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トヨタ、会社全体の発想を転換…他社からアイディアや技術の「吸収」を開始(Business Journal)
http://www.asyura2.com/18/hasan127/msg/440.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 6 月 08 日 02:58:25: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

トヨタ、会社全体の発想を転換…他社からアイディアや技術の「吸収」を開始
http://biz-journal.jp/2018/06/post_23615.html
2018.06.08 文=真壁昭夫/法政大学大学院教授 Business Journal


 トヨタ自動車・豊田章男社長(つのだよしお/アフロ)


 現在、日本企業の経営者と話をすると、生き残りをかけたコストの削減を優先課題とするケースが多いように思う。その背景には、積極的にリスクを取って新規事業を開拓するよりは、しっかりコストカットを行い資金・経営資源を捻出し、その範囲内で新規事業などを開拓しようという考え方があるのだろう。ただ、そうしたアプローチだけでは、本格的な事業拡大を望むことは難しい。むしろ、リスクを取らないこと自体が、リスクになることもあるはずだ。

 注目したいのがトヨタ自動車だ。2年前の決算説明会にて、豊田章男社長は「ここ数年間の業績は、為替による追い風参考記録」との認識を示した。円安によって収益がかさ上げされ、実力以上に利益が増えたという認識だ。それは、企業にとっていかに円安が重要かを端的に示した発言だった。それ以来、トヨタは円高が進んでも収益を確保できる基盤の整備にコミットしてきた。背景に、円安が続きづらいとの認識があったことは言うまでもない。それに加え、電気自動車(EV)の開発競争がし烈化することや、“ドル箱”であった米自動車市場の減速もある。トヨタは、そうした状況に耐えられる仕組みづくりを考えているのだろう。

■トヨタが直面する2つの重大な変化

 2018年3月期のトヨタの決算は、増収増益だった。前期から営業利益は4,000億円程度増加し2.4兆円だった。営業利益の増加要因をみると、2,700億円程度が為替レートの変動からもたらされ、原価改善など企業独自の取り組みから1,250億円程度が増益に貢献した。当期の純利益率は8.5%に上昇し、フォルクスワーゲンやダイムラーなどドイツ勢を上回る利益率を確保した。

 現時点で、同社の経営は良好だ。それを支えてきたのが、北米事業だった。2015年3月期まで、北米市場でトヨタは増益を達成してきた。米国の景気が緩やかに回復するなか、自動車の買い替えを控えてきた家庭の新車需要などを取り込んで、同社は利益を確保することができた。また、米国の景気回復は、中国とともに世界経済の安定を支えた。そのため、世界全体で自動車の販売が増加基調で推移し、トヨタの業績も拡大基調をたどったのである。

 2015年3月期、5,379億円に達した北米事業の営業利益は、足許、1,321億円にまで落ち込んだ。2017年度、北米以外の地域では増益が確保された。北米の自動車市場の減速は明らかだ。円高が進めば、同社の増益確保は難しくなるだろう。トランプ政権の通商政策への不安もある。

 それに加え、世界の自動車業界全体が、構造変化に直面している。世界規模でEVの開発が加速している。トヨタは燃料電池車の実用化には成功したが、バッテリーを搭載するEVの開発は遅れている。

 世界最大の自動車市場である中国では、トヨタが得意とするHV(ハイブリッド車)が次世代のエコカーとして認められなくなる可能性もある。また、EV化が進むと自動車に使われる部品の点数が50%程度少なくて済むとみられる。完成車に必要な部品の数が減少すれば、すり合わせ技術を強みとしてきたわが国の自動車メーカーの競争力は低下するはずだ。米国市場の減速、EV化による構造変化という2つの変化が進むなか、トヨタには環境への適応力が求められる。

