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(回答先: 輸出企業が日本を滅ぼす 投稿者 中川隆 日時 2018 年 3 月 04 日 16:01:08)
日本の農業を滅ぼすと日本人は餓死する
北極で「真夏並み」の暖かさ、世界の異常気象の原因に
2018.02.28 Wed posted at 12:26 JST
(CNN) まだ冬の真っただ中のはずの北極で、気温が急上昇して真夏のような暖かさになる異常気象が観測されている。
北極は今、1日24時間太陽が昇らない極夜の闇に包まれている。ところがデンマーク気象庁によると、気温は今週に入って零度を超え、同地の冬としては観測史上最高を記録した。 世界最北の陸地にあるモリスジェサップ岬測候所の観測では、グリーンランド東部と北極中部の2月の平均気温は、平年を約15度上回った。
デンマーク気象庁によれば、北極の気温は数十年前から上昇を続けているが、ここ数年は特に極端な変化が起きている。過去20年の間に2月の気温が零度を超えたのは、2011年と17年、今年の3回のみだった。
特に今月のような異常な暖かさは前例がなく、過去最長の9日連続で零度を上回る状況が続いているという。
ノルウェー北極研究所の専門家によると、北極の「熱波」の原因は、南からの暖かい風と海氷の後退、海面の上昇と温暖化にある。
北極に流れ込む暖かい風は、例年であれば海氷によって冷却されるが、海氷が後退したために南風が暖かいまま北上を続けた。海面の上昇と温暖化も続いているため、暖かい風は北極海を覆い、北極点に達している。
北極の異常気象は悪循環を生み、欧州全土やアラスカにも影響が及んでいる
アラスカのダイオミード島は、例年であれば2月は海氷が押し寄せる季節だが、今年は流氷に代わって波が海岸に打ち寄せ、沿岸部の地形も変化した。
長年北極の観測を続けている米国立測候所の専門家によると、2017年は観測史上初めて、アラスカ沖の海上で海氷が1度も観測されなかったという。
1月〜2月にかけての北極の海氷は、1980年以来、縮小を続けている。米国立雪氷データセンターによると、2018年1月から2月にかけては記録的な激減が観測され、昨年の海氷減少は過去最悪だった。
一方、北極の温暖化とは対照的に、欧州は異例の寒波に襲われている。「東から来た野獣」と呼ばれるこの寒波は、シベリアからの寒気が欧州全土を覆ったことによる。
氷河に詳しい専門家のジェイソン・ボックス氏は、北極の寒気が通常停滞している場所から押し流されたと解説する。この寒気が、イタリア・ローマのように通常は温暖な場所にも異例の積雪をもたらした。
北極は地球の空調装置の役割を果たし、中緯度地域の気温調節や気象パターンの調節を担っている。そのバランスが崩れれば、異常気象が発生する。
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AFPBB News
2018/02/28 09:02
AFP=時事】欧州に厳しい寒波が襲来する中、真冬の北極圏で記録的な高気温が観測されている。北極点では最近、例年の同じ時期の水準を30度上回り、0度を超える気温が記録された。海氷に覆われた範囲は、50年余り前に観測が開始されて以来、最小となっている。
一連の高気温は、「成層圏突然昇温」と呼ばれる現象によるもの。
米独立研究機関バークリー・アース(Berkeley Earth)の主任科学者ロバート・ローデ(Robert Rohde)氏はツイッター(Twitter)への投稿で、今回の高気温について、平年を30度上回っていると説明した。
北極点には常設の計測器はないが、米国と北欧諸国の気象当局は、同地の気温は2月25日に最高に達したと報告している。
ノルウェー北極研究所(Norwegian Polar Institute)の気候科学者、ロバート・グラハム(Robert Graham)氏はAFPに対し、「冬季に北極点付近の気温が0度を超えた例は、1980年から2010年までの間に4回あったと考えられている」と説明。それが「今や最近の過去5回の冬のうち、4回で発生している」と述べている。
科学者らは、蓄積されたデータは、気候変動が冬季の異常気象の一因であることを示していると指摘した。
【翻訳編集】AFPBB News
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地下水が危機、今世紀半ば18億人に打撃
過剰な地下水利用が水資源の危機を招く 2016.12.28
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/122700501/
米カンザス州の穀物畑を潤すピボット式スプリンクラーの灌漑システム。それぞれがオガララ帯水層から、1分間に何百リットルもの水をくみ上げている。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/122700501/?SS=imgview&FD=-787263934
気温の上昇と、米や小麦といった穀物の需要増加によって、世界の地下水は今後数十年のうちに激減する可能性があるとする研究結果が発表された。(参考記事:「地下水が枯れる日」)
我々の食料のほぼ半分が、地球上の温暖で乾燥した地域で生産されている。そうした場所では、穀物に水を供給するために地下水の過剰なくみ上げが行われており、帯水層と呼ばれる地下の貯水層の水量が急速に減少している。最新の研究によると、今世紀半ばには、インド、パキスタン、ヨーロッパ南部、米国西部の広い範囲で帯水層が枯渇する可能性があり、そうなれば食料供給が打撃を受け、また18億人もの人々がこの貴重な水源を利用できなくなる。
