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台風19号の教訓、意思決定を惑わすバイアスの正体
河合 薫
健康社会学者(Ph.D.)
2019年10月22日
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全5936文字
(写真:shutterstock)
台風19号の猛襲から一週間以上が経ったが、いまだに被害が拡大している。
17日の時点で、65人死亡、14人行方不明、349人負傷。全半壊の住宅は94棟、浸水家屋は3万3600棟以上(総務省消防庁)。堤防が決壊したのは7県の59河川90カ所で、水が堤防を越えて浸水した河川も、国管理のもので22河川、都道府県管理では194河川だ(国土交通省)。
さらに週末には雨が降り、朝晩は急激に冷えるようになった。何をどこから手をつけ、どうやって生きていけばいいのかと厳しい状況に追い込まれている方々のことを思うと、うしろめたい気持ちでいっぱいになる。
「自然の猛威に人は屈するしかない」と大きな災害に見舞われるたびに、誰もが思う。だが、今回の台風ほど、重要な情報を切り捨ててしまう「バイアス(思考の偏りやゆがみ)」の存在を意識させられたことはない。
もし、「心はバイアスから逃れられない」という人の本質的特徴をもっと理解できていれば、もっと何かできたんじゃないのか? もっと救える命があったんじゃないのか? そう思えてならないのである。
「台風など気象による災害は地震とは異なり、予想し備えることができる唯一の災害」。それを信条に気象予報士として若い頃に報道番組に関わってきただけに、悔しくてしかたがないのである。
そこで今回は、人の判断や意思決定の罠(わな)となる「バイアス」について考えてみようと思う。
生かせなかった東日本大震災の教訓
「台風当日の夕方から緊急メールはガンガン届いていたのですが、対象が『郡山市全域』と広域だったため、たかをくくっていました。ところが、12日の夜半、暴風雨が吹き荒れ始めた後、居住町名が記載された避難指示メールが届きはじめ、さすがに慌てました。
ただ、何に対してどう対処していいのか、まったく頭が働かず、あたふたするばかりで。避難所に歩いて行ったらずぶぬれになる雨量だし、ぬれたまま避難所にいたら寒くてつらいし、高台だし川からも距離があるから、今夜は家で待機しよう、と身勝手な判断をしました。
幸い、私も自宅も被害はありませんでしたが、周辺は崩落や陥没、浸水により主な道路は封鎖されました。翌朝、惨状を見て初めて、豪雨被害とはこういうことか、と実感しました。
福島県内の本宮市では、深夜からの増水により、自宅で命を落とされた方や、深夜0時すぎに自宅に戻られ、亡くなった方もいて、自分にも起こり得たことなのだと気づき、青ざめました。
東日本大震災の被災経験から、地震時の緊急対応はできているつもりでしたが、氾濫や豪雨にはまったく生かすことができない自分にぼうぜんとしました」
これは私のメルマガの読者から送られてきたメールである。
次ページ知らないうちに都合の良い情報を選んでいる
時間経過とともに紡がれるリアルな言葉からは、台風の恐さと、それに備えることが「想定を超えた」ものだったことを痛感させられるが、この心の動きこそが「バイアス」である。
今回の台風は強さと規模ともに、これまでにないパワーを持っていたことに加え、台風の暴風圏の右半径に入るコースが予想されていたので、東京湾や丹沢山地などの地形的な影響も加わり、風や雨が予想以上になることは気象の専門家であれば分かったことだ。
私自身、フェイスブックなどで個人的に警戒を呼びかけていた。だが、正直なところ、ここまで河川の氾濫や堤防の決壊が広範囲にわたるとは、全く想像していなかった。
バイアス。そう、数週間前の台風15号が千葉県にもたらした被害の多くが暴風によるものだったことで、バイアスがかかった。「想起ヒューリスティック(利用可能性ヒューリスティック、想起しやすい情報を優先して判断してしまうこと) 」の罠にはまってしまったのだ。
想起ヒューリスティックとは、「人が判断や意思決定をする際、無意識に使っている法則や手がかり」を指し、理詰めで正しい答えを探るアルゴリズムと対比される概念である。
平たく言えば、「物ごとを直感的にざっくりと捉える」心の動きであり、この働きのおかげで私たちは迅速に意思決定をし、合理的な行動につなげることができる。
件のメルマガ読者から寄せられたメールの「東日本大震災の被災経験から、地震時の緊急対応はできているつもりでしたが、氾濫や豪雨にはまったく生かすことができない」というのがまさにこれだ。
知らないうちに都合の良い情報を選んでいる
ところが、想起ヒューリスティックでは、記憶時のインパクトが大きかった情報、何度も経験している情報、身近な人の具体的な情報を手がかりにするため、誤った判断につながるリスクも大きい。たとえそれが「極めてまれ」な現象であっても「経験則」として優先される。過去の事象より最近の事象の方を、不相応に高く評価してしまうのだ。
最大の問題は「想起ヒューリスティックでは情報が単純化される」こと。知らず知らずに大切な情報が無視され、想定外の出来事に対処できなくなる。
しかも、人間の心には「確証バイアス」という、確信や仮説に反する情報を無意識に排除する動きもあるため、「『郡山市全域』と広域だったため、たかをくくっていました」(前述のメールより)という意思決定が下されてしまうのである。
つまり本来であれば気象庁から「狩野川台風並み」と注意喚起されたときに河川氾濫の怖さと被害をイメージすべきだったのが、台風15号により千葉県で発生した長時間かつ広範囲にわたる停電や断水、なぎ倒された鉄柱や、倒壊したゴルフ練習場の鉄柱に押しつぶされた民家といった、映像や情報が知らず知らずにインプットされてしまっていたのではないか。
SNS(交流サイト)では停電のときにツナ缶が役立つ、断水のときのために風呂に水をためておこう、窓が割れないように粘着テープえお張ろうといった情報があふれたけど、洪水や堤防決壊に役立つ情報は少なかった。
メディアでは狩野川台風での死者数の多さばかりが報じられたので、「とんでもなく危険な台風が来る」という危機意識は伝わったけど、もうひとつの重大な情報が落ちた。狩野川台風については後述するが、「狩野川台風並み」という情報が単純化され、結果的に被害が拡大してしまったのだ。
次ページ過去の被災情報を自分ごととして認識できるか
個人的な話になるが、私がテレビ朝日やTBSでお天気キャスターをやっていた2000年前後は、ゲリラ豪雨、集中豪雨という言葉が市民権を得るなど「水害」が頻発した時期だった。
1999年8月14日には、玄倉川の中州でキャンプをしていた家族ら13名が死亡(玄倉川水難事故)。2000年9月11日には、秋雨前線を台風14号が刺激し、愛知県名古屋市内のおよそ37%が浸水し、都市水害の恐怖を実感させた東海豪雨が起きた。
当時の私が、豪雨が予想されるとき真っ先に注意喚起したのは、洪水だった。
日本の川はジェットコースター並みの勾配だと言われる。洪水は目の前で雨が降っていなくても起こる。上流の雨が川の水位をあげ、下流付近に洪水をもたらす。降雨が峠を越した後に水かさが瞬く間に上がるので、とにかく高台に、空振りでもいいから高台に避難してほしい──。
