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トップアナリストが警告!東京五輪後、日本経済はこうなる」 ベストセラー『日本の国難』著者
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55912
2018.06.08 週刊現代 :現代ビジネス
世界経済の動向、技術革新の影響、財政問題の行方……トップアナリストが多角度かつ冷徹に分析して見えてきたのは、凄絶な近未来の姿。日本人の給料、雇用、生活は想像を絶するほど激変する。
5月21日の東京株式市場で、日経平均株価が節目の2万3000円台を叩き出し、市場関係者が沸きたった。
それもそのはず。2万3000円台は約3ヵ月半ぶりの高値。今年3月には2万円割れ寸前の暴落相場だったのが嘘のような大復活だけに、マーケットから歓喜の声が上がったかたちである。
世界に目を転じても、ニューヨーク株式市場ではダウ平均が約2ヵ月ぶりの高値をつけるなど、市場は過熱するばかり。
さっそくマーケットでは「ふたたび日本株は3万円を目指す展開に入った」とも聞こえてくるほどだが、果たして鵜呑みにしていいものか。
「たしかに日本の株式市場もアメリカの株式市場も依然として上昇基調が続いています。そのため、『少なくとも2020年までは大丈夫なのではないか』などと楽観的に捉えている人も多いかもしれませんが、それは非常に危険です。
私は、2020年の世界経済は、リーマン・ショックほどとはいわないまでも、世界的な借金バブルの反動によって世界同時不況を迎えているのではないかと予測しています。
しかも、日本経済はアメリカと中国の好景気に多大なる恩恵を受けているので、その悪影響がもっとも及び、経済成長率が主要先進国のなかでいちばん落ち込むと考えられる。
実際、リーマン・ショック翌年の'09年の日本経済の成長率はマイナス6.0%にまで落ち込み、主要先進国のなかで突出して下落率が大きかったのです。
加えて、2020年前後にはAI(人工知能)技術の発展、人口減少の進展などといった難題が本格的に降りかかり、日本の会社や雇用、給料は大きな変化にさらされることになる。
まさに日本がこれから国難を迎える時期に突入しようとするなか、楽観などしている場合ではないのです」
そう指摘するのは、ベストセラー『日本の国難 2020年からの賃金・雇用・企業』(講談社現代新書)著者で経済アナリストの中原圭介氏だ。
中原氏といえば、アメリカのサブプライム危機を「予言」したことで知られるトップアナリスト。そんな氏が今回、東京五輪後の「日本のリアル」を語り尽くした。
2020年以降の日本経済を見通すとき、まず押さえておかなければいけないのは、そのときに世界経済は「同時不況」という惨事に見舞われている可能性があるということです。
たしかに現在、世界経済は堅調に推移しています。そのため、私がいうような危機説は信じられないという方もいるでしょう。しかし、世界経済の実情にしっかりと目を向ければ、むしろ根拠のない楽観がいかに危険なことかをわかっていただけると思います。
順を追って説明しましょう。
まず、あまり知られていませんが、世界の好景気を牽引しているアメリカ人の旺盛な消費が「限界」に近づいてきました。
アメリカ人はローンを組んで自動車や住宅などを購入するのが一般的ですが、その借金=家計債務の額が過去最高水準に膨れ上がってきたのです。
具体的なデータで示しましょう。'17年12月末時点でその額は13兆1000億ドル、当時の為替レートで換算すると約1410兆円にのぼります。なんとこれは、世界金融危機が巻き起こった'08年9月末時点の12兆6800億ドルを上回る水準です。
もう借金はできない
これまでの歴史が証明している通り、家計が借金を重ねて消費を増やし続けられるうちは、景気は拡大基調を保つことができます。が、ひとたび家計がその借金に耐えきれなくなると、景気は一転して失速する。
その点、アメリカではすでに中間層以下の世帯を中心に、借金に借金を重ねる消費が横行する状況になっている。なかでも、自動車ローン、クレジットローン、学生ローンについては、延滞率上昇が懸念される状況なのです。
近い将来に借金の延滞率の上昇が本格化してくれば、次に貸し剥がしが巻き起こり、また新たな融資が手控えられることで、消費は一気に減退していくでしょう。
つまり、本格的な景気後退が始まるのです。それがいつかは明示できませんが、今年起きてもおかしくありません。仮に今年起きなければ、来年には景気後退の確率がさらに高まる。
少なくとも、2020年には借金による景気の好循環は維持できなくなっていると思います。
当然、そうしてアメリカ経済の失速が始まれば、真っ先にアメリカへの輸出に依存する中国経済に悪影響が波及。さらにそれが日本やアジアに波及していくことになるので、日本経済は直撃を受けることになるわけです。
私が世界同時不況を懸念しているのは、アメリカの失速だけを根拠にしているわけではありません。じつはもうひとつの大国である中国経済も、アメリカと同じく民間債務が莫大な規模に膨れ上がり、とてもリスキーな状況になっているのです。
'17年9月にBIS(国際決済銀行)が公表した統計によれば、中国の民間債務(金融機関を除く)は'17年3月末時点で23.4兆ドル(当時の為替相場で2597兆円)。
これはリーマン・ショック以降、4倍増と急速に拡大している計算で、驚くべきことにその債務総額はGDP比で211%という水準です。
かつてバブルの崩壊を経験した国々は例外なく民間債務が尋常ではない水準まで膨らんでいたことを考えると、とても看過できる額ではない。