米国コロラド鉱山大学の水文学者インゲ・デ・グラーフ氏は、具体的にいつ、どこの帯水層の水が限界に達するのかを予測するため、1960年から2100年にかけての地域ごとの地下水の動向をシミュレートするモデルを開発した。
その結果、カリフォルニア州の農業の中心地であるセントラルバレー、トゥーレアリ盆地、サンホアキンバレー南部では、早くも2030年代には利用可能な地下水がなくなることがわかった。インドの上ガンジス盆地やスペイン南部、イタリアでは、2040年から2060年の間に地下水が底をつく。さらには米カンザス州、オクラホマ州、テキサス州、ニューメキシコ州の地下に位置するオガララ帯水層南部は、2050年から2070年の間に枯渇する可能性がある。(参考記事:「地下水の枯渇、次世代に水を残せるか」)
「いちばん早く危機に見舞われる地域は、水の需要が高く、地表水が不足している場所です」と、12月にサンフランシスコで開催されたアメリカ地球物理学連合の大会で研究結果を発表したグラーフ氏は語る。
過去50年で地下水頼みの農地が急増
こうした乾燥地域では、過去50年間で急速に農業が発展した。降水量が少なく、川や湖もほとんどないため、地下からくみ上げる水だけが頼りだ。グラーフ氏によると、1960年以降、世界各地での過剰な水のくみ上げにより、すでにミシガン湖ひとつ分ほどの水が使われており、今後は気候変動と人口増加により、地下水の使用にさらに拍車がかかるものとみられる。グラーフ氏は、地下水位が約90メートルよりも深くなり、くみ上げ費用が多くの利用者にとってあまりにも高額になってしまった時点で、その帯水層は枯渇したものとみなしている。
論文の共著者でオランダ、ユトレヒト大学の水文学者、マルク・ビエルケンス氏は、地下水の減少により、世界の食料供給は打撃を受けるだろうと述べている。現在、世界の食料生産の40%は地下水を使った灌漑に頼っている。同氏の試算によると、もし利用できる地下水の量が半減すれば、農業生産高はおよそ6%減少するという。つまり、それだけの割合が、持続不可能な地下水利用に完全に依存しているということだ。
「人類全体が飢餓状態に陥るわけではありませんが、食料価格には大きな影響があるでしょう」とビエルケンス氏は言う。
地下水の枯渇によって影響を受けるのは食料だけではない。湿地帯の環境破壊や地盤沈下も引き起こされる。(参考記事:「カリフォルニアで地盤沈下が深刻化」)
2015年に行われた衛星観測による研究では、世界の主要な帯水層の大半(37カ所のうち21カ所)で、水が溜まるよりも速いペースで減少していることが明らかになった。「数多くの研究が、地下水の過剰な利用と、水や食料の安全がとてつもないリスクにさらされていることを指摘しています」と、NASAジェット推進研究所の水文学者ジェイ・ファミグリエッティ氏は述べている。「問題は、地下水があとどのくらい残っているのかがわからないことです」
持続不可能な灌漑は20%
グラーフ氏の研究は、帯水層の抱えるそうした問題に取り組もうとするものだ。通常の状態では、砂や透水性の高い岩の層は地中に染み込む雨、雪解け水、川の水などによって水が溜まり、涵養される。ところが猛烈なペースで水をくみ上げている現在のような状況では、特に降水量が少ない地域においては、水が減っていく量に涵養が追いつかない。(参考記事:「干ばつが招く地下水の枯渇」)
英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者、キャロル・ダーリン氏によると、農業灌漑の少なくとも20%が持続不可能な状態にあり、その半数近くが小麦や米といった商業作物に使われている。そして、こうした過度の地下水利用の3分の2は、パキスタン、インド、米国によるものだ。
これらの研究からは、現在のような持続不可能な方法により、地球の帯水層の未来がどれほど脅かされているかがわかると、カリフォルニア大学デービス校でセントラルバレーの研究を行う水文学者、トーマス・ハーター氏は言う(同氏はいずれのプロジェクトにも参加していない)。
しかし、持続可能な地下水の利用法についての専門家でもあるハーター氏は、セントラルバレーの地下水が2030年までに枯渇することはないと考えている。同地域の帯水層では、過去数十年間にわたって過剰なくみ上げが行われてきた上、近年カリフォルニア州全土を襲った干ばつにより、事態はさらに悪化している。それでも、この貴重な水源を守る望みはまだ残されていると同氏は指摘する。カリフォルニア州は数年前、地下水規制法を成立させ、地域ごとの管理機関に持続可能な使用計画を立てることを義務付け、無秩序なくみ上げを制限する権限を与えた。(参考記事:「カリフォルニア初の地下水規制法が成立」)
「それでも、これが深刻な危機であるという事実は変わりません」とハーター氏は言う。「地下水はいわば、あらゆる人が使用するブラックボックスのようなものです。地域的な資源だという印象があるかもしれませんが、その影響は地球全体に及びます」
文=Cheryl Katz/訳=北村京子
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/122700501/
ナショナルジオグラフィック日本版 2016年8月号
地下水が枯れる日
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/magazine/16/072100012/072100004/
米国の穀倉地帯を支える「オガララ帯水層」の地下水が枯渇しつつある。国内はもとより、世界の食料供給への影響が懸念され始めた。対策はあるのか?
