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10月31日、北朝鮮が、金融ネットワークを破壊することで、ここ数年頻繁に仕掛けてきたハッキング攻撃を激化する可能性に対し、世界の大手銀行は自衛策を講じている。写真は、北朝鮮の国旗とLANケーブル。シンガポールで11月1日撮影(2017年 ロイター/Thomas White/Illustration)
北朝鮮のサイバー攻撃激化を大手行が危惧 次は米銀か
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/11/post-8823.php
2017年11月2日(木)18時40分
北朝鮮が、金融ネットワークを破壊することで、ここ数年頻繁に仕掛けてきたハッキング攻撃を激化する可能性に対し、世界の大手銀行は自衛策を講じている。31日に開催された「ロイター・サイバーセキュリティー・サミット」で専門家が明らかにした。
サイバーセキュリティー会社「クラウドストライク」のドミトリ・アルペロビッチ最高技術責任者(CTO)は、北朝鮮のハッカー集団は過去3年間で銀行から巨額の資金を盗み出していると言う。そのなかには、2016年に起きたバングラデシュ中央銀行に絡む8100万ドル(約92億円)の不正送金事件も含まれる。
韓国やソニー<6758.T>傘下のソニー・ピクチャーズエンタテインメントに仕掛けた「ワイパー」型のマルウエアと同じタイプのものを使うことにより、北朝鮮のハッカー集団の破壊力が一段と増すことを銀行は危惧していると、アルペロビッチCTOは語った。
北朝鮮政府は、同国がサイバー攻撃を行っているとする専門家や米国政府による非難を、繰り返し否定している。
北朝鮮のハッカー集団は、銀行業務を妨害するため、サイバー攻撃による強奪で得た金融ネットワークに関する知識を利用しかねないとアルペロビッチCTOは述べ、自社が数行と「戦争ゲーム」の訓練を行っていることを明らかにした。
「盗みと破壊は紙一重で、わずか数回のキー操作の差だ」と同氏は言う。
米大手行のセキュリティー担当チームは過去数カ月、北朝鮮によるサイバー攻撃の脅威に関する情報を共有していると、別の事情に詳しいサイバーセキュリティー専門家は語った。
「(北朝鮮が)韓国の銀行を攻撃したことが分かっている」とこの専門家は述べ、米銀が次のターゲットになるという懸念が一段と高まっていると付け加えた。
北朝鮮が相次ぎ強行した核やミサイル実験に加えて、トランプ米大統領と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長による好戦的な言葉の応酬によって、米朝間の緊張は高まっている。
また、米オバマ政権で司法次官補(国家安全保障担当)を務めたジョン・カーリン氏は、防衛下請け業者や小売業者、ソーシャルメディア企業など他の業種でも、懸念が広がっていると語った。
「彼らは『北朝鮮によるサイバー攻撃が増えるのか』と心配している」と、現在は法律事務所モリソン・フォースターのリスク・危機管理部門の幹部であるカーリン氏は述べた。
一方、米戦略国際問題研究所(CSIS)のサイバー専門家、ジム・ルイス氏は、米国の報復を考えれば、北朝鮮が米銀に破壊的な攻撃を仕掛けてくる可能性は低いとの見方を示した。
米連邦準備理事会(FRB)や通貨監督庁(OCC)からの出席者はコメントを控えた。FRBもOCCも近年、サイバーセキュリティーを強化している。
(翻訳:伊藤典子、編集:下郡美紀)
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