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ダボス2017、民衆の怒りに触れた「貴族」たち トランプ企業口撃の意図 脅しEU結束を後押か ブレグジットの崖転落の影響
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投稿者 軽毛 日時 2017 年 1 月 17 日 18:29:34: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

ダボス2017、民衆の怒りに触れた「貴族」たち

受益者とそれ以外の人々との分断が鮮明に
トランプ氏の米大統領選当選後の「感謝ツアー」集会で歓声を上げる支持者たち(12月16日)

By GERARD BAKER
2017 年 1 月 17 日 16:41 JST

――筆者のジェラルド・ベーカーはWSJ編集局長

 21世紀初めの高度に統合された世界経済において「貴族階級」があるとすれば、スイスの山岳リゾート地、ダボスに今週顔をそろえる人々だといってもほぼ間違いないだろう。

 ダボスで毎年1月に開かれる世界経済フォーラム(WEF)年次総会(通称ダボス会議)には、各国の政府首脳や中央銀行総裁、主要銀行やグローバル企業の最高経営責任者(CEO)、有力な学者、メディアや芸能界の華やかなスターが集う。そして彼らが構築し、支配してきた世界の状況を俯瞰(ふかん)し、もっとよくする方法を話し合うのだ。

 今年スイスに集まった貴族階級は、もし十分に敏感であれば、同様に金回りのよい先人が18世紀末のフランスや20世紀初頭のロシアで置かれたのとそっくりの居心地悪い立場だと感じ始めるかもしれない。

 2016年に主要経済国を席巻したポピュリズム的な怒りの潮流――英国の欧州連合(EU)離脱を決めた国民投票やドナルド・トランプ氏の米大統領選での勝利がハイライトだが――は、他の先進国でも極右政党や反エスタブリッシュメント(反支配階級)勢力への支持拡大という形で広がり、「ダボスマン」(ダボス会議に集まるエリート層)の上品にしつらえた玄関先まで押し寄せている。

怒りの矛先を象徴する集団

 WEFは今週の会議に漂うエリート臭を打ち消すのに躍起となり、これ見よがしの快楽趣味には眉をひそめ、人生の勝者としての特権よりもその責任について真摯(しんし)に話し合おうと促している。

 それでもシャンパンやキャビアはふんだんに振る舞われるだろう。1780年代のベルサイユ宮殿や1900年代のロシア帝国の冬宮と変わらぬほどのぜいたくさだ。

 いまや世界のグローバリズム主導者に向け、かつてないほど鐘が大きく打ち鳴らされている。これほどの怒りやナショナリズムの高まりの標的として最も象徴的な機関や人々の集団を1つ挙げるとすれば、ダボス会議だろう。

 ダボスは単に場所や人々の集団ではなく1つの理念だ。しかも、冷戦終結後の25年間の世界を実際に支配し、大きな成功を収めてきた理念なのだ。

 その本質はこうだ。世界は1つの巨大な市場であり、機会であり、政治形態である。世界的な経済活動への障壁は取り除くべきで、国境や国民感情、国家主権はグローバルな超国家機関に従属する必要がある。気候変動や世界的な貧困や病気といった難題に直面すると、国家は無力であるばかりかむしろ問題解決への危険な障害となり得る。

 ダボス会議のメンバーはこうした理念の主要な受益者であり、それは偶然の一致ではない。

 EUや国連といった超国家機関やWEF自身はもちろん、低コストの新興国地域に生産拠点を移転することで巨額の経済的利益を得てきた多国籍企業もそうだ。

 銀行はグローバル化を糧とし、それをあおる役目を果たした。投資や大型案件の仲介、トレーディングなどで手数料をたんまり稼いだ。

 学術界や芸術、メディア、芸能界の文化的リーダーは常に世界を駆け巡り、季節ごとにニューヨークからカリブ海のセントバーツ島、ロンドン、スイスのサンモリッツへと移住する。

