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イタリアより労働時間の短い日本で、今の働き方改革は無意味だ…さらに生産性低下も(Business Journal)
http://www.asyura2.com/18/hasan127/msg/159.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 5 月 08 日 01:48:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

イタリアより労働時間の短い日本で、今の働き方改革は無意味だ…さらに生産性低下も
http://biz-journal.jp/2018/05/post_23245.html
2018.05.08 文=井上隆一郎/桜美林大学教授 Business Journal

 


■なぜ裁量労働制が登場したのだろうか

 裁量労働制や高度プロフェッショナル制が今、なぜ取り上げられるのか。そもそも論を紐解くと、日本の低い生産性の問題に行き着く。こんなに洗練された先進国なのに(嫌味ではなく)、世界的経済先導諸国であるG7のなかで最低である。OECD諸国のなかでは、19〜21位という順位に定着している。

 日本人は勤勉を旨として、とにかく一生懸命働く国民性を持つとされている。単純化していえば、勤勉に働くのに生産性が低いのは、働き方が悪いからだ、という主張に結びついたというわけだ。ちょうど長時間残業による過労死が問題になっている矢先でもある。「働き方改革」が声高に叫ばれ、その一環として裁量労働制などが提起されるのには、低生産性問題という事情がある。

 無駄に長い時間働いているから低生産性、だから無駄な時間を削減しよう、その工夫のひとつとして裁量労働制で柔軟な働きをすれば無駄な労働時間が減るだろうと考えるのは、一面正しい。しかし出来の悪い大学生の答案に似て、ちょっと考察が足りない。

■日本の生産性が低いのは確か

 日本生産性本部が2017年の年末に発表した生産性の国際比較(OECD統計より作成。16年実績。購買力平価ベース)を確認しておこう。図に見る通り、日本の労働生産性は1人時間当たり46ドルで、首位のアイルランドやルクセンブルクの半分以下である。アメリカは約70ドルだから1.5倍の生産性である。債務危機に陥り、経済的には落第生とみなされているイタリアの54.1ドル、スペインの52.4ドルにも及ばないとは意外な結果だが、統計的には明白な事実である。何度もいうように、残念なことだが、日本の労働生産性は先進国中最下位クラスである。

 裁量労働制や働き方改革による働き過ぎの是正が必要だという話は一見、正鵠を射ているように見える。しかし労働生産性の視点からは、まったくの誤解である。OECDの実労働時間の統計(15年実績)を見てみよう。算定基準が違うので国際比較には適さないとコメントされているが、これをあえて比較したものが表である。独仏2国は例外的に少ない労働時間であるものの、G7内で日本が特に長時間労働とはいえない。むしろ、15年実績で比較すると、7カ国中3位、アメリカの1790時間やイタリアの1725時間よりも短い労働時間で、1719時間である。2000年以降、一貫して日本はアメリカ、イタリアよりも短い労働時間なのである。



 労働生産性が低い理由は、長時間労働ではない。働き方改革はもっと働く時間にゆとりをつくるということではない。政治家も含めて、ここのところを誤解しているといわざるを得ない。


OECD諸国の労働生産性ランキング(資料:日本生産性本部『労働生産性の国際比較2017年版』)

■生産性を上げるとはどういうことか

 生産性とは何か。難しくいえば、産出と投入の比率である。つまり、より少ない投入で産出が得られるか、投入に対してより多くの産出が得られるなら、生産性が向上したということになる。労働生産性を論じる場合、算出は生産額、投入は労働時間である。しかし経済的成果として考えるなら、生産額より販売された額としたほうが良い。売れないものをいくら高い生産性で生産しても意味がないからだ。さらに、販売額は売価に販売量を乗じたものである。従って、生産性を定義する式は下のようになる。

労働生産性=販売額÷労働時間=売価×販売量÷労働時間

 この式によれば以下のことは明らかである。

 販売額が変わらず労働時間が短くなれば、生産性は上がる。また、労働時間が変わらず販売額が増えても生産性は向上する。販売額が増えて労働時間が減れば、さらに生産性は向上する。生産性を上げるために打つべき手立て、すなわち労働時間を問題にするのか、販売額を問題にするのかなのだが、それは、時代、国・地域、企業によりそれぞれ異なる。

