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日本、全世界の食糧援助量の2倍を1年間で廃棄
http://biz-journal.jp/2018/08/post_24300.html
2018.08.04 文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事 Business Journal
大きな地震があったり、これまでに経験したことがないような豪雨災害に見舞われたり、異常なまでの気温上昇によって熱中症になる人の数が激増したりと、惨憺たる有様の日本です。これまで呑気に構えていた人たちまでもが、「これはさすがにおかしい」と言い出す始末。
被害に遭われた皆さまには、心からお見舞いを申し上げます。また、ご家族、ご親戚の方、友人知人の方々が被害に遭われたという方々にも、衷心よりお見舞いを申し上げます。
筆者の仲間うちでは、数年前から異常気象のことが話題に上っていました。雨が降り続いて農作物の生産に大きな影響が出たり、逆にまったく雨が降らず日照り続きでこれまた影響が出たりと、予想のつかない天候不順に、いくらなんでもおかしいだろうと、不安交じりに話していました。
なかには、「これは気象兵器によるある種の攻撃だ」とまで言い出す人もおり、その説を曲げない人もひとりや2人ではありません。彼らの意見は、このところの(数年前のことです)異常気象は、単なる自然現象としてはあり得ない、人為的なものとしか考えられない、というところからきているわけです。
その真偽のほどは確かめようもありませんが、そんな疑いも持ちたくなるような状況ではあります。いずれにせよ、私たちの住む地球環境が悪化の一途をたどっているということは事実で、そこに異論を差し挟む余地はなさそうです。
地球環境悪化の原因はさまざまあり、避けられないものもあるだろうと思います。たとえば、地球自体が持つサイクル。地球も誕生して、成長して、成熟して、やがては衰えるという道をたどることは、ごく当然です。私たちが生きているこの時代が、地球にとってどんな時期なのか、本当のところはわかりませんが、そのさなかで、いろいろな変化が起こることは否定のしようもありません。火山の爆発や、それに伴う地殻変動、そしてそれらがもたらす大地震や津波など、人間の力では絶対に防げないことも多々あります。しかし、私たち自身が地球環境を悪化させていることもあります。それは、考えようによっては防ぐことができます。
■農薬や化学肥料を使わない食料を
そのうちのひとつが、食料を生産するために使用している、農薬や化学肥料です。どんなことをしても、避けることができない変化、変動はあります。しかし、せめて避けられることは避けるというのが、賢明な者のするべきことではないでしょうか。
筆者は、それが自分たちの食べるものを可能な限りオーガニックにしていくことだと確信します。
また、過度な肉食をやめるべきだとも思っています。食肉生産のために使われている穀物の量は膨大です。そして、過度な肉食をすることは、非常に非効率な食生活の典型です。牧場をつくるために熱帯雨林がどんどん伐採されていますが、これは地球環境の悪化を招く大変大きな要因です。飼われている牛たちは、本来食べるはずのない穀物飼料を食べるため、胃の中でメタンガスをつくり出し、それをゲップとして吐き出します。そのメタンガスは、二酸化炭素の25倍の地球温暖化係数を持つといわれていて、非常に影響が大きい温室効果をもたらしています。
そして、安価な植物性油脂を生産するために、熱帯雨林を伐採してプラントをつくることも、地球環境悪化に拍車をかけています。その植物性油脂はマーガリンやショートニングの原材料となり、ファストフードの揚げ油などにも使われています。
過度な農薬散布や化学肥料の使用が、地球上のあらゆる地域での砂漠化を招いています。それもまた、地球の温暖化を進めています。
私たちが、そんなことをしてまで食料を確保しなければならない理由はありません。実際に私たちは世界的規模で、生産された食料の3分の1を廃棄していますが、それをやめさえすれば、必要な食料が確保されるだけでなく、大量の備蓄だってできます。いざ世界的規模で気象変動が起き、食料生産がままならなくなった時も、その備蓄である程度までは生き延びることが可能なのです。そのカギは、私たちが何を食べるかということなのです。
超高齢化社会を迎え、人口減少が激しく進む私たちの国、日本は、年間約1700万トンから2000万トンもの食品廃棄物を出しています。そして、そのうちの約800万トンは可食部分、つまり食べられるのに捨てているのです。全世界の食料援助は、合計400万トンにも満たないというのに、日本だけでその倍もの量の可食部分の食品廃棄をしている。なぜそんな食生活をし続けているのでしょうか、そんな食生活をしなければならない理由があるのでしょうか――。
あげつらえばきりがありませんが、筆者が言いたいのは、私たちは自分たちの食生活を見直すべき時に来ており、それを自覚しましょうということです。これまでのような工業製品的加工食品に依存し、ファストフードなどの間違った食生活を続けることは、自分にも、家族にも、そして地球環境にとっても、大変ネガティブなものです。
私たちの体は、自然がつくったものを受け入れるようにできています。化学物質は私たちの栄養素にはなりません。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)
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