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米国の"政治屋"に振り回される株式市場
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180307-00211597-shikiho-bus_all
会社四季報オンライン 3/7(水) 16:01配信
7日の日本時間早朝、トランプ大統領の経済顧問トップであるコーンNEC(米国家経済会議)委員長が辞任を表明した。同委員長は大統領による鉄鋼・アルミへの輸入関税の大幅な引き上げを阻止しようと、これらを使う米企業の幹部を招集し大統領と協議する場を設けるために奔走していた。8日の開催を目前にしての辞任はコーン委員長の絶望を示唆しているものと受け止められ、GlobexのNYダウ先物やドルが売られる流れとなっている。書くことがためらわれる、罵詈雑言を大統領から浴びせられたとの観測もある。
ちょうど1年前も株価は迷走を余儀なくされた。主因は地政学リスクと「トランプ」。昨年の3月6日の早朝に北朝鮮はミサイル4発を発射した。4月9日には米空母カール・ビンソンが朝鮮半島周辺へと展開し、4月25日に建国85周年を迎えた北朝鮮が大規模な軍事演習を行うなど、米朝の応酬が市場を圧迫する構図が2カ月近く続いた。
一方、トランプ大統領の前任者を否定する理念に揺らぎはなく、就任早々から精力的に行動した。2月28日の施政方針演説を終えた大統領はオバマケアの改廃に手を付けた。議会は紆余曲折、最終的には3月24日に改廃法案は取り下げられ、この問題は先送りされることとなったが、3月16日から27日にかけてNYダウが8営業日連続で下落するなど、株式市場は頭の重い動きを続けた。
見逃せないのは昨年3月18日に閉幕したG20で、共同声明に反保護主義という文言が盛り込まれなかったことだ。
1999年に20か国・地域の財務大臣・中央銀行総裁会議として始まったG20は2008年のリーマンショックの直後にオバマ大統領(当時)の呼びかけで各国・地域の首脳も参加する会合となり現在に至っている。そのG20サミットの初会合では保護主義の排除が共通認識の一つとして打ち出された。1930年代のいわゆる大恐慌が各国の保護主義=ブロック経済化によって引き起こされたとの歴史を踏まえれば、その再来すら懸念されていた当時とすれば当然の合意と言える。その後のG20サミットでも保護主義の排除は会合後の共同声明に盛り込まれてきた。その文言の削除に関して誰が最も大きな声で主張したかは明らかだろう。
3月1日、既報のようにトランプ大統領は鉄鋼に25%、アルミに10%の追加関税を課す方針を表明した。主要国の株価やEUなど貿易相手の反応は、見ての通りだ。NEC委員長の後任にラリー・クドロー氏が有力との報道もある。果たして8日の大統領と企業幹部の会合は開かれるのか、開かれたとして今後大統領は翻意するのか等々、先行きは不透明と言わざるを得ない。昨年と同様にこの問題の帰趨を見極めようと、米国市場が迷走する可能性は小さくないと思う。オバマケアが内政問題であったのに対して、貿易という国家間の取引にかかる問題だけになおさらである。
冬季五輪が終わればまたぞろ北朝鮮が策動するのではないか、そうした兆候もあるとして警戒していた向きにとって6日に韓国と北朝鮮が4月末に首脳会談を開催することで合意したことはポジティブサプライズだ。北朝鮮が、体制が保障されるなら核保有の理由はないと表明したことも驚きだ。少なくとも4月一杯は同国に関する地政学リスクを警戒する必要はないし、アメリカの出方次第では我が国にとって北朝鮮の脅威は各段に小さくなる。これについても鍵を握っているのはトランプ大統領ということになるのだろう。
それにしても政治家(政治屋というべきか)の政治家であり続けようとする執念には辟易とさせられる。前段のG20サミットに中国は4兆元の景気対策を持参した。大恐慌の再来を防ぐためにできる限りの金融緩和と財政出動を、という理念に共感してのものだった。
その中国製のタイヤに対し、リーマンショックから一年も経っていない09年の9月11日、アメリカ政府はセーフ・ガード(35%の追加関税)を発動すると発表した。中国が激怒したのは想像に難くなく、アメリカ産の鶏肉に報復関税を課すことを即座に決めた。オバマ前大統領の行動に対し「どの口が言う?」と感じたことを思い出す。
これも結局は選挙対策だったと想像されるが、案に相違して翌年の11月に行われた中間選挙において民主党は、下院の議席数で共和党に50議席以上も離されるという、歴史的な大敗を喫した。この後6年間、アメリカの政治は「ねじれ」に苦しむことになる。
今年も11月に中間選挙が行われる。新たな大統領の下では所属政党が敗北するという、オバマ前大統領も苦杯を嘗めた鬼門が待ち構えている。それが故のトランプ大統領による有権者へのアピールなのだろうが、一部の労組への媚びは逆効果と歴史が示している。
いずれにしても今後しばらくは米国内の議論を見守るしかなさそうだ。
■ 3月末安のジンクスに注意
月初めの株高という、日本市場で20カ月続いてきたジンクスは3月1日に途絶えた。リスク・パリティの後発組が、これまでとは逆に、パフォーマンスが悪化し(2月の日経平均はマイナス4.5%と、16年6月のマイナス9.6%以来の下落率)、ボラティリティも高まった(同じく16年6月以来の変動率)日本株のウエイトを落としたためと推測される。
これと同じようなジンクスが3月及び4月の日本株市場に存在する。その一つは、3月末日の日経平均は12年連続で陰線を引き、ここ3年では安値引けになっているという点だ。来年度以降の運用面での発射台を低くしたいという機関投資家の願望が背景だろうと想像している。機関投資家の多くは期末の株式、為替の値洗いを月末値ではなく月中平均で行う。昨年3月の日経平均の月中平均は1万9340円で、足元の株価が年初の水準からは切り下がったとはいえ、依然として十分に“貯金”がある。こうした年ほど、発射台を低くしたいという機関投資家の思いは強くなる傾向がある。
もう一つは、4月初日の日経平均も7年連続で陰線になっているという点だ。これは、評価替えしたばかりの株式だけに売買損益がほとんど出ず、資産圧縮をやり易いのが年度当初の局面だという、やはり機関投資家の内部事情によるものと想像される。3月の月末に向けてはドレッシングの買いだとか、新年度に入れば新規資金が流入してくるとか、はやす向きが必ずいるが、何を根拠に言っているのか、理解に苦しむことが多い。良い意味でこれらのジンクスは外れて欲しいが、今年も続きそうな予感がする。
外部環境次第とは言え、内部要因も念頭において3月および4月の相場に臨むべきではないか。
せがわ・つよし●新日本証券(現みずほ証券)に入社後、株式投信の運用業務、情報部門、自己売買部門のマネージャーなどを歴任。さくら証券にエクイティ部部長として勤務後、2001年4月に新光証券(現みずほ証券)にストラテジストとして入社。独立後は経済番組のコメンテーターとして活躍し、現在は瀬川投資研究所代表。市場関係者への丹念な取材や緻密なデータ分析に基づいた独自の相場解説で人気。
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
瀬川 剛
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