 現在の日本で必要な手立ては何か。その手立てに働き方改革、裁量労働制はマッチしているのか。これが問われなければならない。先に見たように、アメリカの労働時間のほうが多いくらいで、日本の労働時間はG7諸国の中で際立って多いわけではない。これを減らしてしまうと短期的には販売数量が減る可能性もあり、そうなれば生産性は向上しない。従って、裁量労働制、働き方改革が、単なる労働時間の短縮を目的にするものであれば当面は無意味である。

 労働時間でないとすれば、販売額にこそ注目しなければならない。売価を上げるか、販売数量を増やすかのどちらかである。働き方改革、裁量労働制は、売価や販売数量の向上に寄与するかどうか、この点がポイントである。労働時間の短縮ではなく、これを増やさず、売価や販売数量を向上させることが課題なのである。投入の問題ではなく産出の問題である。裁量労働制、働き方改革が無関係とはいわないが、もっと重要な改革なくして算出を増やすことはできない。

■経営者改革こそ本質的課題

 算出が増大するのは、まず第1に売価が上がることである。製品やサービスの価値が上がり、顧客の支払い意欲の水準が上がることである。第2に販売数量が増えることである。前者は製品・サービスの開発力の向上そのもの、製品開発戦略の問題である。後者は少子高齢化により人口が減少している国内だけでは難しく、国内の市場開拓に加えグローバルな販路開拓が不可欠で、企業戦略の問題である。

 つまり、労働者の働き方改革や裁量労働制のレベルの話ではなく、経営戦略の問題である。つまり、労働者の問題ではなく、経営者の問題である。

 製品開発力やグローバル戦略には経営者の能力が大きくかかわっている。せっかく開発した、ヒットする可能性の高い製品・サービスも経営者の愚かな判断で葬り去られ、投入した時間は無駄になった例は多い。シャープや東芝などの過去の失態をフォローすると、経営者の愚劣な選択が、生み出された多くの価値あるもの、価値あるものとして販売される可能性を葬り去ったことに気がつく。まさに経営者の能力の制約により、生産性が下げられているのである。

 正しく運用されるなら、働き方改革、裁量労働制そのものが、労働者の福祉という観点では、方向として間違っているとは思わない。しかし、これによって生産性が向上すると考えるのはナイーブすぎる。現代の日本における生産性向上は、経営者の製品戦略や市場戦略、さらには経営戦略が真っ当であって初めて実現できることを忘れてはならない。

(文=井上隆一郎/桜美林大学教授)


 

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コメント
 
1. 2018年5月08日 09:53:21 : obVt2T3Urc : kda8XbQkqA4[253]
 
 うそだ〜〜

 愛が 10年前に イタリアに旅行に行って 観光バスの運転手は

 1日の 運転時間を きっちり守っていた

 ===

 それから 何年かして 日本では 夜行バスが 長時間労働で バス事故を起こしている

 ===

 イタリアよりも 愚劣なのが 日本だぞ〜〜 全部 ウソの数字を 並べやがって
 
 uso souri of abe




2. グーミン[137] g0@BW4N@g5M 2018年5月08日 18:01:52 : E9ffpb1Zdg : W49pyXGhIm0[45]
日本人はイタリア人は働かないと思っている人が
多いと思う。

彼らの朝からの熱血は一緒にやってみたらわかる。
世界でも指折りの働く民族じゃないかと。
その代わり他人の仕事には関わらない口を出さない手伝わない
というルールがあるが…

