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欧米はなぜ『中国製造2025』を恐れるのか(マスコミに載らない海外記事) :国際板リンク 
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/332.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 8 月 30 日 01:47:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

欧米はなぜ『中国製造2025』を恐れるのか(マスコミに載らない海外記事)

http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/747.html


 

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コメント
1. 2018年8月30日 07:33:30 : 8tHrqcaWfU : LV_ym7Iy76w[19] 報告
計画的に国内産業を育成するのは欧米も容認するだろう。
但し国際ルール無視=犯罪行為でそれを成し遂げようとする態度に危惧を感じている。
旧ソ連のように明らかに敵対する状態なら、ある意味、スパイ行為も許される(?)のだが、市場経済の恩恵は受けながら、一方で市場の信頼を裏切る行為を国家ぐるみで行うと言うのは理解されまい。
2. 佐助[6003] jbKPlQ 2018年8月30日 10:46:46 : RbPZf2tsH6 : K9EhTpDjOxI[422] 報告
中国も政治的自由を求めて解体されることは避けられない。

ニクソンのキンドル交換停止から40 年目の2012 年、ユーロ通貨バブルははじけ、ブラジル・中国・インドのバルブもはじけた。

中国のバブルは、クルミの殼一個が百万に高騰、住宅土地バブル中心に、日本と米国と同じように破裂したのに、2015 年までは見えなかったが認識された。

そして,一党独裁支配から開放される自由革命の蜂起成功は2025 年前後になる。一党独裁支配制を採用したため、社会主義国家ソ連と中国は、革命から80 年目に自壊することは避けられない。

中国経済のバブルの崩壊は2015 年には認識されるが、その十年後には一党独裁政治体制の自壊は避けられないりです。社会主義政治制度が、資本主義的経済を採用したとしても、80 年後には、政治的自由を求めて民衆は蜂起し、自壊を避けることはできない。

されは,40 年ごとに改革し、80 年ごとに大革新が必要となる。80 年以上継続した体制は、改革と革新を繰り返し継続してきた。2025年が,その節目になる。最後は停滞し自己崩壊する。

つまり、元は中国解体とバブル作裂と、シーラカンス銀行のデフォルトの三つの危機に直面しているのだ!そして多民族・多部族国家なので意思の統一ができない。

香港ドルを印刷発行する銀行を、だ。現在は、英国銀行と香港民間銀行と中国官製銀行が、香港ドルを印刷発行。中国の元は外国の投機に振り回されないように国家管理しているが、香港銀行発行の元建ての債券は外資に売っている。このような、私立銀行が通貨発行し、企業を直接支配するシステムは、第一次世界恐慌で資本主義の恥部として、倒産され一掃された。

なのでドルの一極集中の崩壊は,香港ドルそして上海の大暴落もさけられないことになる。これは,新基軸通貨体制に移行するまで、収束復元できないのだ。

ただし
キンは,世界の通貨の交換尺度なので,国民から金価格相場にプレミヤムを付けて買上げると、元は間違いなくドルとユーロと円と共に、25%の金を保有して、第四の基軸通貨となる。


もう一つ
後進国と先進国の間で、40年ごとに商品の優位性は交代する。

商品の世界的優位性は、40年ごとの「ルールの破壊/創造」周期によって、後進国が先進国に追い付き追い抜くことによって誕生する。後進国はルールの破壊期に、伝統慣習を破壊する度合いが、先進国よりも広く深いため、新しい流行を積極的に受け入れるために、商品の世界的優位性を獲得する。

中国の大都市をはじめ,朝鮮半島や東南アジアの工業国と工業都市は、日欧米に追いつき追い越す。「日欧米に追いつき追い越すことはできない」と反論する人がいますが,日本は2019年から,一つまた一つと抜かれていきます。次々と日本は後進工業国にイニシアチブを奪われる。しかし、米国のようにサービス産業の優位は維持できる。

そこで産業革命が日本なのか中国なのかでまた変わってくる。日本が前倒しすると日本商品の世界的優位性は2040年〜2060年まで継続する。

3. 2018年8月30日 15:18:25 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1357] 報告
2018年8月30日 週刊ダイヤモンド編集部
中国自動車産業の外資解禁は「外資依存不要宣言」、日本は下請けに!?
外資規制を緩和する――。習近平国家主席がそう宣言した背景には、中国の製造業が外資に頼らずともやっていけるという、製造強国世界一としての確固たる自信があると見られています。つまり、外資規制緩和は、中国の勝利宣言でもあるのです。『週刊ダイヤモンド9月1号』の第1特集は、「自動車・電機・IT 40年で完成した日中逆転の全経緯」です。1978年に「改革開放」を掲げ、日中平和友好条約が調印されてから40年間、日本の製造業を学ぶところから始めた中国は、あっという間に日本を逆転してしまいました。特集ではその過程を振り返り、日本の製造業が進むべき道はどこにあるのかを考えました。今回はその特集の中から、外資規制を緩和した背景を考察した記事を特別に抜粋してお届けします!
中国・深圳では、BYD製のEVタクシーが多く見られます。
中国・深センの街中で多く見られる、BYD製のEVタクシー
 改革開放から2年後の1980年。ケ小平氏は、深センを中国初となる「経済特区」として選んだ。人口3万人ほどの鄙びた漁村だった深センが、中国へ市場経済を導入する起点となったのだ。

 日系企業として初めて深センの蛇口に進出したのは三洋電機だ。工場でのそろいの制服や効率的な労務管理といった“日本式”が中国企業に根付くきっかけとなった。外資のノウハウ、技術、資金を吸収しながら、深センは独自の産業発展を遂げていった。

 中国の中でも外資の導入に寛容だった深セン。今や、アジアを代表するイノベーション都市として知られる。電気自動車(EV)のBYD、巨大EMS(受託生産サービス)の鴻海精密工業(台湾)、通信のファーウェイ、ITサービスのテンセント。ドローンのDJI──。超ハイテク企業ばかりが育成された。

 スタートアップ企業の“乱造エリア”ともいえる場所もある。深セン市南山区にある「深セン湾創業広場」には、約20棟の高層ビルがそびえ立ち、スタートアップ企業が約300社入居している。ベンチャーキャピタル、インベストメントバンク、インキュベーション企業などが物理的に同じ場所に集結しているので、ベンチャーの芽が開花する機会はどうしても増える。毎日、エリア内にあるカフェやミーティングスペースでは、ベンチャー経営者と投資家による商談の風景が見られる。

