http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/415.html
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OECD加盟国で付加価値税(消費税)を導入していないのは、“賢明なこと”に米国だけである。
日本経済は、消費税導入をトリガーとして「バブル崩壊」、その後25年以上も低迷を続けている。
欧州諸国も、EUという単一市場強化で弊害は緩和されてはいるが、付加価値税の導入以降“成熟病”にすっかりはまった。
付加価値税(消費税)は、政府の強制力で、小売業やサービス業など内需専業企業から輸出企業とりわけグローバル企業に“利益(付加価値)”を移転させるものである。
ある企業が稼いだ付加価値が税制を通じて理不尽にも他の企業に利益として渡るのだから、自由主義経済の理念に大きく反する税制といえる。
また、消費税を含め稼いだ付加価値への課税であることから、稼いだ付加価値を原資としている「給与」・「債務履行(元本返済・利払い)」・「配当」への課税ということもできる。消費税の税率アップは、実質的に給与所得税の増税なのである(その分を従業員に給与として渡しても企業は損得ゼロ)。
付加価値税(消費税)の“ミソ”は、内需専業企業にとっては「給与所得税」・「債務履行税」・「配当税」といった負担増を意味するのに、グローバル企業を中心とした有力輸出企業にとっては、それらがまったく課されないどころか、逆に、稼いでもいない付加価値を政府から“還付”のかたちで貰える濡れ手に粟のおいしい制度を意味する。
国際的な面(国境措置)で言えば、付加価値税(消費税)は関税と同等の働きをする。
日本は自動車輸入関税がゼロ%だと胸を張っているが、米国の自動車メーカーの視点で言えば、日本の自動車輸入関税は実質的に8%(消費税税率)である。
(自動車について欧州は、10%の輸入関税+付加価値税税率なので、ほぼ30%の関税が実質的に課されている)
日本のメーカーも部品の仕入れや外注などで消費税を払い販売時点で消費税を上乗せしているから競争条件は同じだという声もあるが、それは間違っている。
トヨタなどすべての自動車メーカーは、「輸出免税」(ゼロ%課税)という“不正“ないし“詐欺”のおかげで、1円たりとも消費税を納付せず、逆に、数百億、数千億円の消費税還付を受けているからである。
付加価値税(消費税)の関税機能問題も、メキシコや米国で生産した車を日本に輸入に販売している“日本の自動車企業”には負担とならない。
日本の自動車企業は、関税ならその負担が残るが、輸入時に課される消費税を「輸出免税」を使って消すことができるからである。
記事にあるように、ウォルマートやギャップ、ナイキなど流通大手は、国境調整税について、「有害で試行の経験もない。消費者の利益を損ねる」と反対しているが、日本などが採用している付加価値税と違い内需専業企業は“中立”(付加価値に課税はされない)なので害毒は少ない。
ウォルマートや衣料品のギャップ、スポーツ用品のナイキなど流通大手は、中国やメキシコなどで生産したものを輸入し米国内で販売する割合が高いことから、「消費者の利益を損ねる」というより、「販売価格が上げられないと自分の利益が減る」といったほうが正しい。
(消費税増税と同じで、関税(相当)が高くなったからといって、小売販売価格にそのまま上乗せできるわけではない)
トランプ米国の「国境税」導入騒動に期待するのは、WTOルール“抵触”問題を含め、この問題が活発な国際的議論に発展することで、国民経済に害毒をまき散らすだけの付加価値税(消費税)の廃絶につながる可能性である。
※トランプ米国関連参照投稿
「トランプ米国の「20%国境税」 1:ウソを吹き込まれそれを信じてきたアタマでは判断が難しいその正当性と公平性」
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/596.html
「自由貿易」は「保護貿易」の変形:南北戦争は保護貿易派による政治闘争:戦後日本は保護主義のもと経済発展
http://www.asyura2.com/17/senkyo220/msg/494.html
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米企業、「国境税」巡り二分
小売り「消費者の負担増」 製造業「輸出促し雇用増」
トランプ米政権下で進む「国境税」の導入を巡り、米国の企業が割れている。輸入が多い企業への税負担が重くなるとされ、ウォルマート・ストアーズなど小売業が反発。ゼネラル・エレクトリック(GE)など輸出型の製造業は恩恵を受けるため、導入を後押ししている。政権の狙い通りに雇用が増えるかは不透明で、米産業界には困惑も広がっている。
争点になっているのは「法人税の国境調整」。いわゆる国境税だ。下院の共和党で議論が進む。原案では海外にモノを売って得た収益は課税を免除し、海外から仕入れた製品や部品は費用の控除を認めずに20%を課税する。輸出で稼ぐ企業ほど課税所得が減るため、輸出促進型の税制といわれている。
これに異議を唱えるのがアジアやメキシコなど海外からの仕入れが多い流通大手だ。「(新税制は)有害で試行の経験もない。消費者の利益を損ねる」。ウォルマートや衣料品のギャップ、スポーツ用品のナイキなど200以上の小売り関連企業でつくる小売業リーダーズ協会(RILA)は1日、見直しを求める声明を出した。
15日にはRILAに加盟する一部企業のトップらがホワイトハウスを訪問。小売り大手ターゲットのブライアン・コーネル最高経営責任者(CEO)らがトランプ大統領と会い「我々の業界だけでなく、まじめに働く米国の家族にとって望ましくないことになる」と陳情したという。
高級皮革品コーチのビクター・ルイスCEOは「国境税があれば物価は上がる」と警鐘を鳴らす。物価の上昇は税率次第だが、全米小売業協会(NRF)は「1世帯あたり年1700ドル(約19万円)の負担増になる」と試算する。
一方、輸出が多い製造業は国境税に賛同している。GEなど25社を超える企業はアメリカン・メード・コアリション(米国製連合)と名付けたロビー団体を通じて国境税の導入を支援し始めた。連合のジョン・ゲンツェル広報担当は「海外製品と競い合える公平な競争環境が必要」と指摘する。
製造業の言い分はトランプ政権と同じ「雇用の創出」だ。国境税により170万人の新規雇用が生まれると主張。GEのジェフ・イメルトCEOは「我々は税ではウォルマートとは違った立ち位置だ」と米メディアに述べ、小売業と争う姿勢を明確にしている。
米国を代表する企業の意見が真っ二つに分かれるなか、トランプ氏は輸出促進の方針を変えていない。
17日に南部サウスカロライナ州にあるボーイングの工場を訪れた際には、集まった従業員らを前に「我々の目標は輸入依存を減らし、多くの米国製品を買うことだ」と発言。国境税の検討をにおわせた。
[日経新聞2月21日朝刊P.6]
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