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トヨタとソフトバンクが合併する日〜日本企業が覇権を取り戻すため 自動車業界「未来の年表」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56178
2018.08.20 週刊現代 :現代ビジネス
自動車が発明されたとき、覇権を握ったのは、それまでの馬車業者ではなかった。同様に、自動運転時代のクルマの覇者は、自動車メーカーではないのか? これからのシナリオを、立教大学ビジネススクール教授で『2022年の次世代自動車産業』の著書もある田中道昭氏、ソフトバンク前社長室長の嶋聡氏というプロ2人が読み解く。
田中 純利益が約2兆5000億円という過去最高益をたたき出したトヨタですが、5月9日の決算発表での豊田章男社長の危機感は相当なものでした。
「ライバルも競争のルールも変わり、まさに未知の世界での生死をかけた戦いが始まっている」と語りましたが、次世代自動車産業に対し、いま最も危機感を抱いている経営者だと思います。
嶋 世界企業の時価総額を見ると、それは一目瞭然でしょう。トヨタは2007年には世界10位に入っていた。ところがいまや1位アップル、2位アマゾン、3位がマイクロソフトで、4位がグーグルを傘下に持つアルファベット。
巨大テクノロジー企業が上位を席巻するなか、トヨタは37位まで順位を落としています。
米IT大手の時価総額はアップルで102兆円、アマゾンで90兆円ですが、トヨタはせいぜい24兆円。巨大IT企業からみれば、トヨタはまるごと買収されてもおかしくない規模です。最高益を出したからといって、安穏とできる状況ではありません。
田中 世界ではすでにEV(電気自動車)化は大前提です。そのうえで自動運転や自動車のIoT(モノのインターネット化)をどう急ぐかが議論になっている。ところが日本では、いまだEV化にどう対応するかという議論に終始しています。
次世代自動車産業の「未来の年表」を見渡したとき、旧来の自動車メーカーが苦しいのは、業界全体の規模が縮小し、生産台数も減少しそうだということです。
これまで主役だった自動車メーカーに代わって、グーグルやエヌビディア、そしてアマゾンなどのテクノロジー企業がその覇権を握ろうとしています。
嶋 EV化では、エンジンとガソリンで動かしていたクルマが、モーターと電池で動くようになります。
メカニックで技術の集積が必要だったエンジンが消えるということは、クルマを作れる人が増えるということですから、新興企業からの新規参入が容易になります。
しかし自動車産業で起こっているのは、さらに大きな変化です。クルマを起点として、他の分野の産業構造まで、一気に変えようとしている……。
田中 それがなかなか理解されていませんね。
嶋 かつて馬車が鉄道に取って代わられ、さらに石炭で動いていた鉄道はガソリンで動く自動車に取って代わられました。いま起こっているのは、それと同じこと。
動力エネルギーと移動手段のクルマが大きく変化しようとしています。自動車業界のプレイヤーの顔ぶれが変わることを意味します。産業構造全体のルールが変わるのです。
主戦場はライドシェア
田中 間もなくクルマはスマホ以上に情報技術が集積されたIoT機器になるでしょう。自動運転が実現すれば、クルマで映画を見たり、買い物ができるようになったりします。
さらにクルマを動かす電気は再生エネルギーを利用することもまた前提となってきています。
次世代自動車産業は、クルマそのもののほかに、IT、AI、電機、電子、電力などの産業を巻き込んで変化していく。
嶋 そう。ワンセットなのに、それに気づいていない人がいる。たとえば日本ではこう考えられがちです。EV車が普及するとますます電気が必要になり、火力発電所はまだまだ主要な電力であり続ける、と。
しかしそれは違う。産油大国のサウジアラビアはソフトバンクと組んで21兆円を投じて、太陽光発電所を整備している。
油田に頼ってきたムハンマド皇太子が「もはや石油の時代ではない」と考えていることの証左です。再生エネルギーが今後のエネルギー産業の中核となることを示しています。
田中 その発電コストは1キロワット当たりわずか2円。供給の不安定さが課題とされてきた再生エネルギーですが、自動車産業でEV化が進んだことで、蓄電池の技術も飛躍的に進化したのです。
嶋 この流れに日本は乗り遅れてはいけません。移動手段と通信手段、そしてエネルギーが大きくパラダイムシフトしているいまは、第4次産業革命が進行しているといえます。その中心に自動車産業があるわけですから。
