http://www.asyura2.com/18/hasan126/msg/803.html
Tweet |
爆死案件が続々「クールジャパン」はこんなにひどいことになっていた もちろん、最終評価は先の話だが
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55359
2018.04.23 原野 城治 政治・外交ジャーナリスト 現代ビジネス
クールジャパン投資事業で44億円の損失
大々的に喧伝されてきたクールジャパン政策が迷走している。
日本の文化を海外に紹介し、マンガ・アニメ、食、ファッションなどの輸出を支援すると官民ファンドの産業革新機構が投資した事業が成果ゼロのまま次々に打ち切られ、その株式が民間企業に極めて廉価で売却されている。
中には20億円以上の「全損」案件もあり、税金の無駄遣いがはなはだしい。特に、2013年11月に鳴り物入りで設立された「海外需要開拓支援機構」(クールジャパン機構、東京都港区)のいくつもの投資事業案件が苦戦続きとなっている。
会計検査院は4月13日、アベノミクスの推進役として相次いでつくられた官民ファンドの投資損益調査結果を発表した。それによると、2017年3月末時点で全14のファンドの4割強にあたる6つのファンドが損失状態になっていることが判明した。
言うまでもなく、官民ファンドの財源の大半が公的資金(税金)である。日本文化・インフラの輸出促進やベンチャー支援などのため企業や事業に投融資し、ファンドごとに保有株売却などで最終的に利益を確保、回収前することを目指している。
もちろん、官民ファンドの中には利益を上げて順調なところもある。しかし、出資先の純資産などをもとに時価評価額を試算したところ、6ファンドで回収額と保有株などの評価額合計が投融資額を下回り、損失状態となっていた。
各ファンドは10〜20年程度の設置期間を終えるまで運用実態が外部から見えないだけに、この損失状態を放置するとリスクを膨らませる可能性が高い。
その中でも、クールジャパン機構の損失が突出している。具体的には、2017年3月末時点での投融資17件、総額約310億円のうち損失は約44億円に上る。「森友学園」へ国有地売却での8億円値引き疑惑に劣らぬ無責任ぶりだといえる。
当然、官民ファンドの損失が拡大すれば、今後は省庁をまたぐ再編が政治問題化するのは避けられず、当然、クールジャパン機構もその統廃合の対象になる可能性が高い。
中身の薄い官製”クール”
第二次安倍政権の誕生(2012年12月)のあと、内閣府、経産省の主導で開始された「クールジャパン戦略」は、外国人がクール″ととらえる日本の魅力を情報発信して、海外への商品やサービスを展開、さらに観光によるインバウンドの増加を図ろうというもの。
アベノミクスが掲げる成長戦略のひとつの柱であり、クールジャパン機構が大々的に事業を展開してきている。
同機構の名称からすると文化事業と勘違いするが、コンテンツへの補助金を配分する機関ではなく、海外需要を取り込むため民間事業者に対し投融資で支援する組織である。換言すれば「日本の魅力」を産業化し、海外需要獲得のためリスクマネーの供給を軸とする民間企業支援を行うというものだ。
しかし、ブランド戦略である「クールジャパン」の戦略的コンセプトはイメージ先行で、コアが判然としない。
経産省商務情報政策局によれば、クール″とは「日本の生活文化の特色を生かした商品又は役務を通じて日本の生活文化が海外において高い評価を得ていること」と官庁用語で説明をするが、要は外国人がクール(かっこいい)と捉える日本の魅力のに他ならない。
具体的にはマンガ・アニメ、ゲーム、ファッション、食、伝統文化、デザイン、ロボット、環境技術などを挙げている。しかし、マンガ・アニメを除けば、先進国の大半が広報戦略で普通に挙げる項目の羅列に過ぎない。官製クールの薄っぺらさ″が透けて見える。
中身の薄い官製”クール”
第二次安倍政権の誕生(2012年12月)のあと、内閣府、経産省の主導で開始された「クールジャパン戦略」は、外国人がクール″ととらえる日本の魅力を情報発信して、海外への商品やサービスを展開、さらに観光によるインバウンドの増加を図ろうというもの。
アベノミクスが掲げる成長戦略のひとつの柱であり、クールジャパン機構が大々的に事業を展開してきている。
同機構の名称からすると文化事業と勘違いするが、コンテンツへの補助金を配分する機関ではなく、海外需要を取り込むため民間事業者に対し投融資で支援する組織である。換言すれば「日本の魅力」を産業化し、海外需要獲得のためリスクマネーの供給を軸とする民間企業支援を行うというものだ。
しかし、ブランド戦略である「クールジャパン」の戦略的コンセプトはイメージ先行で、コアが判然としない。
経産省商務情報政策局によれば、クール″とは「日本の生活文化の特色を生かした商品又は役務を通じて日本の生活文化が海外において高い評価を得ていること」と官庁用語で説明をするが、要は外国人がクール(かっこいい)と捉える日本の魅力のに他ならない。
具体的にはマンガ・アニメ、ゲーム、ファッション、食、伝統文化、デザイン、ロボット、環境技術などを挙げている。しかし、マンガ・アニメを除けば、先進国の大半が広報戦略で普通に挙げる項目の羅列に過ぎない。官製クールの薄っぺらさ″が透けて見える。
この中で、最も無責任な失敗投資が株式会社「ALL NIPPON ENTERTAINMENT WORKS」(ANEW)といえるだろう。
ANEWは、経産省が主導し官民ファンド・産業革新機構が2011年に総額60億円、100%出資という形で設立された官製映画会社である。その事業目的は、コンテンツの海外展開として日本の知的財産を活用しハリウッドで映画を製作するというものだった。