文=ローラ・パーカー/写真=ランディ・オルソン
乾燥した米国中部で近代的な生活が送れるのは、膨大な量の地下水を含んだ地層「オガララ帯水層」があるおかげだ。そのオガララの水を調査するため、私たちはここカンザス州へやって来た。井戸に下ろした巻き尺の先端は、深さ60メートルでようやく水面に達した。1年前に測ったときより30センチも低い。このペースで水が減れば、井戸が枯れるのも時間の問題だ。「この状態で灌漑に使えば、ひと夏もちません」。米カンザス地質調査所で水資源データの管理責任者を務めるブライアン・ウィルソンは言った。
農業地帯を支える水
オガララ帯水層をめぐるウィルソンの調査に同行し、8000キロを旅した。私たちが車で走ったのは、サウスダコタ州からテキサス州にかけて広がる、米国有数の高い生産性を誇る農業地帯の一角だ。一帯の年間生産額は少なくとも200億ドル(約2兆円)に達し、米国内の小麦、トウモロコシ、肉牛の5分の1近くがここで育てられている。
そうした農家は今、難しい選択を迫られている。水を節約して地下水の枯渇を遅らせるか、目前に迫った終焉に向かってこのまま突っ走るのか。なかには現実を直視したがらない農家もある。今の調子で水をくみ続け、帯水層が干上がってしまったら、世界の食料市場は大打撃を受けるだろう。国連の試算によれば、21世紀半ばまでに世界の人口は90億人を超えるため、あと数十年で食料生産を6割増やす必要があるという。そんな世界情勢を尻目に、水はゆっくりと枯れつつある。
※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2016年8月号でどうぞ。
編集者から
センターピボット式スプリンクラーを使った円形の畑は、まるでミステリーサークルのよう。衛星写真でその形がわかるというので、試しにグーグル・アースでサウジアラビア上空を飛んでみました。ゴマ粒のような点々の塊へグググッと近寄ってみると、くっきりと緑の丸が並んでいるではありませんか! この特集の舞台となった、オガララ帯水層のある米国の土地にも桁違いの数の畑が広がっていますが、サウジアラビアの何もない砂漠と緑のコントラストは、それ以上の衝撃。もう地下水が枯渇しているようなので、この光景は今後見られなくなるかもしれません。今のうちにちょっとのぞいてみてはいかがでしょうか?(H.O.)
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/magazine/16/072100012/072100004/
地下水の枯渇、次世代に水を残せるか 2012.12.25
ニューデリーをはじめインド各地では、地下水の販売がビッグビジネスになっている。一方で、地下水位は急激に低下している。
Photograph by Findlay Kember, AFP/Getty Images
インドでは農家による地下水のくみ上げ、販売が全国的に拡大し、地下水の枯渇が深刻化している。しかし、これはインドだけの問題ではない。◆化石水の枯渇
水は再生可能な資源と考えられてきた。どれだけ水を浪費しようと、雨が降れば河川や貯水池はまた満たされる。干ばつの期間を除けば、表流水についてはその通りかもしれない。だが、過剰取水によって河川が干上がり、世界的に地下水への依存が増えてきている。井戸を掘りくみ上げた地下水の多くは、雨や雪が何千年もの歳月をかけて地下に浸透し、岩石の隙間に溜まった限りある資源なのだ。
その巨大な水の蓄積が、地下に溜まるよりもはるかに速いペースでくみ上げられている。地下水位は急激に低下し、さらに井戸が深く掘られ、大きな電動ポンプが唸りを上げる。しかし、現在盛んに消費されている地下水は、次世代に受け継ぐべき遺産にほかならない。
◆農業利用の増大
地下水の枯渇問題は圧倒的に農業が負っている。世界の水の3分の2が作物栽培に回り、乾燥して水ストレス(水需給が逼迫している状態)が高い地域などは、90%にも及ぶ場合がある。
しかし、いつまでもこの状況を続けることはできない。中国有数の穀倉地帯である華北平原では、地下水位が1年あたり1メートル以上低下している。
水不足によって食糧を自給できず、他の国の水資源で育てられた作物の輸入に追い込まれる国も増加。しかし、食糧という間接的な形で水を輸出できる国は減る一方だ。輸出国でも水資源が枯渇すれば、世界的な食糧危機は避けられない。
また、多発する塩水化や水質汚染は、枯渇以前の問題ととらえられる。飲料水の地下水依存率が高いインドでは、一部の地域で骨のフッ素症が蔓延している。飲用水を汚染する、高濃度のフッ化物が原因だ。
「地下水位の低下は、持続可能な水利用が実現されていないことを示すサインだ。稼ぐあてもなく、貯金を切り崩しているにすぎない。地下水は大切に使い、次世代から奪うべきではない」と、ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(TNC)の淡水戦略担当のブライアン・リヒター氏は指摘する。
◆ソリューションを求めて
何よりも農業に焦点を当てた研究が進んでいる。小量の水で育つ新しい農作物の開発などだ。
また、水不足が進んでいるにも関わらず、低い調達コストのため浪費されているケースが多い。実際に作物に必要な水はわずかなのに、世界の農家の多くが農地に大量の水をまいて灌漑している。地下に浸透して繰り返し資源として利用できる部分もあるが、大半はそのまま蒸発してしまう。
無駄を防ぐ1つの解決策としては、点滴灌漑が有効になるだろう。農地全体に配水パイプを張り巡らせて、根に近い土壌表面に直接ゆっくり灌漑水を与える。この方法ならば、次世代に禍根を残さずに済むかもしれない。
