると、X社は6期連続で赤字を出していた。「知名度があるから安心」とは必ずしも言えないのが中国企業でもある。長期的かつ安定的に働き続けられる企業は限定的だ。
職場はホッとする!?
どこか“ゆるい”中国企業
近年は、中国の国営企業も猛スピードで海外に拠点を広げており、日本でもその子会社が数を増やしている。国営企業Y社で働いているBさんは「まさにここは、“日本の中の中国”です」と興奮気味に話す。
大学の第二外国語で中国語を身に付けたBさんが東京で通うその会社は、職場が宿舎を兼ねた「一棟の高級マンション」だ。しかも、建物には自己流の増改築の跡がある。賃貸ビルにテナント入居するのではなく、一棟買いして使い勝手のいいように建て増しするのは、まさに“中国的手法”だ。
中国から駐在員として派遣された中国人社員は、この建物の中で、職住一体化した生活を送る。Bさんによれば、内部には社員食堂もあり、従業員のみならず、その家族もここで食事を済ませるらしい。日本人従業員として雇用されたBさんも「まかない付き」で1日2食をここでとるが、そのメニューは「まかない」という言葉から連想されるような粗末さではないという。
中国企業の対外進出には、必ず母国から調理師を派遣するのも中国流。昨今は、赴任先の食堂での食事の豪華さを「これでもか」と競い合うのが潮流だ。Bさんもまた「毎日のメニューが待ち遠しくてたまらない」そうだ。
圧倒的多数を中国人が占めるBさんの職場環境について尋ねると、意外な反応が返ってきた。
「今の職場はホッとするところがあります。中国企業はどこか“ゆるい”ところがあり、常に緊張状態に置かれる日本企業よりも働きやすいんです」
正社員採用で給与面でも大満足、各種保険の取り扱いもある。中国の暦に従うので「盆休み」はないが、これといったトラブルもない。
Bさんの仕事は、首都圏に散らばる日本企業を訪問する営業職である。だが、肝心な仕事があまりうまく行っていない。なかなかクライアントが見つからないからだ。それでもなぜか給料はいい。
「社内で数字のプレッシャーがまったくないのは、国営という体質だからでしょうか。正直、こんなにもらっていいの?という気持ちになります」
国営企業だから?
会社としての組織に疑問も
一方、Bさんは最近、中国企業特有の“ゆるさ”に疑問を感じるようになった。
「会社としての組織づくりがほとんどできていない、会社の方向性や営業目標がほとんど伝わってこない、ろくに会議も開かれない――これで会社組織だといえるのでしょうか」
ゆるい社内環境というのは、この国営企業に限ったことではない。中国の企業はどこでもこんな感じである。その理由のひとつは「ルールや目標を明確化すれば、自分の首を絞めることにもなりかねない」(上海資本の企業で働く中国人)からだ。ましてや、「個人主義」といわれる中国人にとってチームプレーは得意ではない。「組織だった行動が苦手」というのは中国企業の弱点でもある。
Cさんの事例を加えれば、さらに中国企業の傾向が浮き彫りになるだろう。Cさんはホテルの買収をきっかけに、中国人経営者の下で働くことになったベテランのホテルマンである。もともと入社の際には「しかるべきポジション」が約束されていたが、それは名ばかりのもので、Cさんのもとには経営に関わる情報が一切入ってこなかった。Cさんはそれを「中国企業特有のブラックボックス化」だと語っている。
中国人経営者は簡単には他人を信用しない。そのため、経営の実権はごく少数のみによって握られる。ましてや日本人など蚊帳の外に置かれるのが関の山だ。その“分厚い壁”を切り崩し、互いにウィンウィンでやっていけるかは、個々人の努力でしかない。
先述の通り、日本人から中国人へと、いつの間にか経営者が交代するケースも散見される。従来の経営方針がガラリと変わり、「営業先も一転した」と翻弄される社員も少なくない。
その一方で“けがの功名”もある。ある企業の社員は「これまで最も重視してきた“危機管理体制”が薄れつつありますが、その代わりに現場が“即決即断”で動くようになりました」とこれを歓迎している。
帰化した中国人経営者の
すがすがしい実力主義
最後にこんな事例を紹介したい。関西出身のDさんが、東京で再就職した翻訳会社のケースである。「とにかく仕事を」と急いでいた彼女が籍を置いたのは、日本に帰化した中国人が経営する中小企業だった。
前職の営業職で“うさんくさい中国人経営者”に辟易したDさんにとって、在日歴の長いこの経営者は、日本と中国の両方の商習慣を熟知した“ベテラン経営者”にも等しかった。業務の進行をめぐっては、日本人と中国人の考え方が割れることが常だが、こうした“日中の対立”もない。
それどころか、彼女はむしろ「いい意味で“日本企業の悪癖”が排除された職場」だと感じている。
「ここでは力のある日本人女性が生き生きと仕事をしています。年功序列がないからでしょうか。先輩後輩の意識も低く、ストレートに実力を発揮できる環境があります」
中国では毛沢東の時代から、女性の社会進出の素地が築かれてきた。女性の持てる力を軽視せず、むしろ尊重してくれる社風にDさんは満足している。
どこか怪しげだが妙にアットホーム、戦略的ではあるが脇がゆるい――。日本企業にないものを持っているのが中国企業だといってもいいだろう。日本でも増えつつある中国企業だが、果たして日本人にとって新たな選択肢となるだろうか。
(ジャーナリスト 姫田小夏)
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