私は何度も、何度も、数え切れないほど、この文言をテレビで言った。
だが、今回の台風19号では私の頭の中は「風の被害」で埋め尽くされた。「風がひどくなるっていうから、恐くなって避難所に行ったんだ。それで次の朝、家に帰ったら家が流されていて。畑ももうダメだし、家もないし、この先どうすればいいのか」とNHKの報道番組で絶望する男性が映し出されていたが、おそらく気象の専門家も含めて多くの人たちが「想起ヒューリスティックの罠」に、悲しいかな落ちてしまったのではないだろうか。
過去の被災情報を自分ごととして認識できるか
そもそも気象庁が過去の台風を引き合いに出すのは、減災(災害被害の軽減)が目的である。
同じような勢力、同じようなコースをたどった過去の台風の具体的な被害が分かれば、備えることができる。日本は起伏に富んだ複雑な地形をしているため、狭い地域の中で雨の降り方や風の吹き方に違いがあり、道一本挟んだだけで被害のリスクと種類が変わる。
富士山レーダーに代表されるように、日本の気象技術の発展はハード面の観測を強化し予測精度を上げることの歴史だった。だが、どんなにコンピューターが正確に雨量や風の強さをはじき出したところで、「自分の頭の上に降りかかる出来事」に変換できないことには意味がない。
その「頭の上感覚」を一人でも多くの人に持ってもらいたい──。そんな気持ちが天気を予報する人たちの願いだと私は理解しているし、私がお天気キャスターのときに一番力を入れたのもまさにそこだった。
狩野川台風は大規模な治水対策のきっかけになった台風である。
狩野川台風は「100年に一度の風水害」と呼ばれた台風で、伊豆半島中央部を流れる狩野川上流で鉄砲水や土石流が集中的に発生し、約1200カ所の山腹や渓岸が崩壊。激しい水流で山が2つに割れる現象が起こるなど壊滅的な地崩れが起きた。一方、狩野川下流では川の堤防が破壊され、広範囲の住宅が浸水し、橋梁には大量の流木が堆積し、浸水する地域はさらに拡大した。
次ページハザードマップで予想されていた浸水地域
堤防が崩壊し、当時避難所となっていた修善寺中学校には鉄砲水が押し寄せ、さらに下流の大仁橋の護岸を削った。濁流が町を飲み込み多数の大切な命が奪われることになった。
「眠りから覚めると、家の中にはごんごんと水が湧いている。水はもう胸まで来ている。鼻腔に悪臭を放ってねとつくものがある。誰かの糞便だった。……水が階段の最上部に達したとき、ドドーと百挺の掛け矢で物を叩くような音がして、家中の雨戸やガラス戸がはじけ飛び、汚水が奔流となって家の中を流れ過ぎる。タンスをはじめ家の中のあらゆる物が一瞬の内に流れ去った。
2階の窓を開ければどうだろう、目の前に急流が忽然と出現している。目の前を人が押し流されていく。『助けて』と必死の形相でこちらを見る。 流されていく人々の頭へ流木が矢のように襲いかかり、鈍い音を発して人が水中に没していく。
地獄という言葉が私の頭をかすめた。……どの遺体も着衣をはぎ取られて全裸で、しかも傷だらけ、それが水を含んでぱんぱんに膨れている。まるで芥川龍之介の『羅生門』で、紛れもない地獄だ」(三島市在住者)。
これは気象業務に関わった人なら一度は聞いたことがある『狩野川台風手記』に記された61名の体験談の一部である。
狩野川台風では今回の台風19号同様、広範囲に被害が拡大。関東地方南部でも浸水被害が多発し、東京の死者・行方不明者は46人。浸水家屋は33万戸近くで、静岡県全体の20倍だった。
ハザードマップで予想されていた浸水地域
そして、この未曽有の水害を教訓に、7年後、狩野川放水路が完成し、全国各地でさまざまな水害対策が進められたのである。
今回の台風では、大雨による被害を想定したハザードマップと実際の浸水地域がほぼ一致している。「頭の上で起こる水害」の可能性が、地形や地質、過去の被害からかなり正確に予測されていたのだ(一部予想されてなかった地域があったと週末に報じられたが)。
繰り返しになるが、「人の判断、意思決定にはバイアスがかかる」という心のやっかいな機能を理解し、気象庁の「狩野川台風並み」という注意喚起の真意に向き合うことができていれば……。
狩野川台風のときの川の氾濫や洪水、浸水被害の知識が共有されていれば、救えた命もあったのではないか。もっとできることがあった……、そんな忸怩(じくじ)たる思いでいっぱいになる。
次ページ思い込みと周囲からの批判がバイアスを高める
バイアスによる罠は私たちの日常のいたるところにあふれている。
会社、組織も例外ではない。もっとも気をつけなくてはならないのが、計画錯誤(楽観バイアス)と呼ばれるものだ。
これは「時間や予算など計画完遂に必要な資源を常に過小評価し、遂行の容易さを過大評価する傾向」のこと。「マラソンと競歩を北海道で開催」することになるなど最初から最後までゴタゴタ続きの東京オリンピック・パラリンピック計画は、計画誤差の典型といえる。
たとえば人類史上最悪の悲劇的なプロジェクトと揶揄(やゆ)されたシドニーの「オペラハウスプロジェクト」もその1つだ。
ジョセフ・ケーヒル率いるニュー・サウス・ウェールズ州政府と、デンマークの建築家ヨーン・ウツソンは、大規模な建設プロジェクトにありがちな工期の遅れと予算オーバーに着目し、コンクリート製の柱やセラッミック製のタイルなどを組み立てる工程を詳細に検討。リスクを最小限に抑える措置を講じて1959年に建設に着工した。
ところが完成予定の4年後にできていたのは、コンクリート製の枠組みだけ。手順の変更やら、甘い見積もりやら、労働者の問題などが次々と発生し、完成に14年もかかってしまったのだ。総工費は当初予定の数倍から十倍以上にも上ったと言われる。
そこで研究者たちがプロジェクトの失敗原因を検証したところ、「そりゃあ、失敗するだろう」と予測できる要因が計画の段階で山ほどあったことが発覚。しかも、興味深いことにプロジェクトを進めたケーヒルやウツソンだけでなく、周りの人たちもが「計画は万全。リスクはすべて排除した」と一点の曇りなく確信していたのである。
思い込みと周囲からの批判がバイアスを高める
人間の脳には情報を処理する限界があることに加え、「これをやりたい! やらねばならぬ!」という思い込みが、バイアスを高める。
個々人のバイアスは、集団浅慮(集団で会議する際に不合理が容認されやすいこと)と合意形成を経て増幅される。不都合が生じた後でさえ「いやいや、大丈夫。たいしたことない」と楽観的に捉え、周りから批判が高まれば高まるほど「当初の予定どおりに進めれば問題なし」と自己を正当化する確証バイアスが高まってしまうのだ。
世の中で生じる問題の多くは外部からではなく、私たちの「心」から生じているという不都合な真実を「私」が忘れないことが最悪を回避する唯一の方法なのかもしれない。
[画像のクリックで別ページへ]
『他人の足を引っぱる男たち』(日本経済新聞出版社)
権力者による不祥事、職場にあふれるメンタル問題、
日本男性の孤独――すべては「会社員という病」が
原因だった? “ジジイの壁”第2弾。
・自分の仕事より、他人を落とすことばかりに熱心
・上司の顔色には敏感だが、部下の顔色には鈍感
・でも、なんでそういうヤカラが出世していくの?
