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「高くなった」鳥貴族、深刻な客数減地獄…東京、焼き鳥居酒屋だらけで過酷な生き残り戦争
http://biz-journal.jp/2018/07/post_23954.html
2018.07.06 文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント Business Journal
鳥貴族の店舗(「Wikipedia」より)
鳥貴族が失速している。
5月の既存店売上高は前年同月比8.8%減と大幅な減収となった。客単価が同2.9%増えたものの、客数が同11.4%減と大幅な減少となった。5月は天候に恵まれず、ゴールデンウィークの連休が昨年よりも1日短かったという事情があるが、客数が2桁減少した飲食店の例はほとんどない。天候などの外部要因に加え、鳥貴族特有の問題が影響したため、客数が大きく減ったと考えるべきだろう。
鳥貴族の不調は5月だけではない。既存店売上高は5月まで5カ月連続で前年を下回った。客単価は8カ月連続でプラスだったものの、客数は6カ月連続でマイナスとなっている。つまり、一時的な不調とはいえない。
昨年10月1日に実施した28年ぶりの値上げが客離れにつながった。食材費や人件費などのコスト増に対応するため、全品280円から298円に引き上げている。これにより、それまで増加傾向にあった客数は、値上げ実施初月の10月に前年同月比7.0%減と前年を大きく下回ることとなった。
ただ、10月は週末に2度台風が直撃するなどイレギュラー要素が多い月だったため、値上げだけの影響を分析することが難しく、また翌11月の客数が同0.5%増とわずかながらも前年を上回ったため、値上げの影響は限定的とする向きもあった。
しかし、12月の客数は同2.1%減となり、そこから客離れが止まらず、先述したとおり6カ月連続で前年を下回ることとなった。こうしたことから、値上げが客離れにつながったとみるべきだろう。
株価も、今年に入ってから下落傾向が続いている。昨年11月の客数が前年を上回ったと発表された時には、客離れは限定的と判断されて買いが殺到し株価は高騰。3000円台だった株価は年末年始には3900円台をつけるほどになった。だが、その後は客数の前年割れが続いたことが嫌気されて株価は下落が続き、6月下旬には2600円を割り込んだ。年末年始からは3割以上も下落した。
鳥貴族は3月20日に開いた2018年7月期上期(17年8月〜18年1月)の決算説明会で、業績不振の要因について、関東での競争が激化したほか、特に家族連れ客や40代以上の客が減ったとの分析を示している。また、出店攻勢により自社競合が発生したことも影響したという。
■焼き鳥居酒屋の激戦区になった東京
値上げを実施した昨年10月は、特に関東圏の既存店売上高の落ち込みが著しかった。関西圏は前年同月比0.8%増と微増ながらも増加しており、東海圏が1.9%減と減少幅は限定的だった一方、関東圏は6.1%減と大幅な落ち込みを見せた。大倉忠司社長は「関東で鶏業態の競争が激化した」との分析を披露している。
鳥貴族は全国に635店を展開しているが、その半数が関東圏にある。特に多いのが東京都だ。約210店を展開しており、全店舗に占める割合は3割にも上る。そのため、東京での戦いが全体の業績に大きく影響を及ぼすことになる。
東京は焼き鳥居酒屋の激戦区だ。たとえば、三代目鳥メロは全国に約130店を展開しているが、その4割に当たる約50店が東京にある。三代目鳥メロは総合居酒屋の和民を運営するワタミが展開しているが、同社は不振の和民などを三代目鳥メロに転換を進めており、近年急速に店舗数が増えている。
三代目鳥メロ以外の焼き鳥居酒屋も、鳥貴族にとって脅威となっている。とり鉄は全国に約50店を展開しているが、その6割となる約30店が東京にある。全国に約590店を展開するやきとり大吉は、関西が地盤ではあるものの東京にも進出しており、現在約40店を展開している。そのほかの焼き鳥居酒屋も含めて、東京での競争は激しさを増している。
東京で勢いがある焼き鳥居酒屋の多くは低価格を武器にしている。鳥貴族は値上げ後、大半の焼き鳥を2本単位で298円(1本あたり149円)で販売している。決して高くはないが、競合と比較すると、値上げにより割安感はなくなったといえる。
三代目鳥メロは1本150円の焼き鳥が充実しており、これらに関しては鳥貴族と同程度の値段だ。また、生ビールを199円という安さで提供しており、これを前面に出して集客を図っている。とり鉄は1本130円の焼き鳥が充実しており、これらに関しては鳥貴族よりも安い。やきとり大吉は1本120円の焼き鳥が充実している。
各チェーンの焼き鳥は質や量が同じではないため価格だけで単純比較はできないが、それでも価格は競争上、重要な意味を持つので無視はできない。いずれにしても、鳥貴族は値上げにより相対的に価格競争力が落ちてしまったことは間違いなく、顧客がほかの焼き鳥居酒屋などに流れたと考えるのは自然なことだろう。
値上げは採算性の改善が期待できる。しかし、それにより客離れが起きてしまえば利益も小さくなってしまい、固定費を大きく減らせなければ利益率はかえって小さくなってしまうというリスクもはらむ。客離れが起きた上に利益率も低下してしまったら、元も子もないだろう。
ただ、鳥貴族は利益率の改善という点に関しては、ある程度の成果が出たといえる。同社が6月8日に発表した17年8月〜18年4月期の単独決算は、売上高が前年同期比18.0%増の252億円、営業利益が49.6%増の14億円だった。出店攻勢で決算期間中に58店純増したことが大幅な増収につながり、値上げにより売上原価率が改善して販管費の増加を吸収、営業増益に寄与した。また、売上高営業利益率は5.8%で、前年同期の4.6%から大きく改善した。利益の面では値上げがある程度奏功したといえる。
値上げにより客離れが起きた一方、利益率の改善にはつながっている。鳥貴族は、しばらくこの2点の動向に一喜一憂することになりそうだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)
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