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オーストラリアで過去最悪の森林火災 シドニーに非常事態宣言発令
2019年11月25日(月)15時30分
ニューズウィーク日本版編集部
DEAN LEWINS-AAP IMAGE-REUTERS
シドニーから北西へ約100キロ離れた村、コロハイツでは消防隊員らが森林火災から土地を守ろうと必死だ。
ニューサウスウェールズ州では11月11日、州都シドニーが「壊滅的な」火災の危険に直面しているとし、非常事態宣言を発令。当局幹部は、「これまでで最も危険な火災に直面した1週間だった」と話した。
既に500棟近い家が焼失している。
<2019年12月3日号掲載>
【参考記事】オーストラリアの森林火災が拡大、各地に緊急警報 数万人が避難へ
【参考記事】2050年人類滅亡!? 豪シンクタンクの衝撃的な未来予測
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13462_2.php
コアラ受難、オーストラリアの山火事で絶滅の危機
2019年11月25日(月)19時15分
松丸さとみ
https://www.youtube.com/watch?v=DgVmcQ41PSI
過去最悪の山火事でコアラが危機に...... YouTube
<シドニーに非常事態宣言が出され過去最悪となっているオーストラリアの森林火災。アラをはじめとする野生動物も多く焼け出されている......>
NSW州だけで350頭のコアラが焼死か
オーストラリアで発生している山火事は、例年にないほどの規模になっている。11月22日付の英ガーディアン紙によると、もっとも被害が大きいのはオーストラリア最大の都市シドニーがあるニューサウスウェールズ(NSW)州だ。165万ヘクタール(1万6500平方キロ)が焼失し、住宅600戸以上が破壊された。死亡者数は6人に上っており、全員が同州で被害にあっている。
救助されたコアラ REUTERS/Stefica Nicol Bikes
また、オーストラリア固有の動物コアラをはじめとする野生動物も多く焼け出されており、米CNNは10月30日の時点で、NSW州でコアラ350頭が死んだ可能性があると伝えていた。また、英デイリーメールは、「NSWとクイーンズランド州ではコアラの生息地80%が焼失し、1000頭以上が死んだ可能性がある。コアラは絶滅したも同じ」とする専門家の話を紹介している。
災害時に動物の救助活動を行う保護団体、国際動物福祉基金(IFAW)によると、コアラは山火事に非常に弱い。というのも、動きが遅いために逃げ遅れるだけでなく、コアラが食糧としており生息しているユーカリの木は、いったん火がつくと燃える勢いも強く火の回りも早い。逃げ遅れたコアラは、樹木全体が火に包まれる「樹冠火」の中で焼かれてしまいかねない。
森林に潜むコアラを見つけ出す探知犬
IFAWによると、森林の中に潜むコアラを人間の目で見つけ出すのは至難の技だ。そんななか、コアラを見つけ出すよう訓練を受けた犬が、山火事からコアラやその他の野生動物を救出する活動を行っている。
足に保護ソックスを履いている探知犬 Photo: Facebook/ifaw
CNN(11月19日付)によると、ボーダー・コリーとクーリーのミックス犬「ベア」は、コアラの毛皮のにおいを嗅ぎ分け、生きたコアラがどこにいるかを見つけ出すよう訓練を受けた「コアラ探知犬」だ。クイーンズランド州のサンシャインコースト大学が運営する非営利団体「ディテクション・ドッグズ・フォー・コンサベーション」(保全のための探知犬)に所属しており、IFAWが資金援助を行っている。
IFAWによると、先住民族の保護地域である広さ1000ヘクタール(10平方キロ)のニュンヤ・ジャーゴンでは、2件の山火事が発生、85%が焼失した。この地域には20〜40頭のコアラが生息してると考えられていた。
IFAWがベアを連れて同地域でコアラ探知活動を行ったところ、生きたコアラがいるという反応をベアが示した。今のところまだコアラの確認はできていないが、IFAWは今後も同地域での救出活動を続けるとしている。
ベアは、ペットとして飼われていた犬だった。しかし元気がありすぎ、また執着しすぎてしまう性格であるため、飼い主から里子に出されてしまったのだという。ベアのこうした性格は、探知犬にぴったりだとIFAWは説明する。ペットとしては幸せを見出せなかったベアだが、コアラ探知犬として活躍することでベアの将来も安定したものになるとIFAWはCNNに語った。
下着姿でコアラ救助の女性
他にも、コアラ救出劇がいくつか報告されている。CNNによると、動物の訓練組織であるテート・アニマルズは、コアラ探知犬テイラーの活躍でこれまで8頭のコアラを救出した。テイラーは4歳のスプリンガー・スパニエルで、ベアとは異なり、コアラのふんのにおいを頼りに探知を行う。
また、大やけどを負ったコアラを女性が命がけで救助した話も話題になっている。コアラを助け出したトニ・ドハーティさんは、豪州民放テレビ局ナイン・ネットワークの取材に答えて、火の中に向かっていくコアラに気づいて、慌てて車から降りて救助に向かったと話した。
ドハーティさんがコアラを救出する様子をとらえた動画によると、毛皮に火が付いたコアラは、混乱したように火の中に向かっていくところだった。ドハーティさんは、何かで包まなければと思い、とっさにシャツを脱いだという。
後に「ルイス」と名付けられたこのコアラは14歳で、現在はポート・マッコーリー・コアラ病院で看病されている。ユーカリの木を食べるほどの元気はある様子だが、足や腹部などにやけどを負っており、生き延びられる可能性は50%とみられている。
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https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13466_2.php
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