 そして、中国が誇るITジャイアント、テンセントやバイドゥも入居しており、常にベンチャーを物色している。中国全体のスローガン「大衆創業 万衆創新(大衆による起業、万人によるイノベーション)」が大げさな表現とも思えないくらい、深セン湾創業広場にはビッグチャンスが転がっている。

深圳、南山区の起業支援エリア「深圳湾創業広場」にはテンセントやバイドゥも入居している。
深セン、南山区の起業支援エリア「深セン湾創業広場」にはテンセントやバイドゥも入居。スタートアップ起業の熱気が充満している。党と一緒に起業しようという共産党の標語も
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 今年4月に、習近平国家主席は堂々と外資解禁宣言をした。「中国の開放の門戸をますます開いていく。特に自動車業界の規制を緩和する必要がある」。

 保護主義を強める米国を意識した発言であることは間違いないが、ある自動車メーカー幹部は、「もう一つの意味がわれわれにとっては重要なメッセージ」と言い切る。習宣言は、「中国が製造業で世界一になった、近いところまで来たという勝利宣言だ」(同)というのだ。

 どういうことか。中国が狙うのは世界制覇しかない。そのためには、冒頭のような民間主導のITのスタートアップも必要なのだ。

 習近平氏の「外資解禁」は、中国がもはや外資に依存する必要がないことを示したもので、逆に、日本経済は中国企業の存在がなければ立ち行かなくなっていた。

研究開発支出の中国上位社数は
10社から125社へ
 中国政府の算段はこうだ。まず、中国の自動車政策の中心をガソリン車からEVへシフトさせる。EVを前面に押し出して、NEV(新エネ車)とコネクテッド、自動運転といった世界最先端のITを拡充し、モビリティサービスで世界市場を攻めるというやり方だ。

 従来の製造(マニュファクチャリング)工程だけにとらわれることなく、電動化、コネクテッド、サービスの合わせ技でゲームチェンジを起こそうとしている。

 すでに、滴滴出行などのライドシェアリングサービスは、市場規模が大きく電子決済が浸透している中国が一番進んでいる。

世界の企業のR&D支出ランキング(2017年)
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 日中でR&D(研究開発)の支出額の大きい企業の動向を比べてみた(PwCグループの戦略コンサルティング会社、Strategy&が実施)。上位1000社中、日本企業は171社、中国企業は125社入った。10年前の調査では、中国企業はわずか10社だったので、いかに中国企業が躍進したかが分かる。

 また、日中の上位30社の比較では、日本が自動車に、中国がITに傾斜している。

日本と中国企業のR&D支出ランキング
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 実際に、下図の「製造品出荷額と従業者数」を見ても日本の(自動車の)一本足打法の傾向が強まっている。

中国での電気自動車関連の特許出願件数と日本の製造品出荷額と従業員数
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 現在、世界の自動車業界には、「100年に1度」の大激変が訪れている。自動車メーカーの開発領域も、ガソリン車から電動化、コネクテッド対応、自動運転、モビリティサービスへと広がった。

 しかし、得てして大企業は変化に臆病だ。どうしても開発対象は、エンジン屋が強い、ハイブリッド技術が強い、内燃機関の燃費効率が良い、といった過去の成功体験や遺産に引きずられてしまう。これだけ世界各国で野心的な電動化目標が提示されているにもかかわらず、「ガソリン車がなくなることはない」「ハイブリッド車もEVも共存できる」といった発言が自動車メーカーの技術者から出てくるのは、今起きている大激変の深刻さを理解できていないからだろう。

中国ITジャイアントのコネクテッドカーに関する連携事例
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製造、販売で潤った
自動車ビジネスは崩壊する
 そして、中国が狙うモビリティサービスが世界に行き渡ると、自動車産業の構造が根底から崩れる。完成車メーカーの「下請け構造化」は避けられないだろう。

 ライドシェアサービスが浸透すると、完成車を売るディーラー網も立ち行かなくなる。

 完成車メーカーは必ずしも製造設備が必要ではないため、自動車の企画設計に特化した企業が増えるかもしれない。電化製品でEMS企業が台頭したように、EVでも水平産業が加速するはずだ。

 つまり、「製造」と「販売(ディーラー網)」の工夫で長らく潤ってきた日本の自動車ビジネスは立ち行かなくなるということだ。

 それほどの覚悟を持って「100年に1度」の大激変に挑んでいる自動車メーカー関係者はどの程度いるのだろうか。そして、この変化は10年前に「隣のエレキ業界」が見せてくれた変化でもある。

 だからこそ、問題意識を持った自動車メーカー幹部は中国政府の一挙手一投足を気にしている。「中国の強みは、善しあしは別として、国家主導で自国に有利なようにルール変更できること」(日系メーカー幹部)だからだ。

 一方で、年間販売台数1000万台レベルの国営3社の統合を進めながらも、最近、中国当局がテンセントへの締め付けを厳しくしているのは何か意図があるように思えてならない。

 78年。ケ小平氏がある意味自国の負けを認めて、製造業の遅れを取り戻すところから始まった大改革。中国の製造業やITは一足飛びに強くなったわけではない。

 40年という膨大な時間をかけて、日本などの外国から技術、人材、カネ、そして情報を余すところなく中国へ環流させることに成功したといえるだろう。

 翻って、日本はどうか。40年前に中国へ惜しみなく技術や情報を供与できたほどには、日本にアドバンテージはないのではないか。

 圧倒的な市場規模とイノベーションを生む力。日本の製造業に欠けている要素を中国は持っている。日本は教えを請うところから始めるべきなのかもしれない。

中国自動車産業のR&D体制のイメージ
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4. 2018年8月30日 19:10:49 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1369] 報告
「オフィスと社員はもう要らない」孫泰蔵「思考停止を疑え」「経路依存性」という悪習慣

2018年8月30日(木)
孫 泰蔵

その「常識」は本当に必要? 「あたりまえ」から踏み出して新しい発想を生む視点や思考の組み立て方、その実践方法について、スタートアップを支援する投資家、アクセラレーターとして活躍する孫泰蔵さんに聞いた。

