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親が認知症になると銀行口座は凍結される 「後見人」になれる親族は3割程度
http://president.jp/articles/-/24517
2018.2.25 ライター 相沢 光一 PERSIDENT Online
死亡すると本人名義の預金口座は凍結され、お金を引き出せなくなる。だが「認知症」でも同じように口座凍結される場合がある。有料老人ホームの入居費用を本人の口座から支払えない、ということもあり得る。トラブルを避けるためにはどうすればいいのか――。
親が認知症になると、親名義の預金を子供でも引き出せない
エッセイストの鳥居りんこさんは、約10年間、母親を介護された経験をお持ちです。そのうち在宅が6年間、有料老人ホームが4年間だったそうです。私は約3カ月、父親を介護した経験がありますが、約10年間の介護というのは想像を超える長さです。
鳥居りんこさんの新刊『親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』(ダイヤモンド・ビッグ社)
鳥居さんはその介護経緯を新著『親の介護をはじめたらお金の話で泣き見てばかり』(ダイヤモンド・ビッグ社)にまとめ、より多くの人が知っておくべき「介護にかかわる事実」を紹介しています。
その筆頭が、「認知症になると、家族であっても預金を引き出せなくなる」ということです。恥ずかしながら、私はこの事実を知りませんでした。
「死亡した人の銀行口座は凍結される」ということは多くの方がご存じだと思います。人が亡くなれば、葬儀代、お寺へのお布施や戒名代などの費用がかかります。大きな金額ですから家族としても本人の預金で賄いたいところです。
しかし、通帳やキャッシュカードがみつかっても、暗証番号がわからなければ、預金は引き出せません。ここで、つい銀行の窓口に相談したくなりますが、そうすればいきなり「アウト」なのです。
▼銀行は名義人の死を知った時点でその口座を凍結
銀行は、名義人の死を知った時点でその口座を凍結します。親族間の相続トラブルに巻き込まれることを避けるためです。口座が凍結されれば家族といえども預金を引き出すことはできません。ポイントは「銀行に連絡がいくかどうか」。役所に死亡届を出しても、すぐ口座が凍結されるわけではありません。なぜなら原則として役所から銀行に連絡することはないからです。
なお、他界した親が加入している生命保険は、死亡したことを伝えても「凍結」されることはなく、保険金は請求後1週間ほどで振り込まれるので当面の支払いに充てられます。ただ、保険に入っていない場合は大変です。親族間で相談するなどし、費用を分担するなり誰かが立て替えるなりするしかありません。
この「死亡による口座凍結」と同様のことが、「名義人が認知症になったとき」にも適用されることがあるのです。認知症の進行具合によって判断はわかれるようですが、口座凍結となれば大変です。鳥居さんは著書でこんなエピソードを紹介しています。
《周囲の負担が大きいため、本人の同意のもとで在宅介護から有料老人ホームに切り替えることになった、入所費用を母親の定期預金で賄おうとしたが、銀行が母親を認知症だと認めれば、口座凍結されてしまう。母親と銀行に出向いたところ、銀行の担当者は、母親の認知症を疑っているのか、誕生日を聞いたり書類に住所氏名を書かせたりする。鳥居さんはいつもの認知症状が出ないかヒヤヒヤするが、その時の母親は頑張ってなんとかその難関をクリアする》
認知症の親の介護 息子の「自腹」額はたちまち100万円
こうした事例は決してめずらしくないようです。ベテランのケアマネージャーIさんは「口座凍結になって、お金の苦労をした利用者はたくさんいます」と語ります。
「例えば、50代の男性Sさんです。実家でひとり暮らしをしていたお母さんが認知症になり、長男であるSさんは通いで介護生活を始めました。当然、費用がかかります。あいにく『認知症の人の預金は家族が引き出せないこと』を知らなかったようで、ありのままを銀行に語り、お母さんの預金が引き出せなくなってしまった。介護サービスは介護保険によって原則1割負担で利用できますが、何かと出費はかさむものです。Sさんは仕方なく、その費用を自分の預金から払っていたのですが、ふと気づくとその額は100万円を超えるまでになっていた。Sさんには奥さん子どももいるし、このままでは自分の家庭が崩壊してしまうと思い、私に相談してきたわけです」
