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安倍首相をポケットマネー2000万円超で歓待したトランプの皮算用 タダより高いものはない!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50969
2017.02.14 町田 徹 経済ジャーナリスト 現代ビジネス
■あまりに贅沢な週末
タダより高いものはないーー。よく言われる言葉だが、国家間の外交ほど、この言葉がぴったり当てはまる事象はないかもしれない。
安倍首相は先週末(2月10日)の訪米で、トランプ米大統領から破格の歓迎を受けた。ホワイトハウスで出迎えた大統領がいきなり首相をハグしたのに始まり、冒頭の写真セッションでは「(安倍首相とは)ケミストリー(相性)が良い」と発言。
週末を過ごすため、大統領専用機「エアフォースワン」で常夏の南部フロリダに移動、トランプ家所有の豪華リゾート施設「マール・ア・ラーゴ」に首相夫妻を招き、首相とゴルフ場を梯子してプレーした。夫人同伴のディナーを連夜にわたって楽しむというおまけもついた。
はっきり言って、米大統領がエアフォースワンに外国首脳を同乗させることも、初の公式会談直後に一緒にラウンドすることも非常に稀な話である。首相は歓待を受けたのだ。しかも、費用は億万長者のトランプ大統領持ちだった。
肝心の共同声明でも、大統領は「揺らぐことのない日米同盟」を「アジア太平洋地域における平和、繁栄及び自由の礎(=いしずえ)」と位置づけて、「(米国の対日防衛義務を定めた)日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用される」ことを確認、「同諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する」と暗に中国を牽制した。
北朝鮮に対しても、「核及び弾道ミサイル計画を放棄し、更なる挑発行動を行わないよう強く求める」と明記した。
翌日、北朝鮮が弾道ミサイルの発射実験を行ったとのニュースが滞在先のフロリダに入ると、両首脳はそろって記者会見した。首相が「断じて容認できない」と口火を切ると、大統領は「私がみんなにわかってほしいのは、米国は偉大な同盟国・日本と100%共にあるということだ」と足並みを揃えた。
Photo by GettyImages
いったい何故、トランプ大統領は日本の首相をこれほど歓待したのだろうか。
背景に、同大統領が国際的な孤立に直面している事実はあるだろう。同大統領は、隣国メキシコとの国境に壁を建設することの是非やその建設費用の負担を巡って、同国のニエト大統領と対立、米墨首脳会談をキャンセルされた。
次いで、豪州のターンブル首相とは、移民移送問題で激論になり、協議の途中で電話を切るというハプニングに自らを追い込んだ。
また、大統領就任後最初に首脳会談をしたメイ英首相は帰国後、英国内で集中砲火を浴びて、イスラム圏7カ国出身者の入国を禁じたトランプ氏の大統領令は、「対立を生み、間違っている」と批判するに至った。
しかも、その大統領令は司法府・裁判所に不当と見なされ、効力を停止されている。
しかし、それだけで、安倍首相がこれほどの厚遇を受けたと考えるのは短絡的だろう。そこで、トランプ大統領の心中を探る手掛かりとなるのが、今回、両首脳が合意した共同声明と共同記者会見の内容だ。
これらを丹念に読むと、日本の政府とマスメディアが「ほぼ満額回答を得た」とする安全保障面でさえ、同大統領がちゃっかり厳しい注文を付けていた事実が、さらには「課題を先送りした」とされる経済面でも、実際には日本が大幅な譲歩の構えを見せていた実態が浮かび上がってくる。
■厚遇のツケを払う日が来る?