(聞き手:日経BP社出版局編集第一部長・中川ヒロミ)


初回のテーマは、「オフィスと社員はもう要らない」。いきなり衝撃的ですが……。

孫泰蔵氏(以下、孫):大げさでなく、その通りだと考えています。この取材を受けている今日は2018年7月で、場所は僕が5年前に設立した会社、Mistletoe(ミスルトウ)が3年前に開設したオフィスですが、実は今月末にここのオフィスを完全閉鎖することを決めました。

ええ! Mistletoeのオフィスといえば、孫さんが支援するスタートアップ企業が集まる最先端のコワーキングスペースとしても知られていますが。広さもかなりありますよね。

孫:400坪ありますが、サッパリ消滅します。決めたのは今年の4月頃。ちょうど更新の時期で、家主から「更新しますよね?」という問い合わせが来た時に、「うーん、やめますか」と(笑)。相手も「え?」って驚いてましたが、社内であらためて話し合って、「やっぱりやめよう」ということになったんです。

皆さん、すぐに納得したんでしょうか?

孫:いえ、かなり議論しました。もともと環境整備について考える定例会で度々上がっていたテーマではあったんですね。事業の流れとしてはむしろ拡大方向にあるのに、それに逆行する形でオフィスをなくすことへの抵抗は少なからずありました。現時点で200人くらいが出入りしているオフィスですしね。

孫さんが「オフィスは不要」と決定できた理由を教えてください。

孫:ゼロベースで問いを立てていくと、自然とそう結論づいたというだけです。まず、そもそもオフィスとは何か? と考えてみました。広いフロアに机と椅子が整然と並んで、ミーティングスペースがあって、食堂や休憩室がある。多少の違いはあれど、まぁ、それが基本形ですよね。つまり、オフィスの機能とは「仕事をする場所」でした。

 でも、ホワイトカラーの仕事に関して言えば、今や「仕事をする場所」は自宅やカフェ、どこでも可能になってきているわけです。会議もオンライン化が加速的に進んでいます。「そうは言っても、リアルなコミュニケーションには勝てないでしょ?」と疑う人は多いかもしれませんが、技術面の現実的な予測として、5年後にはリモートワークのストレスはほぼゼロになります。実際、目の網膜に直接映像を投影する技術の開発が進んでいて、360度の視界に映像の合成投影ができる環境はいずれ実現します。人間の目は5Kを超える映像は現実と区別できないと言われているので、「目の前で商談していると信じ切っていた相手が、実はジャカルタにいた」なんてことがざらになるでしょう。


とは言え、早くて5年先だと。今月末にオフィスを閉鎖というのは早過ぎませんか?

孫:今現在の僕たちの働き方だけで判断してみても、充分に早過ぎないと思えたんですよね。僕はシンガポール在住ですが、現地のオフィスに行くことも今はほとんどありません。すべてのミーティングが「ZOOM」というビデオ会議ツールで行われていて、出社する必要がない。「working anywhere(どこで働いてもいい)」という制度はすでに導入済みです。

 リアル会議と比べての良さは、議題についての話が済んだら「じゃ」とすぐに終えて、次のミーティングに移れること。リアル会議だと、40分で話は終わっているのに、1時間終了するまでの20分間、なんとなく雑談が続くようなムダが生まれませんか。それをなくせるのは大きなメリット。移動の時間的・体力的負担もない。

 さらに言えば、僕は同時に2、3個のミーティングを同時進行しています。「ふむふむ、なるほど。じゃ、この点についてちょっと皆で考えてみて」とチャネルを切り替えて「こっちはどんな感じ? ふむふむ」と。そしてまたチャネルを戻して「結論出た?」みたいな感じで。濃密なマルチタスクなので頭はめっちゃ疲れますが、単純に生産性は1.8倍くらいにはなっていると思いますよね。これができるのは、充分に価値観を共有できている相手だからなので、初対面の人とはできるだけ直接会うようにはしていますが。

 一方で、常に感じてきた違和感があって、僕は1人でビデオ会議に参加しているのに、相手はオフィスに集合して5人まとめて画面に映っていたりするんですよ。「どこで働いてもいいんだから、皆バラバラでいいはずなのに、なんで集まってんの?」と。

「習慣を変えるのは億劫」の罠
オフィスがあるから、とりあえず集まった方が安心と思う人は多いかもしれませんね。

孫:それが「経路依存性」という悪なんです。人間の習性として、一度慣れ親しんだものを変えることに億劫になってしまう。ただ「今までやっていたから」というだけで、明日も同じ行動を取ろうとする。だからいくら技術的に可能な環境が整っても、相変わらず朝から出勤したりするんですよ。「なんで会社に来てるの。バカじゃないの?」と僕は怒るわけです。


社長は「会社に来ないなんてけしからん」と怒るのがフツウだと思いますが、会社に来ると怒られるとは(笑)。

孫:だって、朝の通勤ラッシュって地獄じゃないですか。狭い空間にギュウギュウと詰め込まれて、1時間以上も揺られるだけなんて。人類の恥ずべき歴史として語られる奴隷船の絵図と何も変わりませんよ。あれを酷いと言うなら、現在の東京の通勤電車をすぐに改めるべきですよね。精神を蝕まれるような働き方は、僕は選択すべきではないと思っているんです。


「オフィスの必要性」を徹底議論してみると
社内の反対意見に対してはどう説得を?

