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「定年後の働き方」は選択肢いっぱい、何を選ぶと損しないか
https://diamond.jp/articles/-/174478
2018.7.11 深田晶恵 ダイヤモンド・オンライン
定年間際に続々浮上する
お金の素朴なギモン
先日、20代のときに勤めていた会社の「同窓会」と称した飲み会があった。その部署は、20年くらい前に事業部ごとリストラになったため、参加者は最若手でも当時新卒入社の40代前半。50代後半から60代前半が最も多く、当時の部長は70代…という、シニア色たっぷりの集まりであった。
私がFPであることを知っている人から「もうすぐ定年になるんだけど、ちょっと聞いてもいい?」と言われ、ちょっとどころか、数人から矢継ぎ早に質問を受けた。
「年金がもらえるまで働かなくちゃいけないけど、働くと年金が減るってホント?」
「うちの奥さん、社会保険の『第3号』だから保険料払ってないけど、俺が会社やめたらどうなるの?」
「定年以降も働くと、その後辞めても“失業保険”(正式には雇用保険の失業給付)は、もらえないの?ずっと切れ目なく働いているから、もらいたいなぁ」
定年が近づくと、これまで思いつかなかった「ちょっとしたギモン」が次々湧いてくるものなのだ。ちょっとしたことなので、誰に聞いたらいいのかわからないようだ。
「定年後も働かなくてはいけないのか」という「そもそも論」の質問もあった。これについては「貯金がいっぱいあるなら、働かなくてもいいんですよ〜。どうしますか〜?」と、笑顔でスルー。宴席でその人の貯蓄額など聞けるはずもない。懐と奥さんに相談する話題だろう。
今の現役世代で、60歳から満額(老齢厚生年金と老齢基礎年金の合計のこと)の年金を受給できる人はいない。現在60歳前後の昭和32年4月2日〜34年4月1日生まれの男性は、63歳から厚生年金の報酬比例部分の受取りがスタートし、65歳から満額受給となる。
まとまった額の貯蓄がない限り、60代前半は働かざるを得ないのが現状なのだから「定年後、働く・働かない」の選択肢は、ほとんどの人が「働く」を選ぶ。
働く場合でも「フルタイムで働く・週4日で働く」の選択、「65歳まで働く・その前にリタイアする」の選択など、それまでなかった「自分で決めることができる」状況に直面することになる。
サラリーマン生活を送っていると、働き方や収入などについて、自分で選択できることは少ない。というより、皆無に近いだろう。ところが、定年をきっかけに次々と選択に迫られることになる。ずっとサラリーマンをしていた人にとってみると、想定外の展開で戸惑うことだろう。
実は、定年以降の選択には制度面での「ソン・トク」が絡むので、慎重に決めるべきなのだ。制度の内容を知らずに選択すると、結構なソンをすることにもなりかねない。
働き続けて厚生年金を払い続けると
その後の年金額が増える
それでは、前述の「ちょっとしたギモン」についての答えを解説しよう。
◆「働くと年金が減るってホント?」
→給料があるときは減るかもしれないが、リタイア後の年金額は増える。
定年以降厚生年金に加入して働き続け、年金の一部(特別支給の老齢厚生年金)が受け取れるようになると、給料の額に応じて年金が減額されることがある。これを「在職老齢年金」という。今の60歳前後のケースだと、63歳から年金の一部がスタートする。
「年金が減るのがイヤだから働くのをやめる」という人がたまにいるが、減らされる原因は給料があるからなのだから、年金が減額になったとしても働いているほうが収入は多い。
さらに、働いている間は厚生年金保険料を払い続けるので、完全にリタイアした後は、年金額が増えるのだ。どちらかというと、メリットのほうが多いのである。
「減額される」という側面だけで判断しないのがポイントだ。
◆「社会保険の『第3号』の妻がいる場合、夫が会社を辞めると保険料はどうなるか」
→夫が完全リタイアしたときに、妻が60歳未満なら妻自身が払うことになる。
