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(回答先: 袴田さんの再審開始が確定、無罪の公算強まる 検察側が特別抗告を断念 1966年一家殺害 死刑事件で5例目(東京新聞) 投稿者 蒲田の富士山 日時 2023 年 3 月 21 日 02:43:52)

2023年3月29日 12時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/240753
1966年の静岡一家4人殺害事件で死刑が確定した袴田巌さん(87)の再審開始決定に対し、特別抗告を断念した検察。多くの再審事件で上訴してきただけに、「あり得ないことが起きた」とOBに衝撃が走っている。間違いを認めない組織の変化や検察改革の成果を指摘する声が出る一方、再審公判で再び袴田さんの死刑を求刑する可能性も。検察は本当に変わったのか。元検事らに聞いた。(山田祐一郎、中山岳)
◆特別抗告断念に驚いた郷原信郎弁護士
「最後まで徹底的にいくべきだという意見もあり、事前の見方は特別抗告するというものだった。絶対に後に引かないのが検察だ。従来の検察のスタンスからは考えられない」。元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士が、袴田さんの再審開始決定に東京高検が特別抗告を断念したことへの驚きを語る。
再審請求審で再審開始決定を勝ち取るのは「ラクダが針の穴を通るよりも難しい」と言われるほどハードルが高い。だが、やっとのことで通り抜けても、検察の異議や抗告で阻まれるパターンが多かった。
例えば、三重県名張市で1961年に5人が死亡した「名張毒ぶどう酒事件」で死刑が確定した奥西勝さん。2005年に名古屋高裁で再審開始決定を受けたが、検察側の異議申し立てを受けた異議審で取り消された。奥西さんは、再審公判を受けないまま89歳で病死した。
鹿児島県大崎町で1979年に男性の遺体が見つかった「大崎事件」で、殺人罪などで服役した原口アヤ子さん(95)。これまで鹿児島地裁と福岡高裁宮崎支部で計3度、再審開始決定が出たがその都度、検察側は抗告している。
滋賀県日野町で84年に女性が殺害されて金庫が奪われた「日野町事件」で強盗殺人の罪で無期懲役が確定し、服役中に75歳で病死した阪原弘さんもそうだ。大阪高裁が今年2月、大津地裁に続いて再審開始を認めたが、大阪高検が今月6日に特別抗告している。
◆完璧主義に縛られている検察
過去の再審無罪事件を研究した元検察幹部は「検察は緻密に捜査した上で、有罪で間違いないと判断して起訴する。再審で無罪を論告する事態になれば、それが間違いだったと認めることになる。起訴した検事は責任を問われ、人事で不利益をこうむる場合もありうる」と解説する。
背景には「精密司法」とも評される刑事訴訟で検察が完璧主義に縛られている面もあると指摘。「犯人性を示す証拠が揺らいでも、有罪立証から退くことがなかなかできないのだろう」と深刻に受け止める。
では、今回はなぜ特別抗告を断念したのか。郷原氏は「捜査機関による組織的な証拠の捏造ねつぞうの疑いが指摘された。余計に引き返しにくいケースだったはずだ」と強調する。検察内部には、特別抗告して最高裁の判断を仰ぐべきだとの声もあったとされるが、「事件が長引くことによる世論の批判の高まりを意識したのだろう」とみる。
同様に「意外な判断だ」と驚く元東京地検検事の落合洋司弁護士は「三審制を経て確定した判決を覆されないようにするのが法秩序の安定であり、公益につながる、という考えが検察では根強い。最高裁で争う形になるかと思っていたが、内部で『いける』という声が出なかったのでは」との見方だ。
◆再審公判に求められるスピード
2010年の大阪地検特捜部証拠改ざん事件や20年の東京高検検事長定年延長問題を機に、検察は改革を進めてきた。今回の再審開始決定を受け入れた東京高検のトップは畝本直美検事長。女性初となる次期検事総長候補でもある。
前出の落合氏は「最終決定をしたのは甲斐(行夫)検事総長と畝本検事長。検察そのものの体質が変わったというより、その時のトップがこういう判断をしたということだ」と話す。
だが、袴田さんは87歳、姉のひで子さんは90歳。今後開かれる再審公判はスピードも求められる。
栃木県足利市で女児が殺害された「足利事件」の再審公判では、検察が論告で無罪を主張し、10年に無罪判決。初公判から判決まで約5カ月だった。東京電力女性社員殺害事件でも、12年10月の再審初公判で検察が無罪を主張し、翌11月に無罪判決が出た。
一方、島田事件(1989年に無罪判決)や免田事件(83年に無罪判決)の再審公判は、検察が死刑を求刑。初公判から判決まで1〜2年ほどだった。元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「袴田さんの再審公判も、検察が無罪主張すれば早くて数カ月、有罪主張なら1〜2年ほどでは」とみる。特別抗告断念により無罪判決が出る公算は大きくなったものの、時期は検察次第ということだ。
◆「死刑求刑を続ける可能性が高い」と若狭勝弁護士
東京高検の山元裕史次席検事は記者会見で「再審公判では適切に対応する」として主張を明らかにしていないが、どうなるのか。若狭氏は「検察は有罪主張、死刑求刑を続ける可能性が高い」とみる。東京高裁が捜査機関による証拠の捏造を事実上認めたからだ。
「検察の感覚なら、無罪主張すれば捏造を受け入れた印象を世の中に与えかねないと考えるだろう。無罪の公算が大きくても、アリバイが確定するような決定的証拠はないとして『真っ白な無罪とは言えない』と主張することはあり得る」
そうなれば、袴田さんに無罪が告げられる日はさらに遠のく。若狭氏は「どのような立証にせよ有罪主張はハードルが高く、説得力に欠けるとみられるだろう」と述べる。
◆「死刑確定事件の証拠は長期間保存を」と高井康行弁護士
一方、元東京地検特捜部検事の高井康行弁護士は「法と証拠に基づき、検察は有罪と思えばその方向で立証するのが当然だ」とし、「そもそも特別抗告するべきだった」と話す。高裁での検察の立証が「犯行着衣とされる衣類に付いた血液の色の変化を巡り、専門家でない法医学者の見解を用いて立証しただけで、粗かった。油断もあったのでは」という見方だ。
再審公判の行方が注目を集める中、日弁連などは刑事訴訟法の再審規定(再審法)の見直しを求めている。検察側の腰は重いが、高井氏は「死刑確定事件の証拠については、再審も見据えて長期間保存することを検討してもいいだろう」と話す。若狭氏も「現状では再審開始までにあまりに時間がかかる。検察の抗告権を制限し、再審公判の主張・立証を充実させたほうがいい。そのために、再審法改正に向けた議論が必要だ」と求める。
前出の元検察幹部は「多くの事件で、絶対に犯人で間違いないと判断できるほどの物証はなかなか取れない。そのため検察は昔から自白を重視した捜査をしがちで、近年は自白頼みから脱却する方向で改革してきたが、道半ばだ。袴田さんのケースは、そうした問題をあらためて浮き彫りにした」とし、こう強調する。
「これだけの大きな事件で、裁判所から捜査機関が証拠をでっち上げた可能性を指摘されたのは大問題だ。再審法を改正する前にまずは第三者の目で、これまでの捜査と立証を徹底的に検証する必要がある」
◆デスクメモ
袴田さんは死刑の恐怖を抱えたまま半世紀近く拘束されて精神を病み、普通の会話は難しい。釈放後は自分の足で散歩していたが、さらに9年の年齢を重ね、今は支援者の車で回っている。それでも終わらない「人道問題」だ。失われた時間が戻らない以上、せめて1日も早く無罪を。(本)
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