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日銀短観と株式市場(在野のアナリスト)
http://www.asyura2.com/18/hasan127/msg/630.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 7 月 03 日 01:56:20: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

日銀短観と株式市場
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/53068637.html
2018年07月02日 在野のアナリスト


日銀が6月短観を発表し、大企業製造業の現状判断DIが21と3pt減、先行き判断DIが21と±0、非製造業が24と1pt増、21と3pt減、中小企業製造業が14と1pt減、12と2pt減、非製造業が8と2pt減、5と3pt減でした。辛うじて大企業製造業の現状判断DIがプラスですが、他はすべて減少。しかも中身はこの数字以上に悪く、日本の景気に暗雲です。

貿易戦争や人材不足、などと報じるところもありますが、問題は仕入れ価格判断が現状28、先行き22と非常に高く、販売価格は現状4、先行き4と価格転嫁しにくい構図がつづく。これは今年度の売上高計画が、小幅にプラス修正されているにも関わらず、経常利益はマイナスに修正してきたことでも分かります。売るためには価格転嫁せず、企業が吸収する、というスタンスが鮮明です。一部で、企業の想定為替レートが円高にふれてこの結果だから、と好材料にうけとる向きもありますが、先に日銀から企業の為替感応度は低下、とするレポートもあり、市場が喜ぶほどの好材料でもなければ、日銀がいうほど影響がない、というわけでもない。この日銀短観から、唯一のよい点は設備投資の計画が大幅に増額されている点です。ただし、土地投資が大企業製造業では低下するように、新たに工場をつくって…という形でなく、あくまで省人化、省力化投資がますます加速することを示すのでしょう。

今日の株式市場は大幅下落です。ただ、売買が盛り上がらなかったように、今やアノマリーとなった月初高を意識して買い進めていた層が、後場の急変に慌てて投げ売りを入れた、というだけの動きです。そこに22000円キープで下落局面をのりきれば、次の上昇波動で一段高という思惑もからんでいたものが、一気に戦略の見直しを迫られました。

キッカケはメキシコ大統領選で左派系のロペスオブラドール氏が勝利したこと。メキシコのトランプ、といわれるほど過激な発言をくり返す人物で、NAFTA再交渉にも影響するのは必定です。メキシコに進出する日本企業も多く、当然その影響をうけますが、これと連動して米国による対中制裁期限を迎える今週、という警戒も加わった。貿易戦争はトランプ氏が見直さない限りいつまでも続く問題であり、トランプ政権がつづく限り、反トランプ、反米勢力が海外で育ってしまう、というジレンマが最大の問題でもあります。

7月2日は1年のちょうど中間、折り返し点です。今年前半の株式市場は、トランプ減税でぎりぎり支えられた相場、といえます。トランプ氏は追加の減税も用意、としますが、関税障壁によりその効果が相殺され、それ以上の下押し効果があるのは必定。中央銀行の引き締め効果と合わせ、年後半の景気にはまったく期待できないのが現状です。

しかも日本は中央銀行に緩和の余地なく、政府に策がない。景気に期待できるどころか、政府は景気がいい、と言い続けているのですから、景気対策を打つ動機もない。来年の消費税増税前の大盤振る舞いの予算を確保したいがため、今年に限っては予算を抑えたい。年明けからでないと何も出てこないと予想できる。相場もそれを織りこまざるを得ないのでしょう。新たな材料がない限り、上には抜けにくい状況が想定されます。

気になるのは、中国が対米貿易戦争の反撃として何を行うか? 米国債の売却は、双方への打撃が大きすぎるので現実的ではありませんが、個人による対米投資に規制をかけるのではないか? とみています。国内向けにもアピールでき、富裕層叩きの側面もあって、腐敗防止の習近平政策ともマッチする。そしてそのとき、米国の資産価値にどれだけのインパクトがあるか? その辺りがカギにもなってきそうです。

世界中で拡大する個人債務、中国で懸念される地方債、一つでも弾ければ、世界経済を奈落の底に突き落としかねない問題を抱えながら、世界経済はずっとふらふらと飛行をつづけてきたのが現状です。今年はじけるかどうかは、まだ分かりませんが、日本には打つ手すらないのが現状であり、警戒だけは失ってはいけないのでしょうね。


 

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コメント
 
1. 2018年7月03日 19:40:23 : pxgwgovz2Q : W8I8Zx2GSxE[437]
誤魔化しに 溺れた末に 打つ手なし

2. 2018年7月04日 13:40:42 : kNeY0s9eJg : _DtOmeuKCLg[37]
1に同感。日銀委員達は、弁解を重ね政権にゴマするだけで、自らのスタンスの一貫性や政策の展望を言えない。
 次の原田委員の言葉は、彼らが何を目標(国民生活の向上と持続的な維持)としているかを忘れ、できもしないことを言ってきた責任を回避することに尽きている。

●物価上昇の鈍さ、失業率低下が不十分なため=原田日銀審議委員
・[金沢市 4日 ロイター] 日銀の原田泰日銀審議委員は4日、石川県金沢市で講演し、物価上昇の足取りが鈍い要因について「失業率の低下が不十分だということに尽きる」と述べた。その上で、雇用と生産に拡大余地がある以上、物価2%目標の達成に向けた現行政策の継続が必要と指摘。追加緩和は物価上昇の勢いが失われた時に講じる考えを示した。
・・・就業率の上昇余地があることから「物価を上昇させる失業率がさらに低下している可能性もある」と分析し、物価目標の達成には現状の失業率のさらなる低下が必要と強調した。人手不足を背景とした企業の生産性向上が、物価上昇を遅らせることにも触れた。
https://jp.reuters.com/article/boj-harada-idJPKBN1JU0A5

失業率の高さよりも所得向上の低さ(マイナスのこと)が、需要を縮小させて企業の構造転換も新規産業への資本投下も不活発にさせている第一の要因ではないか。物価は潜在的に上昇し続けており、消費者心理の転換のない(将来展望が暗すぎる)ことが計測する物価を維持させているのだと思う。失業率が低くなっても平均賃金がより低くなっていては何も変らないと思う。


3. 2018年7月04日 14:54:16 : kNeY0s9eJg : _DtOmeuKCLg[38]
2の続き
一般では預金金利が異常に低くても、投資に全てをまわすわけにはいかない。高齢者ではそれが異常な消費低迷に繋がるわけで、財政需要や異常な低金利での投資需要では、新規な商品やサービス需要に繋がらず、単に既存の非効率的な企業を存続させるだけだ。消費税増税もこの段階では政府財政の健全化に繋がるということで消費需要や海外投資家の円債券投資を促すものには到底ならないだろう。アベノミクスとそれに繋がる日銀の政策はジリ貧がどんどん進むだけにすぎない。

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