実際、彼らは朝っぱらからエンジン全開で飛ばしまくる
日本人のスロースタートとは違う。
イタリアの労働者階級は最も下の階級だけれど彼らは
黙々と働く。

そうして残業が無ければスパッと切り上げて退社する。
日本人の退社1時間前の処理速度が、彼らはスタートダッシュ
から延々続く。

だから日本人の「残業させ放題法案」は頑張ればできるよ
と思う。人がいないと言っても育てていないだけだ。

中国人の上司やアメリカ人の上司もとにかく後ろから突く
ように早くやれ遅いとまくしたてるがそうされていくうちに
必然とスピードは上がり。進捗確認だけになっていく。

出社打刻5分前退社打刻1分後だって誰一人文句言わない。
「じゃあ お先に失礼します」
また明日もお願いするよ。また明日ね!と帰してくれる。

日本は上司が帰らないと帰りずらいことも多々ある。

日本人は一生懸命働いている?
じゃあ、街にゴロゴロいるサボリーマンはなんだ??
そういった族が目立つから「労働裁量で良かろう」となる。

日本人全員 IQ140以上を目指せば粗方要点だけですべて
通じ合うから、しかし現在の若者の脳の劣化は酷すぎる。
自分の頭で考えないスマホに頼る。
計算できない 記憶できない 手先が不器用 ブラインドタッチ
が出来ない 予測ができない Siriの方が賢いぞこれからの
世の中どうすんだよ。

仕事が遅いのもここに原因があるのかも。

この先…海外の若者がドンドン日本の会社に入ってきたら
帰化植物に駆逐された在来種になる と愚痴も言いたくなる。


3. 2018年5月08日 19:47:49 : ZzavsvoOaU : Pa801KbHuOM[19]

そもそも長時間労働が健康に悪いというのは、妄想であり

短くてもメンタルストレスが強い人は健康を害し、最悪、自殺することになる


つまり野党が言うような規制は意味が無く

必要なのはメンタルを含む厳しい健康管理義務ということだ

ワーカホリックと長時間労働はどう違い、あなたの健康にどんな影響をもたらすのか

リーケ・テン・ブランメルユイス,ナンシー P. ロスバード:サイモン・フレーザー大学ビーディ・スクール・オブ・ビジネスの経営学助教授。

2018年5月8日
働きすぎは身体に悪いとよく言われるが、実際のところ、具体的に何が健康を害するのかはよくわかっていない。同じように週に60時間、70時間働いている人の中にも、活きいきとしている人もいれば、くたびれて倒れる寸前の人もいる。筆者らが長時間労働とワーカホリックの違いを調査したところ、単に労働時間だけではなく、より心理的な側面が健康に影響を与えることが判明した。