孫:まず、「オフィスは本当に必要なのか?」という議論からスタートしました。必要派からは「顔を合わせて会議がやりたいです」という意見がありました。「会議は会議室じゃなくてもできるでしょ?」と返すと、「いや、オンラインでは難しいです」と言う。なぜ難しいのかと問うと、「相手の息遣いが伝わらないと…」と言う。「相手の息遣いが伝わらないと決まらない会議ってどんな会議?」と聞くと、特に見当たらない。「チームビルディングのために必要です」という意見もありましたが、「そもそもチームビルディングって何? 仮に直接会って相手の顔色が悪かったとして、何ができる?『大丈夫?』って声を掛けることで相手は一時的に気が晴れるかもしれないけれど、根本的解決になっていないよね。その解決に向かう働き方を実現するほうが、よっぽどチームビルディングに役立つかもしれないよ」と話していきました。

なるほど。問いを突き詰めていくと、納得できますね。

孫:僕は何も相手を言い負かそうなんてまったく思っていなくて、「なんとなく経路依存するのは止めよう。ゼロに戻って考えよう」と伝えたかったんです。これはいつも僕がミーティングで言っている口癖のようなものですが、何事も思考停止に陥っては終わり。常に問いを立て直す意識がないと、会社も淘汰されていく時代なんです。

 「Slack」のようなビジネスチャットツールを社内のコミュニケーションベースにすることの是非もよく議論されていると思いますが、僕の考えでは“やり方次第”ということに尽きます。例えば、僕が参加している「Slack」のチャネルグループは数十あるのですが、原則としてどんな小さなこともここで共有するようにしています。「口頭で少人数だけが知る」ということがないように、情報を徹底的に共有することが重要。年に1、2回しか顔を出さない会社でも、何が起きているかは全部把握できています。しかも、「1対1のダイレクトメッセージは無し」に。なぜなら、皆に共有できない情報なんてあるはずがない、という前提があるからです。

でも、「あの人、ちょっと怒ってるよね」とかオフラインで言いたくなることはあると思うんですが。

孫:なぜ誰かが怒る状況になっちゃったのか? という問題解決をすべきですよね。ストレスを溜める原因には、きっと特定の誰かに仕事が集中していたり、情報の偏りがあったりと、必ず原因がある。情報を全員でフルオープンにしておくと、ストレスが発生する芽に誰かが気づいて、肥大化する前に摘み取ることができるんです。

ありがちなのが、プロジェクトが進む途中段階で、偉い人が「俺は聞いていないぞ」とヘソを曲げるとか。情報共有が徹底していたら、そういった非効率も防げると。

孫:そう思います。ただし、「読んでいなかったあなたが悪い」と言うのも禁止にしています。多忙な相手に対して勝手にメッセージを送って「読まない方が悪い」と責めるのは理不尽ですから。必ず読んでほしい相手には、必ず相手の名前を入れて通知が届くようにして、読んだ相手は何らか返信をするというルールにしています。こういったコミュニケーションを上司部下関係なく続けていると、結果的に組織はフラットになりました。

それでうまくっているんですか?

孫:すごくうまくいっています。うち、稟議も承認もなくなりました。経費の使い道さえ、そのプロセスをオープンしておけば勝手に進めていいんです。


唯一見つかったオフィスの重要な機能
使い込んじゃった、みたいな例は出ないんですか?

孫:唯一あったのは、同じ製品をダブル発注しちゃったというミス。この時も「買いました」「え、俺も買っちゃった! アイヤー」みたいなやりとりがあって。すると面白いのが、「じゃあ、余った1個をどう活用する?」というアイディアが共有されていくんです。こういった日常的な問題解決はオンライン上で完結されているとなると、ますます「会議室は要らないよね」となる。

 じゃあ、オフィスって他に何があったっけ? と考えていくと「食堂かな」と。でも、食堂ってあるから皆そこで食べているだけで、オフィスにある必然性は見つからない。「やっぱりオフィス、要らないんだ」と終わりかけたんですが、なんかモヤモヤするわけです。僕も含めて。何か見えていない“オフィスの重要な機能”があるのかもしれない、ともう一度じっくり考えてみたら、あったんです、1個だけ。その1個だけを表現した「新しいオフィス」を作ることにしました。

その機能とは?

孫:ミートアップ(出会いの場)です。つまり、皆、偶然の出会いから得られる気づきや刺激、交流を求めているんです。会議というのは議題と目的を決めて行うから、「いつ、誰と」という計画を立てることが可能で、オンラインに向いている。ミートアップは偶然性を重視するから、物理的に人と人が出会える場が重要。しかも、本当に人が集まるには、場の魅力を高めることが必須です。時間さえあれば行きたくなるような場所。だから、本気で面白い場づくりを演出しなければならない。

 例えば、「今日は京都から食材を集めてとっておきの朝粥を提供しますよ」とか「シルク・ド・ソレイユのアクターが来てくれます」とか、あるいは「日中に休息するための極上の寝具を用意しました」とか。人間の本能に訴えるユニークな企画が満載の場所。そこで新たに必要になってくるのは、「労働環境デザイナー」です。備品の管理人ではなく、企画、デザインができる人。

オフィスというよりサロンに近いですね。

孫:一流ホテルのラウンジ以上の居心地と知的好奇心を満たせる場づくりを、これからやっていこうと思っています。しかも、1カ所ではなく、都内に何カ所も点在させる予定です。

 さらに言うと、「社員」という雇用の仕方もなくしたいと思っています。会社と個人の関係を雇用ではなく対等な契約関係で成立させたいんです。個人が得意でやりたいプロジェクトと、会社が求める役割が一致したら、都度契約関係を結んでいく。複数の会社で仕事をするポートフォリオワーカーという働き方をどんどん取り入れていきたいと思っています。

「社員を管理しないと不安」「会社から管理されないと不安」と考える人がほとんどではないでしょうか。

孫:まさに思考停止が生む不安だと思います。ここでまず立てたいのは、「なんでサボっちゃダメなの?」という問いです。「サボっちゃダメに決まってるだろう!」と怒っている上司も、実はパソコンでゴルフ場の空き検索とかしていないですか? ぶっちゃけ、匿名で答えたら、皆、本音は「サボりたい」だと思うんです。

 でも、本当に会社の業績がヤバい時には馬力が出るものだし、人によってパフォーマンスの出しどころや持ち味は違うもの。それを一律に管理したところで生産性が劇的に上がるわけでもないです。実際、メールの中身までチェックされるほどガチガチに管理されている金融機関や官公庁の人たちの生産性ってものすごく高いですか?「管理するほど人は真面目に働く」という考えが本当にそうなのか。これもイチから問い直すことが重要だと思っています。

なるほど。常に、「思考停止になっていないか?」と見直す姿勢でいようと。

孫:そうです。僕も指摘されることがありますよ。「泰蔵さん、思考停止になっていますよ」と。

孫さんに対して、社員の方々がそんな進言ができるんですか?

孫:できますよ。なぜなら、うちの会社は、評価と報酬を完全に切り離しているんです。つまり成績がいいからといって給料が上がるわけではないし、その逆もない。

会社を独立した自由人が集まる場に
では、何によって給料の額が決まるんでしょうか?

