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関東で相次ぐ地震は「首都直下地震の予兆」と専門家 北海道は3.11超えリスクも
https://news.yahoo.co.jp/articles/3c2f3c2e68f52b8e95bfb1273d668bc2415f24b6
AERA dot. 6/13(土) 8:00配信 週刊朝日 2020年6月19日号より抜粋
上高地から望む穂高連峰の岳沢で、地震により発生したとみられる雪崩の跡=5月30日、長野県松本市 (c)朝日新聞社
地震が多い自治体ランキング (週刊朝日2020年6月19日号より)
今年の主な地震 (週刊朝日2020年6月19日号より)
日本各地で地震が相次いでいる。コロナ禍に直面しているいま、大地震の予兆ではないかと不安は募るばかりだ。危険な地域や想定される被害などを専門家に聞いた。
「あの地震のときに新型コロナが起こっていたら、本当に怖いと思う」
こう話すのは熊本市に住んでいた男性(30)だ。2016年4月の熊本地震。全壊8千棟以上、半壊3万4千棟を超える被害をもたらした。熊本県で855カ所の避難所に計18万人が避難した。
男性は住んでいたアパートが大規模半壊し、近くの小学校に避難。体育館で3カ月間、避難生活を送った。他の住民も多数避難してきており、校庭に自動車を乗り入れ、車内で避難生活をしている人もいた。
「余震で家にいることが不安という人も避難所に集まっていた。高齢者も多かった。1カ月くらいは間仕切りもない生活。新型コロナがある状況で、このような場所に避難となると危険だと思う。どう避難したらいいか想像もつかない」
今、各地で地震が活発に起きている。熊本地震や東日本大震災のような大災害がいつ起こってもおかしくない。危険な地域はどこで、どんなリスクがあるのか。改めて注意しておくべきだろう。編集部では気象庁の震度データベースから、今年(1月1日〜5月15日)の地震活動の状況を調べた。
最も地震が多かったのは松本市(長野県)で79回、次いで高山市(岐阜県)が75回だった。隣り合う両市には北アルプス(飛騨山脈)がまたがる。震度1の小さな地震が多いが、5月29日には震度4の強い揺れも起きた。松本市では6カ所の山崩れが発生し、高山市のホテルでは30年以上枯れていた温泉が噴出した。
「群発地震が起きている」
名古屋大学地震火山研究センターの山岡耕春教授はそう指摘する。群発地震とは、ある地域で小さな地震が一定期間集中して起こることをいう。北アルプスの地域は東から太平洋プレートが、南からフィリピン海プレートが動いてきて、その力がぶつかる場所だ。ひずみが生じやすく、たびたび地震が起きる。
「北アルプスは今も山が隆起している。今後も小規模な地震が続くが、中にはマグニチュード(M)5.5〜5.9程度の中規模な地震が起こる。家の倒壊の心配はないが、落石や土砂崩れに気をつける必要がある」
東日本大震災によってひずみが解消された場所もある。一方で、日本にある4枚のプレート(太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレート、ユーラシアプレート)のバランスが崩れて、新たなひずみがたまってきているという指摘もある。北アルプスの群発地震は、そのサインと見るべきだということだ。
専門家が注目する地震をまとめた。関心が集まるのは首都圏。ランキングには茨城県と千葉県の自治体が多数入っている。ランキングにはないが、東京湾でも小さな地震が複数発生している。
「茨城県南部、千葉県、東京湾の地震は、首都直下地震の予兆と見たほうが良い」
こう語るのは立命館大学環太平洋文明研究センターの高橋学特任教授(災害リスクマネジメント)だ。首都圏は北米プレートの下に太平洋プレート、その下にフィリピン海プレートが入り込む場所だ。
「東京湾の入り口あたりでフィリピン海プレートが北米プレートの下に潜り込んでいる。ここで北米プレートが跳ね上がれば、津波を伴う大地震が起きる。埋め立て地や地下街は危険だ。この地震は1923年の関東大震災と同じで、東京だけではなく、横浜や房総半島の南まで甚大な被害を出すだろう」
また、三つのプレートの間や内部で巨大地震を起こす可能性がある。そうなれば、プレート間のバランスが崩れ、大地震が連発して首都を襲うこともある。
ランキングには、西日本の自治体はほとんど入らなかった。だが、高橋特任教授は「南海トラフ地震の兆候はある」と指摘する。注目するのはフィリピン海プレート沿いの地震や火山活動だ。和歌山県の西にある紀伊水道、大分県の東にある豊後水道、宮崎県の東にある日向灘で地震が目立っているという。ランキングに入った十島村(鹿児島県)もプレートが原因だと見る。桜島(鹿児島県)や阿蘇山(熊本県)などでも火山活動が活発だ。
さらに、奄美大島(鹿児島県)、沖縄本島、宮古島、石垣島(以上沖縄県)でも地震が目立っているという。近年の研究では琉球海溝で巨大地震が起こり、大津波が島を襲ったことがわかってきている。海底で巨大な地滑りが起きたという指摘もある。
「政府は伊豆半島(静岡県)の西側から四国までを南海トラフ地震としているが、首都圏の地震と同じフィリピン海プレートによる地震なので、区別しないほうがいい。首都圏から沖縄まで連動する大地震『スーパー南海地震』が起こる可能性もある」(高橋特任教授)
北海道や東北地方でもリスクはある。ランキングでは石巻市(宮城県)が9位、根室市(北海道)が36位と上位に入っている。この地域で懸念されているのは、北海道や東北地方北部を震源とする巨大地震だ。
北海道沖の千島海溝でM9.3、東北沖の日本海溝でM9.1が想定されている。これはM9の東日本大震災を超える規模だ。津波も30メートル近いものが各地で想定されている。内閣府は「発生が切迫している」と警戒する。名古屋大の山岡教授はこう語る。
「この地域では500年に1回、M9クラスが起きている。注意が必要だ。東北では東日本大震災の余震活動も続いており、M7後半から8ほどの大きな地震が起こる懸念も残っている。引き続き警戒をしておくべきだ」
(本誌・吉崎洋夫、松岡瑛理)
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