ダボスで問われる2つのこと

 こうした社交クラブとそれ以外の世界との分断は鮮明だ。ここに集まる米国人、英国人、フランス人、中国人、インド人は、グローバル化の波に取り残された地元の同胞人よりも、相互に共通する部分がはるかに多い。

 問題の核心はそこにある。ダボスの理念は、世界を動き回る根無し草のようなリーダーには驚くほど効果が大きかった。しかし地元にとどまる人々、すなわち教育水準が低く、均質化した経済環境で成功するのに必要な手段や資金に縁がない人々にとっては明白な恩恵がなかった。

 グローバル化は過去4半世紀、世界経済が急成長を遂げるのに間違いなく寄与し、何億もの人々を貧困から救い出した。

 しかし多くの人々、特に西側諸国の大衆にとって代償は大きかった。そして他の地域の多くの人々には、国民の団結の対極にあるグローバルな連帯感という考え方が響かないのだ。とりわけテロの時代には、国境は人の移動や貿易を妨げる障壁というより、理解しがたい脅威から身を守る安全手段と見なされる傾向が強い。

 今年のダボス会議では2つの問いが投げかけられる。リーダーたちは境界線の維持や回復を望む有権者を今後もはねつけ、人種差別主義者や外国人嫌い、さらにはネオ・ファシストだとあざけり続けるのか、あるいは少なくともグローバル主義の考え方に対する国民感情の正当性を認めるように努力する考えがあるのか? 

 次に、それに関して何か行動するつもりだとしたらどんなことか?

 貴族階級の歴史はたいてい不幸な結末を迎えている。2017年のダボス会議参加者がこうした疑問に答える努力を始めなければ、ブルボン王朝やロマノフ王朝に起きたことの現代版が、せいぜいそれほど激しい暴力を伴わず多くの死者を出さない形で、最終的には同じ重大な結果をもたらすのを待つしかないだろう。

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CAPITAL JOURNAL

トランプ氏、企業「口撃」の意図とは

「指針の提示」と釈明も、そこにはリスクが
ドナルド・トランプ次期米大統領(写真)は米国企業に口出ししているのではなく「指針を示している」のだと釈明 ENLARGE
ドナルド・トランプ次期米大統領(写真)は米国企業に口出ししているのではなく「指針を示している」のだと釈明 PHOTO: EVAN VUCCI/ASSOCIATED PRESS
By GERALD F. SEIB
2017 年 1 月 17 日 15:49 JST

――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJワシントン支局長

***

 セオドア・ルーズベルト元米大統領はかつて優れた外交政策はこうあるべきだと表現した。「静かに話せ、そして大きなこん棒を携えろ」

 一方、ドナルド・トランプ次期大統領の米国企業に対する政策は、こう表現できるかもしれない。「大きな声で話せ、そうすれば皆が言わんとすることを理解する」

 トランプ氏が13日夜にニューヨーク市のトランプタワーにあるオフィスで語ったのは、少なくともこういうことだ。同氏はインタビューで、防衛関連企業と直接交渉したり、メーカーに工場を海外移転しないよう公に警告したりするなど、企業の業務に口出ししているのかと聞かれ、次のように答えた。

 「口を出しているのではない。何百という企業に対して指針を示しているのだ」

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 さらに、米フォード・モーターに生産ラインのメキシコへの移転をやめるよう要求したことについて言及。「フォードにはこう伝えた。工場建設にあたってミシガン州を去り、メキシコに行って工場を建て、米国の労働者を全員解雇し、新たに労働者を雇う。その上で国境をまたいで車を売り、税金を払わないで済むと考えているなら、あなたたちは間違っている」

 その上で「実際は彼らはミシガンを去らないため、税金はかからない。去った場合にのみ税金がかかる」とし、フォードが16億(約1820億円)ドルかけてメキシコに組立工場を建設する計画を破棄し、代わりにミシガンの電気自動車(EV)製造工場に7億ドル投資すると決めたことを指摘した。

 さらに、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が米国の2つの既存工場に10億ドルを投資し、中西部で2000人の雇用を創出する計画であることも強調。