今回の安倍首相の訪米では、トランプ大統領のちょっとした動作にも、首相を歓迎する姿勢がはっきりと伺えた。
例えば、首相のホワイトハウス到着時。新聞によると、あらかじめ両政府の事務方が決めていたのは、大統領が車寄せまで出迎えて、その場で両首脳が力強く握手するという演出だった。その後、すかさず建物内に首相を招き入れる手はずだったという。
ところが、トランプ大統領は一瞬戸惑った後、いきなり首相を引き寄せてハグをした。握手はハグの後になった。
この動作について、外国メディアは「1度しかあったことのない相手を抱きしめた」と皮肉ったという。
が、大統領自身は共同記者会見で「今日(最初に)、お会いしたときに握手して、それだけではなくハグをした。そういう気持ちになったからだ。
(安倍首相とは)とても良いつながりを持っている。ケミストリー(相性)が良い。もし変わったら、そう言うが、そういうことは起きないだろう」とにこやかに語っている。
私邸への招待や、エアフォースワンへの同乗、ゴルフのラウンドは、米国の大統領には簡単にはして貰えない厚遇である。
歴代首相を見ても、私邸への招待は、2003年にブッシュ夫妻所有のクロフォード農場(テキサス州)に招かれた小泉純一郎氏以来、実に14年ぶりのことだし、エアフォースワンへの搭乗も日本の首相として最初だった小泉氏以来2人目の栄誉だ。
日米両首脳によるゴルフとなると、1957年5月に安倍首相の祖父に当たる岸信介首相が、アイゼンハワー大統領とワシントン郊外の名門ゴルフ場バーニングツリー・カントリークラブでプレーして以来、約60年ぶりの”快挙”という。
その岸氏は、約2年半後の1960年1月、国会が反対を唱えるデモ隊に幾重にも取り巻かれる中で、今日まで日米両国の安全保障の基軸として維持されることになる日米安全保障条約に署名した。
そういう意味では、いつか、安倍首相にも、今回の歓待の大きなツケを払う日が来るのかもしれない。
■訪米で手に入れたモノ
この3日間、トランプ大統領は安倍首相の歓待ぶりを得意のソーシャル・メディアで発信し続けた。
アンドリュース空軍基地へ向かう大統領専用ヘリコプター「マリンワン」の中で2人仲良く並んで座っている姿や、大統領の友人で今年の米プロフットボールリーグのスーパーボウルで優勝したペイトリオッツのオーナーであるロバート・クラフト氏が両夫妻に加わって夕食を楽しむ様子、そしてゴルフ場を2つ梯子しながらプレーの間にハイタッチを交わす両首脳の写真などを続々とアップしたのである。
そこで注目せざるを得ないのが、肝心の政治、経済について、両首脳が何をどのように話し合ったか、安倍首相が何を”お土産”にしたのかである。
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最初に安全保障面だが、トランプ大統領は共同記者会見で、
「日米両国と両国民の絆と友好関係は極めて深い。わが政権は両国の結び付きをさらに緊密にすることを約束する」と述べたうえで、日米安全保障条約に言及して
「米国は日本と日本の施政下にある全ての領域の安全保障と、両国の同盟関係の強化に責任を持つ。日米同盟は太平洋地域の平和と安定の礎石だ」と、先に来日したマティス国防長官と同じ立場を改めて確認した。
さらに、大統領は「地域における共通の利益は数多い。中でも、航行の自由(の確保)や北朝鮮の核・ミサイルによる脅威からの防衛は、極めて優先度が高い」と述べた。中国や北朝鮮を睨んだもので、同盟国・日本にとって重要な発言だった。
日本では、こうした発言を捉えて「閣僚に加え、トランプ氏本人が(尖閣諸島を日米安保条約第5条の適用範囲だと)認め、文書に明記したことは重い意味を持とう」(読売新聞12日付社説)と高く評価する報道が目立った。
「同盟強化 足並み」という見出しを付けた解説記事(12日付の日本経済新聞)で、トランプ氏が記者会見で「私どもの米軍をホストしてくれている。首相と日本国民にお礼を申し上げたい」と発言したことを紹介したメディアもあった。
■その一言の意味
とはいえ、連発されたリップサービスばかりに目を向けていては大局を見誤りかねない。その意味では、大統領が一連の発言の合間に、短くひと言「両国が同盟関係に強力な投資をすることが重要だ」と釘を刺した点にこそ、日本人は注意を払う必要があるだろう。
強力な投資が何を意味するのか。改めて今回の両首脳の共同宣言を読むと、そこには辺野古への米軍基地の移転問題が記されている。
「両首脳は在日米軍再編の日米合意を確認した。米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画に合意していると確認した。これは普天間基地の継続的な使用を回避するための唯一の解決策だ」といい、引き続き沖縄と沖縄県民に重い負担を求めて行く方針を明確にしている。
もう一つ、最近、永田町・霞が関の取材でよく耳にするのが、貿易不均衡の解消と共同防衛能力の強化を一石二鳥で両立する「秘策」として、日本が米ロッキード・マーチン社製の最新鋭ステルス戦闘機「F35」など防衛装備品の購入を拡大する案だ。
