http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/323.html
Tweet |
1人出産・育児で"250万円もらえる"ワケ 自分で申請しないともらえない
https://president.jp/articles/-/26006
2018.8.27 社会保険労務士 井戸 美枝 PRESIDENT Online
日本の社会保障制度は意外に手厚い。国や市区町村だけでなく健康保険組合などからも給付金や補助金が出るケースが多い。例えば、1人を出産し育児するとほとんどの人が計250万円の支援を受けられる。しかし、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝氏は「それらの多くが自ら申請しないともらえない仕組みだ」と指摘する。もらえるお金の一部を紹介しよう――。
※本稿は、井戸美枝『届け出だけでもらえるお金 大図解』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
「もらえる社会保障」は申請しないともらえない
皆さんは、日本の社会保障制度の「中身」をどの程度ご存じでしょうか。
井戸美枝『届け出だけでもらえるお金 大図解』(プレジデント社)
失業したときの「失業給付」、病気やケガで働けなくなったときの「傷病手当金」など、もしものときのセーフティーネットから、「出産育児一時金」「児童手当」といった子どもがいる世帯への支援など、さまざまなものがあります。名前は聞いたことがあるけれど、よく知らない……。そういった人も多いのではないでしょうか。
こうした制度の多くは、原則的に「自分から申請する」必要があります。
自治体や各団体は、制度が必要になった人に対して案内、周知にも努めていますが、やはり限界があります。そこで、読者の皆さんも、内容のディテールまで知る必要はありませんが、「こうした制度がある」ということは最低限抑えておきたいところです。
また、これらの財源は、税金や保険料です。政府は集めたお金をどう分配しているか。何に使っているか。チェックしておきたいものです。本稿では、比較的利用する人が多いであろう身近な社会保障制度をピックアップします。
妊娠から出産まで少なくとも約252万円の支援あり
まずは、出産や育児・子育てに関するものです。
子育ての不安の1つは「お金」でしょう。結論を先に申しますと、妊娠から育児までの公的な支援として、少なくとも約250万円を受け取ることができます。
妊婦健診に約10万円、出産時に42万円、子どもが中学校を卒業するまでの児童手当。これらを合計すると約198万円になります(※ただし児童手当には所得制限がある)。
ちなみに、日本の2017年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯産むと推計される子どもの数)は1.43。政府は1.8への引き上げを目標にしており、今後も出産や育児に関する支援は拡充される可能性があります。2019年10月からは幼児教育・保育の無償化が始まり、より支援は手厚くなる傾向にあります。
では、出産や育児・子育てに関する助成制度を詳しくみてみましょう。
妊娠・出産したら市区町村が「助成」をしてくれる
▼「妊婦健診費用助成」(妊娠〜出産まで)
妊婦健診の回数は人によって違いますが、おおむね14回です。妊娠・出産は産婦人科にかかりますが「病気」ではないため、健康保険の適用外です。しかし、「妊婦健診費用助成」として市区町村が費用の助成を行っています。
東京都江戸川区では、1回目の健診(C型肝炎抗体検査を含む)に最大1万850円、2回目以降は最大5070円、超音波検査に最大5300円、子宮頸がん検診に最大3400円を助成しています。妊婦健診の1回あたりの費用は3000円〜1万円程度ですので、江戸川区では費用のほとんどが助成されることになります。この助成額は市区町村によって異なりますが、江戸川区のように費用のほとんどを助成している自治体が多い印象です。
さらに、妊娠中・出産時にかかった医療費のうち、健康保険が適用されるものについても助成をしている自治体もあります。
栃木県宇都宮市では、母子健康手帳の交付月から出産した翌々月の末日まで、医療費が助成され、自己負担額は1つの医療機関ごとに月額500円。歯科医療も対象となるので、妊娠を機に治しておくとおトクです。
▼出産時「出産育児一時金」
出産時にかかる費用は平均50万円程度といわれています。こちらも病気ではないため、正常分娩の場合は健康保険の適用外です(帝王切開では一部保険が適用されます)。そこで、負担軽減のため、健康保険から「出産育児一時金」として、子ども1人につき42万円が支給されます(双子であれば84万円)。
単純に上記の費用のみがかかったと考えると、自己負担は8万円だけということになります。また、加入している健康保険組合によっては、出産時に「付加給付」という上乗せがあり、自己負担額が減るかもしれません。たとえば、ソニー健康保険組合では20万円もの付加給付があり、出産は「黒字」にできるのです。
▼会社員の人は「出産手当金」
会社に勤めている人は、産休中の給料が減額、もしくはゼロになった場合に健康保険組合から「出産手当金」が受け取れます。支給額は、休業前の給料の3分の2程度です。
▼標準報酬月額24万円の人(年収約350万円)が、産休中の給料がゼロだった場合
24万円÷30(日)=8000円<標準報酬日額>
8000円×2/3=5333円<1日あたりの支給額(支給日額)>
5333円×(最大、産前42日+産後56日)=52万2634円<支給総額>
くわしい金額は、協会けんぽのウェブサイトなどで確認できます。なお、専業主婦やフリーランス・自営業の人(国民健康保険の加入者)は対象外です。