 グローバルな介護製品企業の財務担当ディレクターであるハンナは、長時間働く。
 オフィスにいる時間は通常、午前9時から午後5時までだが、自宅で3人の子どもが眠りについてから、さらに4時間働き、深夜までずっとパソコンに向かっている。時には、週末も働く。週に60〜65時間働いているわけだが、必要なときには「スイッチを切る」ことができ、毎日活力がみなぎっているように感じるという。健康に不安を感じたことは、これまでない。
 米国の保険会社の戦略担当ディレクター、マイケルの仕事時間はハンナほど長くない。
 彼の1日は通常、午前8時に始まり午後6時には終了する。しかも、金曜日は午後3時に退社することが多い。だが、週平均労働時間が45時間であっても、また独身で子どもがなくても、マイケルはなかなか「スイッチを切る」ことができず、仕事による緊張をほぐすのに苦労している。絶えずメールをチェックし、仕事のことを気に掛けているという。
 マイケルは数ヵ月前の定期健診で、かかりつけの医師からLDLコレステロール値が高いと指摘された。つまり、心血管疾患や糖尿病になるリスクが高まっているのだ。彼は、コレステロール値を下げる薬を処方してもらった。
 働きすぎは健康によくないと、たいていの人は考えている。だが、そのどこが厳密に不健康であるかははっきりわかっていない。長時間働くことが、健康問題を深刻化させるリスクを増大させるのだろうか。それとも他の何か、たとえばマイケルのような仕事への強迫的なメンタリティ−(心的傾向)が、健康に有害なのだろうか。
調査結果は何を示しているか
 我々は行動(長時間労働)とメンタリティ(働かなければという強迫的な衝動、すなわち「ワーカホリック」)との違いを解明しようと試みた。
 そこで我々は、3500人以上の従業員が働く国際的なコンサルティング会社のオランダ子会社で、2010年に調査を実施した。まず従業員には、アンケート調査票に記入するよう依頼した。次いで、医療スタッフの実施する人間ドックに参加することを依頼した。763人の従業員が両方の依頼に応じてくれた。
 調査票では、参加者たちのワーカホリック傾向(例:「何かに取り組んでいないときには、罪悪感を覚える」「仕事のときは自分で締め切りを決めて、みずからにプレッシャーをかける」)、仕事のスキル、仕事のモチベーション、そして通常の週の労働時間について尋ねた。また、頭痛や胃の疾患をはじめ、さまざまな心因性の健康問題を抱えたことがあるかも尋ねた。
 人間ドックの結果からは、さまざまなバイオマーカー(たとえばウエストのサイズ、中性脂肪、血圧、コレステロール値)に関する情報を得た。これらの情報を全体的に把握すれば、心血管疾患や糖尿病を発症するリスクを評価するための信頼できる基準になる。ちなみにこのリスクは、「メタボリック・シンドロームになるリスク(RMS)」と呼ばれる。また性別、年齢、学歴、心血管疾患の家族歴など、多くの要因のコントロールも行った。
 調査の結果、労働時間は健康問題に関連していない一方、ワーカホリックは関連していることが判明した。
 長時間(通常は週40時間超)働くけれど、仕事のことで思い詰めたりしない従業員は、ワーカホリックな従業員に比べ、RMSレベルは高くなく、健康上の訴えも少なかった。ワーカホリックな従業員は、長時間労働の有無にかかわらず、健康上の訴えが多く、RMSレベルも高かった。加えて、単に長時間働くだけでワーカホリックな傾向のない従業員よりも、体調回復の必要をより切実に訴え、不眠症など睡眠障害もより多く抱え、いっそう皮肉的になりがちで、精神的により消耗した状態にあり、抑うつ感情をもっと顕著に示した。
 この調査以外で、我々が個別にインタビューしたハンナとマイケルの体験談も、上記の結果に合致する。ハンナは長時間働くが、仕事のことで頭がいっぱいではない。夜、仕事を終えると満足感を覚えて、寝つきもいい。翌朝にはさわやかな気分で目覚め、新たな1日を迎える。彼女は我々にこう語った。「働いている間は仕事に真剣に打ち込みますが、その日の分は十分にやったと判断した瞬間に、仕事のことを忘れます」
 対照的に、マイケルには一生懸命に働かなければという強迫的な衝動があり、仕事をしていないときには気持ちが落ち着かない。仕事のことをあれこれと考え続け、入眠もスムーズではなく、リフレッシュした状態で翌朝を迎えることも難しいと感じることがよくある。一般的なストレスレベルについて尋ねると、彼の答えはこうだった。「仕事についてストレスや不安を感じなかった日がいつだったか、もはや思い出せません」
 単に長時間働くだけの人とは違い、ワーカホリックな人は、心理的に仕事から距離を置くことに苦労する。また周知のように、あれこれ考え続ければ、往々にしてストレスや不安、うつ状態、睡眠障害が同時並行に発生し、仕事疲れからの回復が妨げられる。したがって多くの場合、ワーカホリックな人のストレスレベルは慢性的に高く、身体の疲労困憊が進む原因になる。
 その理由を以下、手短に説明しよう。
 ストレスに対処するために、体内の複数の組織(心臓血管系、神経内分泌系など)が活性化される。たとえば、重要な締め切りが迫っているとしよう。期限が近づくにつれ、ストレスホルモン(コルチゾールなど)、炎症性サイトカインと抗炎症サイトカイン(インターロイキン—6など)、それに血圧がおそらく上昇するだろう。だが締め切りが過ぎれば、これらの値は「セットポイント」として知られている、元の水準に戻るはずだ。
