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実は怖い教育ローン 55歳バツイチ子持ち男性を待っていた衝撃の結末とは…
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180214-00000077-sasahi-bus_all
AERA dot. 2/16(金) 11:30配信
破産しないように教育費をやりくりするには…(※イメージ写真)
荻原博子/1954年、長野県生まれ。経済事務所に勤務後、82年にフリーの経済ジャーナリストとして独立。難しい経済と複雑なお金の仕組みを、生活に根ざしてわかりやすく解説することに定評がある。著書に『隠れ貧困』(朝日新書)、『10年後破綻する人、幸福な人』『投資なんか、おやめなさい』(共に新潮新書)など。テレビ出演や雑誌連載も多い
教育費が重くのしかかり、家計が回らなくなる家庭が増えている。
その背景には大学の授業料の高騰がある。文部科学省「国立大学と私立大学の授業料等の推移」によれば、国立大学の年間授業料は53万5800円。1975年と比べるとなんと15倍にまで値上がりしている。私立大学の授業料は、それよりも高額だ。平均授業料は86万4384円。月額にならすと7万2000円ほどになる。子どもが一人ならまだしも、二人三人となると一般家庭にとってはかなりの負担だ。
実際、大学では経済的な問題を理由にした退学や休学が増えているそうだ。文部科学省の大学調査によれば、経済的理由で大学を退学する学生が、国立大学で6.8%、公立大学で6.7%、私立大学では11.3%いるという。また、経済的理由も含まれているであろう「一身上の都合」と「就職」の合計は、国立大学33.3%、公立大学で36.2%、私立大学で26.4%にのぼった。
教育ローンは怖い――。そう警鐘を鳴らすのが、『老前破産 年金支給70歳時代のお金サバイバル』(朝日新書)の著者である荻原博子氏だ。荻原氏が本書の中で綴った、教育費によって破産を迎えた男性のモデルケースを見てみよう。
* * *
新潟県に住む吉川さん(仮名)は、60歳の定年を前にして自己破産の道を選んだ。その大きな原因となったのは、子どもの教育費だった。
現在55歳の吉川さんが、2つ年下の妻と結婚したのは27歳の時。吉川さんの年収は300万円、奥さんは250万円。2人あわせて550万円の年収は、同世代の他の家庭と比べて高収入だった。その後、夢のマイホームを購入し、長女、次女、長男の2女1男の3人の子どもに恵まれた吉川さんは、多忙ながらも、幸せを噛みしめる日々を送っていた。
とはいえ、3人の子育ては楽ではない。特に、フルタイムで働きながら、家事と育児をメインで担当する妻にとっては目の回るような日常だ。よく子どものことで喧嘩もしたが、それはそれで楽しい日々だったという。
そんな吉川家に決定的な亀裂ができたのは長女が高校生のときだった。連絡をしないまま飲みにいってしまった吉川さんに、妻は激怒した。無断で帰宅が遅れたからだけではない。じつは、過去に吉川さんは過去に不貞を働いていたのだ。一度は和解したものの、妻の心の底には澱のように不安がたまっていた。今回の騒動によって再び吹き出した不信が、妻に離婚を決意させた。
妻は子どもを置いて出て行き、吉川さんは、住宅ローンを一人で背負うことになった。年収は550万円ほどになっていたが、それでも大きな負担だ。そこに子どもたちの教育費がのしかかる。長女の大学進学の際に貯金をすべて使い尽くしたうえに、教育ローンを200万円借り入れた吉川さんは、次女の進学のさいには、さらに300万円の教育ローンを借り入れた。
まだ長男の進学が残っている。しかし、住宅ローンと教育ローンの債務よって、これ以上は国や銀行などからの借り入れはできない状態になっていた。残る道は消費者金融しかなかった。
結局、吉川さんは膨れ上がった借金を払いきれずに自己破産をすることになった。マイホームを手放し、現在は小さな2Kアパートに移り住んで1人暮らしをしている。子どもたちも独立し、それぞれ奨学金を返済している。吉川さんの今の夢。それは、再び家を購入し、家族がまた一緒に暮らすことだという。
* * *
荻原氏によれば、日本の高等教育の問題点は、公的支出の少なさにあるという。経済協力開発機構(OECD)によれば、加盟国各国のGDPに占める小学校から大学までの教育機関への公的支出は日本が3.2%。その中でも、高等教育への公的支出割合は日本が最下位だった。OECD平均が70%なのに対し、日本は半分にも満たない34%だったのだ。「これほど、高等教育の費用負担を家庭任せにしている国は、先進国にはありません」と荻原氏は言う。
しかし、現状を嘆いても、状況がすぐに変わることはない。現在の制度の中で、破産を免れながら、教育費をやりくりするにはどうすればいいか。もし、教育費を借金するのならば、借り入れる順番が大事だと荻原氏は言う。もっとも金利が有利なのは、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」、民間の金融機関ならJAバンクや労働金庫を検討するのがよいそうだ。
子育て世代にとって避けては通れない教育資金の問題。正しい知識を身につけて、老前破産に陥らぬよう自衛したい。
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