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日本発無人レジは"Amazon GO"に勝てるか サインポストはコンビニを救うか
http://president.jp/articles/-/24473
2018.2.22 吉村 克己 ジャーナリスト PRESIDENT Online
今年2018年1月、アメリカのアマゾン・ドット・コムが米シアトルに無人のコンビニ「Amazon GO(アマゾン・ゴー)」を開業したことで話題になった。しかし、実はサインポストという東証マザーズ上場企業が、すでにAI(人工知能)を搭載したコンビニ用および食品スーパー用の無人レジを開発し、実証実験も行っている。その実力と可能性をサインポストの蒲原寧社長に聞いた。
■JR大宮駅で無人レジの実証実験
2017年11月、JR東日本は大宮駅でサインポストが開発したAI搭載の無人レジ「スーパーワンダーレジ」を活用した無人店舗の実証実験を行った。おにぎりや飲料、菓子など約130種類の商品を置き、一般客も利用できる。1日で約2000組の客が訪れた。
「スーパーワンダーレジ」を活用した無人レジの実証実験が行われた。
入り口ゲートで、まず「Suica」などのICカードをかざして入店。店内には天井と商品棚にカメラが設置されている。商品棚から商品を取ると、棚に設置されたカメラが何を何個買ったか認識し、天井カメラはどの客が買ったのかを認識する。
仮にポケットに商品を入れても、カメラとAIが購入を確認しており、万引きにはならない。そのまま出口に行くと自動的にディスプレイに購入した商品名と合計金額が表示されるので、確認後、ICカードで決済すれば完了だ。商品を手に取った時点で計算されているので、レジ待ちをする必要がない。この実証実験を見つめていたサインポストの蒲原寧社長(52歳)は、うれしそうにこう語る。
「ある4人家族のお客様が利用されるのを見ていると、そのお子さんがまるでディズニーランドのアトラクションに乗るのを待っているかのようにニコニコと買い物を楽しんでいました。その光景に僕自身が感動してしまいました。ショッピングでレジ待ちをする苦痛はなくなるし、買い物に楽しさを提供できたかなあと喜んでいます」
蒲原寧・サインポスト社長
サインポストの本業は、金融や行政機関向けのITに関わるコンサルティングとソリューション事業だ。創業が2007年で、10年後の2017年11月には東証マザーズに上場し、社員95人、売上高27億円(2017年度)と成長を続けている。
なぜ、コンサルとソリューションの会社が無人レジを作ったのか。
「私たちはお客様の一員として課題を解決することをポリシーとしており、ただコンサルティングするだけではありません。基本的には世の中にないものを発明し、『孫の代まで豊かな日本を創る』一翼を担いたいと思っており、無人レジは人手不足という社会問題を解決するソリューションの一つで、私の中では、やっていることは同じです」
■コンビニ向けの無人レジで人手不足を補う
冒頭の大宮駅の実証実験で使われたスーパーワンダーレジはもともと食品スーパー向けに開発したものだ。蒲原社長は当初、スーパー向けから展開しようと考えていた。
「流通業界を調べたり、関係者の話を聞くうちに、いま本当に困っているのはコンビニだと分かったのです。夫婦でアルバイトを使いながら経営しているフランチャイジーが人手不足で苦しんでいる。それならばと、コンビニ向けの無人レジから開発することにしました」と、蒲原社長。
このコンビニ向けが「ワンダーレジ」である。スーパーワンダーレジと何が違うかと言えば、シンプルでコストがかからないことだ。
ワンダーレジは50〜60センチ四方の箱形をしており、そこに商品を置くと一括でカメラとAIによって認識し、商品名と金額を表示する。事前に商品情報が登録されており、その形や商品名などを読み取る。認識率はほぼ100%近く、スピードも速い。
コンビニ用に開発した「ワンダーレジ」
「私たちは店舗を完全無人化しようなんて思っていません。あくまでも人手不足を補う手段であり、コンビニに人は必要なのです。たばこやお酒など年齢確認の必要な商品もあるし、宅配便の受付もありますから。ワンダーレジは有人レジ1カ所に2台置けますから、例えば、有人レジ3台を有人レジ1台とワンダーレジ4台にすれば、従業員4〜5人ほど削減可能です」と蒲原社長は言う。
ワンダーレジの価格は1台で100万円台後半から200万円の予定。アルバイトの人件費は年間400万〜500万円とすると、4台入れても800万円。人件費は2人で1000万円かかることを考えれば、十分元は取れる。
しかも、ワンダーレジの利点は他のどんな仕組みも変えなくていいことだ。商品にタグを付ける必要もないし、センサー類も不要だ。また、既存のPOSシステムにそのままワンダーレジをつなぐことができるという。
■「アマゾン・ゴー」と違って相手を選ばない
2018年1月にアメリカのアマゾン・ドット・コムが米シアトルに無人のコンビニ「Amazon GO(アマゾン・ゴー)」を開業して話題になった。それと比較して、「シンプルさが違う」と蒲原社長は強調する。
「アマゾン・ゴーではセンサー類をたくさん使っているらしいですが、ワンダーレジはカウンターにこの装置を置くだけでいい。しかも、アマゾンでは会員が対象ですが、ワンダーレジは相手を選びません。ICカードのような電子マネーだけでなく、現金でもいいし、クレジットカード、デビットカードにも対応します」
コンビニだけでなく、社内や工場内の従業員向け購買店でもワンダーレジを1台置いておけば、人を貼り付ける必要がなくなるし、24時間利用できる。
また、ワンダーレジには年齢・性別推定機能も用意されている。AIが利用客の画像から10代幅の年齢と性別を認識し、POSに情報を転送すれば、マーケティングに利用できる。
スーパーワンダーレジでは、さらに詳しく顧客行動が把握できるので、商品棚による購買率の変化、どんな商品をセットで買うかなども分かる。何も買わずに帰る客の行動も分析できる。
こうした利用方法はむしろコンビニやスーパーの方がアイデアを持っているだろう。現在、40社ほどと商談が進んでおり、今年4月頃には実際に店舗でお目にかかれるかもしれない。
蒲原氏は2011年からワンダーレジのプロジェクトをスタートさせ、電気通信大学の柳井啓司教授の協力を得て共同開発を進めてきた。使われているAIはディープラーニング技術を応用して独自開発したもので、「SP(サインポスト)AI」と命名された。
SPAIには商品を認識するためのさまざまな工夫が凝らされており、その文字認識機能を活用すれば、レジ以外のサービスにも応用も可能だ。手書きの漢字は難しいが、活字は認識できるので、書店ならば書籍名を自動的に確認、登録できる。現在、調剤薬局や図書館などからも問い合わせがあるという。
また、手書きでも数字については、かなりの程度認識できるので、金融機関や行政機関では業務の効率化にも利用できると期待されている。
「人手による認識作業は世の中にかなりあり、それが生産性の限界にもなっています。これをSPAIとカメラで代用することができれば、国力の向上にもつながると思います。個人的には農業や魚の養殖にも活用できると思っています」
AI研究では日本は諸外国に後れを取っていると言われている中、日本発のワンダーレジとSPAIには一大旋風を巻き起こしてほしいものだ。
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