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深刻な人手不足が物語るもの、それは生産能力が限界に達した日本の姿を映している。
それは日本経済が、人的要素の面で生産限界に達したことを意味している。他の生産資源に比べ人的資源が足りなくなったのである。
デフレは、市場の資金が十分ではないため、消費に対する資金が不足していることから生じており、実体市場の消費を促す政策を取らねばならない。
にもかかわらず、生産量至上主義の経済政策を30年間とり続けた成れの果てがこの結果である。
所得線が45度以下の角度のデフレ線が支配する市場では、生産量の増大に連れ、所得が漸次減少する収穫逓減の法則が成り立っている。
そのためいくら生産量を上げても所得が上がらないため、日本はほぼ完全雇用状態に陥ったのである。それでも、均衡点が来ず、所得が上がることはない。
実際、日本の就業率は最終段階近くの高さになっており、それでも所得が自律的に上がる気配はない。
そしてこの人手不足が、生産の増加を既に妨げ初めている。これ以上生産量増大策をとっても生産量は想定ほど増えない。どこかに人が移動し生産が伸びても、それ以外のところが、人が不足し生産できなくなるからである。
そのため、これ以上の生産量増大策は、無意味であり、資源の無駄使いになるだけだ。
バブル崩壊後取ってきた数々の成長戦略、小泉政権下の成長戦略にしろ、阿部政権の3本の矢の一つの成長戦略などが、ここに至って終焉を迎えたのである。
これからは低金利などによる生産刺激策も、効果よりも弊害がより大きく出てくるだろう。
低金利による、設備更新や、設備の増強も、またチェーン店の他地域への出店も、人集めがネックとなり、容易にはいかなくなる。
生産の増強より維持で手一杯になっていく。さらに生産増強策が続くと、生産を維持できない企業が増え、需要があるのに、倒産や廃業が増え、資源の無駄使いが顕著になっていく。
マイナス金利の弊害もますます顕著になり、銀行の合併、統合が活発化し、企業からの資金の引きはがしが多くなり、企業の倒産廃業が進んで行く。
マイナス金利により、主要な収益構造を失った地方銀行の疲弊が激しく、銀行の機能低下が、地方経済の荒廃を促進させる。
公共投資の増大は、政府関連の事業を拡大させ、民間の労働者の引きはがしを招く。それが地域経済を縮小させる。
カジノ法案が可決されたらしいが、これが実施され、大規模な施設ができた場合、そこへの人の集団移動が、他の地域の人剥がしとなる。
現在、東京オリンピック、東北復興などにより、東京、東北に、人、資金、資材、などの生産要素が集中している。それが地方経済の縮小に輪を掛けている。
都市部の保育所の増加より、地方の保育所の統廃合の方が多くなる。
円安政策も、輸出産業のこれ以上の増産は難しくなり、外国人観光客相手の宿泊業も、これ以上観光客が増えてもサービスが低下するばかりである。
日本経済は、もはやこれ以上の生産伸長による景気回復はできない段階に至ったのである。
日本政府がこれまで取ってきたデフレ下の留どまることのない成長戦略は生産能力の限界にきてようやく終焉を迎えることになった。
政府関係者や、官僚等の指導層は、大いに反省すべきであろう。しかしここに至っても彼らは何が起こっているのか分かっていない恐れがある。
なお懲りない政府は、
まだまだ足りないとばかりに、円安やマイナス金利、オリンピック、カジノ、などを遂行し、余計な仕事を増やし、人の取り合いをさせている。何も分かっていないのだ。
政府の肝入りの公共投資事業などは、資金が豊富なため、好待遇が期待できる。しかし地方の労働者や、地場産業の従事者は理論のようにすんなりと高賃金の方へと移動できるわけではない。
親を見たり介護したり、あるいは地元のために働いている。今の政府のデフレ政策では地元の繁栄は期待できない。ますます貧困化していく。また人はがしをされると、地場産業が消滅し、地域の商店街もなくなる。
またデフレの場合の人の取り合いは、必ず生産コストを上げるものであり、それを十分に価格に反映できないため、経営状態が悪くなっていく。
賃金の上昇は、企業の倒産廃業を増やし、失業者を結局増大させ、景気を冷やしていくのである。そしてよりデフレが進行する。
最近新聞紙上でよく専門家らしい人が、春闘で成果が上がり、賃金が上昇しているので、デフレから抜け出す好機であるというようなことを言っているが、それは、絶対にない。
生産量伸長による所得増の目論みは、拡大再生産している市場においてのみもたらされるものであり、デフレ下では、生産量の増大は、所得の逓減を招く。
デフレ下の官製の賃金アップは、製造コストを引き上げるが、市場の価格を上昇させることができない。そのため企業の経営状態が悪くなる。ブラック企業の常態化が懸念される。
政府は、労働力不足が明らかになっても、なお生産伸長策を取っており、労働不足に対し移民で補おうとしている。
政府は、今回実習目的の外国人労働者にさらに5年の延長滞在ができるようにするらしい。完全にデフレの罠に嵌まっているのである。
ますます外国人労働者が増え、生産量の増加と共に低賃金化していく。彼らが増えても、健保や、年金が増えるわけでもない。彼らが増え、日本人労働者が減少すれば、年金の支払いがますます困難になっていく。
移民労働者が増えればGDPが増えるというような昔のドイツ経済の神話を信じてはいけない。それはデフレ下ではなかったのだ。
日本政府はなおも一路最貧国を目指してデフレを推進している。小泉政権下の経済政策や、それを模倣したアベノミクスはその典型的な事例である。
このままでは日本人は、働き死にさせられるだろう。
いまここですぐに政策を変えなければならない。
無意味な低金利による生産刺激策を止めさせよう。
公共投資によるインフラ整備、
円安による、輸出産業や、観光事業への補助金、など余計な成長戦略は要らない。
消費の回復を基調とする経済政策への移行が大事なのだ。
雇用保険の満額保障と延長、金利の引き上げによる一般消費者の担保の増加、公共投資の縮小による民間への人材確保、、
さらに、住宅ローン破綻懸念者に対する助成。
消費税の引き下げ、物納による税金の支払いの拡大。
いろいろな政策があり、実行すれば、簡単にデフレは解消されるであろう。
もう一度繰り返そう。生産能力が限界に達した日本は、これ以上の生産伸長策による景気回復は、無意味であり、無駄である。弊害のみ大きくなる。
バブル以降繰り返された、生産力増強による所得増を目指す景気回復策は、人的資源の枯渇を以て、終焉を迎えたのである。明らかな失敗である。
私達は、これを好機と見て、経済政策を変更し、新たな消費増進策に取り組む時である。
一言主
http://blog.so-net.ne.jp/siwaseninarou/
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/参照のこと
2千7年8月29日低金利の行き着く先は、デフレ下の完全雇用
2千8年8月12日デフレと日本の移民政策
など参照のこと。
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