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なぜ日本は3・11以前の原子力政策に後戻りしているのか 『核兵器と原発』の密接な関係
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53675
2017.12.13 鈴木 達治郎 長崎大学核兵器廃絶研究センター センター長 教授 現代ビジネス
世界が滅亡する「午前零時」まであと何分かを示す「世界終末時計」が、「2分半前」を指し、63年ぶりの「危機的状況」に陥っていることをご存じだろうか? 米国の巨大な核戦力をもってしても、北朝鮮の核攻撃を「抑止」できない可能性があるいまこそ、私たちは冷静に考えてみる必要があるはずだ。
12月13日刊行の『核兵器と原発――日本が抱える「核」のジレンマ』の著者で、長崎大学核兵器廃絶研究センター長の鈴木達治郎氏が、核問題の「本質」に迫った。
「核兵器のリスク」=「原発のリスク」
2011年3月11日、あの東日本大震災が起きたとき、私は都内某所で国際シンポジウムの司会をしていた。登壇者はオランダから来た専門家で地震の体験は皆無。見る見るうちに顔が真っ青になる登壇者に向かって「大丈夫ですよ。すぐ止まりますから」と言った私自身が、震えるぐらいの大きな揺れ……。
結局、全員外に避難することになった。そして津波の映像を携帯で知り、当時、日本の原子力政策をリードしてきた原子力委員会(内閣府の審議会の一つ)の一員であった私は、慌ててオフィスに戻ることになった。その後は、もう語る必要がないだろう。東京電力福島第一原子力発電所の事故が、その後の私の人生と価値観を大きく変えることになった。
余儀なく避難させられた方々の生活や人生を守り、汚染された福島地域の復興、そして炉心溶融と爆発という前代未聞の事故を起こした福島第一原発の廃炉措置という途方もないチャレンジ。これらの課題にどう向かったらよいのか。
当時の民主党政権は、おそらく「戦後最大の危機」に立ち向かうことになったのである。そして、何よりも、原子力政策を根本から見直さなければならない。そういった思いから、当時は原子力委員として、「国民的議論を通じて、原子力政策をゼロから見直す」作業に全力を尽くしたのである。
しかし、6年以上経った今、あの時の危機感を共有している人が、どれだけいるだろう。はたして、日本は本当に「福島事故の教訓」を学んでいるのだろうか。私の実感は「ノー」である。国民的議論はまったくと言っていいほど行われておらず、「ゼロから見直す」という当時の意欲はもはや影も形もない。
1998年から核兵器と戦争の根絶を目指す科学者集団「パグウォッシュ会議」のメンバーでもあった私は、2014年に縁あって長崎大学核兵器廃絶研究センターに着任し、研究活動の焦点を原子力政策から主に核軍縮・不拡散問題に移した。しかし、福島事故後の原子力政策については、いまだに関心を抱き、発信を続けている。
「原発のリスク」を一言でいえば、核兵器のリスクにも通じる「非人道的側面」を備えている点に尽きる。原発のリスクを制御できなければ、核兵器のリスクも制御できない。人類にとって、核のリスクをどう制御するか。まさに今、根本的な見直しが必要であり、原発であれ、核兵器であれ、二度と核の被害者を出してはいけない—―。
これこそが、福島事故を踏まえた私の大きな教訓であり、その後の専門家としての仕事の中心となったのである。
原発の技術は核兵器に「転用可能」
そうしたなか、私のなかでもっとも心に引っかかっているのが、福島事故の教訓を生かせず、原子力・エネルギー政策の「根本的な改革」がまったくと言っていいほど見えてこないことである。
むしろ、3・11以前の原子力政策に後戻りしているのではないか、という危機感が徐々に強くなっていった。
そして、現在従事している核軍縮・不拡散問題と日本の原子力政策が、「原子力の技術が核兵器に転用できる」という意味で密接につながっている点、しかも日本の政策が核廃絶という人類究極の目標実現を阻害しているという事実が、ますます明らかになってきたのである。そのことが、私の心にどうしようもない焦燥感と無力感を生み出しつつあった。
そんな折、「もんじゅ廃炉へ」というニュースに際して論考を発表したところ、高校時代のサッカー部の後輩から「読みましたよ」という一通のメールが届いたのである。高校卒業以来まったく連絡もしていなかった彼からの一通が、『核兵器と原発――日本が抱える「核」のジレンマ』のきっかけになった。彼は、私の危機感を率直に受け止めてくれて、「出版してみませんか」と誘ってくれたのである。
今、日本の原子力政策は、福島事故の教訓を忘れ、限界と矛盾に満ちたまま、前に進もうとしている。それに加え、核兵器廃絶という、被爆国日本がもっとも熱心に取り組まなければならない課題への大きな障害にもなっている。この問題を乗り越えなければ、世界の「核」問題の解決に日本は貢献するどころか、さらに問題を深刻化させる恐れがある。
2017年は核兵器廃絶を願う人たちにとって特別の年となった。被爆者の長年の思いが、ようやく形となった。7月7日、核兵器禁止条約が国連で採択されたのである。しかし、日本政府は、他の同盟国と同様「核の傘」に守られているため、この条約には参加しないと明言している。