孫:個々の事情によってです。例えば、仕事上でまったく同じ成果を上げた2人がいて、独身の1人暮らしで当面はそんなに生活に困っていないというAさんと、子どもが4人いて教育費に出費がかさむBさんだとすると、Bさんに多く取ってもらいます。それをアンフェアだと言う人もいるけれど、僕はむしろフェアだと思う。Aさんもいつか出費がかさむライフステージに来たら同じだけもらえばいい。「アメリカ人のように高い報酬を望む」と言うならアメリカに行って勝負をすべきであって、あの国は日本より家賃も物価も高いから、その分、報酬が必要になるというだけです。

 「今の自分にとっていくら必要か」を正確に計算せずにむやみに「もっと稼がないと」と不安になっている人も多いので、その時は一緒に考えたり、「こういうふうにしたら、支出は抑えられるよ」と教えることもあります。オープンにすることで、お金の面の不安も解消しやすくなるんですよね。

報酬に関しても、よりオープンに個人と会社が交渉できる関係性を目指すということでしょうか。

孫:これまでの日本の企業文化では、社員と会社が1対1で報酬を交渉するという場面はほとんどなかったと思います。フリーランスの業務委託契約と同じように、「これだけのパフォーマンスを提供すると約束するから、これくらい欲しい」「その額を希望するなら、この部分をさらに強化して欲しい」といった交渉を誰もができるようになるといい。今の雇用関係は会社にとって有利な契約を一方的に結んでいるだけ。正社員という名の奴隷制だと言ってもいい。

 とはいえ、いきなり「全員自立してください」は無理だと思うので、移行期間として「自立できるまでは社員としていていいです。ただし、奴隷ですけど(笑)」というステップになるかと思います。僕としては、社員に「社員なんて、いい加減やめときなよ。もっと自由に羽ばたきなよ」と言い回っていて、「社長がそんなこと言うのおかしいです」とツッコまれてます(笑)。

では、孫さんの会社には、いわゆる正社員はいなくなっていくと。

孫:独立した自由人が集まる場でありたいと思います。「属する」ための会社ではなく、やりたいことを実現するための仲間や環境が手に入る場所としての会社、すなわち「場」を目指したい。うちのリソースだけでは実現できないことがあれば、一部は他の会社でやればいい。言うなれば、Mistletoeは、「本気で遊びたい人のための遊び場」のようなものをイメージしています。そのかわり、遊ぶなら本気で遊べよ、と。

人材が流出する心配はない?

孫:むしろどんどん外の世界に飛び出してほしいと思います。その経験を経てなお、Mistletoeが魅力的だと感じてもらえる場であり続けていたら、また戻って来てくれたり、一緒に仕事をしてくれる相手として選んでもらえるでしょう。働く人を縛り付けるのではなく、仲間としてより良い関係を築くことにエネルギーを投入する。これがこれからの会社の活路だと思います。

とても新しい改革ですね。

孫:これくらい思い切らなければ「働き方改革」なんて言っちゃいけないと思いますよ。副業解禁くらいだと「働き方修正」レベルじゃないですか。バージョンが0.1上がったくらいのマイナーチェンジにしか思えません。

孫さんは教育に関しても提言があるのだとか。次回じっくり伺っていきます。


構成・文/宮本恵理子 写真/竹井俊晴

5. 2018年9月02日 23:31:29 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1404] 報告
2018年9月2日 / 16:59 / 6時間前更新
焦点:中国不動産市場のムード一変、土地入札の不成立増加
Clare Jim
2 分で読む

[香港 30日 ロイター] - 中国の不動産市場は、開発業者が金に糸目を付けずに土地を買いあさっていた昨年から状況が一変し、地方政府が行う土地使用権入札で不成立が増加している。このため開発業者は市況の流れを見極めようと様子見姿勢を強めている。

入札の不成立は7月以降、大都市で目立って増えた。政府の引き締め策の長期化やマクロ経済の悪化で開発業者が流動性の減少や利ざやの縮小に見舞われているためだ。

山東省第2の都市、済南が今月実施した入札は8件が不成立となったほか10件が最低売却価格で落札され、基準を4%弱上回る価格での落札が1件だった。

また、やはり今月に山西省の太原市が実施した入札は、この数年で最大の規模になるとの期待を裏切って8件が不成立となった。2件は応札価格が最低基準に達せず、他は応札自体がなかった。

土地入札の不調はこの2都市に限ったことではない。

不動産会社センタラインによると、土地入札の不成立は今年1─7月が796件と前年同期の2倍以上に増えて、大都市では2015年以来の高水準、小都市では過去最高を記録した。

中国国際金融(CICC)の調査では、不成立が入札全体に占める比率は8月第3週までが9.4%と、7月全体の7.3%を上回った。

Eハウス・チャイナ(2048.HK)のYan Yuejin調査部長は「土地市場が正気を取り戻しつつあることを示している。開発業者の多くは多くの制約に見舞われているが土地の取得になおも前向きなため、市況悪化の兆候でないのは確実だ」と指摘。その上で、入札不成立の増加は市場の需要と地方政府の提示する入札条件や価格にずれがあることを示しているとした。

入札の不成立が増えたとはいえ、政府統計によると7月の不動産投資の伸びは約2年ぶりの高水準となった。地方政府は不動価格の過熱を抑えようと物件の放出を増やしており、開発業者の選択肢は広がった。

アナリストの間からは、土地取引の完了と地方政府が支払いを記録するタイミングがずれているため、土地入札のデータは直近の状況を反映していないとの声も出ている。

ある大手開発業者の最高財務責任者(CFO)は「中国の経済指標は操作されており、実体を映していない。市場の実際のセンチメントを表しているのは入札の不成立数だ」と述べた。業界では先行きに悲観的な見方が広がっており、大手がこぞって大金をつぎ込んだ時代は過ぎ去ったという。

開発業者によると、新築住宅の売却に制限を掛けたり賃貸住宅建設の要件引き締めなど地方政府が今年初めに導入した規制強化のために、業者はキャッシュフローや利ざやが悪化している。

深センの開発業者のCFOは、別の業者が昨年1平方メートル当たり3万8000元で購入した厦門の区画を、今年同2万5000元で手に入れたと明かした。「高値掴みしないのが重要で、だからこそ収益と利ざやが維持できている」という。

