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「「殿ご乱心!」安倍首相の言動に揺れる永田町
自民が都議選で惨敗なら、2007年の悪夢も
泉 宏 :政治ジャーナリスト 2017年6月29日
強引に国会を閉幕させたのに「加計学園疑惑」が収束の兆しを見せないみせない中、安倍晋三首相の「異様な言動」(自民幹部)で永田町にざわめきが広がっている。
6月23日の東京都議会選挙告示日から週末にかけて首相は応援演説での登壇を避け、地方出張や自宅静養で過ごした。24日には神戸市で講演したが、その中で首相は加計学園による獣医学部新設について、「今治市に限定する必要はない。地域に関係なく2校でも3校でも新設を認めていく」とこれまでの経過を否定するような方針を表明。併せて憲法改正に向けての自民党案を「来るべき臨時国会が終わる前に、衆参の憲法審査会に提出したい」と、改憲スケジュールの前倒しにも言及した。
獣医学部の全国展開はこれまでの政府方針を一変させるもので、「国家戦略特区には総理の意向など入る余地がない」との答弁とも矛盾する、「総理のご意向そのもの」(共産党)と受け取られかねない。自民改憲案の臨時国会提出方針も、自民党幹部は「事前に何も聞いていなかった」と当惑するばかりだ。こうした首相の言動に一部週刊誌は「体調不安説」を書き立てる一方、与党内では「追い詰められた殿の"ご乱心"では」(自民長老)との疑心暗鬼が広がっている。
・「獣医学部全国展開」発言に首相周辺も当惑
関係者を驚かせた突然の「獣医学部全国展開」発言について、その後の民放の情報番組で「(首相は)『批判ばかりされて頭にきたから言った』と話している」との首相周辺による解説も紹介された。神戸市での講演は首相寄りの報道が目立つ、産経新聞社の外郭団体「『正論』懇話会」で行われたもので、「いわば身内の会で、つい本音を語った」(首相周辺)とされるが、野党は「自民改憲案の前倒し提出も含め、"加計隠し"の意図は明白」(共産党)と批判を強めている。
獣医学部新設については「牛や豚の飼育数は年々減少し、犬や猫のペット数もピークを過ぎているので、今さら全国展開をしても獣医師は余剰となり、学部運営は成り立たない」(文科省幹部)というのが業界の常識。このため、首相発言は「"腹心の友"が運営する加計学園だけを優遇したとの批判をかわすための強弁」(同)と受け止められた。
菅義偉内閣官房長官は「獣医科大学全体の応募倍率は15倍ある。引き続き手を挙げる学校がある可能性はあるのではないか」と首相発言をフォローしたが、国家戦略特区を推進する内閣府も当惑を隠さない。首相の盟友を自任する麻生太郎副総理兼財務相も「(獣医学部の新設は)獣医師の質の低下につながる」との認識を示した。野党側は「これまでの政府の説明の根本をひっくり返す発言だ」(山井和則民進党国会対策委員長)と反発し、臨時国会の早期開催や閉会中審査を強く求めたが、自民党側は拒否した。
一方、新たな自民改憲案については、首相側近の下村博文幹事長代行が「11月上旬までにまとめる必要がある」と発言したが、党憲法改正推進本部は「新たな改憲案を年内に取りまとめて来年の通常国会の提出」という方針を固めたばかりで、「いきなり前倒しされても、党内調整ができない」(幹部)と悲鳴を上げる。
船田元推進本部長代行は自らのホームページに「改憲勢力が3分の2を占めているときに、早く発議してしまおうという考えは国民投票でしっぺ返しを食らう可能性が大きい」と書き込んだ。また、石破茂前地方創生担当相は、首相の一連の言動や内閣支持率の急落について、「時間が経てば人は忘れるだろうと高をくくっていると、恐ろしいことが起こる」と警告した。
・「魔の2回生」豊田議員の破壊力
首相の神戸講演前日の6月23日夕刻には、「『総理のご意向』を示す文書は確かにあった」との告発会見(5月25日)をした前川喜平前文科事務次官が、あらためて日本記者クラブで会見して政府批判を展開するとともに、首相側近の萩生田光一官房副長官による「総理は平成30年開学とお尻を切っていた」などの発言を明記した文科省文書についても、「書いた課長補佐は優秀な人物で、あえて虚偽の事実を盛り込むことはありえないし、聞き間違え、取り違えはありえない」と断言した。
これと同時進行で大騒ぎとなったのが自民党の豊田真由子衆議院議員の秘書に対するパワハラ事件。6月22日発売の週刊新潮が「『豊田真由子』その女代議士、凶暴につき」の大見出しで記事を掲載した。当時の男性秘書が5月20日、豊田氏を乗せて運転中、後部座席から「この、ハゲ(禿)ーッ!」「 ちーがーう(違う)だーろーっ!」などと罵(ののし)られ、殴られたという内容は、ネット上で録音も公開されて、運転中の秘書を後部座席から殴る「ボコッ」という音も含まれていた。豊田氏は23日に離党届を提出して「入院」を理由に雲隠れしたが、永田町では「また『魔の2回生』のスキャンダル」(蓮舫民進党代表)との批判が渦巻き、自民幹部も「都議選にも響く」と頭を抱えた。
