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年収が高い人、のほうが年金問題には注意が必要だった いまから、備えておくべきだ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56499
2018.07.11 加谷 珪一 現代ビジネス
前回のマネーシフトでは、公的年金の財政状況について解説した。日本の年金は制度上、破綻することはないが、財政は慢性的な赤字となっており、今後、年金の減額や支給開始年齢の引き下げは必須の状況となっている。
今回は、具体的にどのくらいの年金がもらえるのか、国民年金と厚生年金で、給付額や支払額がどう変わるのかなどについて解説していく。
(この記事は、連載「寿命100年時代のマネーシフト」の第13回です。前回までの連載はこちらから)
まずは年金の種類を確認する
日本の公的年金は、主に2つの制度で構成されている。ひとつは全国民に共通した年金である国民年金、もうひとつは企業に勤めるサラリーマンが加入する厚生年金である。厚生年金の加入者は、国民年金にプラスして厚生年金を受給できるが、その分だけ、保険料の支払額も多くなる。
一方、厚生年金は支払う保険料の半額を企業が負担するという仕組みになっており、自分が支払う保険料の半分を会社に肩代わりしてもらえる。サラリーマンの場合には厚生年金しか選択肢がないが、自営の人は、国民年金にするのか法人化して厚生年金にするのかという選択肢が出てくる。起業などで会社を設立する人もいるが、どの制度がよいのかについては総合的な考察が必要となる。
では具体的に公的年金というのは、どのくらいの金額をもらえるものなのだろうか。
年金給付額の算定基準は国民年金と厚生年金では大きく異なっている。国民年金は全員共通で年間の給付額が固定されている。給付額は物価水準などを考慮して改定されるが、現時点では年間約78万円となっており、月額にすると約6万5000円である。
ただしこの金額は20歳から60歳までの40年間の全期間、保険料を納めたことが条件となる。未納の期間が長かった場合には、その分だけ減額されていくので注意が必要だ(受給資格を得るためには10年以上の納付期間が必要)。
一方、厚生年金は現役時代にいくらの収入があったのかで給付額が変わってくる。給付額の算定基準となる年収の定義が2003年から変更になるなど、正確な金額を算出するのは少々面倒だが、例えば、現役時代の平均年収がおおよそ600万円だった場合には、厚生年金の給付額は年間約158万円となる(現在55歳の人を想定。年収は新卒時も含めて、すべての雇用期間における平均である点に注意)。月額にすると約13万円ちょっとである。
自営業者など国民年金だけの人の場合、月に受け取れる年金額は6万5000円しかないので、これだけで生活するのは事実上、困難である。厚生年金の場合には6万5000円に13万円がプラスされるので19万5000円がもらえる。十分とはいえないが、何とかなる金額といってよいだろう。
支払う額を考えると大きな差はない
これだけ見ると国民年金と厚生年金に大きな差があるように見えるが、あくまで受け取った額の差である。厚生年金は国民年金よりも支払額が多いので、現役時代の持ち出しも多くなる。
国民年金の保険料は現在、月あたり約1万6000円となっている。厚生年金の保険料は年収600万円の場合、月々の保険料は9万円を超える。会社が半分負担してくれるので個人の負担は約4万5000円である。
国民年金は月あたり1万6000円を支払って、月あたり6万5000円を受け取っている計算となり、厚生年金は4万5000円を支払って19万5000円を受け取っている計算だ。
前回も説明した通り、日本の公的年金は支払った保険料を積み立て、老後に受け取るという制度ではないが、受け取り額が支払額の何倍かという視点で考えれば、国民年金は4.1倍、厚生年金は4.3倍なのでそれほど大きな違いはない。ただし、国民年金は給付額の絶対値が小さいので、これだけで生活することは現実的に難しい。
国民年金の場合には、支払う保険料は少ない分、もらえる年金も少額なので、同じ年収なら余ったお金は貯蓄もしくは投資に回し、不足分を補う必要があるだろう。