そこに潜むのは、会社員の組織への過剰適応だった。
“会社員消滅時代”をあなたはどう生きる?
コメント37件
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塩見五郎
会社員
ここのところ、毎年異常気象が起こるのが通常となっており、あらかじめ災害の危険性があるという警告が出ていても、(自分のところは)さしたる被害もなく、結果論としては肩透かしになることが多々ある。そんなことが続き、今回も気象庁が大げさに言っているだけで、どうせ大丈夫だろうと思ってしまっている自分を戒めないといけない。
2019/10/22 08:09:463返信いいね!
ジム8
バイアスというより、実際その場に遭遇すると恐怖から金縛りに近いものがあり身動きできないのでは?
一般市民にとって災害における役所の避難アナウンスや指示が曖昧で、指示出た時はもうどうしようもない状況下に置かれ手遅れ状態。
一方、役所にとっては日頃から市民に注意喚起しているつもり。
双方、普段から避難訓練等真摯に対応しないと、いざという時に心身共にパニックに陥る。
2019/10/22 08:17:312返信いいね!
良学
無し
日本はバイアスによる安全神話はいっぱいあり、災害だけではありません。これだけコンビニ強盗やひったくり、個人の住宅侵入のニュースが増えているのに、自宅のドア無施錠、女性一人住いの窓無施錠、オレオレ詐欺の電話につい乗せられる、自転車の前かごに財布の入ったバッグを入れて走る、日本と同じ感覚で外国の非安全地帯に踏み入る、安全対策をよく考えずにオンライン取引をしている。更には、交差点でスマホを見ながら渡る・自転車で走る、街中を曲芸さながらに車の間を縫って走るオートバイ、軽車両であるにもかかわらずその自転車で逆走する法規違反。その当事者は皆自分は安全だと思っています。一つ一つを挙げていたら記事は書けます。それよりその日本文化に切り込むことをお勧めします。
2019/10/22 09:38:292返信いいね!
I'm ignorant
路傍のゴミ
西日本豪雨で避難しなかった人もこのバイアスのせいでしょう。
ハザードマップを作ったから安心してしまうという錯覚もあったのか?
ハザードマップをストリートビューとでVRを作り自分の周りがどういう状況になるのか疑似体験できたらどうだろう。
2019/10/22 09:39:501返信いいね!
codeblueline
本文中に書かれているバイアスの話っていうのも確かに重要なことなんでしょうけど、自分は災害の専門家ではないし、所詮はただの一般ピープルですよ。なので、目に入って来たことと言えば、むしろ、メディアが「今までに経験したことの無い規模」の何たら〜みたいなことを盛んに言うから、台風がやって来る前日のスーパーとか、夕方時点で何にも物がなくなってた訳ですよ。特に酷かったのは、肉、乳製品、パンの類で、自分が足を運んだ夕方6時頃には残量が未だあって買物カゴに入れることも出来たけど、夜の7時頃来た人には何にも残って無いんですよ。で、子連れの若いお母さんとか、明らかに何も買えなくて困ってる・・、その時、自分はたまたま前日に結構な量を買い込んでいたんで、そのお母さんに買物カゴ見せて、コレとコレとこのあたり要らないから持ってってもらえます?と言ってみたら、すんごく感謝されたw
その時思ったんですけど、自分は荒川土手沿いに住んでますんで、今回は本当に覚悟してたんですよ。ある意味不安でしょうがなかった。ところが、そういうことやってみたら、意外と自分って余裕あるのかな?って思えるようになったと言うか、変な不安がなくなったんですよね。それって、多分脳が錯覚しているだけかも知れないんですけど、それはそれで良いんじゃないか。不安に駆られて必要以上に過剰反応するよりは、まずは自分のメンタルを正常に保っておくという、それが自分のためであるのと同時に、結果的に社会のためではないかと。これから台風の度にスーパーが空っぽになっててもしょーがないじゃないですか?
なので、
千葉県で発生した停電や断水の情報があったから→「狩野川台風並み」と注意喚起された河川の氾濫に思いが至らなかった、と後悔する前に、例えば今回は、千葉県では台風襲撃中に震度4の地震が起こってるんですよ。
これが、次の台風時に、都内で震度5以上の地震が起きた時に、そう言えば前回の台風の時に千葉で地震が・・とか言ったところで、専門家はそれに対してシミュレーションしておく必要はあると思いますが、自分みたいなパンピーはですよ、そうなった時でも、精神的に正常心を保てるようにするにはどうすれば良いか、ってことを考えってった方が、自分のためでもあるし、結果的に社会のためにもなると思うのです・・「健康社会学」的に言ってもw
2019/10/22 09:51:517返信いいね!