 「それでは、私がしていることは何なのか?」。トランプ氏は大げさに尋ね、こう続けた。「私がしているのはマイクロマネジメントではない。なのにあなたたちはそれを記事にしている。他の自動車メーカーも全て米国にとどまるだろう。私は残りの自動車メーカーとは話すつもりさえない。その必要がないからだ。だが、彼らは去らないだろう。したがって、これはマイクロマネジメントではない」

矛盾したイデオロギー

 つまり、1社か2社に狙いを定めて干渉すれば、波及効果でより多くの雇用が確保できると主張しているのだ。

 それは自動車業界だけにとどまらない。トランプ氏は既に米複合企業ユナイテッド・テクノロジーズ(UTC)傘下の米冷房機器大手キヤリアにも同じように干渉し、約1000人分の雇用をインディアナ州からメキシコに移す計画を阻止した。また、米航空防衛機大手ロッキード・マーチンと航空機大手ボーイングに対しても、それぞれが製造する最新鋭主力戦闘機「F35」と大統領専用機「エアフォース・ワン」後継機の費用が高すぎると公に批判した。

 これがマイクロマネジメントであるかどうかはともかく、共和党の次期大統領らしからぬ行為であるのは確かだ。トランプ氏がしたようなビジネス上の意思決定への干渉を控えることを党是としているのが共和党だ。

フォード・モーターは米ミシガン州の電気自動車(EV)製造工場(写真)に7億ドル投資する ENLARGE
フォード・モーターは米ミシガン州の電気自動車(EV)製造工場(写真)に7億ドル投資する PHOTO: REBECCA COOK/REUTERS
 実際、イデオロギー的に保守派の人たちは衝撃と恐れ入り交じる目で事態を見つめている。生粋の保守派は経済学者アダム・スミスの論理を信じている。つまり、最強の経済が誕生するのは、政府が介入したときではなく、自由市場の見えざる手によって需給が自然に均衡し、生産と効率が最大化されたときだという考え方だ。

 共和党は従来、企業の自由な意思決定に干渉する政府の行為を「産業政策」や「勝者と敗者の選択」などとやゆし、軽蔑してきた。

リスクはらむトランプ氏の行動

 イデオロギー的に矛盾すること以外にも、トランプ氏の行為は2つの実際的なリスクをはらんでいる。1つは、企業が大統領の怒りの矛先が向けられるのを避けようと疑わしい投資判断をするようになり、その過程で投資の長期的な実現可能性が損なわれることだ。

 もう1つは、企業が移転または閉鎖しない限り経済的に立ち行かない業務を大統領の要求通り移転または閉鎖しない代わりに、政府に見返りを求めるようになることだ。キヤリアについては、こうした駆け引きが少なくとも一部演じられ、インディアナ州に雇用を維持する代わりに州税に関して優遇措置を受けた。

 しかし、トランプ氏の見方はこうだ。今日のグローバル化された経済は必ずしもオープンあるいは公正ではなく、中国やメキシコなど他国政府は既に見えざる手という考え方を台無しにしている。

 特にトランプ氏が問題視しているのが中国だ。ジェイコブ・ルー米財務長官は最近のウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで、中国は人民元安へ誘導する為替操作をやめていると主張したが、トランプ氏はこれに反論。

 トランプ氏は「中国の通貨は急落している」とし、「中国は『われわれは最善を尽くしている』と言っているが、そんなことはない」と述べた。

 ただし、大統領就任初日に中国を為替操作国に正式認定するとの表明については「それはしない。まずは中国と話をしてからだ」と考えを改めた。

 その上で「しかし、彼らが操作国なのは確かだ」とし、「彼らはビジネス(やるべきこと)をしているのだろう。それは構わない。われわれもビジネスをする」と述べた。だが、その「ビジネス」がこれまでと違うのは確かだ。