妊娠・出産時にはその他にも独自に手厚い補助をしている自治体もあります。たとえば、東京都の渋谷区では「ハッピーマザー出産助成金」として、1人の出産につき10万円を給付しています(※出産一時金の付加給付が支給される場合は、その額を控除した金額)。
妊娠から出産までの支援は、加入している健康保険や住んでいる地域によって違います。全員に共通しているのは、前述したように出産育児一時金の42万円と、妊婦健診費用助成の約10万円。つまり、少なくとも52万円は受け取れることになります。
育児の支援は少なくとも15年間で198万円あり
つづいて、出産後の支援です。
▼「児童手当」
育児の支援といえば、やはり「児童手当」。現行の制度では、子どもの年齢が0〜3歳までの間は1万5000円/月。3歳〜中学生の間は1万円/月が支給されます。15年間を合計すると198万円ということになります(※第3子以降、3歳〜小学生の間の支給額は、月額1万5000円)。
使わずに貯めておくと、高校や大学に進学する際の費用を賄えるかもしれません。
ただし、児童手当の受給には、所得制限があり、おおむね年収が833万円以下であることが条件です。くわしくは、内閣府の「児童手当 所得制限限度額表」をご覧ください。
共働きの世帯は、所得が高いほうの金額で判断されます。夫婦の合算ではありませんので、多くの世帯で児童手当を受け取れるはずです。所得制限を超えた人には、15歳までの子ども1人につき、月額5000円が支給されます。
▼収入が少ない世帯への支援「児童扶養手当」「児童育成手当」
厚生労働省の調査によると、日本の「子どもの貧困率」は13.9%(2015年)と、先進国の中でも高い水準にあります。子どもの貧困率は、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす17歳以下の子どもの割合のこと。広島県の調査によると、生活が困難な子どもほど朝食をとらず、学習面でつまずく傾向が見られるそうです。
現行の制度では、年収が365万円未満の母子家庭・父子家庭に対して「児童扶養手当」が支給されています。収入によって支給額が違いますが、年収160万円未満の世帯で4万2500円/月。年収160万円〜365万円未満で、4万2490円/月〜1万30円/月が支給されます。
市区町村によっては、これに加えて「児童育成手当」として独自の上乗せを行っているところもあります。たとえば、東京都新宿区では、月額1万3500円が支給されます(子どもに一定の障害がある場合は1万5500円)。
これらは、前出の「児童手当」とは異なる制度ですので、要件を満たしていれば、両方を受け取ることもできます。ただし、申請する前の分は支給されませんので、離婚や死別などで要件を満たす状況になった場合は早めに市区町村役場で申請する必要があります。
▼会社員の人は「育児休業給付金」
会社に勤めている人は、育児休業中に給料が支払われないケースが多いでしょう。というのも、雇用保険から「育児休業給付金」が支給されるからです。
支給額は、育児休業開始から180日までは、おおむね休業前の給料の67%。181日以降は50%となります。育児休業給付金には、税金や社会保険料がかかりません。休業開始から180日までは、ほぼ休業前と大差ない収入が得られると考えて良いでしょう。ちなみに、健康保険の保険料も免除されますが、それまで通りの自己負担額で受診できます。
その他、子ども医療費を助成する「乳幼児・子ども医療費助成制度」や、私立幼稚園に入園する世帯の負担減を目的とした「私立幼稚園就園奨励補助金」などがあります。
子どもが小さいうちは、しばしば発熱し病院へ行く機会も多いと思います。そこで、多くの自治体では、子どもが中学生になるまでの医療費を助成しています。たとえば、東京都目黒区では、子どもが15歳に達したあとの最初の3月31日まで、健康保険の対象となる医療費の自己負担分の全てを助成しています。
出産前後の支援計250万円は申請しないともらえない
妊娠・出産時と同様、加入している健康保険や住んでいる地域によって違いがありますが、直接的な支援として、少なくとも「児童手当」の198万円は受け取ることができます。出産前後(妊婦健診に約10万円、出産時に42万)の支援を含めると、計250万円を「もらえる」ことになります。ただし、繰り返しますが、自分で申請しないともらえません。
【最後に】
上記以外にも、給付金や補助金はたくさんあります。拙著『届け出だけでもらえるお金 大図解』(プレジデント社)では、「結婚・出産」「住まい」「病気・ケガ」「転職・失業」「災害」「老後」などの項目にわけて、国からもらえるお金を整理しています。ぜひお役立てください。
【井戸さんの特別セミナーを「東京・大阪」で開催します】
経済エッセイスト・井戸美枝さんの著書『大図解 届け出だけでもらえるお金』の刊行を記念して、10月〜12月に東京・大阪で計5回の特別セミナーを開催します。
井戸さんの講演「20代・30代のための知っておきたい国・自治体の支援制度」のほか、パネルディスカッション「税制メリットを活用した資産形成方法」などを実施予定です。
参加費は無料(事前登録制・先着順)。参加者全員に書籍『大図解 届け出だけでもらえるお金』をテキストとして無料で進呈します。
特別セミナーの主催はりそな銀行。プレジデント社は「協力」として関わっています。参加申し込み・詳細は、 以下のリンク先をご覧ください。
https://lp.resonabank.co.jp/todokede2018.html
(写真=iStock.com)
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民128掲示板 次へ 前へ
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民128掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。