増税ラッシュが来る
実際、かつて日本では'95年12月末に民間債務がGDP比で221%と過去最高水準まで増加し、その2年後、'97年11月に北海道拓殖銀行の破綻を契機にして金融システム危機が発生しています。
中国の民間債務はすでに日本の過去最高の水準に近づき、いよいよ日本のバブル末期から崩壊後の経済状況に似てきたとも見て取れるわけです。
私は2019〜2020年にはアメリカが景気後退に陥る局面を迎え、その悪影響が中国や日本、アジア、欧州にも行き渡ることになると予測します。あるいは、アメリカに関係なく中国そのものが景気低迷に苦しみ、その悪影響が日本やアジア、欧州、中東、アフリカに広がっていくことも想定しています。
いずれにしても、世界同時不況が起きたとき、アメリカと中国の好景気の恩恵を多大に受けてきた日本こそが、先進国でもっとも悪影響を受ける国になる。その日は刻一刻と近づいているわけです。
前述したように、東京五輪以降の日本経済や国民生活がどうなるかを考えるとき、今後は少子化やAI、電気自動車といった技術革新の流れが本格化し、日本に新たな難題をもたらすという点も見逃せません。
なぜならそれらが日本の賃金、雇用、企業に大きな変化をもたらすからです。
たとえば、われわれの「賃金」について考えると、その見通しは暗いと言わざるを得ません。
なぜなら少子高齢化という病を抱えた日本では、これから社会保障を含めた財政が行き詰まり、早晩消費税、所得税などの税金や社会保険料の増額ラッシュが巻き起こると予想されるからです。
実際、増税の流れはひっそりと始まっています。所得税はすでに'17年12月に年収850万円超の世帯までが増税されることが決定していますが、これはまだ序の口。
やがて600万円超、500万円超の中間層にまで増税の波が押し寄せることになるでしょう。
社会保険料にしても、今後20年の社会保障費の伸びを考えれば、厚生年金は現在18.3%のところが20%に、健康保険も現在およそ11.5%のところが15%まで引き上げられてもおかしくない。
しかも、2020年前後に日本が景気後退期に入っている可能性が高いことを考えると、名目賃金が現在より上がっていることも考えづらい。
そこへきて増税や社会保険料の引き上げが行われれば、日本人の可処分所得は少なくとも5〜10%は減っている可能性が高いといえるのです。
次に「雇用」について見ると、2020年前後には「アマゾン・ショック」が巻き起こっている可能性がある。
インターネット通販のアマゾンが既存の小売業を駆逐していくことを「アマゾン・ショック」と呼び、アメリカでは猛威をふるっていますが、いよいよ日本でも本格化しかねないのです。
その破壊力は強大で、アメリカでは大手家電量販店ラジオシャックや女性用衣料販売大手のザ・リミテッド、玩具大手トイザラスが経営破綻に追い込まれ、多くの雇用が失われています。
アメリカのゴールドマン・サックスの試算によれば、実店舗を展開する小売業が必要とする従業員数は売上高100万ドル当たり3.5人。
それがネット通販だとわずか0.9人で済むので、小売売上高に占める実店舗のシェアが1%下落すると、小売業全体の雇用者数は13万人も減少するそうです。
これを日本に置き換えれば、小売業に従事する労働者は1075万人といわれているので、ネット通販がそのうち215万人分くらいの雇用を奪ったとしてもおかしくないのです。
失業率がどんどん上昇
2020年前後には、ロボットやAIが人間の労働に取って代わる流れも本格化して、製造業や銀行、証券など金融業界がその影響をモロに受けることになる。
仮に労働力の2割がAIやロボットに代替された場合、2020年代初頭から失業率が上昇し、2020年代後半には5.5〜6%ほどまで上がる事態も考えられます。
もちろん、これからは「会社」も安泰ではいられません。なかでも、日本経済の屋台骨を支えてきた自動車産業には決して明るくない未来が迫ってくる可能性があります。
なぜなら、世界的な電気自動車(EV)化の流れが決定的になっているからです。'17年にフランスとイギリスが相次いでガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針を打ち出すと、追随するように中国までが同様の方針を決定しました。
グローバルにEV化が進むことが必至のなかで、日本の自動車メーカーがすでにEV化で欧米メーカーに遅れを取っているのは非常事態といえます。
日本勢にとって厄介なのは、EV化とともにクルマの自動運転化などIT化が進み、今後はアップル、グーグルなど巨大IT企業もライバルになってくることです。
日本一の大企業であるトヨタはもちろん、日産やホンダでも、今後の電気自動車化、自動化の流れで舵取りをひとつ間違っただけでも、あっという間に第二の東芝、第二のシャープに転落してしまう可能性が否定できなくなってきたわけです。
かつてiPhoneの登場によって日本の多くの電機メーカーが携帯電話事業からの撤退、縮小に追い込まれたように、将来的には大手自動車メーカーも日本で1社に再編されているかもしれない。
早いもので、2020年はあと2年ほどで訪れます。そのとき、われわれの賃金、雇用、会社がかくも激変する兆候が表れているかもしれないことを忘れてはいけません。
国難の時代を生き抜くには、厳しい現実を直視することから逃げてはいけないと思うのです――。
「週刊現代」2018年6月9日号より
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