今や水の枯渇は世界共通の問題だ。国連環境計画(UNEP)によると、世界で最も水不足に悩む地域はガザ地区であるという。イスラエルとエジプトに挟まれた地中海沿いのパレスチナ自治区で、いま唯一の水供給源が失われつつある。
河川が流れぬガザ地区には、海水の淡水化を行う資金もない。約170万人の住民は飲料水を地下水に依存している。しかし、地下水の回復スピードの約3倍の勢いで揚水されているため、水位は急激に低下、海水が帯水層に浸入する事態となった。国際連合は2012年、ガザの地下水は2016年までに飲用に適さなくなる恐れがあると警告している。
水問題が先鋭化したガザは、他にも多数の問題を抱えているが、これは世界へ向けた警鐘と言えるだろう。このまま水資源を使い続けたら、子どもや孫の時代にはどうなるか。ガザの行く末に世界の注目が集まっている。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/7287/
カリフォルニアで地盤沈下が深刻化 2014.03.26
カリフォルニア州ロスバノス、デルタ・メンドータ運河の堤防(2月25日)。45年前、地盤沈下の対策としてかさ上げ工事が行われた。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9069/
アメリカのカリフォルニア州中部では現在、地下水の大量くみ上げによって、広範囲に地盤が沈下している。最近公表されたアメリカ地質調査所(USGS)の報告によると、一部の地域では急速に進行しているという。 深刻な干ばつに見舞われている同州では、地下水の需要増に伴って地盤沈下が各地で発生。当局や土地所有者はその対応に追われている。水文学の専門家で報告書の作成責任者を務めたUSGSのミシェル・スニード(Michelle Sneed)氏は、同州の豊かな農業を支えているサンホアキン・バレー一帯でも、想定外の勢いで進行していると警告している。
州の中部では約3000平方キロの広範囲で沈下している一帯があるが、その速度は年間2.5センチ程度にすぎない。ところがスニード氏が調査を行った約5平方キロの地域では、年間30センチに及ぶという。スニード氏は、「これほどの勢いで進むと、道路や用水路、パイプラインなどのインフラは対応できない」と語る。悪化する状況にさらに拍車をかけているのが干ばつだ。今後も降雨が期待できず水不足が続けば、地下水のくみ上げはさらに活発になるだろう。
◆地盤沈下によって高まる洪水の危険性
深刻な地盤沈下は既にさまざまな影響をもたらしている。州中部の灌漑区域を管理しているクリストファー・ホワイト(Christopher White)氏によると、人口5400人の町ドスパロスなど低地の過疎地域では洪水の危険性が高まっているという。
遊水施設の多くが地中に沈み込んでしまった低地では、川が氾濫した場合に十分な量の水を貯留できない。地元当局は、大雨の際に土嚢を積むなど緊急時の対応策を検討中だという。
また、数百カ所の農場に灌漑用水を供給している水路やダムも、機能不全に陥っているケースがあるようだ。
サンホアキン・バレーを含むセントラル・バレーには、USGSの調査対象となったデルタ・メンドータ運河がある。州北部からセントラル・バレー一帯の農村や都市部に水を運ぶ運河は、地盤沈下が進行する地帯のすぐ脇を流れている。
1969年、地盤沈下対策として全長24キロのかさ上げ工事が行われた。だが、運河の管理技師ボブ・マーティン(Bob Martin)氏は、周辺の地盤沈下の勢いが収まらない場合1.2メートルのかさ上げでは不足し、20年以内に再工事が必要になるだろうと語る。
問題は水害だけにとどまらない。地盤が沈下し、粘土層に囲まれた地中の間隙が消滅すれば、地下水の貯留能力が失われる危険性がある。貯留量が減少すれば、回復までには長い年月を必要とする。「失われた帯水層を取り戻すことはほぼ不可能だろう」とUSGSのスニード氏。当局によると、セントラル・バレー一帯の全供給量の約3分の1は、地下水が占めているという。干ばつによる水不足が続けば、その割合はさらに増加する。
◆今後も長引く課題
サンホアキン・バレーの地盤沈下は、昨日や今日の話ではない。USGSの調査報告によると、運河で堤防のかさ上げ工事が行われた1969年のおよそ40年前には、既に8.5メートル前後の沈下が複数の地域で観測されている。
一帯は有数の農業地帯で、1950年代と1970年代には、シエラネバダ山脈の降雪を用水として利用する大規模な水利事業を連邦政府や州政府が実施。農業にも導入されて沈下はおおむね沈静化した。
だが、用水の利用が以前より困難になったと話す農場経営者もいる。カリフォルニア水機関協会(Association of California Water Agencies)のティモシー・クイン(Timothy Quinn)事務局長によると、シエラネバダの雪が減少しているうえ、絶滅危惧種の生息地保全に多くの用水が使われるようになったからだという。そこへ干ばつの水不足が重なれば、再び地下水を利用し始める農家が増えてもおかしくはないとクイン氏は指摘する。
地元当局は、地盤沈下の原因となる深層地下水のくみ上げをできるだけ控えるよう土地所有者に働きかけている。
現在、カリフォルニア州の地下水はその大半が各地域で管理されているが、地盤沈下がさらに進行すれば州による管理が強化される可能性もあるとクイン氏は話す。「干ばつが終息した後もしばらくは危機的な状況が続くだろう」。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9069/