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コラム:
トランプ氏の「脅し」、EU結束を後押しか

 1月16日、ドナルド・トランプ次期米大統領(写真)は、そこらのEU支持者よりもEUの結束を強める役に立つかもしれない。ノースカロライナ州で昨年11月撮影(2017年 ロイター/Chris Keane)
Olaf Storbeck

[ロンドン 16日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ドナルド・トランプ次期米大統領は、そこらの欧州連合(EU)支持者よりもEUの結束を強める役に立つかもしれない。米国が輸入するドイツ車への課税を強化すると脅したり、ロシアのプーチン大統領との取引に期待を示していることなどが圧力として働くことで、ドイツが支出を増やし、財政が悪化している南欧諸国への大幅譲歩へとつながる可能性があるからだ。

ドイツにとって米国市場は重要だ。ドイツからの全輸出の10%を占めており、2015年にはフランスを上回って最大の輸出先となった。米国との貿易摩擦は避けたいところで、もし対米輸出が制限されれば、ドイツ経済には打撃となり、経済成長に急ブレーキをかける恐れがある。

しかし、この苦境が逆にEUが結びつきを強める上ではうまく働くかもしれない。ロシアとの関係改善に期待を示すトランプ氏は、欧州に団結することの重要性を思い出させる可能性がある。実際、過去においては、ソ連という共通の敵の存在が、西ヨーロッパ諸国が結束を強めることを促した。

長年にわたる緊縮的な財政の要求がEUを分裂させる遠心力として働いていることは、EU離脱を決めた英国の国民投票が示す通りだ。フランスの極右政党、国民戦線や、反移民政策を掲げる右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」といったEUに懐疑的な政党の興隆も、これまでの欧州統合の動きを逆回転させ離合へと導くリスクを示す動きだと言える。トランプ氏はこうした動きを押しとどめる上で役立つかもしれない。

ドイツのメルケル首相が先週、国際関係に関しては「永続の保証」などないと述べ、EU加盟国に防衛・安全保障上の連携を強化するよう呼びかけたのはいい例だろう。ドイツは2016年、60億ユーロの財政黒字を計上するなど国防支出を増やす財政的なゆとりもある。

もっとも、ショイブレ財務相は財政黒字を公的債務の返済に充てる考えを示しており、こうした積極的な財政支出に転じる兆しはあまり見られない。だが、トランプ氏がこれまでの脅しを実行に移すようなら、ドイツは支出拡大や南欧諸国の財政状況に対する姿勢を軟化させることが国益にかなうと考えるようになる可能性がある。そうなれば結果的にトランプ氏はEUの結束を後押しすることになる。

●背景となるニュース

*トランプ次期米大統領はインタビューでドイツの自動車メーカーの米国での生産は不十分だと批判し、海外から米国市場へと持ち込まれる自動車には35%の国境税を課す考えを表明した。

*トランプ氏は「世界で自動車を生産したいというのであれば、うまくいくことを祈るよ。米国市場向けの車を生産することは可能だが、米国へと輸入されるすべての自動車に対しては35%の課税を行う」と述べた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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pecial | 2017年 01月 17日 17:41 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:
英国が直面する「ブレグジットの崖」、転落の影響は

George Hay

[ロンドン 16日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 英国は崖からの転落を回避しようとしている。だが、もし欧州連合(EU)の単一市場から撤退する「ハードブレグジット」を選択することになった場合、英国が転落の道をたどるかどうかは問題なのではない。その転落がどのようなもので、どれほど深刻かが問題なのだ。

それは断崖絶壁からの転落となりかねない。欧州司法裁判所に対する英国政府の明らかな敵対心や、貿易と人の移動における支配を取り戻すとの公約は、英国がもはや欧州経済領域(EEA)にもEUの関税同盟にも属さないことを示唆している。

したがって、EUに加盟する27カ国との無関税貿易も失うことになる。EU加盟国は韓国などと自由貿易協定を結んでいるため、英国は非関税障壁に直面することになるだろう。

もっとも厄介なのは、英国とEU間の新たな貿易協定をめぐる交渉は、離脱プロセスが完了するまで開始することさえできず、つまり英国は2019年になっても新たな自由貿易協定を結べていないだろうということだ。

