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トランプ陣営からネオコンのウールジー元CIA長官が追放され、ネオコンとの対立が激化する可能性
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201701060000/
2017.01.06 19:37:38 櫻井ジャーナル
ドナルド・トランプの周辺からネオコン色が薄くなりつつある。これまで上級顧問としてネオコンのジェームズ・ウールジー元CIA長官が参加していたのだが、トランプのチームから追い出されたのだ。
ウールジーがCIA長官だったのはビル・クリントン時代の1993年2月から95年1月までだが、退任後にはネオコン系シンクタンクPNACのメンバーになる。PNACは1997年にロバート・ケーガンとウィリアム・クリストルによって創設されたが、ケーガンが結婚したビクトリア・ヌランドはウクライナのクーデターを指揮したひとりで、ヒラリー・クリントンと親しいことで知られている。
このヒラリーと親しいマデリーン・オルブライトが1997年1月から国務長官を務めているが、それと同時に政権は好戦的になり、1999年3月にNATOはユーゴスラビアを先制攻撃している。同年5月には中国大使館が破壊されたが、これは意図的な攻撃だった可能性がきわめて高い。
1998年1月にPNACは中東に危機が迫っているとしたうえで、イラクが大量破壊兵器を実際に使用するか脅迫の道具に使う可能性を排除するべきだと主張、サダム・フセインの排除を求める手紙をクリントン大統領に出している。その手紙にウールジーも署名していた。また、ウールジーはウクライナのクーデターやシリアへの侵略で積極的に動いて来たネオコンのジョン・マケイン上院議員とも近い関係にある。
こうした背景を持つ人物を上級顧問として抱えていたことからトランプもネオコンの強い影響下にあると見る人もいたが、閣僚人事を見ても、次期政権はネオコンと一線を画そうとしているように見える。
トランプを攻撃するため、ヒラリー・クリントンやバラク・オバマ大統領の周辺はトランプをロシア政府の傀儡だと宣伝している。そうした宣伝の一環としてヒラリーや民主党にとって都合の悪い電子メールをハッキングしたのはロシア政府だと言い続けているのだが、その根拠や証拠は示されていない。
前回も指摘したように、2016年にWikiLeaksが公表したDNC(民主党全国委員会)やヒラリー・クリントンの選挙キャンペーンに関する電子メールはロシア政府から提供されたものでないとジュリアン・アッサンジが語ると、間に第三者が挟まっている、つまりロシア政府はWikiLeaksの情報源の情報源だと言い出すなど足下がおぼつかない。
ジェームズ・クラッパー国家情報長官はクリントンやオバマ側に立ち、「証拠」を示すようなことを言っているが、本当に持っているなら、遥か前に提示しているだろう。ここにきてワシントン・ポスト紙では、ロシア政府の高官がトランプの勝利を祝う会話を傍受したと報じているが、これが事実だったとしても意味はない。ヒラリーはロシアを露骨に敵視、核戦争の可能性を高める政策を推進するとしていた。ロシアとの関係修復を口にしていたトランプの勝利をロシア側が喜ぶのは当然で、もし逆なら大きな問題になる。
これまでにも指摘されてきたが、アメリカの情報機関NSAは通信を地球規模で傍受、記録、分析している。つまり、ヒラリー・クリントンの電子メールも全て持っているはず。ロシアがハッキングすれば、その証拠を提示できるだろう。
こうした通信傍受は1970年代に衛星通信が広がるにともなって盛んになった。イギリスのジャーナリスト、ダンカン・キャンベルなどはその頃からアメリカやイギリスの情報機関による情報支配を暴いている。エドワード・スノーデンが明らかにしたことは、その延長線上にある最新事情だ。
1970年代の終盤には不特定多数の対象を追跡し、情報を収集、分析できるシステムも開発されている。そうした中で特に注目されていたのがINSLAW社のPROMIS。このシステムには日本の法務省も注目、1979年と80年に法務総合研究所の『研究部資料』に概説資料と研究報告の翻訳を掲載している。
INSLAW社と接触していたのは後の名古屋高検検事長、敷田稔。その当時、駐米日本大使館に一等書記官として勤務していたのが原田明夫だ。言うまでもなく、原田は後に法務省刑事局長として「組織的犯罪対策法(盗聴法)」の法制化を進め、事務次官を経て検事総長に就任した人物。1980年代どころか90年代を過ぎても日本のマスコミ、「市民活動家」、「リベラル派」、「革新勢力」はこうした監視システムから目を背け、取り上げることを拒否していた。スノーデンの内部告発でこうした問題を始めて知ったわけでない人は日本にも少なくないはずだ。
ともかく、通信傍受を含むさまざまな手段で情報を収集して分析するだけでなく、コンピュータ・ウィルスを感染させて攻撃するということをアメリカはイギリスやイスラエルと手を組んで行ってきた。また、第2次世界大戦後、アメリカ政府が他国の選挙への介入した最初のケースは1948年のイタリアにおける総選挙。この時の工作資金は戦争中にドイツ軍が略奪した「ナチ・ゴールド」だったと言われている。こうしたことは広く知られているわけで、ロシア政府がプロパガンダを行った、ハッキングした、選挙に介入したとアメリカ政府が騒ぐのは滑稽だ。
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