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「米国第一」を掲げるトランプ米政権のもとで、軍需産業が活気づいている。同盟国などに防衛費の負担増を求める一方で、恩恵を受ける米防衛産業大手の株価は過去最高水準で推移。こうした効果を見込んで企業に要求を突きつけるトランプ流の「ディール(取引)」が透けて見える。
「今後4年で相当なプログラムが進んでいく。エキサイティングな時だ」
3月下旬、ホワイトハウスに近いホテル。集まった軍需業界や投資会社などの数百人を前に、国防総省のシェイ・アサド防衛価格局長はそう訴えた。
トランプ政権が誕生してから100日超。トランプ氏の政策に期待をかける業界の一つが軍需業界だ。
4月初めにワシントン郊外で開かれた軍需業界のイベントの会場には、米航空機大手ロッキード・マーチンやボーイングなど大手企業がブースを出し、空母や戦闘機シミュレーター、ドローンなどの模型が所狭しと並んだ。参加した金融業界のアナリストは「今ほど楽観的な状況はないよ」と興奮気味に話した。
トランプ政権は、国防費を540億ドル(約6兆円)増やす方針を打ち出した。国家通商会議(NTC)は、貿易と安全保障の「つなぎ役」を担い、防衛産業という米国の「製造業」の底上げを狙う。
NTCのナバロ議長は3月、「我々が相当な貿易赤字を抱える国は、赤字を減らすために製品や分野ごとに協力する必要がある」と指摘。「化学品、トウモロコシ、潜水艦、航空機など、我々からより多く買えば目標は果たせる」とし、日本などに米製品輸入拡大を求める考えを示した。
米商務省の昨年の報告書によると、2015年の世界の防衛費は約1・7兆ドル(約190兆円)。「中東での紛争激化やテロによる世界情勢の緊迫化は、世界の軍事費を押し上げ、米国の軍需輸出企業の世界市場での機会につながる」と指摘する。
トランプ氏は選挙中、北大西洋条約機構(NATO)を「古い同盟」と呼び、加盟国に防衛費の負担増を求めた。NATO加盟国の防衛費の増加は、米国の軍需産業を潤わせることにつながる。
これは一方で、国内企業に対し軍需産業を活性化させる代わりに、政権の言うことを聞けというトランプ流「ディール」でもある。
トランプ氏は、メキシコに工場を移転させる計画だった空調機器大手キヤリアに対し、「大量の雇用流出だ」と批判。計画を見直させた。キヤリアの親会社のユナイテッド・テクノロジーズ(UT)は、世界有数の軍需企業でもある。
さらにトランプ氏は、ロッキードに最新鋭戦闘機F35が高価すぎると主張し、値下げを認めさせた。ボーイングに発注した大統領専用機エアフォースワンも高すぎるとして「発注はキャンセルだ」とツイートするなど、何度も批判した。
一見「いじめ」に見えるが、海外への武器や装備の輸出で恩恵を受けるのは、こうした軍需産業。ロッキード、ボーイング、UTの株価は今、いずれも過去最高水準で推移している。
ただ、トランプ氏の主張通りに政策が進まなければ、期待が急速にしぼむおそれもある。
(ワシントン=五十嵐大介)
5月2日 朝日新聞朝刊
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