フライヤ
普段から訓練していればそういった緊急運動ができるだろうが
私も含め一般人は緊急時を想定できていない
していたとしても低いレベルだと思うので、適切な対応はむずかしい
火災、地震、水害、それぞれ避難先も対処も違うことの理解から
始めないとと感じました。
農業をしていますが、親には田んぼに行くなと毎回言っていますが
行きたそうにしてます。
ドローンやWEBカメラなど確認できる環境をつくり自分で納得できるようにする必要があるのかもしれない・・・
2019/10/22 10:18:573返信いいね!
daishi
シドニーオペラハウスのデスマっぷりをWikipediaで見ましたが、新国立競技場も当初案で強行してたら同じ結果になってたでしょうね。
災害の安全バイアスとプロジェクトの混乱は異なるような気がします。
プロジェクトの混乱は不安がありつつも作業が進行していく中で奇妙な安心感と不安を抱え込んでいますが、災害は自分が当事者にならないと思い込んでいます。
2019/10/22 11:25:56返信いいね!
あんころしゅうくりーむ
万年現場人
労働災害防止に係る業務で、しばらく前に「正常化の偏見」と言う言葉を聞いた。「Normalcy Bias」の和訳だそうだが、何の根拠もなく、自分だけは災害に遭わない。と言う「思い込み」だそうです。どこか心の中で、「明日も生きている」「災害は大丈夫だろう」と思っていないと不安にかられるので、そう思い込む人間の特性なのでしょうか。東日本大震災の釜石の奇跡、と言われるように、常日頃の防災意識と訓練、備えがとても大事な教訓なのでしょう。
2019/10/22 16:44:483返信いいね!
男なら泣くな
そういうバイアスを減らしていくにはどう働きかけるといいんでしょうね? ハザードマップがあっても見ず、もちろん断層も調べないし、緊急時対応の準備は一切しない、後で「自分のところは大丈夫だと思ってた」と言う方々には理屈を説いても通じる気がしませんがそういう方は結構な数いますよね、きっと
2019/10/22 18:49:325返信いいね!
Take.Haya
台風19号の接近に際して、気象庁が「狩野川台風並み」という発表をしたときの第一印象は「何、それ?」でした。60年も前の台風の事を覚えている人は少ないでしょう。そもそも狩野川がどこに有るのか知っている人がそれほど多いとは思いません。関東在住の70歳以上の方であれば記憶の中にあったかもしれませんが、危機感を想起させたか疑問です。気象庁がそのような発表をしたのは、気象関係者の間では「狩野川台風の被害」がよく知られているものであったという事を、今回の記事で認識しました。これこそ、気象関係者における「バイアス」と言えるのではないでしょうか。情報提供者は、伝えたい効果を持つ伝え方になっているかに注意することが必要なのだと思います。
2019/10/22 18:51:399返信いいね!
ちゃた
いいコラムだと思いますが、バイアスを高める要因としてやはりメディアの責任もあると思います。
テレビの天気予報は普段から危機感を前面に出し煽ること多数。
それが当たれば皆さんは信用するけど、外れることが多ければオオカミ少年になってしまい信用されなくなる。
衛星を何個も打ち上げ、最新コンピューターを導入しても今ひとつ天気予報が当たらない難しさがありますね。
2019/10/22 19:09:40返信いいね!
駒鳥
>「自然の猛威に人は屈するしかない」と大きな災害に見舞われるたびに、誰もが思う。
私はそんなこと思わないので、「誰もが」は間違いです。
地球規模で増加し深刻さを増し続ける天災が、
人災であることを認めない人類の愚かさに絶望するだけ。
バイアスはむしろ「私たちは何の悪いこともしていない」という思い込みの中にあると思います。
底引き網で一網打尽に獲りまくり、
海に河川に汚れた排水を流しまくり、
コンクリートで固めて産卵環境を破壊しまくり、
人類規模での私利私欲のため地球温暖化を引き起こして、
それで漁獲量が激減してさえまだ、人災だと認めない人がいくらでもいるよね。
天災も同じでしょ。
記録的な酷暑も台風も火災も、立て続けに起きても、増え続けていても、まだ、人災だと認めない。
人災であるところの災害を減らす努力をするべき時に、災害から人を守る努力が足りなかったと反省する論調には絶望しか感じられません。
河合さんだけが間違ってるわけじゃないからこその絶望です。
純粋な天災ももちろんあるにせよ、近年のは、人災の方が多いと思います
。
2019/10/22 19:52:162返信いいね!
sf0307
どんな災害でも、 直前にならないと自分のいる場所が危険か分からない。
いや、ほとんどの災害になって初めて自分が被災者だと分かる。
ということは、答えはひとつ。
被災者になる前に行動するしかない。
これは2つの意味がある、
まず、今回のように被災の恐れがある場合、危なくなる前に貴重品や人の移動を始めること、
そして、そのためには動き出すための基準を明確にしておくこと。
例えば、50年に一度の大雨での浸水想定区域なら、その雨が降ると分かった時点で準備をし、特に夜に掛かる場合、子供やお年寄りがいる場合は、夕方に避難所に移動しておく、
こういうことを決めて連絡おくしかない。
判断を平常時にしておくのだ。
災害の恐れを見極めるまで待つのは愚かだし、移動が遅れれば移動中に被災する恐れも大きくなる。
約束事は先にしないと意味がない。
2019/10/22 21:18:155返信いいね!
47
長々と考察されていますが、一言で表現すれば「平和ボケ」という言葉になってしまいます。
2019/10/22 23:09:53返信いいね!
forte
まだ道半ば
学者さんはいつも難しく解析なさるが、結局のところ、
・必要な情報を集められない
・集めた情報で正しい判断ができない
のが根本的な今の日本人の問題。
タチが悪いことに、それでうまくいかなかった場合、
適当なタイミングで適当な情報を与えてくれなかったと発信者を責める気質。
自分の身は自分で守るという大前提が欠如している。
バイアスも1つの要因かもしれないが、
この他力本願とリスキーシフトの国民性の方が問題かと。
2019/10/22 23:52:552返信いいね!
cyc-lo
万年平社員
以下のように読み替えてみると。
・自分にとって都合のいい情報を選り好みする
・自分にとって都合のいい情報の解釈、判断の仕方をする
河合氏がいつもやっていることですね。
2019/10/23 11:13:101いいね!