唯一の戦争被爆国としての矜持はないのか。これが多くの国民の共通した気持ちであろう。
「核兵器の廃絶に向けてリーダーシップをとる……核保有国と非核保有国の橋渡し役を担う……核兵器の廃絶に向けて現実的で段階的なアプローチをとる」
これらが政府の正式な立場であるが、行動はどうか。実態は「核抑止」「核の傘」をむしろ強化する方向に政策をとっているため、少しでも核の傘の効力を弱めるような政策には反対しているのである。これでは、核兵器廃絶へのリーダーシップをとれるわけがない。
北朝鮮の核の脅威にどう対峙すべきか
このたび上梓した『核兵器と原発――日本が抱える「核」のジレンマ』(講談社現代新書)の原稿を脱稿しようとした9月3日、北朝鮮が6回目の核実験を行った。今回はこれまでよりも大規模で、広島原爆の10倍の威力(防衛大臣の発言)を持つと推定されている。度重なるミサイル実験と今回の核実験は、とても許容されるべきではない。
北朝鮮の核の脅威が迫る中、米・韓・日は制裁に加え軍事圧力を強めており、北朝鮮情勢はこれまででもっとも緊迫した事態を迎えている。これに対して、日本や韓国からは、「米国の拡大核抑止力(核の傘)」をさらに強めてほしいとの要請が続き、一部には「独自の核抑止力を持つべき」との意見まで出始めている。
だが、私たちは挑発に乗るのではなく、冷静に考えてみる必要があるのではないか。
はたして「核抑止」「核の傘」は本当に日本国民を守ってくれるのだろうか?
もし、核抑止が機能しなかったら、いったい日本はどうなってしまうのか?
北朝鮮の核の脅威を恐れているということは、核抑止に対する信頼が揺らいでいるということではないのか。
一方で、この核抑止への依存が、原子力平和利用の推進、とくに核兵器の材料であるプルトニウムを再利用する、核燃料サイクル政策の推進と密接に絡んでいることが明らかになった。
世界は今、核兵器の廃絶に向けて、しっかりと動き始めている。今こそ、日本の「核抑止」依存政策を見直すべきだ。と同時に核燃料サイクル政策も見直す必要がある。
『核兵器と原発』は、原子力や核兵器といった高度な技術的、政治的問題について、専門的知識がない人にもわかるよう、わかりやすく書かせていただいたつもりである。
核分裂のしくみから、核軍縮の国際的枠組みに至るまで、幅広い課題を扱った。北朝鮮の核問題、トランプ大統領の登場など、最新の課題も取り扱うことができた。核兵器や原発に関連する組織(団体)および専門用語に関しては、『核兵器と原発』の巻末に付記した「補足・用語解説」もご参照いただきたい。
この『核兵器と原発』が日本の抱える「核」のジレンマについて、少しでも理解を深めるきっかけになれば幸いである。
核兵器と表記しても核発電とは表記しない。
— myline1919 (@myline1919) 2017年12月12日
逆に原子力発電と表記しても原子力兵器とは表記しない。
六ヶ所村の再処理工場は核燃サイクルじゃない。あれはプルトニウム生産工場だ。日本には不必要な史上最悪な工場だ。
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— マクガン (@Makugan32) 2017年12月13日
なぜ3・11の頃と違っているかといえば、今は3・11直後とは違うからでしょうね…あの頃のままでいて欲しいと望んだところで、時は止まらず動きますから…
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— 遠藤 翠 (@shakazen2011) 2017年12月13日
★ここに広がる世界と繋がった闇は、深すぎて深海潜水艇をもってしても見えない。これも絶対に書くことのできない、海面には絶対に浮かんでこない「闇」だよ。現在の世界構造の真実がここにあるのさ。書けないけどね…。
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— asleep (@_3___0) 2017年12月13日
「福島事故の教訓を生かせず、原子力・エネルギー政策の「根本的な改革」がまったくと言っていいほど見えてこない」
「日本の政策が核廃絶という人類究極の目標実現を阻害している」
潜在的核武装能力保持は、日本にとって必要だ。
— 佐藤鴻全(佐藤総研 代表) (@Kozen_Sato) 2017年12月13日
なぜ日本は3・11以前の原子力政策に後戻りしているのか(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース https://t.co/49OM9xo5CB @YahooNewsTopics
なぜ日本は3・11以前の原子力政策に後戻りしているのか https://t.co/McPBxY8xwk 核軍縮・不拡散問題と日本の原子力政策が、「原子力技術が核兵器に転用できる」という意味で密接につながっている点、しかも日本の政策が核廃絶という目標実現を阻害しているという事実が、明らかになってきたのである。
— マークん (@marktrumpet) 2017年12月13日
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