田中 トヨタにとって喫緊の問題は、まだ先だと思われていた完全自動運転がもう来年には実現しそうだということです。
今年初め、米GMが「2019年内の完全自動運転車の実用化」を発表し、衝撃を与えました。日本勢は完全自動運転車の登場は2030年くらいと見てきました。
それまでは高速道路は自動運転だが、一般道は人間の運転というように、段階的に進むと考えていた。
ところがGMが発表したイメージ図には、その段階をすっ飛ばして、ハンドルもアクセルやブレーキのペダルもついていませんでした。完全自動運転車の実現はもはや目の前まできているのです。
嶋 今年、中国・成都で行われたIoTシンポジウムに参加したとき、参加者の関心の中心も完全自動運転でした。
「嶋さん、いつ自動運転が中国で実現しますか」と聞かれて、私は2022年だと答えました。これは都市で完全自動運転のクルマが走り回るという意味です。
おそらく中国は2022年の北京冬季オリンピックまでに、北京の市街を自動運転車だけにして、選手や観客の移動はすべてそれで行うことを考えているでしょう。私が政策ブレーンだったら、習近平にそう進言します。
田中 私も2020年の東京オリンピックで、日本は東京を完全自動運転車のショールームにするべきだと思っています。
GMに比べてトヨタは自動運転の実装に大幅な後れをとっていて、挑戦的な提案ではありますが、それまでに何とか完全自動運転車を開発しなければ、米国勢、中国勢の勢いに埋没しかねません。
嶋 残念ながら日本ではウーバーなどのライドシェア(相乗り)サービスへの認識も遅れています。このことが次世代自動車産業の目算を誤らせる結果にもなっている。私は日本でライドシェアの許認可が下りないことに危機感を覚えています。
田中 非常に残念なことです。世界で自動運転車の開発が急がれているのは、その主戦場となるのがライドシェアの市場だからです。
米ウーバー、中国の滴滴出行など世界のライドシェアの市場は1.5兆円。わずか2年後には倍の3兆円になると予想されています。
飛行機も月額制に
嶋 田中さんが新刊『2022年の次世代自動車産業』にも書かれているように、次世代自動車産業の覇権を握るのはライドシェアの覇権を握ったものと言っても過言ではないでしょう。
人やクルマのプラットフォームとなり、あらゆるビッグデータが、ライドシェアの企業に集積される。
田中 ライドシェアの会社は航空、鉄道、クルマ、自転車までをすべてITでくっつけようとしている。
そうなるとその後は、アマゾンのような生活サービスや保険のような金融もくっついてくる。やがて自転車から飛行機まで月額料金1万円ですべて乗り放題なんてサービスも出てくるでしょう。
次世代の自動車産業でもトヨタが覇権を握ろうとするなら、このライドシェアに自ら参入しようとするくらいの気構えが必要です。
いやトヨタは日本の産業や雇用を守るという使命も背負っている会社なのですから、それ以上のグランドデザインを描かねばならない。
嶋 そう考えるとしたら、ITでの実績のないトヨタは他の会社と組むしかありませんね。
このライドシェアの台頭をいち早く見抜いていたのが孫正義です。ソフトバンクは米ウーバーや中国の滴滴出行、インドのオラなど、業界を席巻しそうなライドシェア企業の数々に出資しています。孫さんの目利きは、本物です。
田中 そういう意味でも孫社長もソフトバンクの次の主戦場は自動車産業だと見ているわけですね。私の目には、孫さんは次世代自動車産業の覇権を取りに行っているように見えます。
嶋 その通りです。私がソフトバンクの社長室長として、孫さんの「参謀」を務めていたとき、孫さんは「私はロックフェラーを目指している」とよく言っていました。
石油産業を皮切りに、自動車、電話を押さえたロックフェラーは第3次産業革命の覇者でしたが、孫さんは同じように第4次産業革命の英雄になろうとしているのです。
クルマが移動という機能に加えて通信機能も兼ね備え、スマホのようになろうとしているいま、孫さんがIT経営者として、その覇権を取りに行くのは当然のことです。
しかし、意外に思われるかもしれませんが、実は孫さんは私にこんなことも言っていました。「嶋さんは生まれた時から日本人だけど、私は違う。でも私は日本が好きでたまらない。だから自分の意志として日本国籍を申請したのです」と。
孫さんは豊田章男さんにも劣らず、日本を愛している。だからトヨタと組んで新しい時代を築くという選択肢も、孫さんの頭の中にはあるでしょう。トヨタとソフトバンクが組み、やがて合併を迎える日が来ても、不思議ではありません。
田中 豊田社長もIT分野については孫さんにかなりレクチャーしてもらっているそうですね。
