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打つ手限られる車暴走テロ、IS系一匹狼か、NYで8人死亡
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/11007
2017年11月2日 佐々木伸 (星槎大学客員教授) WEDGE Infinity
ニューヨーク中心部マンハッタンで10月31日、ピックアップトラックが自転車道に突っ込み8人が死亡した事件は、車の暴走がテロの主流になったことをあらためて浮き彫りにした。壊滅の瀬戸際にある過激派組織「イスラム国」(IS)、国際テロ組織アルカイダの双方とも車によるテロを呼び掛けており、世界はその対策を早急に迫られている。
■米入国後に過激化
今回の事件の容疑者は2010年に中央アジアのウズベキスタン・タシケントから米国に移民として入国したサイフロ・サイポフ(29)。マンハッタン南部の東側ハドソン川沿いの自転車道に北方から猛スピードで突っ込み、次々に自転車や歩行者をはね飛ばして、最後はスクールバスに衝突して止まった。
現場は2001年の米中枢同時テロで崩壊した世界貿易センタービル跡地にある「9・11記念博物館」に近い。またこの日の夜にはハロウイーンのパレードが行われたこともあって、仮想した子供や市民が多く、事件をハロウイーンの悪ふざけと思った人もいた。犠牲者の5人はアルゼンチンからの観光客。
サイポフは模造拳銃とペンキ弾銃を持ってトラックから逃走しようとしたが、警官に腹を撃たれて病院に搬送された。サイポフは衝突した車から飛び出した際、「アッラー・アクバル」(神は偉大なり)と叫んでいたところが目撃されており、またトラック内にISに忠誠を誓ったメモが残されていた。
ISからの犯行声明は出ていないものの、こうした状況からISのテロの呼び掛けに応じた「一匹狼型の単独テロ」(捜査当局)だったことが有力。クオモ・ニューヨーク州知事は「米国に来てからISの影響を受け過激化した」と述べた。サイポフはIS戦闘員ら典型的なイスラム過激派のように、長いあご髭を生やしていた。
米連邦捜査局(FBI)は過去2年間に米国内でウズペキスタン人5人とカザフスタン人1人を、IS支援の容疑で起訴した。サイポフがこの事件に関係していたのかは不明だが、FBIから一時的にマークされていたとされている。
米メディアなどによると、サイポフは米入国後、フロリダ州のタンパでトラック運送の運転手をやり、その後ニュージャージー州パターソンに移り住んだ。妻と子供2人がおり、現在はアプリを使った配車サービス「ウーバー」の運転手だという。
サイポフの出身地であるウズベキスタンには元々、アルカイダ系の「ウズベキスタン・イスラム運動」(IMU)や「イスラム解放党」という2つの過激派組織があり、両者ともイスラム国家樹立を標榜している。IMUは99年に日本人技師の拉致事件を起こしたことで知られる。
最近では、シリアやイラクで戦ったIS戦闘員がウズベキスタンに舞い戻るケースが増えるなどISの影響力が強まっており、サイポフはネットを通じてISの呼び掛けに感化されたことが濃厚だ。
■入国禁止が再び論議に
それにしても車暴走テロは今や、テロの手法としては最も当たり前になった。2016年7月のフランスの保養地ニースでのトラック暴走テロで86人が犠牲になって以来、英国、ドイツ、スウエーデン、スペインなどで同様のテロが続発。
車がテロの手段として使われ始めたのは、銃や爆弾など入手が難しいものとは違って、誰でも、いつでも、簡単に入手ができ、多数を殺害することが可能だからだ。ISの機関誌「ルミヤ」最新号でも、「トラックでひき殺せ」と欧米でのテロを呼び掛けた上、テロを実行した後、叫んで犯行をアピールするよう指示している。今回の場合、サイポフが「アッラー・アクバル」と叫んだことと符号する。
またアルカイダの“若き獅子”と呼ばれている9・11の首謀者オサマ・ビンラディンの息子ハムザ・ビンラディンも同様に、車によるテロを支持者らに呼び掛けており、今後も車暴走テロが増えるのは確実だろう。
トランプ大統領は事件後、「ISが米国に戻ったり、入ったりするのを許してはならない」とツイート、国土安全保障省に対し、外国からの入国審査を厳しくするよう指示したことを明らかにした。
トランプ氏は政権発足直後からイスラム教徒らの入国禁止大統領令を出すなど入国規制に乗り出し、10月18日から施行するとして、イラン、リビア、北朝鮮、シリア、ソマリア、イエメン、チャド、ベネズエラの8カ国からの入国禁止令を出した。
しかし、ハワイ州の連邦地裁がこれを無効とする決定を下し、待ったがかかった状態になっている。ウズベキスタンはこれらの国に含まれていないが、今回の事件を契機に再び、入国禁止問題の論議が高まることになるだろう。
だが、入国禁止などの措置を強化したとしても、車によるテロを封じ込めることにはならない。一匹狼のテロリストがテロを思い立ち、レンタカーを借りるか、車を盗むことができれば、簡単に犯行の実行が可能だ。「事実上、防ぎようがない」(テロ専門家)。
パリのシャンゼリゼなどでは、車が進入できないよう、歩道脇に大きな石などの障害物を設置しており、世界各地の繁華街の通りなどではこうした方法が有効だが、すべての通りに設置できるわけがない。結局は、歩く時もたえず注意を怠らないように心掛けることが身を守る最善の方法だ。
5日からのトランプ大統領の来日を前に、都内では警察官の大量動員による警備フィーバーがすでに始まっているが、東京オリンピックが近づくにつれて、主要な通りに車を歩道に入れないよう障害物が設置されることになるだろう。テロ対策といえ、興ざめの時代になったものだ。
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