干ばつが招く地下水の枯渇 2014.08.21
夕暮れ時のラスベガスを背景にした、アメリカ最大の人造ダム「ミード湖」。コロラド川流域では、10年間にミード湖2つ分に相当する水が失われた。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9616/
干ばつによる水不足を補うため地下水に頼るアメリカで、将来のリスクが懸念されている。 地表の湖や川、貯水池が干ばつで干上がった場合、帯水層からくみ上げて補うことができる地下水。アメリカ西部をはじめ世界の乾燥地帯では、今や再生困難と化した地下水源が持続不可能なペースで縮小している。
目に見える脅威や困難に直面した場合、全力を尽くして生き残りを図るのが生存本能だ。水かさが急増する洪水や接近する危険な敵はもちろん、渋滞にはまる直前で高速道路の出口が見えたときも、迫り来る危機に気付いて対応する。
一方、直接身に降りかからない脅威や、いつの間にか損なわれた自然環境は、われわれは見逃しがちだ。二酸化炭素が大気の化学構造を変化させ温暖化を招いていると言われても、なかなか理解できない人が今でも大勢いる。目に見えない危機、ほとんど視界に入らないリスクは、いつのまにか意識外に追いやられ、奮起して対応するまでに至らないケースが多い。消えゆく地下水もその好例と言えるだろう。
帯水層はいわば地下の貯水池で、砂利や砂がスポンジのように地下水を貯留している。湧き水や井戸水になって初めて、資源としての水と認識されることになる。アメリカの水需要の半分はこの目に見えない、縮小を続ける水源によって満たされているという。しかもここ数年の干ばつを受けて、湖や川、貯水池などに代わる資源として依存度はさらに上昇している。地表の水が流れ込む浅い帯水層はさておき、深い帯水層には数千年前あるいは数百万年前、地質の変化によって閉じ込められた古代の水が蓄えられている。一度汲み上げてしまえば、再び満たされることはまずない。“化石”のような貴重な水が枯渇してから、自身の生活や作物を育てる場を再考してもすでに手遅れなのは明らかだ。
カリフォルニア州では深刻な干ばつが4年近く続き、積雪や川、湖が枯渇している。そして、水不足を補うため、地下水の利用が急増している。アメリカ、スタンフォード大学の最新の報告によれば、カリフォルニア州では現在、水需要の60%近くを地下水で賄っているという。降雨量や降雪量が正常な時期に比べて40%という急増振りだ。
地下水への依存に伴って水の価格も上昇。カリフォルニア州のセントラル・バレーでは、帯水層の水を目当てに新たなゴールドラッシュが起きている。井戸掘りの業者たちは働き詰めで、水不足の農場や家庭は1年以上待たなければならない。
例年であれば、未舗装の地面に雨や川の水が浸透し、帯水層は自然に満たされる。しかし、干ばつに見舞われると、さらに速いペースで地下水がくみ上げられ、地下水面が下がる。セントラル・バレーの井戸はかつて150メートルも掘れば水に当たったが、今は300メートルでも足りない状況だ。そして、帯水層の枯渇に伴い、地盤沈下も始まっている。
地下水源の縮小はセントラル・バレーだけの現象ではない。コロラド川流域やグレートプレーンズ南部の帯水層も深刻な状況に陥っている。複数の研究によれば、地下水の枯渇の約半分は灌漑が原因だという。農業は最も多くの水を使う産業で、全世界で利用できる淡水の60%以上が灌漑によって消費されている。
7つの州に暮らす4000万人に水を供給しているコロラド川流域は、水資源が劇的に失われており、特に地下水の枯渇が目立つ。人工衛星で調査したカリフォルニア大学アーバイン校(UCI)とNASAによると、2004年から2013年にかけて65立方キロが消失したという。コロラド川の流量の2年分を保持できるアメリカ最大の人造ダム湖、ミード湖の水の2倍に相当する量だ。その失われた水の最大75%を地下水が占めている。
干ばつによって地下水が枯渇すれば、飲用水や農業用水を制限せざるを得ないため、いずれ社会不安を引き起こす恐れがある。数十年前、砂漠で小麦を栽培するために深い帯水層の水をくみ上げ始めたサウジアラビアでは、計画を白紙に戻したという。この不毛の地における地下水源の重要性に気付いた政府が、食料としての小麦は輸入に頼る決断を下したのだ。
干ばつによって地表の水が枯渇している現在、地下水源の管理と保守が緊急の課題となっている。地下水は井戸があれば誰でも利用できる貴重な共有資源だ。渇水が日常化する将来を回避するためには、この縮みゆく防衛線を死守しなければならない。協調と連携の下に、今こそ生存本能を発揮するときだ。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9616/
カリフォルニア初の地下水規制法が成立 2014.09.19
9月のカリフォルニア州ロス・バノス。何も植えられていない農地をトラクターが走り、土ぼこりを巻き上げる。3年連続の干ばつにより、同州の貯水量は記録的な少なさとなっている。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9739/
米国カリフォルニア州は先進的な環境政策で知られるが、地下水採取に関する規制は長らく全米で最も緩い部類に入っていた。それが変わったのは今月16日。地下帯水層からの水のくみ上げ規制に向けた3法案に、ジェリー・ブラウン同州知事が署名したのだ。 カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の水文学者ジェイ・ファミグリエッティ(Jay Famiglietti)氏は、「これで問題がすべて解決するわけではないが、正しい方向への重要な一歩だ」と評価している。
