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「自衛隊の中立、破った稲田氏 かばい続ける首相にも批判
相原亮 大久保貴裕、藤原慎一2017年6月29日02時36分
現職の防衛相が選挙演説で「自衛隊としてもお願いしたい」と言い切る異例の事態――。稲田朋美防衛相の発言は、実力組織である自衛隊を率いる閣僚としての資質と自覚の欠如を改めて浮き彫りにした。党を挙げて都議選に取り組む自民党内からは批判が強まり、かばい続ける安倍晋三首相の任命責任も問われる事態になってきた。
「昨夜話した通り」――。問題発言から一夜あけた28日午前、稲田氏は防衛省で記者団の問いかけに険しい表情で口を閉ざした。
今回の発言の何が問題なのか。稲田氏は都議選の応援演説で、特定の候補者名を挙げて「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と述べた。
公職選挙法では公務員が地位を利用して選挙運動をすることを禁じており、識者らからは同法に違反するとの声が上がる。28日に開かれた民進党の外務・防衛合同部門会議。出席議員から違法性について質問が飛んだが、公選法を所管する総務省の担当者は「個別に判断するものだ」と明言を避けた。ただ防衛相の身分を利用して投票を呼びかけるのは、公選法に抵触しかねない行為だ。
また、稲田氏自身は自衛隊員ではないが、隊員の政治的活動を制限する自衛隊法との関係で疑問を呈する声もある。南野森(しげる)九州大教授(憲法学)は「隊員の政治的中立性を徹底して守ることを定めた自衛隊法が想定していない発言だ」と指摘。「自衛隊という実力組織の法治主義性と政治的中立性は、民主主義国家で最も大切にしなければならない規範。それを防衛相自らが破った」と話す。
稲田氏の発言は隊員に自衛隊法違反をそそのかしていると受け止められかねず、防衛相として極めて不適切だといえる。
稲田氏はこれまでも、資質を問われる言動を繰り返してきた。昨年8月の内閣改造で防衛相に起用されたが、国会答弁は不安定。防衛省内からは「実力組織への理解も『恐れ』もない」(幹部)との声が漏れた。
■政治活動制限、戦前戦中の教訓
自衛隊は軍部の政治介入によって国家崩壊に至った戦前戦中への反省から、政治との距離には気を使ってきた。隊員は「日本国憲法および法令を順守」「政治的活動に関与せず」といった宣誓書に署名する。防衛省幹部は「宣誓は原点。大臣は理解していないのか」と憤る。
「反省している」。稲田氏は周辺にこう漏らす。今回の発言を「誤解を招きかねない」と撤回し、追及をかわしたい考えだ。
そのうえで、首相官邸の意向を背景に来月14日の日米外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)に出席を予定するなど、引き続き安全保障政策を担う意欲を見せる。ただ求心力の一層の低下は避けられず、省内は重苦しい雰囲気に包まれている。(相原亮)
■「都議選候補者にはとばっちり」
菅義偉官房長官は28日の定例会見で、稲田氏の資質や進退を問う記者団の質問に「すでに発言を撤回している」と繰り返し強調。「今後とも職務にあたっていただきたい」と10回以上も繰り返した。「総理からも同じような指示があった」とも述べた。
菅氏や首相が稲田氏をかばうのは、首相自らが重用してきたためだ。稲田氏について「将来のリーダー候補」「(自らの出身派閥である自民党細田派の)四天王のひとり」などと称賛。2012年末に首相に再登板してから行革担当相、自民党政調会長、防衛相と要職への起用を続けてきた。
今回の問題発言にも、首相周辺は「選挙は勢いで演説する。少し行き過ぎた発言はよくあること」(官邸幹部)と正面から向き合う様子はうかがえない。森友学園、加計学園問題などと同じく、「何の問題もない」(政府高官)との主張を貫き、ひたすら批判が過ぎ去るのを待つ構えだ。
ただ、政権の足元では不満がじわりと広がる。
「都議選の候補者は気の毒。一言で言えば『とばっちり』という感じだ」。平沢勝栄・党広報本部長は28日、記者団にこう語った。さらに、麻生政権時代の09年都議選で定数の3割弱の38議席という過去最低議席を喫したことを取り上げ、「当時の選挙とやや空気は似ている」と漏らした。
首相は憲法9条の1項、2項は残したまま自衛隊を明記するなど、今後は悲願の憲法改正を軸に据えて政権運営を進める考えだ。だが、くすぶる加計学園問題に加え、子飼い閣僚が防衛省・自衛隊の政治的中立性さえ踏まえぬ失態を演じ、与党内では主導する首相への反発も膨らみかねない。
憲法改正の行方も都議選の結果次第――。自民のベテラン議員はそんな見方を示したうえで「自民党の獲得議席が40議席前後に低迷すれば首相の政権運営は厳しくなる。過去最低の38議席以下となれば、政局は流動化するだろう」と語る。(大久保貴裕、藤原慎一)
■公務員や自衛隊員の「政治的中立性」に関する規定
【日本国憲法15条】
「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」
【公職選挙法136条の2】
「次の各号のいずれかに該当する者は、その地位を利用して選挙運動をすることができない」
※「次の各号のいずれかに該当する者」とは、「国もしくは地方公共団体の公務員」ら
【自衛隊法61条】
「隊員は(中略)選挙権の行使を除くほか、政令で定める政治的行為をしてはならない」
※自衛隊法施行令によると、「政治的行為」とは「政治的目的のために官職、職権その他公私の影響力を利用すること」など」
http://www.asahi.com/articles/ASK6X55P7K6XUTFK00T.html?ref=nmail
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