子育て主夫
記事で言われているように、マスコミの報道が若干偏っていたように思えます。「風」だと。養生テープが売り切れとの報道でそう思いました。あとは「水」「ガソリン」といった停電対応。これも15号の影響でしょうね。それも気象庁は「出来れば木曜日までに準備を」と発表していましたが、多くの人は金曜日の準備…。
私の住む群馬県は台風の時、竜巻以外では大きな風の被害はなかなか有りません。これはおそらく内陸部ということだと思ってます。浸水被害の有った友達の家に片付けに言ったのですが、窓に養生テープは貼って有るのに、浸水の対策はとってなかったそうです。そしてお決まりの言葉、「ここまで水が来るとは思わなかった」「ずっと住んでいるけど、こんなことは初めて」
21世紀になり自然災害が増えるのは間違いないと言われていても、災害に興味を持たない人は、情報の受け取りがちゃんとできません。まあこれは行政も含めての話でもありますが。
あくまでも私の感覚ですが、浸水予想されているところに住む人よりも、そうでないところに住む人の方が危機感が有るように思えます。やはり「自分のところは大丈夫、被害が有ってもちょっとだろう」という正常化バイアスなのかな?と。
今までは、言い出しっぺになって忙しくなるのを避けていたのですが、今回の事をきっかけに地域で「減災」を呼びかける活動を始めようと思ってます。
2019/10/23 00:33:182返信いいね!
K.Gotou
情報処理従事者
ほぼ、本能に近い行動と解釈しています。
危機に対して能動的であるのか逆であるのか。どちらも、生き残る確率は低い。それが、太古であったと思うのです。
現在は、テクノロジーが発達しているので ”安全圏” へ逃れるのが生き延びる ”知恵”。ですが、現実に危機の中に身を置くと ”本能” が行動を司ります。
その時が来るまでに行動する事。それを ”本能” にまで落とし込めるか。それを成しえるのは ”訓練” だと思っています。小脳にたたきこむように繰り返し訓練するのです。いわゆる、”消えない記憶” にしてしまうのです。
もう、これはスポーツに近い。避難を繰り返し訓練し、災害という鬼から逃れるというスポーツ。被災された方にしてみれば、”不謹慎” とお叱りのことと思いますが、敢えて、書いてみました。
もう、「50年に一度の災害」が常態化していると認識したほうがよろしい。日常的に災害が発生する時代に入りました。それを、本能で対峙する工夫が必要なのです。
2019/10/23 04:26:294返信いいね!
ダメおやじ
痴呆公務員
室戸台風、伊勢湾台風のように今回の数十倍の人的被害を出した災害から学び防災対策を行ったので、かつてより格段に安全な国になりました。
でもそれで水害が身近なもでなくなってしまいました。
私もですが日本人の多くが、戦争と同じく水害に対して脳内お花畑になっているのでしょうね。
2019/10/23 06:57:433返信いいね!
BANDIT
私は情報化社会として来るべき状況と捉えています。
情報の流通が少なかった時代は、新聞などに掲載されても、実体験として過去に自分の周囲で起こった災害の認識がほとんどであり、その情報の範囲で行動判断していたと思います。
情報の流通が増大し、離れた場所での災害もリアルタイムで報道できるようになると、実体験でなくても一時的には危機感が増大しますが、やはり実体験でないので、映像などに対する「慣れ」が生じてしまいます。
いつ起きるかわからない地震やどの程度の被害になるかわからない台風に対し、始終怯えて生きていくこともできません。状況に対する危機感は主観的に判断し、情報に対する判断は客観的に対応する。こういうことを瞬時に頭の中で実行することが「本能」なんでしょうかね。
2019/10/23 09:43:041返信いいね!
1件の返信を表示
たけさん
Eng
風速30m〜40mを基準に電信柱、建物を設計させているのだから、風速が超えれば被害がでる。浸水した場所はほぼハザードマップ通り。バイアスというあいまいな概念を持ち出しても被害は防げないのでは?今起きている災害は想定通りで、足りないのは金と覚悟。
2019/10/23 09:57:031返信いいね!
2件の返信を表示
bearbear
業務効率化プログラム開発
「伊野川台風並み」と言われても、気象予報士でも無い身では大昔(?)に起こった台風の実態は分かりません。(ググれば良かったんでしょうが)なので、「〇〇並み」だけでは無く、確証バイアスを少しでも軽くする為には、もっと具体的な情報を発するべきなのでは無いでしょうか?
2019/10/23 10:15:271返信いいね!
LIonKingdom
Scientist
財務省の緊縮財政で国土強靭化を怠ってきたツケが廻って来たんです.何しろ消費税に加えて復興税を課すなんていう馬鹿げた政策を与野党こぞって推進してるわけですから,既に日本はインフラが不十分な発展途上国どころか,それに加えて脳みそは後進国よりも劣る未開人以下ですよ.いずれ中韓北露の切り取り放題となってウイグル&チベット化でしょう.
2019/10/23 10:31:373返信いいね!
z
現状維持バイアスは動物の基本機能に組み込まれたものですし、それをどうにかしようとするのはムダでしょう。
治水工事にお金をかけるほうが建設的です。
2019/10/23 10:57:164返信いいね!
cyc-lo
万年平社員
1ページめで読むのをやめました。
被災者に対して後ろめたい?
災害なんかなくたって、毎日赤ん坊が生まれて老人が死んでますよ。
1億人の人間がいるんだから、毎日何かしら起こっている。
ありとあらゆることに配慮していては、何もできなくなります。
そのくせ、本題については、
(私は、今回の記事は読んでませんけどね)
自分の都合のいい情報を選り好みしているんですからね。
それができるのなら、被災者のことだって
これはこれ、それはそれ、と扱うこともできるでしょうに。
二枚舌とかダブルスタンダードって、こういうことじゃないでしょうか。
世間のバイアスをどうのこうの言う前に、
ご自身のバイアスを詳細に検討してみることをオススメします。
2019/10/23 11:11:192返信いいね!
日の当たる場所に出たい
このようなことが起こるたびに同じようなことを書かれてませんか?
バイアスは人間である以上、回避するのは非常に困難です。
まして訓練を受けていない多くの方を対象して講釈をたれていても、読んでいるこっちが食傷気味です。
2019/10/23 12:29:011返信いいね!
cyc-lo
万年平社員
まあ、河合さんが書かれていることは、
「なんで、世の中は自分の頭の中と同じでないのか」
というグチだけですからね。
2019/10/23 13:31:511いいね!