◆「口座」は残高ゼロ
カリフォルニア州の多くの農家にとって、地下水は欠かせない蓄えだ。地表水が減少する干ばつの年に備えた「戦略的備蓄」といえる。通常の年には、帯水層は州の水供給のうち30〜40%を担っているが、干ばつの年にはそれが60%近くになる。
カリフォルニア州の豊かな農業地帯、セントラルバレー産の野菜や果物が全米で常に大きなシェアを占めているのは、こうした水の蓄えのおかげだ。作られている作物は全部で300種を超え、ザクロからアーモンド、アスパラガス、トマトまで幅広い。
しかし、電動モーターの発達により初めて広い範囲で地下水がくみ上げられるようになった1920年代以降、州内の土地所有者は、地下の帯水層という「口座」から大量の引き出しを続けてきた。現在の物も含めた、近年の深刻かつ長期の干ばつで、状況はさらに悪化している。
州の地下水は枯渇寸前であり、残高のなくなった銀行口座も同じだ。帯水層が比較的薄いセントラルバレーの端では公営の井戸が枯れつつあり、小さな町では法外な値段で水を輸入せざるを得なくなっている。過剰なくみ上げが常態化したことで、バレーの広い範囲で土地の沈降が起こり、この数十年で9メートル以上沈降したところさえある。地下水を水源とする多くの地表の小川も水量が激減し、その川に依存している種が脅かされている。
しかし大抵の場合、カリフォルニア州の土地所有者は今でも資金が許すだけ多く、そして深く井戸を掘削でき、政府機関や近隣住民の許可は必要ない。少数の例外を除き、井戸の利用者は水のくみ上げ量を報告する必要はなく、一般市民による掘削記録の閲覧は大幅に制限されている。
この10年、ファミグリエッティ氏らの研究チームはNASAの衛星データを分析し、このような情報不足の補完に役立ててきた。研究では、セントラルバレーの農家が地下水を採取するペースは、雨と雪解け水が土壌と岩盤層に浸透して帯水層を再び満たす速さを大きく上回っていることが判明している。
◆効果が出るのはいつ?
カリフォルニア州の強力な農業ロビー団体は、地下水のくみ上げを規制するあらゆる立法の動きに長年にわたって抵抗してきた。しかし、現在の干ばつの長さと深刻さに加え、州の水需要も高まる一方のため、制度改革が今回幅広い支持を得るに至った。
16日に署名された法案は、来年1月に発効する。これにより地域ごとに地下水管理機関が決められ、地下水のくみ上げ制限、井戸の閉鎖、従わない土地所有者に対する罰金や罰則の賦課といった権限を与えられる。新法は州の機関に対し、地域機関が作成した地下水維持計画を監督するよう指示しており、地域ごとの行動が不十分な場合には介入する権限も与えている。
一方、新法は地域機関に地下水維持計画の作成期間として5〜7年を与えており、持続可能性の達成時期は2040年に設定されている。カリフォルニア大学デービス校の環境法教授リチャード・フランク(Richard Frank)氏は、「緊急事態にしてはあまりに悠長な計画」と批判的な見方を示している。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9739/
ひそかに進行する熾烈な「水」戦争 2008/7/27
https://blogs.yahoo.co.jp/redseadragon15/41800718.html
「水」戦争の世紀 (集英社新書) 新書 – 2003/11/1
モード バーロウ (著), トニー クラーク (著)
https://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E6%B0%B4%E3%80%8D%E6%88%A6%E4%BA%89%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%B4%80-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%89-%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%82%A6/dp/4087202186
● なぜ、本書を取り上げたか?
この本に出会ったのは1年ほど前。その時は悲観的な警鐘を鳴らす研究者や杞憂を唱えるのが啓蒙とする市民運動家の著作? との偏見から読み飛ばしていた。 “新炭素サイクル”とい流行語が目につくので、それなら元祖は“水サイクル”だと読みなおした。今日、投機から原油高騰、食料危機が現実となっているが、水は直接的に命に関わる(Vital)だけに無視できない。本書が指摘するような世銀や国連を巻き込む水戦争の姿に唖然となり、やがて慄然となる。
地下の“化石水”に依存する欧米諸国では、資源・エネルギーと同様に、熾烈な水の争奪戦が不可避なのか。その背後には慈悲のかけらもない欧米流の資本主義、自由主義経済の冷徹なメカニズムが働いている。
● 善良無垢な羊である市民は、何も知らずに明日の命の糧を奪われているだけで良いのか。日本は山紫水明、新鮮な表層水に恵まれているのは幸せだが、これまで脳天気でいられた唯一の国ではないか。
このブログにどうしても登場させたくなった理由はおわかりでしょう。
水の大切さは認識していても、次の素朴な質問に答えられるかと問われています。
Q1:水は本来誰のもので、誰が所有するべきなのか?