一方、中国海外発展(0688.HK)など大手は土地の購入ペースを落としているが、下半期に割安感が出れば買いに動く態勢にある。このため、第4・四半期には土地購入は上向くとエコノミストや開発業者はみている。

中国海外発展のYan JianguoCEOは「応札件数が減り、土地の値上がり分がはく落すれば、下半期に(買いを入れる)好機が来るのは間違いない」と述べた。

E-House China Enterprise Holdings Ltd
14.0
2048.HKHONG KONG STOCK
+0.62(+4.63%)
2048.HK
2048.HK0688.HK

6. 2018年9月03日 09:44:19 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1423] 報告
中国の経済方針大転換で、市場は小春日和
市場は「晴れ、ときどき台風」
ヒットアンドアウェイで勝負のチャンス
2018年9月3日(月)
居林 通
(前回はこちら→「市場は米中貿易摩擦より、米金利の上昇を注視」)
先月は珍しく「先行きが読みにくい、休むも相場」という結論でしたが、市場もそれに同意するように、日経平均株価は膠着しています。
居林:米トランプ大統領が仕掛けた貿易摩擦問題は、飛び火して欧州、日本、さらに政治的な理由でトルコに燃え移りました。そのうしろには、新興国経済がどうなるんだ、という不安があります。
居林さんは「株価は基本的に企業業績の関数。政治的なイベントが市場に与える影響は中長期的には無視できる。短期的な下げなら、むしろ買いのチャンス」とおっしゃっていました。
居林:はい、米中の貿易摩擦は政治イベントなのか、経済イベントなのか、区別が大変難しいんです。ですから、判断が付いたらどう動くべきか、ディシジョンツリーを用意して、状況が見えるのを待つのも手ですよ、とお話ししたわけです。
新興国の通貨危機、経済危機が世界的な暴落の引き金を引く例はいくつもありましたよね。
金融危機の定番、新興国の通貨クライシス
居林:いい機会なので新興国についておさらいしておきましょうか。今回新興国で問題になるのは「資本を海外から輸入せねばならない、経常赤字国」であるという点です。国内の資本が足りないので、海外から外貨で借りた資本を使って、自国の通信網、鉄道網などのインフラ、不動産開発、鉱山開発などに使うわけです。これらの投資の結果上がってきた収益で借りてきた外貨を返済してゆく、というのが基本構造です。
 現状はドルの金利が上昇しています。ということは、そもそもの借金の金利が上がることになる。苦しいですね。そして、金利上昇でドル自体の需要が増して、自国通貨に対してドル高になれば、ドル建てで借りたお金に対して払う自国通貨が増えてしまう。二重に苦しい。これによってドルの、すなわち資本を借りるための条件がどんどん厳しくなっていくと、自国の資本市場が、金融システムが干上がってしまう。平たく言えばお金を貸してくれる人がいなくなり、国全体の経済が回らなくなる。これは、金融危機の定番です。アジア通貨危機もそうでしたし、リーマンショックは先進国も巻き込まれました。
米国債金利の推移

恐ろしい。
居林:どうしてこうなるかと言えば、米国だけが景気が良くて、金利が上昇しているからですね。8月に入って日本経済新聞に、米金利上昇で新興国の経済運営が難しくなっていることを指摘する記事がいくつか載りました(「新興国債券 償還ラッシュ 年100兆円、返済に懸念 米利上げで負担増大」など)。
 金利だけでなく、PMI(※)でみても、米国経済が独りで調子がいいことが分かります。
PMI比較

(※:Purchasing Managers’ Index、購買担当者指数。企業の購買担当者への聞き取りによって、新規の受注、生産状況、雇用など、景況感について調査し、指数化したもの。50を上回り続ければ景気は拡大、逆に下回り続ければ減速を示すとされる。世界各国で集計・発表が行われ、同じ国でも調査の主体が異なる場合もある)
「米国一人勝ち」で世界経済は持つのかという不安
米国の景気がいいならば、世界にとっても基本的にはよいことのようではありますが……もともと、トランプ大統領が国内受けを狙って、景気刺激策をいくつも行ったことで、本来の回復軌道以上に景気が上昇して金利が上がっているんでしたよね。
居林:はい、ついでに言えば、保護貿易を行えば「これまで海外から安く輸入していたものを入れないで、国内で高く買う」わけですから、GDPもインフレ率も(少なくとも一時的には)上昇するのは当たり前、金利が上がるのも当然と言えば当然だと思います。
 一方で、もうひとつの大きなマイナス要因として危惧されてきたのが中国経済です。前回と重なりますけれど、米金利上昇は中国からも投資マネーを引き上げさせています。そこに、トランプ大統領が引き起こした貿易摩擦が絡んで。
先行き、お金が詰まるわ、商品は売れなくなるわじゃないかと。
居林:さらに中国が膨らませてきた理財商品のバブルが弾けるのではないかという。
バブル崩壊への懸念ですか。
居林:つまるところ、米国と中国のバランスがどうなるかがなかなか読めず、安心して株を買うことも、見切って売ることもできない状況なんですね。
 おまけに、日本銀行はまだ煮え切らない様子ですが、世界の中央銀行が量的緩和を終え、セーフティネットをたたみ始めた。そんな中で「米国さえ好景気ならば世界経済は大丈夫なのではないか」「いや、貿易摩擦と理財商品という2つの負の要素で中国経済が落ち込めば、世界中を巻き込んで経済がおかしくなっていくのではないか」という2つの見方が拮抗していた。そうかもしれない、そうでないかもしれない。この迷いで私も市場も立ちすくんでいた、ということです。
居林:しかし、これまではマイナス方向の要因が注目されてきましたが、このひと月あまりで、好材料も見直されています。市場の心理としては、いまは、プラスとマイナスの天秤が釣り合って、どちらかというとプラスに振れつつある、そんな状況だと思います。