みっとさん
元IT系
都内の荒川氾濫時に浸水するエリアに住んでいます。今回は降水量が記録的に多いことは数値予報のガイダンスなどから把握し、大規模河川では氾濫は大雨の翌日以降に起きうること等の知識もありました。それでも避難しなかったのですが、後から思ったほど余裕がなかったことに気づきこれで良かったのかと自省しています。専門的な知識があっても正常バイアスは生じるものと身をもって感じました。
一方で、荒川が本当に耐えられる降雨量がわかりにくく(現状だと下流部は200年に1回レベルの豪雨でようやく洪水になると誤解しやすい)事前避難の判断が難しいとか、せっかく洪水について事前にすべきこと(タイムライン)を整備したのに事前の避難を促せず、降水量がさらに増えてたら大混乱が必至だったとか、行政や専門家側で改善できそうな部分も多くありそうです。のど元過ぎたら、にせず対策を考えていかないと。
2019/10/23 13:27:411返信いいね!
YH
河合さんご指摘の通り、私はバイアスかかりまくりで「うちは大丈夫」と思っていました。 今回の台風では、次男に「浸水はしなくても、停電したらどうするの!!」と怒られ、彼は水や食料、電池など買ってきてくれました。 いつになくきびきびした彼の行動に感謝と自分に反省。
これを読んで、市役所のHPにあったハザードマップをはじめて確認しました。
2019/10/23 13:55:53返信いいね!
GK2
一般
「正常化(楽観)バイアス」と「抑うつリアリズム」を考えると、何とも言えない気持ちになりますね。
猛獣や災害、飢饉や疾病に怯えないですむようになったのは、精々ここ数百年。
今以上に不安や恐怖に満ちていた中で、楽観的すぎるぐらいじゃないと精神が保たなかったんだろうなあ、と……
2019/10/23 14:57:20返信いいね!
たけさん
Eng
強い信念と意志を持って完成させた世界遺産オペラハウスをバイアスの結果とするのは乱暴ですね。例が悪すぎます。当初のデザインでは建設不可能と思われた建造物ですが、技術革新、コンピュータ使用により実現しました。国立競技場の当初案を捨てた日本とは大違い。
2019/10/23 15:34:39返信いいね!
ワタリガラス
キャリアコンサル
正常化のバイアスは、おそらく人の脳の働きであって、避けて通ることはできないものなのだと思います。しかし、正常化のバイアスは極力減らすことを努力しないといけないと思います。
私も、かつて山奥で川釣りをしているときに、ちょっとした夕立に会いました。川幅は山といっても100メートル近いので、あまり気にかけず釣りをしていると、宿の主人が飛んできて、すぐに川から上がるように言われました。川を見ていると、15分ほどで濁流が3メートルほどの深さで、大きな倒木が何本も流れてきていたのを覚えています。
それ以来、川の近くで何かするときは常に天候に気を配っており、ちょっとでも、雨がふったときはすぐに川から上がるように心がけています。
正常化のバイアスを減らすには、日ごろからの訓練が大事で、常にこうした場合はこう、と行動を決めておき、時々実際に行動してみることが重要だと思います。
アウトドアで行動することが趣味なので、常に頭の隅には、何か危険なことが起こったらどう行動するかを、考えながら活動しています。
2019/10/23 15:49:541返信いいね!
SHIn
関連会社の工場が千曲川近くの工業団地にあり、今回、甚大な被害を受けました。関係者曰く、全く警戒していなかった、とのこと。確かに、太平洋側からやってくる台風で、長野市が被害を受けるとは、今までの経験からして、警戒心が薄れるのも頷けます。まぁ、警戒していようが、防ぎようが無い被害でしたが。。。
ところで、工業団地のようなもの…各地域に様々存在しますが、河川添いに位置するもの、非常に多いと思います。これら、各自治体が開発し、誘致しているものですが、今後、同様の被害が多発するかもしれないかと思うと、非常に危険ではないでしょうか?経済的損失も、莫大になります。
これら、誘致している自治体にも、少しは責任もあるでしょうが、責任問題云々よりも、それらの危険性をランク付けし、全国的に早急に対処した方が良いのではないでしょうか?
是非、本誌でも調査して、何らかの提言をしてください<m(__)m>
2019/10/23 16:04:261返信いいね!
satです
バイアスとは方向が異なりますが、確率の問題で100年に一度とか1000年に一度とかいわれますが、今年起きたら来年は起きないなんてないですからね。また過去最強クラスに耐えるのが対策になっていません。安倍首相や小泉進次郎が大丈夫といっても地球温暖化の影響で来年はもっと大変になると思います。
河合さんもエルニーニョ現象あたりからわかっていたとは思いますが。
2019/10/23 16:41:32返信いいね!