しかし、ANEWは映画7作品の企画開発を打ち上げたが、1本も映画制作に至ることなく、2017年5月にベンチャーキャピタルに3400万円という破格の価格で身売りした。その結果、産業革新機構が投資した22億2000万円の出資をほぼ全額が損失した。
設立当時から問題を抱えたANEWは日本側の最高執行責任者が次々と交代し、国会でも追及されたがうやむやになり、困った果てた末に損切り。しかも、身売り先の新会社は、所在地も人員も旧ANEWの業務執行体制を引き継いだだけ。不透明極まりない身売りだといえるだろう。
官製クールジャパンの甘い計算で巨額公的資金が消えた出来事と指摘できる。関係者によると、6年間の総売上高が1500万円にも関わらず、外国人幹部には1回のボーナスで2000万円を支払っていたというような杜撰な経営が行われていた。
低空飛行の海外放送事業
特に注目度の高いクールジャパン機構の出資金は2017年4月時点で、政府出資586億円、民間収支107億円で総額693億円に上る。対象は、1)メディアコンテンツ、2)ライフスタイル、3)食・サービス、4)インバウンド、5)分野横断――の5ジャンルで、既に25件、約529億円が投資されている。
ところが、設立から満4年を経過した時点で、投資案件の4割にあたる事業で赤字が累積しているという苦戦状況だ。
同機構の太田伸之社長は、『月刊経団連』(2017年5月号)への寄稿で、日本の魅力的コンテンツの海外展開の呼び水として、空中戦″の海外放送事業「WAKUWAKU JAPAN」と地上戦″の全館クールジャパンの百貨店「ISETAN the Japan Store」(クアラルンプール)を紹介しているが、この代表的案件がともに迷走状態にある。
海外放送事業「WAKUWAKU JAPAN」は、スカパーJSATとの合弁事業で、日本のアニメ、ドラマ、スポーツ、音楽、情報などの番組を現地語で放送し、2020年までに22カ国で展開するのが目標。
しかし、著作権や版権さらにはコンテンツ自体の質的問題などから番組の視聴率は低迷し、赤字を垂れ流している。「日本へのインバウンド誘導に貢献できる」と太田社長は強調したが、電通関係者によると「やればやるほど赤字が増える」というのが実情のようだ。
アグリージャパンとならぬように
地上戦″の代表例として挙げられた「ISETAN the Japan Store」も、2016年11月にクアラルンプール中心部に地下1階、4階までという日本商品だけを展示したデパートとしてオープンしたが、歓迎されたのは初めだけ。
太田氏は「この店を舞台に日本のテレビ局がドラマを製作、マレーシアでも人気となった」(同誌)と自賛したが、現地の価格設定がバラバラで高すぎる上に、ありきたりな酒、寿司、そば、工芸品といった展示は自治体の「アンテナショップ」の拡大版でしかないというのが現地の冷めた評価だ。
計画を推進した三越伊勢丹ホールディングス(HD)の大西洋前社長も2017年3月、独善的な経営手法が批判を浴びて突然失脚した。
現地の在留邦人の間では「マレーシア進出の日本企業は3年以内に7割が撤退」というジンクスがある中、日本製品特化のデパートはまさに、スタートから採算度外視のビジネスだとしか言えないのかもしれない。
クールジャパン機構はそれに10億7000万円を投資している。日本ブランドの紹介で日本への観光インバウンドを期待することのようだが、税金が投入されている組織の仕事としては十分な説明が必要だ。そもそも、クールジャパン″は商売用の看板ではない。
しかも、投資案件は出資した民間企業23社(1社5億円、地方銀行2行は1億円)が手掛ける事業への投資が目立つ。
三越伊勢丹HDもその1つだが、ニューヨークで人気のあるラーメン店「一風堂」を展開する「力の源ホールディングス」に7億円を融資し、ラーメンダイニング形式の店舗を展開している。融資枠は最大13億円まで確保されている。
しかも、クールジャパン機構が2014年12月に投資決定をした半年後に、「力の源ホールディングス」は東京証券取引所マザーズ市場へ上場した。
しかし、海外展開を望む他の中小サービス企業への支援ならいざ知れず、海外で認知度が高く営業利益を上げている有力企業に敢えて支援する理由が分からない。
まさに、事業を手掛ける民間企業は、安倍内閣と類似したようなお友達″企業への投資が優先しているように見えてしまう。
さらに問題なのは、クールジャパン機構内で今年2月に従業員に対するセクハラ問題が表面化し裁判沙汰になるなど、組織自体のガバナンスも極めに杜撰としか言いようのない状況に陥っていることだ。
経産省は3月、クールジャパン機構の太田社長を6月開催予定の定時株主総会で、ソニー・ミュージックエンタテイント元社長の北川直樹氏に交代させる人事を発表した。
組織立て直しの意図は明瞭だが、果たしてこうした人事でクールジャパン″の現場に立ち込める不可解な霧が晴れる保証はどこにもなさそうだ。
もちろん、投資案件は10年の期間を経て最終的に評価されるが、他の官民ファンドの苦戦状況と合わせて考えれば、省庁をまたぐ官民ファンドの整理や統廃合問題の中で、クールジャパン機構もその対象になる可能性は十分にある。
官庁主導の"クールジャパン"はクールでないとの批判が常にあるが、いい加減な事業展開を続け一部で言われる「アグリージャパン」にならないよう最大限の注意が必要だろう。
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民126掲示板 次へ 前へ
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民126掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。