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いまや誰でもネット上に自分の意見を自由に書き込み,仲間と共有することができる。調べものをするのにも便利だが,一方で明らかな誤情報やデマ,陰謀論,中傷がネットにあふれているのも周知の通りだ。ウェブは「集合知」をもたらす期待がある一方で,誤情報が増殖する一種のエコーチェンバー(共鳴箱)を生んでいる。
著者らはソーシャルメディアに人々が残した痕跡を解析することで,この効果を調べた。その結果,ソーシャルメディアのユーザーは,その情報が自分の既存の見解を裏づけるものである限り,誤情報であっても喜んで受け入れることがわかった。この“たちの悪いバイアス”を正す簡単な解決策は残念ながらなさそうだ。
著者
Walter Quattrociocchi
イタリアのIMTルッカ高等研究所で計算社会科学研究室を統括している。意見形成から情報の拡散まで,社会のダイナミクスの特徴を量的にとらえる研究が専門。特にオンラインで流通する叙述の起源・提供・拡散と社会的感化力に興味を持っている。
原題名
Inside the Echo Chamber(SCIENTIFIC AMERICAN April 2017)
http://www.nikkei-science.com/201707_054.html
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