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NATOを安心させたトランプ
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9139
2017年3月23日 岡崎研究所 WEDGE Infinity
米国のペンス副大統領、ティラーソン国務長官、マティス国防長官が、欧州を訪問し、トランプ政権はNATOを引き続き支持するとして欧州諸国の懸念を鎮めるとともに、NATO諸国に防衛負担の増額を求めました。これについて、2月19日付のウォールストリート・ジャーナル紙は、「米国はNATOを安心させる」との社説を掲げ、米国の姿勢を支持しました。その要旨は次の通りです。
トランプは選挙中の発言で米国の同盟国を不安にしたが、最近、安心させようとしている。第一が日本で、マティス国防長官の訪問、安倍総理の訪米があった。先週は欧州にペンス副大統領、マティス国防長官が行き、NATO支持の約束と軍事費の増額を求める演説をした。
2月15日、マティス長官はブリュッセルで次の通り述べた。「米国は責任を果たす。米国が同盟への約束を弱めるのを見たくないならば、あなた方は共通の防衛への支持を示すべきである。すべてのNATO諸国は少なくともGDPの2%を防衛費に当てるとの約束を果たさなければならない」
マティスは正しい。現在、28のNATO国の内5カ国、英国、エストニア、ギリシャ、ポーランド、米国が約束を守っている。米国はGDPの3.8%を使っており、NATOの軍事支出の約3分の2を負担している。GDP比で少ないのはドイツの1.2%、デンマークの1.2%、イタリアの1.1%、スペインの0.9%である。プーチンがウクライナを切り取り、シリアやリビアの危機で、百万以上の移民、難民の洪水が欧州を襲っているのに。
ペンス副大統領はミュンヘン安保会議でこの不満に触れたが、同時に米国のNATOへの約束を果たすと明言した。彼は「トランプ大統領の名においてこう保証する。米国はNATOを強く支持する。我々の大西洋同盟へのコミットメントは揺るぎない」と述べた。彼は「トランプ大統領が可能と信じているロシアとの共通の場を捜しつつも、米国はロシアの責任を追及していく」と述べた。
トランプ政権が米国の伝統的な同盟国への尊敬を示しているのは良いニュースである。トランプは中ロとの関係を再交渉する意図を持っているようであるが、議会は特にロシアについてはタカ派である。トランプは強い同盟を持てば、より強い交渉の基盤に立てる。
出 典:Wall Street Journal ‘The U.S. Reassures NATO’ (February 19, 2017)
https://www.wsj.com/articles/mattiss-nato-warning-1487291303
トランプ政権がNATO支持を明確に打ち出したことはこの社説が言うように歓迎すべきことです。それとともに、米国はNATO諸国が防衛費をGDPの2%に増大すべしとの要求を強く打ち出しています。欧州諸国としては、米国の要求を重く受け止め、対応すべきでしょう。
GDP比2%をクリアしているのはこの社説が言うように5カ国だけです。フランスの防衛費はGDPの1.7%であり、2%に近いですが、ドイツの防衛費はGDP比1.2%、イタリアは1.1%、スペインに至っては0.9%というのは、米国から見れば不十分です。
ただ、防衛費はそう簡単には増加しえません。防衛費は装備費、施設費と人件費が大きいですが、装備の開発・購入も時間のかかるプロセスです。人件費についても、兵隊を増やすのはそう簡単ではありません。したがって、この問題は今後とも、米欧関係をギクシャクさせる可能性が大きいです。特にドイツが平和主義と隣国を恐れさせないとの観点から低めにしてきた防衛費には増大圧力が強くなるでしょう。NATOの目的は米国を引き込み、ロシアを排除し、ドイツを抑えることにあると言われましたが、そういう時代は過ぎたのでしょう。
■日米安保、ビンの蓋論
アジア正面については、米国はNATO諸国に対するような要求はしていません。韓国の防衛費はGDPの2.5%、台湾は2%、豪州は1.75%です。低いのは日本の1%です。今後、日本の防衛費についてNATOと横並びの要求がある可能性はあるのか無いのか、よくわかりません。「日米安保、ビンの蓋論」もありますし、日本の防衛費は増えているので、要求は無いと思いますが、トランプは予測不可能でもあります。ただ、防衛努力の強化は、中国の軍事的台頭、北朝鮮の脅威など安保環境の悪化に応じて進めるべきでしょう。
日本が防衛費をGDPの2%にするというのは、防衛費を10兆円に倍増することを意味します。消費税を8%から10%にあげて追加される税収は2.5兆円くらいです。問題はかなり大きいことがわかります。
米欧関係は、トランプのNATOは時代遅れ、EUは解体してもよい、ドイツの難民受け入れは間違いなどの発言でまだ火種がありますが、NATOへのコミットメント確約は、よかったと言えます。米国の対ロ政策については、まだ疑念がくすぶっていますが、ティラーソン・ラブロフ会談の結果を見るとそれほど心配することもないと思われます。
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