 一方、過度の仕事量を抱えて、体内組織の活性化が通常の範囲を超えて継続している場合は、セットポイントが再設定される可能性がある。上昇した血圧が慢性的になるおそれがあり、コレチゾールも上昇したままになるかもしれない。高くなったままのセットポイント付近で生命システムが働き続けると、心血管疾患や糖尿病、さらには死に至るリスクが高まる。
「ワーカホリック」とは
 心理学者のウェイン E. オーツが、1971年に編み出した造語である。オーツは「絶え間なく働き続けなくてはいけないという、制御不能な考え方」を中毒と称した。ワーカホリックな人の特徴として、一生懸命に働かなければならないという強迫観念を持ち、仕事のことが頭から離れず、働いていないときには罪悪感を覚えて落ち着かなくなることが挙げられる。ワーカホリックはしばしば長時間労働につながっているが、両者には次のような明確な違いがある。
・長時間働いても、仕事に対する強迫観念を持たないことは可能である。
・常に仕事に強迫観念を抱いているが、週の労働時間が35時間以下のこともある。
仕事が大好きであれば、何かが違うのか
 ワーカホリックの大多数の人は、自分の強迫的な仕事習慣を認識しており、起こりうる健康リスクについて、友人や家族からしきりに警告を受けている。彼らが一様に口にする言い分は、仕事が大好きだということだ。
 前述の調査とは別に、我々は人身傷害を扱う弁護士のリンダにもインタビューした。彼女は、仕事中毒であることをためらいなく認めるが、仕事が楽しすぎるので習慣を変えるつもりはないと言う。
 リンダの勤め先はカナダにある中堅の法律事務所で、彼女の労働時間(週に40時間)は弁護士としてはきわめて短いけれど、働いていないときには罪悪感を覚え、勤務時間外にもしょっちゅうクライアントのために解決策を考え出そうとする。その結果、仕事後に5歳の我が子との遊びに没頭するのが難しいと感じている。また、仕事についてあれこれと考え、仕事上の課題に取り組むための新しい方法を考え出そうとするので、頭痛や不眠症に頻繁に悩まされている。
 慢性的な頭痛や睡眠障害について、夫や信頼のおける同僚に話すと、2人から医者に診てもらうように促された。だがリンダは当初、それに抵抗した。彼女は我々にこう語った。「実際のところ、少なくとも身体的には、具合の悪いことはそんなに多くはありません。ただ1日の時間がもっと必要なだけです」
 仕事を満喫していれば、ワーカホリックによる健康への悪影響が軽減されるかを確かめたいと、我々は考えた。そこで調査データを検討して、仕事へのエンゲージメントが高い(つまり仕事を満喫し、元気いっぱいに働いていると実感し、仕事にたやすく没頭できる)ことを示したワーカホリックと、仕事へのエンゲージメントが低いワーカホリックを区別した。
 その結果、両タイプとも心因性の健康上の訴え(たとえば頭痛、胃の疾患)と精神的な健康上の訴え(たとえば睡眠障害、抑うつ感情)が、ワーカホリックでない従業員よりも多いことが判明した。ただし、エンゲージメントが低いワーカホリックのRMSは、エンゲージメントが高いワーカホリックの同レベルを上回った。メタボリック・シンドロームになるリスクが4.2%高かったのだ(この差は小さいように思えるかもしれないが、たとえ微増であっても健康に深刻なリスクをもたらしうる)。
 このことから、仕事が大好きであれば、ワーカホリックに関連するリスクの一部が軽減されうることが示唆される。またエンゲージメントが高いワーカホリックは、自宅でも職場でも、エンゲージメントが低いワーカホリックよりも多くのリソースを有していることも判明した。
 具体的には、エンゲージメントの高いワーカホリックは、エンゲージメントの低いワーカホリックと比較すると、上司や同僚、配偶者から、より社会的なサポート(たとえばアドバイス、情報、評価)を受けていると回答した。コミュニケーション・スキル、タイムマネジメント・スキル、および一般的な仕事スキルについても、エンゲージメントの低いワーカホリックよりも高いスコアを獲得し、また仕事への内因性モチベーションもはるかに高いことが、エンゲージメントの高いワーカホリックの回答から明らかになった。
 エンゲージメントの高いワーカホリックは、この豊富なリソースのおかげで、初期の体調不良がより深刻なリスクに発展するのを免れるのかもしれない。リンダの事例では、心配してくれる夫の意見に耳を傾け、最終的には、かかりつけの医者に診てもらった。一般的な健康診断の結果、リンダが思っていた通り、生理学的観点では健康に問題はなかった。だが、かかりつけ医は、リンダが診断中に睡眠障害に言及したことに鑑みて、専門のカウンセラーへ彼女を照会した。
 ここで紹介した事例を検討すれば、ハンナとマイケル、そしてリンダは、3人とも一生懸命に働いているが、仕事へのエンゲージメントは大きく異なることが明らかであり、したがって健康上のリスクも異なる。
 ハンナは長時間働くため、ストレスレベルが時折高くなる。ただし基準値に戻るので、ストレスは慢性的ではなく、ストレスに関連した精神的な健康リスクや身体的なリスクもない。マイケルは仕事への強迫的メンタリティの持ち主であり、しかも仕事を楽しんでいない。そのため、慢性的なストレスやフラストレーションを抱えており、不安や抑うつ感に頻繁に襲われ、心血管疾患になるリスクも高い。リンダも同様に仕事への強迫的メンタリティの持ち主だが、仕事が大好きで、また支えになる家族がいると報告している。睡眠障害と頭痛に悩んでいるが、心血管疾患になるリスクは高くない。