好材料と言いますと。
居林:例えば、中央銀行が量的緩和終了のペースを緩めたり、セーフティネットらしきものを再構築するのではないかという期待。私はあまりいいことだと思いませんが。他には、日本の政治的安定もそのひとつでしょう。金融緩和の終了で、世界的に財政出動、財政政策がもう一度入ると見られています。といいますか、金融政策が一段落する以上、次は財政でやるしかない。
 日本企業の設備投資が去年から大きく出始めたことも挙げられます。ようやく始まったという感じですが、景気をプラスにする、とてもいい事象です。他に挙げるとすれば、日本の金融機関がリスクを取った融資を行っていないことも、金融危機が起こりにくいという意味ではプラスなのかもしれません。
中国は再びインフラ投資へ舵を切った
では、最大の問題であろう中国の好材料とは。
居林:中国は7月31日に、財政の健全化や高度技術への転換を目指してきた従来の方針を、内需拡大策に切り替える発表を突然行いました。中央銀行が、主要銀行に対して緩和的な融資を認めることにした、平たく言えば、省や主要都市の投資会社の社債を引き受けることによって、インフラや設備投資を認めようということです。
中国経済は高付加価値化を目指し、重複が目立つムダなインフラ投資を削る方針だったはずが……。
居林:「背に腹は替えられなくなった」ということです。長期的に見れば中国にとっては足踏みですが、これで景気鈍化への不安は後退しました。効果が数字として出てくるのは秋以降になりますが、そこまで来れば「中国経済はスローダウンしている」という雰囲気が停まる期待が出てきています。
マクロでは天秤がやや強気に傾き始めたと。では、日本株にはそれらはどう影響しそうでしょうか。
居林:これも前回と被りますが……日本市場の主役は誰か覚えていますよね。
日銀。あ、じゃなくて、海外投資家ですね。
居林:はい(笑)。日銀は基本的に買う一方ですが、海外投資家は今年3月に、これまで買い越してきた14兆円の半分、7兆円分を売っています。基本的に「売りすぎ」ですので、戻る余地がある。過去もそういうことが2回(2016年3月と2018年3月)ありました。

 ですから、短期的な上昇を狙うチャンスはあるかな、と思っています。
ポップアップしそう、ただし短期戦で
 第一は、トルコショックの解消です。これはトランプ政権とエルドアン政権が引き起こした政治問題です。トルコの貿易収支は米国に対して赤字なんですから、米国が「関税を上げるぞ」と脅かす理由が本来はない。近々片が付く可能性があります。。例えば今晩、もしトルコで司祭が解放されて、それで米国の関税が元に戻ったら、株価は懸念が払しょくされて上昇すると思います。一度限りのチャンスですが。
なるほど。
居林:もうひとつは、先ほどお話ししたように、中国の景気対策がはっきりしてくれば、膠着状態を生み出していたバランスが強気側に傾くからです。金融システム崩壊→世界に連鎖、という恐怖感が薄れることで、世界の株価はすくなくとも一度はポップアップする可能性が、そうですね、6:4か7:3で「あり」と思います。
おお。
居林:ただし、短期戦です。不安要素が消えるわけじゃない。いったん強気側に傾く可能性が強い、というだけで、なにかあれば簡単にバランスは戻ったり、弱気に触れるでしょう。ですから、降りる準備をして、乗る。ヒットアンドアウェイをお勧めします。
具体的な目安としては?

居林:今年の3月の日経平均の下値は2万766円。ここまでは下がらないでしょうし、もし下がったら、ごめんなさい、買って下さい、というところです。上値は2万4124円でしたが、瞬間値では超えるかもしれません。
下値が限定的で、投資しやすい状況とも言えますか。
でも最後はバフェット氏が勝つんです
居林:ええ。悪くないシチュエーションです。まとめておきますと、このところ悪い材料が続き、いくつかは本質的、構造的なので、政治リスクと片付けられないため、全体に弱気が支配していました。その後、プラスマイナス両方に材料が積もり、ネガティブのほうのいくつかは、政治的なもので短期の解決が予想できるようになってきた。海外投資家の売り越しが7.4兆円あることを考えれば、少なくとも戻る可能性の方が高い。(グラフの赤青線の)ギャップくらいとれるかもしれません。投資家としては腕の見せ所ですね。ひとつ警告するとしたら、すでに一度上昇した主要銘柄には、わたしなら目を向けません。
なぜですか。
居林:去年も今年も、ある一定のグロース株に資金が集中していたからです。これは日本も米国でも同じです。
居林さんはウォーレン・バフェット的な、バリュー投資のほうに好意的ですよね。
居林:昨日(8月26日)の日経に、“バフェットの苦戦”が指摘されていました。バフェットが信奉するバリュー株、年率配当の高い株が不人気で、PER100倍の株が買われている。個人的には、世の中というか、投資がパッシブ化しているからだと思うんですが、これは市場のゆがみを生みます。いずれバフェットは必ず復活する、と私は信じて……いや、余談でした。ともかく、他の投資家が熱狂しているテーマだから、とか、去年人気だった株が安くなったから、という買い方より、長期的に成長する業界や事業を見抜いて、投資するほうがいいんじゃないかと思っています。
次回も市場が動かなければ、そんなお話も聞かせて下さい。


このコラムについて
市場は「晴れ、ときどき台風」
いわゆる「アナリスト」や「経済評論家」ではなく、「実際に売買の現場にいる人」が書く、市場の動きと未来予測です。筆者はUBS証券ウェルス・マネジメント本部日本株リサーチヘッドの居林通さん。そのときそのときの相場の動きと、金融市場全体に通底する考え方の両面から、「パニックに流されず、パニックを利用する」手法を学んでいきましょう。


 

トップニュース2018年9月3日 / 08:00 / 2時間前更新
新興国通貨安や米中貿易摩擦で潮目が変わる余地も=今週の外為市場
2 分で読む

[東京 3日 ロイター] - 今週の外為市場では、不安定な新興国通貨と米中貿易摩擦の先行きに関心が集まる。新興国通貨が一段と不安定化し、トランプ大統領が2000億ドル規模の対中追加関税の発動に踏み出せば、リスク回避の動きが強まって円に上昇圧力がかかりそうだ。

予想レンジはドル/円が109.50━112.00円、ユーロ/ドルが1.1500―1.1750ドル。

トランプ米大統領は9月6日のパブリックコメント提出期限後に、2000億ドル規模の中国製品に対する追加関税を発動させる意向だ。新たな関税案では、住宅建材やテクノロジー製品、自動車、衣服など消費者向け商品に影響が及ぶ。