厚生年金の場合でも、年収がさらに低かったり、保険料の未納期間がある場合には、個人的に運用した資金が必要となってくる。結局のところ、程度の違いこそあれ、余剰資金を運用するのは必須と考えた方がよい。
また個人事業主が法人化した場合には、厚生年金の会社負担分まで事実上、自身で支払う形になるので、圧倒的に不利になる。副業などで会社設立を検討している人や、独立起業を考えている人は、自営のままがよいのか法人化した方がよいのかよく吟味した方がよいだろう(税金の損得もあるので総合的な検討が必要)。
「年収が高い人」は実は要注意
これまでの説明は単身者あるいは共働きなど、夫婦が独自の家計を営む人を前提にしている。これからの時代には、ほとんど該当者はいなくなるだろうが、いわゆる専業主婦世帯の場合には状況が変わってくる。
厚生年金の専業主婦世帯の場合、夫が先に死亡すると、夫の年金がなくなる代わりに、妻には多額の遺族厚生年金が支給される。詳細な計算は複雑だが、大雑把にいうと死亡前に受け取っていた厚生年金の約4分の3を引き続き受け取ることができる。
一方、共働き世帯の場合には遺族年金の額が小さいため、どちらかが先に死亡すると、年金額は半額もしくはそれに近い水準まで減ってしまう。
国民年金は個人単位となっており、夫が死亡した場合には、夫の年金がなくなるため、世帯収入という点では完全に半減してしまう。保険料の支払いも個人単位なので、自営業者で専業主婦の場合には、実質的に夫が妻の分の保険料も支払う必要が出てくる。
日本の年金制度は専業主婦世帯が多数存在していることが大前提となっており、結果的に専業主婦世帯に有利になるよう設計されていた。だが、この制度は時代に取り残されたものであり、今後は夫婦共働きで生涯労働というのがスタンダードとなる。こうした状況を考えると、年金制度上、有利だからといって、専業主婦を選択するということはやめた方がよい。
もうひとつ注意が必要なのは、比較的所得の高い世帯である。現在の厚生年金の規定では平均年収が約750万円以上の人は、年収がさらに上がっても年金額は増えない。年収が低い人に比べて、現役時代の収入と年金収入の落差が大きくなるので、老後に年金収入しかアテがない場合、生活水準の大幅な低下を強いられる。
年収が高いからといって消費に回すことはせず、その分は貯蓄や投資に充当しないと、同じ生活を維持することはできない。どの層にとっても生涯労働と貯蓄、投資は必須といってよいだろう。
まずは「ねんきんネット」で自分の年金を確認
今の時点で、自分がいくら年金をもらうことができるのか、詳しく知りたいという場合には「ねんきんネット」にアクセスすればよい。ねんきんネットは自分の基礎年金番号があればサイトにユーザー登録できる(定期的に受け取っている「ねんきん定期便」に記載されているアクセスコードを使えば登録時に住所などの入力を省くことが可能)。
日本年金機構のHPより
サイトにアクセスして「年金見込額試算」のページに行くと、いくつかのパターンで年金額の試算ができる。最も簡単なのは今の状況が継続したと仮定した場合の試算である。「かんたん試算」というボタンをクリックすると、概算の年金額を見ることができる。
今後の予定について質問に答える形で入力してより詳しく算定したり、必要項目を自身で入力した上で算定するページもある。
これに加えて必ずチェックしておく必要があるのは「年金記録の一覧表示」である。
ここでは20歳から現在まで、どこに勤務し、いくらの保険料を払ったのかについて一覧表示できる。もし空白期間が存在する場合には、年金が減額される可能性があるので確認しておいた方がよい。
思っていたより年金額が少なかったというケースの大半は、何らかの理由で未加入や未納の期間が生じたことが原因である。未納については後納が可能だが、2年という制限があるので、それ以前については諦めるしかない。ちなみに、今年の9月30日までなら、申請することで5年遡って後納できるので、該当する人は急いで検討した方がよいだろう。
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