2つの重要なメッセージと、それに関連した警告
 これらのエピソードと我々の調査結果から、2つの重要なメッセージが明らかになる。
 1つは、健康への影響に関していえば、長時間労働はワーカホリックほど悪い影響は及ぼさないということだ。
 ただし、ここには警告文が付くことを忘れてはいけない。我々がサンプルとした従業員の週の労働時間は最長65時間であるため、それよりも長い労働時間が健康にもたらす影響は不明なのだ。週の労働時間が70時間以上であれば、仕事から距離を置いたり、リフレッシュする活動に従事したり、十分な睡眠をとったりすることが、かなり困難になるかもしれない。その点を差し引いても、やはり、働く時間の長短よりも、仕事に対する考えや感情のほうが、個人の幸福感や健康上のリスクに影響を及ぼすようだ。
 我々の調査から得られた2番目の重要なメッセージは、仕事が大好きなワーカホリックは、極めて重い健康リスクから多少は保護されているということだ。その理由は、「自分の仕事には、注いだ努力に見合う価値がある」と彼らが考えているからかもしれない。
 ただし、このメッセージにも警告が伴う。すなわち、エンゲージメントの高いワーカホリックは、エンゲージメントの低いワーカホリックと比較すると、生理的な健康リスク(RMS)が低いが、それでもやはり、ワーカホリックでない従業員と比較すれば、抑うつ感情、睡眠障害、さまざまな心因性の健康上の訴えのいずれにおいても、「該当する」との回答率が高い。これらはすべて、どんなに仕事が大好きでも、ワーカホリックな人の健やかな生活は損なわれる可能性があることを示している。
ワーカホリックの悪影響を回避する
 調査結果に基づき、ストレスを管理できる水準に維持して健康上のリスクを防ぐのに役立つソリューションを、ここで提案しよう。
 第1のステップは、仕事との関係が不健全になったときに、それを認識できるようにすることだ。すなわち、仕事をコントロールできないと感じ、また実際に、仕事以外の関係まで損なわれている場合である。
 次のステップは、自分の働き方をコントロールする力を取り戻すことだ。そのための1つの方法は、1日の労働時間について明確なルールを設定することである。これにより、1日にこなせる仕事量には上限があることを受け入れやすくなる。「スイッチを切る」のに苦労する場合は、就寝の2〜3時間前には仕事を切り上げるとよいだろう。友人に会ったり、映画を見たり、読書をしたり、新しいスキルを学んだりなど、仕事以外で楽しめる活動を始めることも、心理的に仕事から距離を置く助けになる。
 また、自分がなぜ強迫的かつ過剰に働くのか、その理由を熟考することも役立つ。エンゲージメントが高いワーカホリックと低いワーカホリックの間には、仕事のモチベーションに著しい違いがあることがわかった。エンゲージメントの高いワーカホリックが働く理由は、仕事を楽しんでいるか、あるいは仕事に意義を見出しているかであった(いずれも内因性モチベーション)。対照的に、エンゲージメントの低いワーカホリックは、金銭やステータスなどの外因性モチベーションのために働く傾向が強かった。内因性モチベーションは相対的に、楽観主義や努力、粘り強さと関連しているのに対し、外因性モチベーションは往々にして、不安を駆り立て、粘り強さを削ぎ、失敗する可能性を高める。
 先を見越すメンタリティは、内因性モチベーションを持つ従業員の特徴であり、初期の体調不良を感じたときに、このメンタリティが対応策を取るように後押しするのかもしれない。対照的に、外因性モチベーションに伴う可能性がある不安とフラストレーションのために、エンゲージメントの低いワーカホリックはいっそう受け身になるおそれがあり、不健康な仕事習慣を続け、ついには重い健康上のリスクに直面する。
 したがって、新しいプロジェクトを通してでも、あるいは新しい働き口を通してでも、仕事の内因性モチベーションを促進する方法を見つければ、より幸せになるばかりでなく、より健康的になる可能性がある。
 マネジャーが介入することによっても、従業員が内因性モチベーションを見つけるのを助けられる。従業員の仕事へのエンゲージメントを回復させ、より多くのサポートを提供するのである。具体的には、難しくはあるが実現可能なタスクを割り当てたり、煩雑な手続きなどの障壁を取り除いたり、個人的成長とプロフェッショナルとしての成長について話し合ったり、仕事を遂行するためのリソース(たとえば裁量、フィードバック、サポート)を豊富に提供したりすることが考えられる。
 マネジャーは、仕事熱心な部下のコミュニケーション・スキルや時間管理スキルを、強化するのを助けることができる。その方法として、その週にやるべきことのリストを作成したり、長期目標リストを作成したり、緊急のタスクとそうではないタスクを区別したり、集中して重要なタスクに取り組む時間枠をつくったり、といったことが挙げられる。友人や家族も、家庭で精神的かつ実際的なサポートを提供することで、大きな役割を果たすことができる。
 結局、大切なのは、仕事に対する強迫的メンタリティを特定して、悪影響につながるのを防ぐことだ。エンゲージメントを高め、「スイッチを切る」能力を磨けば、仕事中も仕事以外でも幸せを実感しやすくなるだろう。

