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年金の手取り金額 この20年間で32万円減らされていた
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180301-00000002-moneypost-bus_all
マネーポストWEB 3/1(木) 16:00配信
同じ年金受給額でも手取りはこんなに減っている
安倍政権による増税路線の中で、特に重税感を強めているのは高齢者である。この数年だけでなく、長い目で考えても「見えない年金増税」が続いているからだ。
図解の通り、現在80歳の人が年金生活に入った20年前、夫の年金270万円の世帯(妻は国民年金を受給)は「住民税非課税」で手取りは約265万円もあった。ところが、現在は同じ年金額でも手取りは約233万円と32万円も減っている。
この間、所得税は増税どころか、表向き最低税率は約10%から約5%に引き下げられた。それなのに年金生活者の手取りが減ったのは、高齢者狙い撃ちで税金の負担軽減措置が削られてきたからに他ならない。
「老年者控除」「配偶者特別控除」「年金控除」が廃止や縮小され、「課税最低ライン」が年収304万円から196万円へと大きく引き下げられた。つまり、この20年で税金を払わなくてよかった年金世帯からどんどん税金を取り立てるようになったのである。
高齢者を“狙い撃ち”
こうした制度変更で「住民税非課税」から「課税」になった人が1400万人近く増えた。「非課税」と「課税」でどれだけ違うか。国税出身の税理士・内田誠氏が語る。
「住民税非課税世帯は国民健康保険などの保険料が7割近く減額されています。それが課税世帯になると、年金の受給額は同じでも保険料は一気にハネ上がる。他にも、バスの無料パスや予防接種が無料になるなど自治体ごとに設けられている優遇措置が受けられなくなり、生活費の負担が大きく違ってきます」
わかりやすいケースがある。政府は消費税率を5%から8%に引き上げた2014年度以降、低所得者の負担を減らすという名目で「住民税非課税世帯」を対象に給付金を配ってきた(2014年度は1人につき1万5000円)。だが、非課税世帯の基準が変わったことで、本来ならもらえていたはずの1400万人が事前に給付対象外にされていたのである。
その後も本格的な年金カット、保険料アップという年金改悪に突き進み、介護保険料の値上げ、後期高齢者医療制度と高齢者は狙い撃ちされてきた。
「天引き」すれば気づかない
図解は年金制度に詳しい「年金博士」こと社会保険労務士の北村庄吾氏によるシミュレーションと本誌が税務当局に取材した内容を基に作成した、見えない年金増税のカラクリである。
20年前の年金270万円の高齢世帯の税額は所得税、住民税ともにゼロ。年金から支払うのは国民健康保険料の約5万円だけでよかったが、現在は税金(所得税・住民税)約8万円に加えて、国民健康保険と介護保険の保険料が合計29万円も天引きされている。北村氏が語る。
「年金振込通知書にある額面は変わらないように見えても、この間、源泉徴収される税金が増え、社会保険料も年々上がっている。年金生活者は真綿で首を絞められるように支給額を減らされているのです」
そして今年1月、厚労省は物価が上昇しているにもかかわらず、「現役サラリーマンの賃金が下がっている」という理由で4月からの年金の支給額を据え置くことを決めた。「年金は物価に連動するからインフレに強い」と言い続けてきたが、その約束を反故にしたわけである。
物価が上がって年金額が増えなければ、当然、高齢者の生活は苦しくなる。安倍首相はことあるごとに「サラリーマンの給料は上がった」と宣伝しながら、高齢者には「現役世代の給料が下がっている」と年金を実質カットしているのだ。
※週刊ポスト2018年3月9日号
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