tkhs教授
バイアスの存在自体は、当然であり、高齢化が進むほど、自分は大丈夫という思い込みや、別に、自分はどうなっても良いから、とりあえず自宅の修理、畑の見回りをしたい、という意識が強まっていくことになるのでしょう。
よって、それを前提として今後は、特定の個人や世帯の携帯端末やLINEなどに対して
AIが直接、避難の手順を送付して、対応を強制するような仕組みが開発されていくことが期待されます。
今後PersonalAIが普及すれば、それが当然の時代になるでしょう。
2019/10/23 17:53:19
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00045/
上陸せずとも台風影響 日差しの少ない1週間
小笠原諸島の近海を北上中の台風21号ですが、接近・上陸はしなくても、影響が出てきそう。週末にかけては曇りや雨の所が多く、日差しが少ないでしょう。
ポイント解説へ
あす 小笠原諸島 台風最接近
土曜日にかけては 大雨に警戒
https://tenki.jp/forecaster/a_aoyama/2019/10/23/6387.html
台風被害のりんご 出荷しないよう呼びかけ 長野県
2019年10月23日 7時30分
台風19号では、りんごの産地で実が落下したり泥水につかったりするなどの被害が出ています。泥がついたりんごは、カビによって食品として安全面で問題が生じるおそれがあるため、長野県では出荷しないよう生産者団体に呼びかけています。
台風19号では、りんごの実が強風で落ちたり、浸水して泥がついたりするなど、各地で被害が相次いでいます。
農林水産省によりますと、りんごの実が土や泥水に触れると、カビによって食品として安全面で問題が生じるおそれがあるため、食品衛生法で果汁の利用に厳しい制限を設けています。
こうしたことから、長野県では消費者に安全な農作物を提供するため、文書を出して水をかぶって泥がついてしまったりんごを出荷しないよう生産者団体に呼びかけています。
JA長野中央会などによりますと、水をかぶったりんごをJAが取り扱うことはなく、ジュースやジャムの加工品としても流通することはないということです。
長野県は「被災したのは県内のりんご産地の一部で、被災した地域の農家は国などの協力も得ながら支援していく」と話しています。
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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191023/k10012144221000.html
台風19号で自宅が床上浸水140センチ。多摩川近くハザードマップ境界地域で何が起きたか
伊藤 有
伊藤 有 [編集部]
保険の査定のため職員が訪れたときの様子。地下だろうとも「床上浸水」扱い。建物そのものの外観被害が見当たらないように見えるため、140cmの床上浸水と聞いて驚いていた。
撮影:伊藤有
「床上浸水、140センチ」
自宅を訪れた職員は、家財がなくなった空っぽの薄暗い部屋でメジャーを片手に数字を読み上げた。
10月12日、関東地方や東北地方を中心に日本各地に台風19号が直撃、甚大な被害を及ぼした。多摩川から徒歩数分という立地にある僕の自宅も、台風19号の直撃による水災を受けた。
台風直撃から10日以上経ったが、近隣には今も道路脇に災害ゴミが積まれ、ボランティアの方々と地域住民で協力しあいながら、再建のため住戸や地域の「掃除」を続けている家もある。
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ご近所・友人総出で運び出してくれた自宅の家財の一部。浸水すると、砂も一緒に入ってくるためすべてが泥だらけになる。
撮影:伊藤有
一級河川がすぐ目の前という立地のため、幸いにも自宅は水災対応の火災保険をかけていた。金銭的な損失は最小限に済む見込みだが、それでも「床上浸水140センチ」の自宅、家財を復旧して被災以前の生活に戻るには半年から1年はかかりそうだ。
今回は自分が体験した「河川氾濫にあうと何が起こるのか」「被災してわかった洪水ハザードマップの重要性」を現在進行形でまとめてみよう。
家は無事でも、排水が逆流して浸水
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12日の午後、早めに地域から避難した時の様子。突然、ワイパーを全速力で動かしても前が見えないほど、雨が強まってきていた。
撮影:伊藤有
12日の台風直撃の日の夜は、近所の2家族とともに、その実家に避難していた。水源から離れた都心にあり、多摩川沿いにいるよりは安全だと判断した。
数十年に一度という巨大台風が頭上を通り過ぎていくというのに、他人の実家の居間でテレビの台風情報を見ながら、案外冷静だった。今から心配しても何もできることがないからだ。
夜中になると、二子玉川・多摩川地域周辺の驚くような映像が流れてきた。住宅街が冠水、消防などによるボート救助が続いていると報道された地域は、自宅から歩ける距離の、見慣れた場所だ。
心配だが徹夜で起きていても何もできることはない。諦めて、日付が変わる頃には寝てしまった。
台風一過の翌朝、快晴の天候のなか、正午前に自宅に戻った。
雨が降り止み、水が引いたあとの地域は、別の町のように姿を変えていた。床上浸水した多数の住宅からは、家財が運び出されて道路に積み上げられ始めていた。
災害ゴミの集積場
各戸から大量に出る災害ゴミは、いったん地域ごとの集積所に集められるようだ。この公共駐車場は、一時的に災害ゴミの集積場になっている。
撮影:伊藤有
早めに避難から帰宅した隣家の人からは、「自分の家は何も被害がなかったけど、近所で地下が水没している家が複数ある」という連絡をもらっていた。
それを聞いて胸騒ぎがした。数年前に引っ越した自宅は、1Fが少しかさ上げしたような構造で、その下にささやかながら地下室がある。地下には仕事部屋やバスルーム、衣服を置いていた。近所のほぼ同じ構造の家は、その部分が水没しているという情報も入ってきた。
自宅に着くと、一見すると影響はなさそうだった。駐車場は冠水による泥を被っていて、強風対策で寝かせておいた自転車などは被害を受けていそうだったが、水に浸った跡を見ると、せいぜいくるぶしまで浸かる程度だ。深刻さはない。
「うちは大丈夫なんじゃないか」
そう思って玄関から入ると、灯りがつかない。室内に入ると、からっと乾いた1階に少し下水臭がする。慌てて階段を降りると、目の前にはこんな光景が広がっていた。
浸水した部屋
排水をはじめる直前の写真。この時点ではドアノブの下くらいの水位だが、濡れている階段の状況をみると、最大水深は階段にして3段分ほど上まできていたことがわかった。
撮影:伊藤有
水面下のものは、あらゆる「上面」が川砂のような目の細かい厚さ1mm程度の泥でコーティングされていた。
あとからわかったことだが、水の侵入経路は「下水の逆流」のようだった。逆流でも、これだけの水が入ってくるのだ。地域が分流排水であることと関係があるかは不明だが、匂いは思ったほどはない。少しなまぐさい、という程度だ。
帰宅当日は3連休の2日目。週明けからの予定を考えると、途方にくれている時間はない。
すぐに心当たりの大きなホームセンターに電話して、汚水用の排水ポンプがあるか問い合わせた。
奇跡的に業務用の機種を1台、在庫しているという(3万円くらいだった)。すぐにクルマを走らせて買いに行き、浸水を逃れた隣家から電源を借りて、午後2時過ぎには排水を開始した。
排水性能にして最大245L/分の業務用水中ポンプが、水を吸う限界の水深10mm程度まで排水しきったのは午後5時半ごろ。途中、吸い込んだゴミを取るため一時停止させた時間も含めて、ざっくり3時間かかった計算になる。
「無色」「薄い色」「濃い色」のはざまで何が起こるか
街の様子
この写真は、台風直撃から10日目のもの。一時期より減ったとはいえ、それでも道路脇には大量の災害ゴミが置いてある。
撮影:伊藤有
ポンプが電動で仕事を続ける間、やることがないので周辺の状況を少し見て回った。なにせ、浸水被害の大半はプールのようになった地下にある。
近所の人同士で情報交換をしていると、半径200m程度の「ご近所」地域でも、被害の程度が天と地ほど違うことがわかってきた。
ある近所の家屋(徒歩2分程度)は、1階が腰まで浸かるほどの床上浸水になっていた。その周辺のマンションでも、1階の浸水がひどく、住戸の被害はもちろん、立体駐車場が不動になってクルマが出せなくなっていた。
わずか徒歩1〜2分圏内というのに、この違いは一体何なのか?