年金の制度上、社会保険での扶養に入っている配偶者を「第3号被保険者」といい、自分自身で社会保険料を払っていない。夫が定年以降も社会保険に加入して働き続けるなら、妻の「第3号」は引き続き有効だ。
仮に妻が5歳年下なら、夫が65歳まで厚生年金に加入して働き続けると、妻は「第3号」のまま60歳を迎えることができる。夫がその前にリタイアすると、妻は自分で国民年金保険料を負担することになる。
今年度の国民年金保険料は月額1万6340円、年20万円近い出費である。5年間なら約100万円。結構な負担になる。こういうことは、女性同士で話題に上ることがあるので、妻の方がよく知っている。夫が妻から「なるべく長く働いてね」と言われる理由は複数あるが、そのうちのひとつの理由なのかもしれない。
妻が「第3号」ではなくなったとき、自身で国民年金保険料を払う以外にも「妻が社会保険に入って働く」という選択肢があることを知っておこう。フルタイムはもちろん、パートでも一定要件を満たすと、社会保険に加入できる。厚生年金保険料は労使折半なので、保険料の半分は勤務先が負担してくれて、妻の将来の年金額も増えるので一石二鳥だ。夫から提案してみてはどうだろうか。
◆「一度くらい雇用保険からお金をもらいたい」
→65歳まで働いても求職活動すれば、もらえますよ!
60歳定年ですっぱり辞めないと失業給付はもらえないと思っている人は少なくないのだが、それは勘違い。まずは、次の表を見てほしい。
65歳未満の離職者が受け取れるのは「失業等給付の基本手当」であるのに対し、65歳以上の離職者は「高齢者求職者給付金」と呼び名が異なる。さらに受け取れる基本手当日額の日数も大きく違う点に注目したい。
日数が多いのは65歳未満で離職した場合。20年以上の被保険者期間なら150日分受け取れる。ところが、同じ条件で65歳になってから離職すると、50日分と3分の1になってしまう。離職前の賃金等細かい条件によって金額の差は変わってくるが、離職日によって40万〜50万円の違いにもなることを知っておきたい。
注意したいのは「退職日」の設定である。たとえば8月1日の誕生日で65歳になる人の場合、法律上は誕生日の前日の7月31日が「65歳」になる日なのだ。
「65歳未満」で離職するには、誕生日の前々日、7月30日までに退職しなくてはならない。退職する日が1日違うだけで、数十万円も受取額が変わってくるのだから、このことはしっかり覚えておこう。
実際には退職日を65歳以降にしたほうが厚生年金の額が多少増えるなど(加入期間が1ヵ月多いから)、他の比較ポイントもあるが、トータルで見ると、法律上の64歳のうちに退職日を設定するほうが金額的なメリットは大きい。
定年後、65歳まで働き続け、いよいよ完全リタイアを迎えるとき、退職日の希望は人事に伝えよう。
定年以降に社会保険から受け取れるお金は、厚生年金、雇用保険それぞれが併給調整をしているので仕組みは複雑だ。勤務先が退職セミナーを開催してくれるなら、参加はマストである。配偶者同伴可なら、妻も誘おう。
セミナーに参加する前に、定年前後の制度手続きをまとめた書籍やムック本を1〜2冊買って読むことをお勧めする。初めて聞く言葉は、頭に入りにくい。先に制度の概要と選択ポイントだけでもイメージできると、退職セミナーの説明は「自分事」として聞くことができ、質問、確認すべき点が浮かび上がってくるのだ。
勤務先が退職セミナーを行っていないなら、書籍で勉強だ。わからない点、どちらを選択するといいのかは、人事部、総務部など該当部署に質問する。それでも迷ったときは、年金のことなら最寄りの年金事務所へ行き相談するといい。
年金事務所の相談員は、職員のほか、自営の社会保険労務士が当番で担当していることも多いので、年金相談で当たった人が質問しやすかったら「雇用保険詳しいですか?」と尋ねてみるといいだろう(得意、不得意はあるようだ)。
60歳以降の働き方は、後悔のないよう「調べ尽くして、自分で決める」ことを実践してほしい。
(株式会社生活設計塾クルー ファイナンシャルプランナー深田晶恵)
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