昨年6月23日に実施されたEU離脱の是非を問う国民投票前の経済予測では、協定を結ばないという結末が最も経済的な打撃が大きいとみられていた。これは、英国がWTO(世界貿易機関)の関税に戻ることから、しばしば「WTOオプション」と呼ばれる。

会計監査大手プライスウォーターハウスクーパース(PwC)によると、そうなれば、英国の国内総生産(GDP)は2030年までに現在の動向より3.5%低下する可能性があると推定している。英財務省は7.5%下がると試算している。

これは大きな打撃だが、致命的ではない。PwCも認識しているように、ブレグジットが回避された場合ほどではなくとも、英国は今後も大きな富裕国であり続けることに変わりはない。どちらにせよ、現在このような話をするのはいささか抽象的すぎる。

さらに言えば、WTOの関税はそれほど高くはない。2015年にEUへの輸入品に課せられた平均関税率は5.1%、貿易加重平均では2.7%だった。英国民投票以降、英ポンドは貿易加重ベースで14%下落。一方、WTOによると、輸入農産物の47%、輸入非農産物の63%は無関税だった。対米輸出品の場合は、非農産物の73%が非課税だった。

WTOの条件は自動的に得られるわけではない。英国は「調整」と呼ばれるプロセスを踏むことが望ましい。そうすることで、複雑な交渉を必要最低限に抑えつつ、WTOでEUが持つ条件を引き継ぐことが可能となる。1つではなく2つの相手と取引することは、同プロセスが調整というよりも関税の「修正」であり、より長期に及ぶ交渉プロセスと混乱の拡大を招くと、WTOに加盟する第3国は主張するかもしれない。

だが、英GDPの80%を占め、2014年には100億ポンドの貿易黒字を計上したサービス産業ではあまり効果は得られない。これらを保護するためには、金融のような主要サービスにおいて、英国をEU加盟国と規制上「同等」に扱うことに欧州は賛成する必要がある。それが正しいことであっても、もしEUに加盟する他の27カ国が報復的な態度に出るなら、不正の余地が生まれる。

英国にとって、交渉における大きな決定的要因は2つ、複雑さと影響力だ。複雑さは、同時に行われる数々の交渉と既得権によって悪化している。スコットランドはEEAにとどまりたいと考えており、独立の是非を問う住民投票を求める声が再び高まる可能性がある。金融セクターは長期の移行期間を望んでおり、その間、独自に複雑な交渉が行われるかもしれない。また、一部のEU離脱派は、新しく関税を設定できる完全な自由を求めているが、それは離脱交渉をいっそう混乱させるだけだろう。

影響力については、英国は一見、不利な立場にあるように見える。英国の対EU輸出はGDPの12%を占めるが、EUの対英輸出は域内GDPのわずか3─4%にすぎない。

とはいえ、英国にまったく影響力がないわけではない。EUからの輸入総額2200億ポンドの3分の2は、ドイツ、フランス、スペイン、オランダ、アイルランドの5カ国で占められている。ポーランドのような、英国に続いてEUを離脱しそうな国が結局、EU資金の主な受益者であり、英国ではない。サービス産業においてEU単一市場に残れないことは英国にとって遺憾だろうが、そのような市場は完全とは言えない。

致命的な転落よりは、EUが協力するような可能性へと向かうべきだ。そうなれば、崖は対処可能なレベルにまで改善し、英国は国境管理と一部主権の保持によって国内の分断を和らげることができるだろう。英国はブレグジットから経済的に利益を得られることができると思い、事を推し進めてきた。英国にとっての最善の結果は、世界最大の貿易圏にとどまりながら、その改革に取り組むことだったに違いない。だが、たとえEUとの関係強化は望めなくても、離脱交渉が耐えられる内容にはできるだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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コメント
 
1. 2017年1月18日 22:29:55 : 2LiKY8ftgY : PTfAaIrqs6s[1043]
正体が バレて迎える 転換期

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