嶋 はい、二人は年齢も近くて非常にいい関係です。私はソフトバンクが米スプリントを買収した際に、アメリカで交渉にあたっていましたが、そのときはアメリカのトヨタの方々にかなりお世話になりました。
ただし刻一刻と変わっている次世代自動車産業の趨勢を見ると、情緒的な理由で合併するようなことでは、共倒れになりかねない。そこは孫さんも豊田社長もかなりシビアに考えているとは思いますがね。
田中 豊田社長と孫さんでは思想もかなり違います。
嶋 孫さんは典型的なビジョナリー(先見の明がある人)ですね。2008年、ソフトバンクがiPhoneを売り出すときは、まるでタイムマシンに乗って未来を見てきたかのように、スマホが日本に普及する光景を語っていました。
「後から勝つ」戦術
田中 自動運転に参入したアマゾンのジェフ・ベゾスもテスラのイーロン・マスクも、世界のトヨタのライバルの経営者は皆ビジョナリーです。
たとえばアマゾンのようなファストデリバリーのサービスは、それがない時代、消費者は誰もそのサービスを望んではいなかった。知らないのですから当たり前です。
しかしそのサービスが出現すれば、ニーズが爆発することをベゾスは確信していたのです。彼らは、自分が思い描く未来を実現させるために動いているといっていい。
一方の豊田社長は、そうしたビジョナリーの動きを知りながらも、巨大な組織や日本の産業のことまで考慮しながら動いている経営者です。
嶋 これからの大きなシフトチェンジの時代には、互いの足りないものを補うことが大切です。トヨタに足りないものをソフトバンクが補い、その逆もしかり。そういう関係を築いていくべきです。
田中 非常に厳しい環境にあるトヨタですが、私はまた覇権を握り返すと思っています。それは豊田社長に尋常ならざる危機感があるからです。
しかし、時価総額で大きな溝をあけられている巨大テック企業の研究開発費は、トヨタのそれとは桁違いに巨大なものです。得意分野を生かして、苦手な分野を克服するには、思い切った提携、合併が必要かもしれません。
嶋 シリコンバレーの大物でペイパルの創業者のピーター・ティールはこう言っています。「ファースト・ムーバー(先行者)は決してアドバンテージではない」と。
チェスで言えば「勝つためには終盤を考えろ」ということ。次世代自動車産業の覇権争いは、たしかに現時点では、米メガテック企業や中国企業に負けています。しかし日本企業は松下幸之助がそうだったように、「後から勝つ」ことも戦術の一つにあるのです。
田中 トヨタも元々は自動織機から自動車メーカーに転身した企業です。豊田章男さんは孫社長のように、新たな「創業者」となることを決意しているのかもしれません。
田中道昭(たなか・みちあき)
立教大学ビジネススクール教授。シカゴ大学MBA。株式会社マージングポイント代表取締役社長も務める。最新刊『2022年の次世代自動車産業』(PHPビジネス新書)
嶋聡(しま・さとし)
ソフトバンク前社長室長。名古屋大学卒。代議士を経て、'05年よりソフトバンク社長室長となり孫正義の参謀として活躍。著書に『孫正義2.0新社長学』(双葉社)ほか
そろそろ殿様相撲を始める頃合いでしょう。スタートアップ市場で実験はあらかた済ませ治験のたまった野戦歴のあるミドル層を巻き込んで。📍トヨタは日本の産業や雇用を守るという使命も背負っている会社なのですから、それ以上のグランドデザインを描かねばならない。https://t.co/nQ2zMEDbrC
— MIHO(lab.) (@zukamiho) 2018年8月20日
自動車が発明されたとき、覇権を握ったのは、それまでの馬車業者ではなかった。同様に、自動運転時代のクルマの覇者は、自動車メーカーではないのか?
— 大澤信陽(Nobuaki Osawa)皆が自動運転×パーソナルモビリティを使えば移動の障害が無くなる (@henkaku_love) 2018年8月19日
トヨタとソフトバンクが合併する日〜日本企業が覇権を取り戻すために https://t.co/4WRfmGZGHg #マネー現代
田中「ライドシェアの会社は航空、鉄道、クルマ、自転車までをすべてITでくっつけようとしている。アマゾンのような生活サービスや保険のような金融もくっついてくる。やがて自転車から飛行機まで月額料金1万円ですべて乗り放題なんてサービスも出てくるでしょう」#MaaS https://t.co/bIz1Ia3MZG
— kazuhiko makimura/牧村和彦 (@mackey0318) 2018年8月19日
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