「米中貿易摩擦がエスカレートする可能性がある。また、再び新興国通貨が非常に不安定になっており、リスク回避の動きが強まれば、為替市場でも潮目が変わって、円高方向に振れてもおかしくない」とトウキョウフォレックス上田ハーローの営業推進室長、阪井勇蔵氏はみている。

過去6週間、ドルは110―112円のレンジ内にほぼ納まり、ボックス相場が続いているが、近年の外為市場では、ボックス相場の後に高ボラティリティ相場が出現しやすい。

アルゼンチン中央銀行は30日、主要政策金利を45%から60%に引き上げたが、アルゼンチンペソARS=RASLは一時約20%下落し、終値ベースで最安値を更新した。

SMBC日興証券の新興国担当シニアエコノミスト、平山広太氏は「アルゼンチンの通貨危機がグローバルのリスクセンチメントを冷やすことによって、他の新興国市場からの資金流出を加速させている。トルコリラには独自の原因もあるが、南アランドやブラジルレアル、インドルピーなどにはその連想が働いている」とみている。

トルコリラ/円TRYJPY=Rは8月13日に15.25円付近まで急落して「リラ危機」と呼ばれた。現在は16円台後半。

トルコリラ相場や英国の欧州連合(EU)離脱条件を巡る先行き不透明感は、前週もクロス円での円買いを誘ったが、今週もクロス円での円高圧力に注意が必要だという。

「トランプ氏の不規則発言や予測不能な行動など、いわゆる『トランプリスク』で、ファンド勢もドルが買いにくくなっているのは確かだ。IMMでもそろそろ買い疲れ感が出てもいいころだ」(FX会社)との見方も聞かれた。

米商品先物取引委員会(CFTC)が31日公表したデータを基にロイターが算出したIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組(8月28日までの週)によると、ドルの主要6通貨(円、ユーロ、ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル)に対する買い越し額は233億4000万ドルで、前週の236億7000万ドルから縮小した。

ドルの買い越しは11週連続。その前は48週連続で売り越しだった。

ドルの買い越し規模は縮小したものの、2017年1月半ば以来の高水準を保っている。


 


トップニュース2018年9月3日 / 07:50 / 1時間前更新
今日の株式見通し=弱含み、材料乏しく様子見 中国市場の動向注視
2 分で読む

[東京 3日 ロイター] - きょうの東京株式市場で日経平均株価は、弱含みとなりそうだ。前週末の米国株がまちまち。為替も方向感に欠く動きとなり外部環境に大きな変化はない。3日の米国株市場が休場となるため市場参加者も細るとみられる。米中貿易摩擦が重しとなる中、中国市場の動向によっては短期筋の先物売買で値が振れることも予想される。

日経平均の予想レンジは2万2650円─2万3000円。

前週末の米国株市場は、ダウ平均が下落、S&P総合500は横ばい、ナスダック総合は小幅高とまちまちだった。米国とカナダによる北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の2国間協議が合意に至らず終了。米通商政策に対する不透明感を残す形となった。シカゴの日経平均先物9月限(円建て)清算値は2万2820円、大阪取引所の夜間終値は2万2840円だった。為替は1ドル111円台前半で落ち着いているものの、国内に買い材料は見当たらず、週明けの株式市場は弱含みでのスタートとなりそうだ。

3日の米国株市場がレーバーデーで休場となるため海外勢の売買は細るとみられている。市場では「基本的には手掛かり材料が乏しく様子見姿勢だが、中国市場に動きが出た場合は、欧州勢の売買により日本株も振れる可能性がある」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券投資ストラテジストの三浦誠一氏)との声が出ていた。

主なスケジュールは、4─6月法人企業統計(財務省)、8月新車販売・軽自動車販売が発表される。海外で重要な経済統計の発表は予定されていない。

前営業日終値 年初来高値 年初来安値

日経平均.N225      22865.15 24129.34 20347.49

-4.35 2018年1月23日 2018年3月26日

日経平均
22765.16
.N225NIKKEI INDEX
-99.99(-0.44%)
.N225
.N225
シカゴ日経平均先物9月限 22820(円建て)

*内容を追加しました。

河口浩一


トップニュース2018年9月3日 / 07:45 / 2時間前更新
今週の日本株は外部環境にらみ、FRB要人発言や米経済指標に関心
1 分で読む

[東京 3日 ロイター] - 今週の東京株式市場は、外部環境にらみで方向感を探る展開となりそうだ。国内の材料不足が続く中、市場参加者の関心は相次ぐ米連邦準備理事会(FRB)の要人発言や米重要経済指標に向かっている。米国株、為替の反応次第では日経平均2万3000円の壁を再度試す展開も考えられる。

米中の関税措置を巡る応酬は引き続き重しとなるが、市場に深刻な打撃を与えるとの見方は少ない。

日経平均の予想レンジは2万2400―2万3200円。

24日に行われたパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長のジャクソンホール講演がハト派寄りと受け止められ、前週は米国株市場でS&P総合500とナスダック総合が連日最高値を更新。極端な円高に振れることもなく日経平均は一時2万3000円を回復するなど日本株も米株高の恩恵を受けてきた。

9月第1週(3―7日)は「流動性相場の行方、米金利動向を見極める上でFRB要人発言が注目点になる」(国内証券)とみられている。週内にはエバンズ・シカゴ連銀総裁、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁らが相次いで会合等で発言する見通し。新興国情勢などにも配慮し、米利上げ加速懸念を和らげる内容であれば株式市場には追い風となりそうだ。

一方、トランプ米大統領が2000億ドル相当の中国製品に対し来週にも追加関税を発動する考えを示したと一部で報じられた。貿易戦争に対する懸念はくすぶっている。市場では「海外勢は日本株の先物に買いを入れ始めているが、米中摩擦が重しとなり慎重姿勢は崩していない。ただ、関税発動によって需要がすぐに落ち込むことはなく、市場が過剰に反応することもなさそう」(みずほ総研市場調査部長の武内浩二氏)という。

経済指標では4日に8月米ISM製造業景気指数、6日にISM非製造業景気指数、7日に8月米雇用統計が発表される。米経済の堅調さが確認されれば、米株高を通じて日本株にも波及が見込まれる。国内では3日に4―6月法人企業統計、7日に7月家計調査、7月景気動向指数などが発表される。

株式マーケットチーム



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