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ゾゾタウン運営会社、利益大幅減で株価急落…成長のピーク到来か
http://biz-journal.jp/2018/08/post_24276.html
2018.08.02 文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント Business Journal
「ZOZOTOWN HP」より
ファッションECサイトの最大手「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を展開するスタートトゥデイが7月31日、2019年3月期第1四半期(4-6月)決算発表を行い、株式市場では株価の急落という評価を受けた。同日の終値4485円に対して、翌8月1日の始値は4150円と実に7.5%もの株価下落から始まってしまった。
時代を席巻してきたZOZOTOWNが成長の踊り場を迎えているのか、さらなる成長の一手をどこに求めようとしているのか。今回の発表や直近の前澤友作社長の発言から分析してみよう。
■営業利益が大幅減
市場が嫌気を示した最大の原因は、第1四半期の営業利益(連結ベース、以下同様)58億円強が、前年同期比で26.4%減というマイナス成長で終わったことだろう。この営業利益額は「商品取扱高」704億円に対して8.3%という水準で、企業としては悪くない数字だが、前年、前々年と12%台で走ってきた同社だけに失望感が広がった。
同社の主要事業であるZOZOTOWNは、楽天と同じ出店モール型のネット通販サイトなので、同サイトで売り上げた出店者の売上合計が同社の商品取扱高となる。同社は商品取扱高から10%以上とされる手数料を徴収し、その手数料収入が同社の売上高となる。
実は今四半期の直前(18年3月期第4四半期)は商品取扱高が前年同期比14.9%増となっており、一般的には“二桁成長”ともてはやされるところだが、16年3月期は33%、17年3月期は28%とその額を伸ばしてきた同社としては、一服感を免れない。前四半期の業績について同社は「巡航運転の時期」という説明をしていたが、今四半期はマイナス成長となった。本当に短期的な「巡航運転、そして巡航成長」なのか、「成長の踊り場」なのか、それとも「成長のピーク」がやってきているのだろうか。
■ZOZOTOWNはファッションECとしてガリバー
ZOZOTOWNでの年間購入者は739万人(7月31日同社発表資料、以下同じ)にも達しているが、男女比をみると女性が68%と圧倒的に多い。アクティブ会員(過去1年に購入した登録がある会員)の平均年齢は33歳だが、20〜30代でZOZOTOWNを知らない人は少ない。
スタートトゥデイの19年3月期第1四半期の商品取扱高は704億円強だったが、そのうち97%に当たる683億円もがZOZOTOWN事業で占められている。その他の事業としてはプライベート・ブランド事業(自社開発によるファッション製品)やBtoB事業、広告事業などが報告されているが、それらを合わせても全体の3%に満たない規模だ。今のところ同社はZOZOTOWN運営がメインの会社であり、社名もこの10月1日に「ZOZO」に変更する。
前述のとおりネット通販のビジネスモデルとしてZOZOTOWNは楽天と同様に多数のブランドが出店するプラットフォームであり、「モール型EC」ということになる。出店会社は1139店、それらが出店しているブランド数は6820にも及んでいる。
そしてZOZOTOWNの強みは、これら多数のブランドが出店する無数ともいえる商品を、ブランド横断的、出店社横断的に選択できることだ。モール型ファッション専門ECとして先行した強みもあり、そのブランド集約力は圧倒的なものになった。実店舗型衣料販売としてファーストリテイリングに次ぐしまむらは、ネット販売を開始するにあたり、自社サイトではなく18年7月からZOZOTOWNに出店したほどである。
ZOZOTOWNに次ぐモール型ファッション専門ECサイトを見渡しても、規模的には他に大きく差をつけている。「ショップリスト」のブランド数は約500、「ファッションウォーカー」は約300、「RUNWAYchanmel」は約20弱にとどまる。また金額的には「マルイウェブチャネル」がZOZOTOWNに次ぐ2位だが、その取扱高は230億円(18年3月期)とZOZOTOWNの10分の1にも及ばない。
■強みは絶対の品揃えと自社在庫
ある20代の女性ユーザーはいう。
「ZOZOTOWNを見に行く大きな理由は、とにかくなんでもあることかな」
「ほかのサイトだと、ブランドごとにカートが変わることがあり煩わしい」
「カートが変わる」とは、そのたびに購入決済をしなければならないことを意味する。そのため商品が各アパレル・メーカーなどからバラバラに郵送されてくる。一方、ZOZOTOWNは自社で巨大な物流倉庫を有し、そこに各出店社は在庫を預けるため、「ブランドの自社サイト上で在庫がないものでも、ゾゾに行くと大抵あるのよね」(前述女性ユーザー)という状況になっているのだ。そして、出店社側としては「ゾゾに在庫を置きさえすれば、飛ぶように売れる」という状況にもなり得る。
ファッションのネット通販にはモール型だけでなく、アパレル各社が自社で運営するサイトもある。この分野で国内最高の売上高を誇るのは「ユニクロ公式オンラインストア」だが、その売上高は420億円(2016年)であり、ユニクロ全体でのEC販売比率は5.3%にすぎない。2位以下はアダストリア、TSIホールディングス、千趣会、ベイクルーズが並ぶが、いずれも200億円台でZOZOTOWNの背中ははるかに遠い(以上のデータは17年10月5日付日本ネット経済新聞より)。
次回は、ZOZOTOWNの成長余力をマーケティングの4Pの領域で分析してみる。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)
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