HBR.ORG原文: How Being a Workaholic Differs from Working Long Hours — and Why That Matters for Your Health, March 22, 2018.
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リーケ・テン・ブランメルユイス(Lieke ten Brummelhuis)
サイモン・フレーザー大学ビーディ・スクール・オブ・ビジネスの経営学助教授。オランダにあるユトレヒト大学で組織社会学の博士号を取得。関心のある研究テーマは従業員の福利に関するもので、ワーク・ライフ・バランスやストレス、ワーカホリック、回復、健康などがある。
ナンシー P. ロスバード(Nancy P. Rothbard)
ペンシルベニア大学ウォートン・スクールのデイビッド・ポトラック記念講座経営学教授。


4. 2018年5月08日 21:26:41 : z0SQdjEyNM : pYIKdJH9r_s[381]
貧乏にならないためにはお金を稼げばよいと言っているに
等しい。簡単に稼ぐ魔法があるならみんな金持ちだ。

5. 2018年5月09日 19:37:49 : eEzd6rOoT6 : vZNfPjdtd4g[23]
まともに長期休暇も取れない日本人がヨーロッパより労働時間が短いだと、頭は確かか?

日本に足りないのは生産性ではない、貧乏人を増やして購買力が低下しているからだよ。こいつらの言う生産性などしょせん金で測っているだけで実際の経済・物の使用価値とは異なる。

彼らは30万円のブランドバック1個と3千円の実用的なバック100個が等価とするわけだが後者の使用価値は実際は100倍ある。


6. 2018年5月11日 20:20:40 : hesCGq807o : As0RjqNJN@0[217]
裁量労働制もよろしんじゃないでしょうか
の雰囲気作りの記事じゃないかな
もっと働けと

Business Journalの立ち位置を理解した


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