ただ、こうした騒ぎも6月23日午後以降はテレビ各局のニュースや情報番組ではほとんど取り上げられない状態となった。人気歌舞伎役者の市川海老蔵氏の妻で元フリーアナウンサーの小林麻央さんが22日夜に死去したためだ。23日朝に海老蔵氏が自らのブログに「人生で一番泣いた日」と書き込んだことでマスコミは大騒ぎとなり、海老蔵氏が23日午後の緊急会見で「(妻は)『愛してる』と言って旅立ちました」と涙で語った場面を中心にNHKまでが「国民的悲報」として大々的に伝えたからだ。
こうした状況に、普通なら情報番組がこぞって大きく取り上げるはずの前川氏の会見や豊田氏の秘書暴行事件がほぼ画面から消え、「首相にはまだツキが残っている」(自民長老)との声も広がった。
永田町では「今年の流行語大賞の本命は『忖度(そんたく)』」との見方が定着していたが、前川氏の「あったものをなかったことにはできない」に加え、海老蔵氏の「『愛してる』と言って旅立ちました」も有力候補になるとの声もある。ただ、「もし、『忖度』が大賞に選ばれたら、いったい誰が受賞者になるのか」との笑い話も含めて、首相を中心とする自民党政治家たちの異様な言動が国民の政治不信をかき立てていることは否定しようがない。
・「泣きっ面に蜂」、稲田氏がまた無知を露呈
安倍首相は週明けの6月26日、ようやく都議選の応援に入った。ただ、4年前の都議選と違い、「屋内での演説会」での登壇にとどまり、街頭演説は避けた。「街頭に立つと、首相の応援演説に聴衆から"加計隠し"などのヤジが集中しかねない」(周辺)ことを懸念したからだという。苦戦を強いられている現職の自民党都議からは「首相が来てくれても、逆効果になりかねない」との不安の声も聞かれる。
党執行部は人気者の小泉進次郎衆院議員を「応援団長」に指名して局面打開に躍起だが、27日には稲田朋美防衛相が都議選応援の中で「自衛隊としても(自民支持を)お願いしたい」と発言して批判された。自衛隊員が政治的行為を制限されていることを無視するもので、またしても「無知で不用意な発言」(自民幹部)だ。稲田氏は同夜、発言を撤回したが野党は辞任要求で勢いづき、自民都連は「泣きっ面に蜂だ」とうなだれた。
こうした状況下、政府・自民党内で「都議選の投票率が上がれば、自民惨敗の可能性もある」との不安が広がる中、首相を支える有力幹部からは首相の体調を懸念する声も出始めている。
加計学園疑惑に関する文科省文書の再調査を余儀なくされた6月9日の深夜、首相私邸に急きょ医師団が集まった、との情報が飛び交った。首相側近は数人の担当医師が駆け付けたことを認め、「五十肩が悪化したため」と説明したが、永田町では「持病の潰瘍性大腸炎の再発では」とのうわさが駆け巡った。さらに翌10日、安倍首相が行きつけのスポーツクラブに3時間近くこもったことが「精密検査を受けた?」との疑心暗鬼を拡大させた。
首相が「国民の批判は真摯に受け止める。信なくば立たずだ」と殊勝な態度をみせた6月19日の会見と並行して、二階俊博幹事長が「参院のドン」と呼ばれた青木幹雄元官房長官と密談したとの情報も自民党内で注目されている。青木氏と二階氏は旧田中派(経世会・現額賀派)の元幹部同士で、麻生財務相が進める「大宏池会構想」に対抗する「大経世会構想」を話し合ったのでは、との見方が広がった。これに関連して「自民最高幹部が『こんな状況が続けば安倍政権は秋には行き倒れになる』と語った」との"怪情報"も流れるなど「安倍1強政権の足元が揺らいでいる」(自民長老)ことを裏書きするような自民党内の動きが相次いでいる。
・「時間がない」から、生き急ぐのでは?
5年前の夏、安倍首相が自民党総裁選挙への再出馬を決断した際、「ここは自重して、次の総裁選で再起を図ってはどうか」といさめる党長老に対し、首相は「私には時間がないんです」と語ったとされる。新安全保障法制や特定秘密保護法、そして今回の「共謀罪」法と「安倍改憲」への挑戦――。再登板後、性急で強引とも見える政権運営を続けていることの背景には、「自らの体調不安があるのでは」(首相経験者)とのうがった見方もある。
首相は9月21日で63歳となる。病で首相の座に届かなかった父・晋太郎氏がすい臓がんを発症した年齢だ。父親の闘病と失意を秘書として目の当たりにした首相だけに「自らの体調と父親の病気を二重写しにしている。だから生き急ぐのでは」との見方もある。目前に迫った都議選での自民惨敗で政権が揺れる事態となれば「持病の悪化で退陣を余儀なくされた10年前の悪夢がよみがえりかねない」(自民長老)との不安もささやかれる。
このため、ここに来ての早期内閣改造や改憲スケジュールの前倒しも含む首相の一連の言動を、「終わりの始まりでは」(自民若手)と受け取る向きも出始めている。」
http://toyokeizai.net/articles/-/178357
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