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鴻海・シャープの米国液晶工場「1兆円投資」は凍結か
https://diamond.jp/articles/-/174858
2018.7.18 週刊ダイヤモンド編集部
米国ウィスコンシン州の新工場の起工式で握手するトランプ米大統領(左)と鴻海の郭会長。鴻海は中国で進める1兆円規模の工場に続き、米国で着工した「100億ドル工場」を完遂できるか Photo:Andy Manis/gettyimages
シャープを傘下に持つ台湾の鴻海精密工業が、米国ウィスコンシン州で新工場の建設を開始した。トランプ米大統領が絶賛する「100億ドル(約1兆1000億円)」の巨大工場。だが巨額投資のリスクが顕在化しており、先行きは不透明さを増している。(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 村井令二)
「100億ドルの投資で、地元に1万3000人の雇用を生み出す。ハイテクで待遇の良い高付加価値の仕事だ」
米国ウィスコンシン州にある自然豊かな街、マウントプレザントの広大な敷地で6月28日に開かれた起工式。鴻海の郭台銘会長が雇用創出を強調すると、主賓として参加したトランプ米大統領は「彼こそ世界で最も優れたビジネスリーダーの一人だ」と持ち上げた。
「100億ドル」は、海外企業の米国工場への投資としては史上最大級。2人の親密ぶりが強調された華やかなセレモニーとなったが、それを冷ややかに見詰めていたのが液晶業界の関係者だった。
「それだけの大風呂敷を広げて、あの場所に一体何の工場を建てるのか」──。
鴻海がウィスコンシン州に100億ドルを投じる液晶工場を建設すると発表したのは昨年7月26日(米国時間)。当初は、世界最先端の「第10.5世代」と呼ばれる巨大ガラス基板サイズを採用した液晶パネル工場を建設する計画だったが、すでにその構想は凍結されている。
液晶工場を建設するには、ガラス基板やカラーフィルターのほか、さまざまな部材を調達するサプライチェーンが必要になる。だが、米国ではそれが整備されていないため、液晶の量産に必要な部材は、日本やアジアから運び込まなければならず、コスト高になるのは明らかだ。
特に最先端の第10.5世代の工場ともなれば、ガラス基板など主要部材のメーカーも同時に工場を建設するほどの大掛かりな準備が必要で、当初より専門家からは「米国で大型液晶工場など無理がある」とみられていた。
昨年までに鴻海はウィスコンシン州政府から総額30億ドル(約3300億円)規模の補助プランを引き出すなど、計画は順調に進んでいるかに見えたが、「やはり難しいようだ」と液晶業界でささやかれ始めたのは今年5月ごろ。さらに、6月に入って鴻海幹部がウィスコンシン州の地元メディアのインタビューで「液晶工場は第6世代になる」と明らかにし、第10.5世代断念の方針が確認された。
米国で大型液晶工場を建設する計画が「無謀」とされた理由は他にもある。すでに鴻海は、中国・広州に1兆円規模の第10.5世代の液晶パネル工場を建設中で、競合する中国液晶メーカーの京東方科技集団(BOE)や華星光電(CSOT)も相次いで第10.5世代工場を建設する計画を表明しており、大型液晶の供給過剰問題は深刻だ。
こうした中で、韓国のLGディスプレー(LGD)は、韓国・坡州(パジュ)に建設する第10・5世代工場の液晶生産計画を凍結し、有機ELの製造に一本化する方針を固めている。ここで鴻海が、米国で第10.5世代工場の建設を強行するリスクは大きく、それを凍結するのは「当然の判断」(前出の液晶業界関係者)でもあった。
中国・広州に続く米国での液晶工場
巨額投資リスク顕在化
代わって飛び出した第6世代の工場設備は、2004年に稼働を始めたシャープの亀山第1工場と同じ規模。この設備で製造される液晶パネルは、大型テレビ用ではなく、スマートフォンやパソコン、自動車用になりそうだ。大型液晶から中小型液晶の設備に変更されれば、投資額も減少する見通しで、「1兆円も必要ない。2000億〜3000億円で済むはず」(米調査会社ディスプレイ・サプライチェーン・コンサルタンツの田村喜男氏)とみられている。
だが、液晶工場の設備のサイズを小さくしたとしても、サプライチェーンが整備されていない米国で液晶を製造する「コスト高」の問題は解決しない。米国で液晶工場を建設するハードルは依然として高く、「第6世代の液晶工場もまだ決定したわけではない」(部材メーカー関係者)のが実態だ。
当初は、液晶パネルの製造からテレビの組み立てまでの一貫生産を構想していたが、液晶への投資も決まらない新工場となり、当面は液晶テレビの組み立て工場としてスタートするとみられている。
一方で、液晶テレビの組み立て工場として運営するだけではトランプ大統領にアピールした100億ドルの投資額には到底及ばないため、まずは第6世代の液晶工場への投資判断を本格的に検討していくことが迫られる。
だが、郭会長は起工式で、新工場の計画変更や投資減額には触れることなくトランプ大統領と握手を交わした。中国・広州での液晶工場の建設に続いてぶち上げた米国の1兆円規模の工場建設は時がたつにつれて、巨額投資のリスクが顕在化しているが、郭会長はのらりくらりと曖昧な態度を続けながら、今後の投資を判断していくことになりそうだ。
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