F35は米軍が2400機以上を調達する予定の主力戦闘機で、日本も2011年に42機の購入を決めている。が、とにかく高価なのが難点だ。航空自衛隊には2016年度分として4機の納入があったが、同年度の取得費は1機当たり180億円と巨費に膨らんだ。
トランプ大統領がライバル社からの調達切り替えをちらつかせて値下げを迫った結果、今月初めになって米軍が新たに調達する90機(日本向けの4機も含む)の価格が1機当たり106億円に下がったこともあり、日本政府内部では調達拡大論が勢いを増しているという。
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このほか、中国が軍事力強化を進める南、東シナ海情勢をにらんで、島嶼(とうしょ)防衛を担う新たな水陸両用車や対艦ミサイルといった兵器の共同開発も模索されているらしい。
安全保障と並ぶ注目分野の経済については、「会談の成果としては内容に乏しかった」(11日付朝日新聞インターネット版)という評価が一般的なようだ。
同紙は「政権ナンバー2同士の麻生太郎副総理とペンス副大統領の間で『経済対話の枠組み』を作ることで合意した。ただ具体策はこれからという感じで、会見や共同声明では具体的な交渉分野や雇用目標などに触れなかった」と続けて、課題先送りと解説した。
だが、果たして、そうだろうか。筆者は、安倍首相が健闘した案件もあったものの、多くの点で今後の譲歩を示唆でトランプ大統領を喜ばせ、揺るぎない日米同盟の演出に成功したとみている。
■入会金2000万円超のゴルフクラブ
安倍首相の健闘として触れておかなればならないのは、トランプ氏が大統領選挙中に公約し、一部でも実現すれば、米国だけでなく世界経済のけん引役になると期待されているインフラ整備について、
「大統領のリーダーシップによって、今後、高速鉄道など大規模なインフラ投資が進められるでしょう」と持ち上げたうえで、
「日本の新幹線を一度でも体験した方がいれば、そのスピード、快適性、安全性はご理解いただけると思います。最新のリニア技術なら、ここワシントンD.C.からトランプタワーのあるニューヨークに、たった1時間で結ばれます。
日本はこうした高い技術力で大統領の成長戦略に貢献できる。そして、米国に新しい雇用を生み出すことができます」と、新幹線やリニアの導入を求めたことだ。
相手がビジネスマン出身ということもあっただろうが、首相自らホワイトハウスで、こうした鉄道インフラの輸出拡大をアピールしたことは高く評価できる。
一方、とりあえず火の手があがるのを回避したものの、予断を許さない分野として、為替をあげる必要があるだろう。
トランプ大統領は従来から日本が外国為替を操作しており、それが貿易不均衡の主因でもあるかのように批判を繰り返してきた。
記者会見で、その点を問われた首相は、「為替については日米の財務相間で緊密な議論を継続させる」とかわしたが、大統領はすかさず「通貨切り下げについて私は長い間不満を訴えてきた。大方の予想よりもずっと早く、我々は公平な条件になるだろう。それが貿易で公平に競争できるようにする唯一の道だ」と述べ、決してうやむやにさせない構えを見せた。
また、米国のTPP(環太平洋経済連携協定)離脱を受けた新たな枠組み作りも波乱含みだ。
首相は記者会見で「日米の経済関係を一層深化させる方策」として、「麻生副総理とペンス副大統領との間で分野横断的な対話を行う」と発言し、厄介な問題をオブラートで包み隠そうと試みた。
しかし、共同声明の関連部分には、はっきりと「米国のTPP離脱に留意し、共有された目的の達成へ最善の方法を探求する。これには日米2国間の枠組みの議論を含む。両首脳は課題を議論するための経済対話に従事すると決定した」と明記せざるを得なかった。
事前に、日本政府は、多国間交渉よりの交渉の難航が予想される、米国との2国間FTA(自由貿易協定)の交渉開始を極力回避するとしていたが、実際には水面下であっさり譲歩を約していたのである。為替と日米FTAは早くも日米間の大きな懸案になっている。
米メディアによると、フロリダで首相夫妻が宿泊したトランプ家所有の豪華リゾート施設「マール・ア・ラーゴ」は、入会金が20万ドル(約2260万円)、年会費が1万4000ドル(約160万円)もするという。
また、両首脳がプレーしたゴルフクラブ「トランプ・ナショナル・ゴルフクラブ」は入会金が最高21万ドル(約2380万円)だそうだ。
今回の滞在費用は、日本政府が負担すると、大統領への個人献金扱いになり米憲法違反の懸念があった。逆に、米政府が払えば、国民の税金がトランプ家の家業の収益になる可能性があったため、トランプ氏がポンとポケットマネーで支払ったとされている。
首相はタダで高級リゾートを満喫したわけだが、将来、それが「無料(タダ)ほど高いものはない」という結果になり、日本国民の負担とならないように、くれぐれも今後の交渉を怠らないでいただきたいものである。
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