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アメリカ支配層がシリアで続ける侵略戦争の始まりは1991年だということを忘れてはならない
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201801230000/
2018.01.23 櫻井ジャーナル
言うまでもなく、シリアでの戦争は「内戦」でなく「侵略」だ。その戦争の始まりは1991年のことである。
1991年7月にロンドンで開かれたG7首脳会議に出席したソ連のミハイル・ゴルバチョフ大統領は西側の首脳から新自由主義の導入を求められて難色を示し、その後、失脚する。替わって主導権を握ったのが西側の傀儡だったボリス・エリツィン露大統領。このエリツィンが独断で1991年12月にソ連を消滅させたわけだ。
それを受け、1992年2月にネオコンの中心グループに所属するポール・ウォルフォウィッツ国防次官(当時)を中心として国防総省のDPG草案が作成される。ソ連消滅でアメリカが唯一の超大国になったと認識、アメリカに屈服しきっていない国々を制圧して世界制覇を実現するというプランを作成した。これがいわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンである。このドクトリンに基づき、日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれていく。
ソ連を消滅させ、ロシアを属国化したアメリカの支配層が中国に目を向けるのは必然。そこで東アジア重視を打ち出し、潜在的なライバルが実際のライバルへ成長することを防ぐために潰そうとする。
そうした潜在的なライバルが出現する可能性がある地域としてヨーロッパ、東アジア、中東、南西アジア、旧ソ連圏が挙げられ、ラテン・アメリカ、オセアニア、サハラ以南のアフリカにもアメリカの利権があるとしている。目的を達成するため、アメリカは単独行動を辞さない、つまり国連を軽視するとも宣言している。
このドクトリンは最初の草案でなく、第1草稿が存在する。それが作成されたのは1991年9月だ。その頃、ウォルフォウィッツはイラク、シリア、イランを殲滅すると語っていた。これはウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官が2007年に語っている。(3月、10月)
1990年代に入ると有力メディアは戦争熱を煽るが、93年に大統領となったビル・クリントンは戦争を始めない。メディアがターゲットにした国はユーゴスラビアだ。
その扇動に乗らないクリントン大統領はスキャンダル攻勢で苦しめられ、第2期目には戦争へと舵を切る。その象徴的な出来事が1997年の国務長官交代だった。戦争に消極的なクリストファー・ウォーレンから好戦的なマデリーン・オルブライトへ交代したのだ。オルブライトはヒラリー・クリントンと親しく、ズビグネフ・ブレジンスキーの教え子。オルブライトの教え子の中にはスーザン・ライスも含まれている。なお、コンドリーザ・ライスはオルブライトの父親の教え子だ。
ウォルフォウィッツの予告通り、2003年3月にアメリカはイラクを先制攻撃してサダム・フセイン体制を倒し、今も破壊と殺戮は続いている。そして2011年3月にシリアに対する侵略戦争が始まる。イラクを攻撃する際には大量破壊兵器が口実として使われたが、全くの嘘だった。シリアでは独裁者による民主化運動の弾圧、あるいは化学兵器の使用といったことが宣伝されたが、これも嘘だということが明らかになっている。(この話は本ブログで何度も書いてきたことなので、今回は割愛する。)
2013年の夏になるとアメリカが強引にシリアへ本格的な軍事介入を始めるという話が伝えられ、9月3日には地中海からシリアへ向かって2発のミサイルが発射されている。そのミサイルは途中で海中へ落下、後にイスラエル国防省はアメリカと合同で行ったミサイル発射実験だったと主張したが、実際に攻撃を始めたとも見られている。事前に通告はなく、発射実験だとする主張に説得力がないからだ。ジャミングなど何らかの手段で落とされたと推測する人もいる。
その9月、駐米イスラエル大使だったマイケル・オーレンがバシャール・アル・アサド体制よりアル・カイダの方がましだと語っている。オーレンはベンヤミン・ネタニヤフ首相の側近で、この発言は首相の意思でもあると考えられた。その当時、アメリカではマーティン・デンプシー統合参謀本部議長やマイケル・フリンDIA局長はアル・カイダ系武装集団を危険だと考え、シリア政府と接触していたと言われている。
シリアに対する自国軍の直接的な攻撃を始めることにアメリカは失敗、そして売り出されたのがダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)。2014年1月にファルージャでダーイッシュは「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にはモスルを制圧した。その際にトヨタ製の真新しい小型トラック「ハイラックス」を連ねてパレード、その後継を撮影した写真が世界規模で流れている。
その際、アメリカ軍はスパイ衛星、偵察機、通信傍受、人からの情報などでダーイッシュの動きを把握していたはずだが、反応していない。パレードしている車列などは格好の攻撃目標のはずなのだが、アメリカ軍は何もしていないのだ。
ダーイッシュとアメリカとの関係はアメリカの軍人や政治家も口にしている。例えば、空軍のトーマス・マッキナニー中将は2014年9月、アメリカがダーイッシュを作る手助けしたとテレビで語った。またマーティン・デンプシー統合参謀本部議長(当時)はアラブの主要同盟国がダーイッシュに資金を提供していると議会で発言、10月にはジョー・バイデン米副大統領がハーバーバード大学で中東におけるアメリカの主要な同盟国がダーイッシュの背後にいると語っている。2015年にはウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官もアメリカの友好国と同盟国がダーイッシュを作り上げたと述べた。
そして2015年8月、マイケル・フリン元DIA局長はアル・ジャジーラの番組へ出演した際、自分たちの任務は提出される情報の正確さをできるだけ高めることにあり、その情報に基づいて政策を決定するのはバラク・オバマ大統領の役目だと指摘している。つまり、オバマ政権の「穏健派支援」がダーイッシュの勢力を拡大させたというわけだ。
ロビン・クック元英外相が指摘したように、アル・カイダとはCIAから軍事訓練を受けたムジャヒディンのコンピュータ・ファイル。こうした訓練は1970年代の終盤にジミー・カーター政権の大統領補佐官だったズビグネフ・ブレジンスキーが考えた戦略に基づいて始められた。
アル・カイダ系武装集団にしろ、ダーイッシュにしろ、アメリカの敵とは言えない。侵略の道具であり、アメリカが介入する口実として使われているだけだ。
2012年5月、シリア北部ホムスで住民が虐殺された際、西側の政府やメディアは政府軍が実行したと宣伝していたが、現地を調査した東方カトリックのフランス人司教はその話を否定する。虐殺を実行したのは政府軍と戦っているサラフィ主義者や外国人傭兵だと報告、その内容はローマ教皇庁の通信社で伝えられた。
「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている。」とその司教は書いているが、これは現在でも通用する。
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