■トヨタが重視するオープンイノベーション

 変化に対応するためにトヨタが重視するのが、オープンにイノベーションを進めることだ。従来、企業は自社内で研究開発を進め、新しいテクノロジーやプロダクト、サービスなどを創造しようとしてきた。それは、他企業との差別化、競争上の優位性を確保するために重要と考えられてきた。この発想は、自前主義というにふさわしい。

 一方、環境変化のスピードは加速している。新興国の経済成長によって、先進国企業に優位性があるともいいづらい。2017年の国際特許出願件数を企業レベルでみると、トップ2社は中国企業だ。新しいプロダクトを生み出しても、他企業が類似の商品を開発し、機能面での差別化は難しくなっている。そのため、価格競争が進みやすい。自前で新しい技術やコンセプトを実現することは重要だが、それに固執することが競争上の優位性確保につながるとは限らない。その発想だけで環境変化に適応するのは難しいだろう。

 トヨタは異業種企業との協働によって、あたらしいクルマのコンセプト(電動化、ネットワークと接続しデータを収集・発信するクルマ)を確立しようとしている。シェアリングエコノミーなど、新しい経済行動への適応のためにも、従来のビジネスセグメントを超えた連携が求められる。ヒット商品を生み出し需要を取り込むために必要と考えられる発想やテクノロジーが自社内にあればよい。それがない場合、自前で生み出すか、すでにある社外の要素を取り込むか、選択が必要だ。現実的に考えれば、すでにある物を取り込んだ方が合理的だろう。

 言い換えれば、トヨタは自動車のメーカーとしての役割に加え、電動化、コネクテッドカーなど新しいコンセプトを実現する基盤(プラットフォーム)としての機能を備えようとしている。それは、新しいクルマのコンセプトを実現するために、自前では調達が難しい要素を社外から取り入れ、自社の技術力などとの新しい結合を目指す、オープンイノベーションを重視した経営だ。

■経営者の発想の転換が必要

 トヨタがオープンイノベーションを重視していることを“脱・自前主義の経営”と表現する解説は多い。ただ、競争力を高めるためには、テクノロジー強化を目指す自前の取り組みが欠かせない。トヨタが目指すものは、“発想の転換”だ。

 従来、自動車業界は完成車メーカーを筆頭に、他の製造業、ブレーキなどのパーツを生産する子会社や関係会社、その下請けと企業間の序列が形成されてきた。それが、自動車産業のすそ野が広いといわれる理由の一つだ。企業同士の関係のなかで、トヨタは自動車業界のトップに君臨する。下請け、孫請けはトヨタの指示に基づいて、定められた仕様の部品やパーツを設計・生産してきた。

 トヨタは、従来の発想を変えようとしている。同社がサプライヤーから競争力のある部品や技術の提案を受け入れようとしていることはよい例だ。その発想に基づいて、トヨタはITなど最先端の分野からも、各企業のアイディアやテクノロジーを吸収しようとしている。そうした取り組みの結晶として、トヨタが新しい自動車を開発し、消費者の支持を集めることができれば、産業界全体にも波及効果があるだろう。新しいテクノロジーの開発を目指すだけでなく、新興国地域でのシェア拡大を目指すなど、より積極的な動きが増える可能性がある。

 トヨタは、できるだけ早い段階で乗用車を中心に普及が見込まれる自動車のコンセプトをまとめ上げ、実用化を目指すべきだ。世界の自動車業界が変革を迎えるなかで同社が競争力を高めるには、新しいプロダクトを創出し、世界に変化をもたらすことを目指せばよい。そうした取り組みが進めば、トヨタとの連携を重視する企業も一段と増えるだろう。

 企業が成長するためには、イノベーションが欠かせない。それは、自前での技術・テクノロジーなどの開発に留まらない。外部から成長に貢献する要因を取り込むことも大切だ。そのためにトヨタは、組織の変革も進めている。トヨタと他企業の連携が進むにつれ、より積極的に従来にはないモノやサービスの創造を目指すダイナミックな企業経営の発想が増えることも期待される。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)


 

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