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大阪の大丸と高島屋が突然に息を吹き返し「東京超え」!
http://biz-journal.jp/2018/05/post_23237.html
2018.05.08 文=編集部 Business Journal
大丸心斎橋店(「Wikipedia」より)
国土交通省が発表した公示地価(2018年1月1日現在)によると、地価上昇が三大都市圏の街並みを変えようとしている。全国の住宅地の最高価格は、再開発が続く東京都港区の赤坂地区で、億ションが立ち並ぶ人気エリアへ変貌した。大阪の商業地は訪日客の多い心斎橋地区が梅田地区を逆転。中心地が移った。
商業地の上昇率で全国2位だったのは、大阪・道頓堀のフグ料理店「づぼらや道頓堀店」。店頭にフグの巨大模型があることで有名だ。地価上昇率は、16年が前年比40.1%増で全国2位、17年が41.3%増で1位、18年が27.5%増の2位となった。
大阪の商業地の地価を押し上げているのは、訪日外国人(インバウンド)の急増にある。大阪観光局の調べによると、15年が716万人(前年比9.1%増)、16年941万人(同31%増)、17年が1111万人(同18%増)と増え続けており、1000万人の大台を超えた。
訪日客が地価を押し上げ、消費地図を塗り替えた。
■大丸、高島屋とも大阪店の売り上げが東京店を上回る
大手百貨店3社の18年2月期決算は「西高東低」が顕著になった(大丸松坂屋百貨店、高島屋、そごう・西武が2月期決算、三越伊勢丹と阪急阪神百貨店は3月期決算)。
インバウンド向けのブランド品などの販売が回復し、大丸松坂屋百貨店を傘下に持つJ.フロントリテイリングと高島屋の2社が増収増益となった。特に関西国際空港発着のアジア便が増えたことで、大阪市内の旗艦店が好調だった。
J.フロントの18年2月期連結決算(国際会計基準)は、売上高にあたる売上収益が前期比3.8%増の4699億円、最終利益は同5.3%増の284億円だった。高級ブランド品や高級時計、化粧品などの販売が好調で、訪日客の消費額は同6割増の479億円となった。店舗別では、大丸心斎橋店の売上高が同14.0%増の839億円となり、大丸東京店の790億円(同6.1%増)を大きく上回った。
高島屋の18年2月期連結決算の売上高にあたる営業収益は同2.8%増の9495億円、最終利益は13.4%増の236億円。店舗別売り上げでは、大阪店が同8.8%増の1414億円。東京・日本橋店の1342億円(同1.0%増)を抜き、1951年度以来66年ぶりに国内店舗の首位に返り咲いた。全社の免税売上高は同42%増の487億円と大きく伸び、このうち約半分の240億円を大阪店が占めた。
東京や横浜に店舗が多いセブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう・西武の営業収益が前期比9.8%減の6858億円、最終損益は西武船橋店や西武小田原店の閉店に伴う費用などが響き、299億円の赤字となった。店舗別売り上げでは、旗艦店の西武池袋本店が同0.8%減の1851億円、そごう横浜店は同0.8%増の1106億円と伸び悩んだ。
三越伊勢丹ホールディングス傘下の三越伊勢丹の月次レポート(17年4月〜18年3月累計売上高)によると、首都圏の旗艦3店のうち伊勢丹新宿店は前期比2.1%増の2741億円、日本橋三越本店は5.9%減の1553億円、銀座三越は8.4%増の878億円。インバウンド売り上げが店舗格差を鮮明にした。
百貨店の売上高は「西高東低」がはっきりした。アジア訪日客をつかんだ大阪が一人勝ちの様相だ。
しかし、いいことばかりではない。懸念は中国依存のリスクが高いことだ。高島屋は免税売上の85%を中華圏からの客が占める。訪日客の購買意欲は国際情勢に大きく左右される。
かつて中国人による「爆買い」で空前のインバウント消費ブームに沸いた。だが、中国政府の関税一部引き下げ措置で、訪日客の消費は勢いを失った。“爆買いの聖地”と謳われた銀座三越で閑古鳥が泣いたのは記憶に新しい。
だが17年1月、関西国際空港に格安航空会社(LCC)専用ターミーナルが開業し、アジア便が増えたことが追い風になった。LCCが運んでくる中国人観光客が大阪の百貨店バブルを引き起こした。
爆買い時代には、中国人が津波のように押し寄せて、潮が引くように客足が遠のいた。歴史は繰り返すものだ。百貨店経営者は浮かれていられない。
(文=編集部)
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