▼親の預金を自由に使えるようになるわけではない
この時、Iさんは成年後見制度を紹介したそうです。
成年後見制度とは、認知症など精神上の障害により判断能力が不十分で、意思決定が困難な人について、その判断能力を補い、財産などの権利を擁護する制度です。親族が後見人になれば、口座凍結にあっても、介護費用を本人のお金から出すことができます。
ただし、申し立てには、家庭裁判所による認定が必要で、手続きは煩雑です。また親族であれば後見人になれるとは限りません。2015年の統計では、親族が選任されたものは全体の約29.9%。親族以外の弁護士や司法書士といった第三者が選任されたものが全体の約70.1%でした。
後見人は本人の財産を守る存在です。必要最低限の財産使用はできますが、それを超える出費は裁判所の了解を得なければいけません。つまり、親の預金を自由に使えるようになるわけではないのです。追い詰められたSさんは成年後見人になることで自らの生活崩壊を防ぎましたが、代わりに煩雑な手続き抱え込むことになってしまいました。
では、どうしたらいいのでしょうか。
「一番いいのは、親御さんが元気なうちに、もしものことがあった時に備えて金銭面での問題をクリアにしておくことでしょうね。ただ、これが難しい」(Iさん)
老親にお金の話をどうやって相談すればいいのか
そもそも財産を子どもに知らせる親はほとんどいないそうです。親子関係が感情的なもつれなどで微妙な状態にある場合、財産の額や預金通帳のありかを教えると「子に取られてしまうのではないか」という心配があるのかもしれません。一方、関係が良好だったとしても、財産を知らせて「それしかないの?」といった反応を示されるのは、プライドを傷つけられる恐れがあるのでしょう。
また、この類いの話は「自分が死ぬ」あるいは「認知症になる」ということを前提としたもの。あまり考えたくない話題ですし、子の側から切り出しにくいテーマです。結局、親子で何も話さない。アンタッチャブルな領域なのです。
「ただ、前向きな動きもある」とIさんは言います。
「“終活”がブームになっていますよね。死を前向きにとらえ、より良い最期を迎えようという動きですが、その一方には、できるだけ迷惑をかけずに世を去りたいという発想もある。私も終活セミナーを見学したことがあるのですが、印象に残ったのは『エンディングノート』のつけ方指導です。エンディングノートには希望する葬儀の形式のほか、預金通帳や保険証書の保管場所などを書くことが多いのです。いま“終活”が注目されているのは、高齢社会を迎え、残された家族の金銭的負担が身近な問題になっているという背景があるからだと思うんです」
エンディングノートに必要な情報を記して家族に伝えるのは、死に限らず認知症で介護を受けることにも役立ちます。とはいえ、終活は家族に迷惑をかけたくないという気遣いのできる人の自発的な行為であり、子が勧めるものではありません。
▼親とお金の話をしないとお金が“奪われる”
では、どうしたらいいのでしょうか。
「センシティブな問題ですし、親子の関係性によっても異なるので非常に難しいですが、やはり親御さんが元気なうちに思い切って、もしもの時のお金のことを話しておくべきだと思いますね。兄弟がいれば全員の意見を集約して、親御さんに伝える。たとえばこんな風です。『この間、兄弟で集まったんだけど、母さんの話が出たんだ。いいトシになったなって。母さんは元気だし、俺たちもいつまでも元気でいてほしいと思っている。でも、トシがトシだし突然重大な病気になる可能性もあるわけじゃない。そんな事態と想定した時、お金のことでもめたくなと思ったわけ。母さんの財産が今いくらあるかは知るつもりはないけど、もしもの時に対応できるように、預金通帳とキャッシュカード、その暗証番号を書いたものをわかる場所に置いておいてほしいんだけど、どう思う?』。こうした切り出し方をお勧めしたいです」(Iさん)
高齢の両親に「お金の話」をすることに躊躇する気持ちはよくわかります。でも、その作業を放置しておくと、いざというときに親がせっせと貯めていたお金を銀行に“奪われて”しまうことがあるのです。
子供に迷惑をかけたくない、と考える親は多いはずです。だからこそ、腹を割った親子会議を早めに開いておくことが重要となるのです。
(写真=iStock.com)
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