Q2:企業に水を買う権利を与えたのは誰? Q3:水の買占から誰が水を守るのか?
Q4:水の管理に関する政府の役割は?
Q5:極地、山岳、地下の帯水層等にある大自然の水を誰が管理するのか?
著者はいずれもカナダの市民運動家で、NGO「グローバリゼーション国際フォーラム」のメンバー。水は地球上の生物の共有財産であり、営利目的とした国際企業にゆだねるべきではないという考えを基本に、世界水フォーラムの民間企業主導に対抗して立ち上げた市民運動 Alternative Forum (水を守る国際フォーラム)の立場から記述。訳者は東京生まれの翻訳家。
【図表】@表紙 A本のキャッチコピー Bミネラル水のために水位の下がったミシガン湖 C干上がったテラピア(カルフォルニア州) D3年間も水の流れない川(モンゴル) B〜DはNW08日本版から
【概 要】
構成:合計3部10章 252頁 第1部:淡水資源の危機 第2部:政治の策略
第3部:進むべき道
第1部では、水不足の現状と見通しを、アメリカ、メキシコ、中近東、中国を例に解説し、エネルギー資源以上に、深刻な問題であることを指摘している。第2部では、政府の対応が異なるのを幸いに、その間を縫って多国籍企業が暗躍。膨大な利益を狙って水資源の利権を求め、商品化している実例を記述。第3部で著者らの活動趣旨と現状を示し、明日へ方策を模索している。
【内容を巡って】
その1 水はだれのものか? 飲み水は営利を目的とする私企業が同様に商品として売ってよいのか?
今世界を動かしている経済原理は“ワシントンコンセンサス”という経済モデルだという。共産主義、自由主義の対立が崩れた今、ロシアや中国も含めて、共通の認識は「自由主義市場しか選択肢がない。あらゆるものが商品化可能である」というコンセンサスだという。
●(戦前戦後派を問わず、昭和生まれの我々には素直に受け入れ難い)
水は種子、天然資源や社会事業などと同様、人類の共有資産であり、子孫への世界遺産(コモンズ)である。しかしワシントンコンセンサスでは、その全てが販売の対象=商品にできることになる。第2回世界水フォーラム2000(ハーグ)に“水”を商品として定義してしまった。国連や世界銀行の公式発言でさえ「水は人類の必需品であっても、権利ではない」とする始末。各国の閣僚級会議は異議も唱えず、結果的に多国籍民間水企業を支援した。
しかるに、これらの企業は水資源の枯渇を唱って水道料を値上げ、供給停止すら辞さない狼であることがやがて露見する。それでも世銀の誘導で、自国の上水道の事業権を多国籍企業に譲渡する政府が続出した。その結果水はパイプラインやスーパ―タンカーで水は自国無視の大規模輸出プログラムが進む。
その2 水資源って何だ?
1.地球上の全水量は淡水と海水合計で、14億km3という。一稜がほぼ日本列島の長さ(1120km)の立法体マスに相当する。
2.重要な淡水の量はそのわずか2.66%の約3千7百万km3。
3.循環水(天水)はさらに少なく、0.77%で約1,100km3。これが表層水として地上15km〜地下5kmの間を短期間に循環している。氷河や凍土、地下の化石水は超長期の循環水。
4.用途は農業(灌漑)用水65〜70%、工業用水20〜25%、家庭用水は〜10%。
その3 世界の水資源枯渇を懸念する根拠。水の総量が足りない? 安全な水が飲めない人は10億人以上、30億人が衛生設備を利用できない。さらに帯水層からの過剰揚水、産業化された農業、急激な都市化、森林破壊、道路舗装、インフラ整備などで地下に吸収されず直接海へ流れる淡水が急増した。河川湖沼は干上がり(B〜D)、海洋水の浸透、塩水化が起こり、農業が衰退。なお先端工業も問題。米国では車両1台製造に40万ℓの水が必要。コンピュター産業は1兆5千万ℓ/年も消費する。
その4 15億人が貯まった地下水や何千年も前の化石水を飲んでいる。新鮮な水とは? 飲料水の多くは地表の淡水でなく表層地下水や深層地下水依存である。アジア(中国、インドを含む)では50〜100%が地下水という。西デンマーク、オランダは100%。アメリカの50% 仏、加、英の30%以上が帯水層からの水。日本は100%表層水で新鮮な水が飲める恵まれた国。
その5 世界の危機的渇水状況
@ カナダ: タールサンド、オイルシェール開発に膨大量の淡水を消費。アルバータ州で毎年2040億ℓの淡水を注入した。10年間のメタンガスの生産で水位が10mも低下した。
A 米:オガララ帯水層はテキサスの一部からサウスダコタまで伸びる北米最大の単一帯水層。日本より広い50万kuX1ft(深さ)に相当する4兆トンの水があったが、すでに50%以上の水が減ったとされる。農地の放棄も起こっている。カルフォルニアの帯水層も枯渇寸前、コロラド川からの取水は限界に達した。過去50年で水位が50mも下がった谷がある。2020年まで新水源を見つけなければカルフォルニアの農業は絶滅の危機。
B メキシコシチィーは60年間に2200万人へと人口10倍増。帯水層依存は70%。40%も漏水し、あと10年もたない?
