ビジネス2018年8月3日 / 00:00 / 1時間前更新 米の対中関税引き上げ提案、影響は軽微 大惨事にならず=ロス商務長官 [ワシントン 2日 ロイター] - トランプ米政権が2000億ドル分の中国製品にかかる関税率を当初の10%から25%に引き上げるよう提案したことについて、ロス商務長官は2日、中国経済への影響は軽微で大惨事にはならないとの考えを示した。 長官はフォックス・ビジネスネットワークとのインタビューで「何かが急激に変わるわけではない」とした上で、金額に直せば年間500億ドルと、中国経済全体の1%の規模にも満たないと語った。 その上で、今は中国に態度を改めさせるため、一段と圧力をかけるべき時だとトランプ大統領は考えているとした。 FRB、無風会合に潜む4つの難題 2018/8/2 12:13日本経済新聞 電子版 【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で景気や物価の情勢判断を引き上げ、9月の次回会合で追加利上げに踏み切る考えを示唆した。一見すると無風の会合だったが、利上げをけん制するトランプ米政権との距離感や、貿易戦争の景気リスクなど目先の難題が積み上がっている。 3月、米首都ワシントンで記者会見するFRBのパウエル議長=ゲッティ共同 3月、米首都ワシントンで記者会見するFRBのパウエル議長=ゲッティ共同 FOMCはパウエル議長ら投票メンバー8人の全員一致で、政策金利の維持を決めた。声明文では景気や物価の情勢判断を引き上げたものの、文面の変更は数カ所にとどまり「サプライズ」はなかった。FOMCは年内2回の追加利上げを想定しており、今回もその引き締めシナリオに変更がないことを示した。 ただ、2日間の会合での議論が全くの無風だったわけではない。年内さらに2回の利上げを見込むFRBにとって、最大の懸念材料は貿易戦争だ。会合参加者は物価や雇用にどう跳ね返るか徹底協議したとみられる。 「高関税が長期にわたって課せられれば、経済に悪影響をもたらす」(パウエル議長) 「貿易政策が不透明になり投資先送りの動きがある」(カンザスシティー連銀のジョージ総裁) 実際、FRB高官は6月から7月にかけて、講演などで相次いで貿易戦争への警戒を表明した。FOMCの声明文で貿易問題に触れるのは避けたが、追加関税は米企業や消費者へ実質増税にほかならない。パウエル氏は7月の議会証言で「現時点で指標に変化はない」と述べたが、金融政策はそもそも先手が求められる。貿易戦争下での景気の底堅さを確認することが利上げの前提となる。 もう一つの懸念材料は新興国市場だ。基軸通貨ドルを抱えるFRBの利上げは、新興国市場に通貨安と資本流出の圧力をもたらし、世界経済全体のリスクとなる。7月下旬にアルゼンチンで開いた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、共同声明に「新興国市場は市場の過度の変動、資本フローの反転にいまだ直面している」と盛り込み、強い警戒感をにじませた。G20会議に参加したブラジルのグアルディア財務相は「米利上げは新興国の脅威だ」などと率直に語った。 新興国では通貨防衛の利上げも相次ぐ。インドは通貨ルピーが対ドルで一時最安値となり、インド準備銀行(中央銀行)は1日に2会合連続の利上げを決断した。政策金利は6%を超えて景気への下押し圧力も増す。フィリピンなども利上げに踏み切っており、金融引き締めの連鎖は世界景気の重荷となる。 足元でリスク要因として表面化してきたのが、利上げをけん制するトランプ大統領だ。トランプ氏は7月20日にツイッターへ「金融引き締めはこれまでの成果をすべて台無しにする」と投稿し、明確に利上げ路線に反対する姿勢を示した。 米景気は4〜6月期に実質成長率が4%台に高まるなど、トランプ政権と議会の大型減税が強い追い風となる。ただ、利上げで住宅ローン金利などが上昇しており、「低金利人間」を自称するトランプ氏は、金融引き締めで減税効果が減衰することを嫌っている。 パウエル氏はトランプ大統領の指名でFRB議長に就任したが「中央銀行の独立性を維持するのは言うまでもない」と常に語っている。トランプ氏の発言がFRBの政策を直接左右することはなさそうだが、20年の大統領選までトランプ氏が米利上げをけん制し続ける可能性もある。 もっとも、FRBには利上げ打ち止めという逆の懸案も持ち上がっている。15年末から続く利上げ局面は既に2年半に達し、政策金利も2%近辺まで高まった。FOMCには「利上げの天井」を3%程度とする見方が浮上しており、現在の利上げペースなら19年半ばには同水準に達する。9月の次回会合では先行きの政策シナリオを公表するが、利上げサイクルの終了時期をどう示唆するかが大きな注目点となる。
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