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ISの最後の謎が解けた(2):私の闇の奥
http://www.asyura2.com/17/warb20/msg/511.html
投稿者 HIMAZIN 日時 2017 年 6 月 26 日 22:37:15: OVGN3lMPHO62U SElNQVpJTg
 

(投稿者コメント)

藤永茂氏の記事。以下の続き。ISの残忍性について等。

ISの最後の謎が解けた(1):私の闇の奥
http://www.asyura2.com/17/warb20/msg/510.html

(以下転載)
=======================================================================================
http://blog.goo.ne.jp/goo1818sigeru/e/525e60d882af2e0e925c641a6db56cc9

ISの最後の謎が解けた(2)

 ディラー・ディリク(Dilar Dirik) というクルド人女性がいます。ネット上で彼女の多数の発言に接することができます。写真や動画もあります。クルド問題、とりわけ、ロジャバ革命についての私の知識と意識を大いに高めてくれている人物です。現在、英国のケンブリッジ大学の社会学部の博士課程に在学中です。彼女の出自を詳しく知りたければ、次の二つの記事が役に立ちます:

http://salvage.zone/online-exclusive/the-kurdish-struggle-an-interview-with-dilar-dirik/

http://kurdishquestion.com/article/3364-turkey-039-s-anti-alevi-politics-and-the-kurds

出身地はクルド人人口の多いトルコ東部ですが、彼女の家族は政治的理由でヨーロッパに亡命移住したようです。彼女にとっての決定的転機は、2013年1月9日パリで三人のクルド人女性がトルコ政府の放った暗殺者によって殺害された事件でした。殺された三人と個人的な接触がありました。ディラー・ディリクはまだ若い女性ですが、ロジャバ革命とその核心である女性解放の思想の意義を世界に向かって明快に力強く発信し続けています。

 2017年6月23日の朝日新聞の朝刊は、イランのモスル、シリアのラッカというIS(イスラム國)の二つの最重要拠点が、間も無く、米国系軍事勢力によって奪還されることを大きく報じています。この記事からは、IS軍が果してきた米国側の代理地上軍としての役割のことが全く臭ってきません。私にとっては、このことを含めて、ISの宗教的、政治的、軍事的性格について、不分明な点は余り残っていません。しかし、前回の終わりに書きましたように、ISにリクルートされた若者たちが、これ見よがしに顕示する異様なまでの残忍性が何処からやってくるのか、これが私にとっての最後の謎でした。この謎が、ディラー・ディリクの最近の論考を読んだおかげで、解けたような気がします。

https://revolutionarystrategicstudies.wordpress.com/2017/04/02/radical-democracy-the-first-line-against-fascism/

ここで展開されているディラー・ディリクの考えを、私なりに、咀嚼し要約して述べてみます。
 「イスラム教の信仰者であるかないかに関わらず、議会民主主義の政治形態を持ち、一応の安定性を示している、例えばドイツとかフランスとかイギリスといった国々から、何千人という数の若者たちが遥々とシリアやイラクまで出かけて行って、女性や子供たちを含む他の人間たちにおぞましい暴力をふるう殺人者に成り果てるのは何故か?」 これが設問です。私にとってのISの謎です。

 謎の答えを一口で言えば、現代社会に生きる若者たちに覆いかぶさっている閉塞感、疎外感、無力感がその原因でしょう。世界の多数の若者たちにそれを与えているのは、グローバルな金融資本と米英の軍産複合体(Military-industrial complex, MIC) が構成する巨大な支配権力システムです。このシステムはCIAなどの情報収集と情報操作の機関を含み、広範にメディアをコントロールしています。こうした状況の下で、人間として有意義に生活する手段も希望も持つことが出来ずに虚無的になり、他人との正常な関係の中で正当に自己主張する機会も失って、深刻な無力感に追い詰められた多くの若者たちは、phonyな教義的正当化と金銭的報酬を提供するISの巧みなリクルートに絡め取られ、一旦その非人間的暴力集団の一員となるや、ISの敵対者に対しては飽くなき残虐性を発揮し、女性に対しては性的暴力の限りを尽くす、つまり、他の人間に対する権力乱用者に転化するという現象に、我々は直面しているのだと思われます。

 非人間的思想組織の中にくわえ込まれた個人が他人に対する言語道断の暴力行使者となるのは、何も男性に限られたことではありません。イラクの米軍管理下のアブグレイブ刑務所で米軍の男女兵士たちによって行われたイラク人に対する目も当てられない虐待行為は有名です。最終的に罪を問われた7人の兵士のうちの3人は女性でした。

 このブログの中程に掲げたディラー・ディリクの論考は、そのタイトルが示すように、上に私が取り上げた「謎」に対する回答をその一部として含む大変啓蒙的な内容を持っています。日本のマスメディアではまだ殆ど問題にされていませんが、このブログで幾度も指摘したように、クルディスタンの問題、クルド問題がどう処理されるかが、これからのシリアにとって、中東にとっての中心的問題になってくる筈です。ディラー・ディリクの発言の重みは今後ますます増大します。

藤永茂(2017年6月25日)
 

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コメント
 
1. 2017年6月30日 14:57:46 : sCcGEhkntE : nQf8iOy0A2I[1]
日本の若者が、秋葉原で無差別大量殺人をした事件等々があったが、
似たようなものだろう。
日本の不満と閉塞感をもつ若者には受け皿がないが、欧州その他にはISという受け皿が作られていた。

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