C 中近東の水危機は深刻。サウジは75%を帯水層依存。<50年?。 穀物1トン生産に3000トンの水を使う。イスラエルのガラリア湖は海水と肥料が混入、死海の水位は30年間で25mも下がった。リビアはエジプト〜スーダンにまたがるヌビア帯水層からパイピングし400億m3/年の水を輸送。工事は韓国企業。
D 黄河の流れは1997年は226日も完全断流。北京の地下水位は過去40年で37mも下がり、首都の移転も考慮中。盧溝橋に水があるのはオリンピックの時期のみ。400の都市で水不足。近隣の農業用水が危ない。中国の農業が破綻すれば世界的恐慌になる? 世界の25%の人口だが、水は6%。
その6 水で膨大な利益を漁る多国籍水企業。つぎの恐るべき戦略は?
フォーチュン2000年グロ―バル水事業特集号で「21世紀の水は20世紀の石油と同等の価値がある。国の富を左右する貴重な商品」と明言した。水道事業の収益は石油事業の40%に達し、製薬部門の30%を上回った。世銀の予測で水貿易額は1兆ドルという。
代表的な水事業の民営化モデルは二つ。@政府が上下水道の処理システム全て企業に売却する。例はイギリス。A官民パートナーシップ(PPP)と称し、政府が水事業権を企業に売却またはリースする。例はフランス。企業はシステムの整備・運営経費を負担する代りに水道料金を徴収する。水道事業を官から民へ移行すると商業上の必要性を産む。利潤を求める原理から、経費の全額回収+利鞘をとる。 企業経営者、株主は利益を求め他事業への投資もする。水への公平なアクセス、持続可能性は主目的ではなく、次世代のため資源保存は考慮外。
●K内閣の郵政事業の官→民移行を思い出すが、海外の策謀を知っていたのか、乗せられたのか?
フランスでは民営化により水道料金が150%急騰した。イギリスでは、民営化後6年間で水道料金が106%、利益も692%増加、しかし、供給停止件数が1.5倍とアップした。払えるものしか供給しない冷酷な英国。
その7 水事業(コングロマリット)の戦略 トップ2社で世界の国際水市場の70%を把握
スエズ: 本社フランス(旧スエズ・リオネーズ)。社名は19世紀最大のプロジェクト、レセップスの開発したスエズ運河から。創立以来、「征服への哲学」を社是とする。 130カ国で事業展開。年間収益346億ユーロ(2001)、水道(26.4%)、エネルギー(57.4%)、通信、廃棄物管理(14.5%)。
ビベンディ− 本社フランス。 90カ国に展開。2000年にシーグラムを買収。世界最大のマルチ・ユーテリティープロバイダー。水道、メディア、通信、輸送など.水道事業権利を広範に買収: 天津(中国)、ベイルート(レバノン)、セゲド(ハンガリー)、プラハ(チェコ)、ベルリン(ドイツ)、ナイロビ(ケニア)などに展開。ドイツでは憲法違反で訴えられるなど、トラブルも多い。
エンロン (アメリカ): 「世界中の水道が民営化するまで休まない」として、子会社アズリックを通して参入したが、ブエノスアイレス市での水質問題などトラブル多発し、最終的に撤退した。本来はエネルギー会社。ブッシュ父子に10万ドル単位で献金、他の候補者にも総額240万ドルも。
RWE−テムズウオーター :ドイツ系。米のテムズを買収、米、英、独、豪、加などに展開。上海に水処理施設で進出後、2001年水道システムを浦東と共同事業で開始。
その8 パイプライン&スーパータンカー輸送
アルプスの湧水をウイ‐ンにパイプラインで輸送。さらに国外へ拡大した欧州ネットワーク計画が浮上。トルコはパイプラインとタンカーで、キプロス、リビア、イスラエルから、エジプト、ギリシャまで考えている。イスラエルと490億ℓ購入契約済み。イギリスでも、エジンバラからパイププラインと船でイングランドへ。カナダでもグローバルH2O社が690億リットルの氷河水を30年間輸出する契約を発表。
その9 大運河計画
ローヌ河の水をバルセロナまで運河で257km輸送する計画。北米水力電力同盟は、アラスカとブリティッシュコロンビアの水をアメリカ35州に送る壮大な運河計画がある。ロッキーマウンテン峡谷にアラスカからワシントン州までが入るという長径800kmの貯水池をつくる計画。中国の三峡ダム計画は長江の水を北京へ。全長420kmのトンネル網はすでに完成。さらに1230kmの新運河で北京まで送る計画。
その10 ボトル水の話
1970にはわずか10億ℓだったが30年で840億ℓになった。ペリエやエビアンのボトルを飲むとヨーロッパの香りがする。いつのまにか日本でも定着した。ネスレはペリエ、ヴィッテル、サンペレグリノほか68種。「地下水をワイン、牛乳や石油より高く売る作戦」。安全な水が飲めない国ではボトル詰の水を売る。
水資源に関連する類書の書名だけ記す。
1 水戦争−水資源争奪の最終戦争がはじまった 柴田明夫 角川SSC新書
2 ウォータービジネス 中村靖彦 岩波新書
3 ウオーター世界水戦争 ベリエール
https://blogs.yahoo.co.jp/redseadragon15/41800718.html
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