ピンときたのは、スマートフォンで近隣の洪水ハザードマップを見てみたときのことだ。
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世田谷区が配布している洪水ハザードマップ。段階としては5段階あるものの、多くの地域は0.5〜3m、3m〜5mの浸水が予想される地域になっている。
出典:世田谷区
自宅付近の多摩川の堤防周辺地域は、おおまかに言って「無色」「薄い色(浸水0.5〜3m)」「濃い色(浸水3m〜5m)」の3段階の地域がある。
自宅周辺でも、水災の難を逃れた土地は、「薄い色」だった。逆に、胸まで浸かるほどの床上浸水になった地域は、「濃い色」だ(ちなみに自宅は薄い色地域だった)。引っ越す前にもハザードマップは見ているが、なぜ「近所なのに色の違いができるのか」は、よくわかっていなかった。
周辺を歩いてみると、濃い色の地域は、普段は気づかないほどの「なだらかな下り坂」になっていて、周囲より低地にあるケースが多かった(細い川が近い、など別の要因もあるかもしれない)。
ここには1つ、水災に遭ったからこそ実感できたある種の教訓があると思う。
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1Fが浸水被害を受けると、災害ゴミの種類も変わる。自転車のほか冷蔵庫や洋服ダンス、机など、生活必需品も出てくる。
撮影:伊藤有
土地が5mも低ければ普段から気づくが、50cm〜1m程度の高低差は日常ではほとんど意識することがない。
洪水にまで至らなくても、堤防を水が超える「越水」や、堤防の内側で水が溢れる「内水氾濫」が起こると、この少しの高低差が浸水被害の度合いを変えることがある。水というのは、低い土地に集まってしまうからだ。
「どういう立地に住むか」は個々の事情もあるから一概に言えないし、川が近い地域は景色がよかったり、遊べる場所が多いなど日常生活にメリットも多い。とはいうものの、水辺が近い場所に住む以上、少なくとも洪水ハザードマップを事前に見ておかなければならないと痛感した。
万が一、水災が発生した時、洪水ハザードマップが予想する「被害の軽重」は、普段の生活から想像もしないほど実態に近い。
「もし、水災にあったら」知っておくべき5つのこと
自宅の再建計画はまだこれからだが、火災保険の請求も含めてある程度道筋がついてきた。この10日間程度のなかで気づいた、水没した家でやるべきこと、わかったことをまとめた。
1. 地下の人力排水は無理。機械を使って迅速に排水
水中ポンプで排水する様子
手に入れた業務用水中ポンプで排水する様子。表で排水を見ていた人からは「すごい勢いで水が出てくる」と声があがったものの、見た目の水は全然引かない。それほど多い。
撮影:伊藤有
1Fと違って、地下の場合、排水しない限り、水がずっととどまってしまう。そして水没した場合の水量は莫大だ。
ざっくり計算したところ、地下に溜まっていた水の量は(容積の計算が間違っていなければ)数万リットル。とてもじゃないがバケツリレーでどうにかなる量じゃないのだ。
家の基礎にかかる水圧、浸水による腐り、傷みも放置するほど進行する。
そこで電動の水中ポンプが登場する。買うまで気づかなかったが、ポンプでは最後まで水を吸えない。手に入れたポンプも、動作する最低水深は10ミリ程度。つまり、残りは人力作業で排水するか、水深2ミリ程度まで吸える特別なポンプを併用することになる。
2.フローリング下の水も抜かないと家の損害が広がる
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フローリングを剥がしたところ。フローリングが顔を出しても、下にはまだびっしりと水がたまっている。
撮影:伊藤有
フローリングが見えるようになったら一安心……してはいけなかった。
木造家屋のフローリングの下には、家を支える木材が張り巡らされている。
浸水後に見積もりにきた工務店の人に聞いたところ、ある程度、基礎に水が残るのは仕方ないにしても(多少の自然乾燥はできる)、水位は少なくとも「基礎に乗った木材よりは下」になるようにしておかないと、構造材の傷みの点で不安があると教えてくれた。
今回は、フローリングに穴を開け、基礎部分にたまった水もしっかりとポンプで抜いた。
3. 災害ゴミは随時回収にまわってくれる
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撮影:伊藤有
水災に遭うと、大量の災害ゴミが出てくる。浸水でダメになった家財や衣類、家電、なにもかもだ。
家の復旧のためにとにかく道路の端や駐車場に災害ゴミを並べるしかなかったが、世田谷区に問い合わせたところ、「明日とは言えないが、1カ月後ということもない。なるべく早く回収に向かう」とのことだった。
実際に自宅周辺に回収がまわってきたのは水災から3〜4日経ったころ。
災害時の緊急事態ということで、ゴミの分別は関係なく持って行ってくれた。
周囲一帯の家から運び出された大量の災害ゴミの回収作業にあたった区の職員の方々には、心から頭が下がる思いだ。
4. 広範囲の水災では火災保険の査定が「簡易査定」になるケースがある
使うことはないだろうと思っていた保険会社の対応も、勉強になった。加入していたのは、某保険会社の一般的な水災対応の火災保険だ。
連絡した1週間後にやってきた2人の担当者によると、通常は、細かく査定をして保険金の支払い金額を決めるが、同じような地域で広範囲に被害が及んでいるため、「簡易査定」とすることで、支払いに要する時間と手間を短縮しているそうだ。
具体的には、過去の浸水被害の支払い実績から割り出した「保険金額」にあてはめて計算する。例えば床上浸水140cmの場合は、「家屋全体の保険金額 x 23%」程度が、その保険会社の簡易査定金額ということだった。例えば家屋に2000万円の保険をかけていれば460万円ほどになる計算。家財保険の支払い分は個別に計上する。
保険会社は計算した金額でまず迅速な支払いをし、仮に実際の修復費用が不足している場合は、改めて見積書を送ってほしいという。見積書の金額が必要コストと認められれば、差額が追加で支払われるとのことだ。
5. 罹災証明書をもらう際の「写真」は、スマホの画面で良い
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区が発行する「り災証明書」。1枚の発行につき、それぞれ手書きで記入する必要があるが、被害状況の確認は柔軟な対応をしているようだ。
撮影:伊藤有
会社への提出や、さまざまな減免措置の証明書類として必要とされる罹災証明書。
発行開始の初日、朝一番に並んだ。世田谷区の場合、午前8時30分からの発行開始時点では、発行待ち行列は10人程度だった。
煩雑な手間があるのかと思いきや、その場で記入するだけ。必要書類として「写真」というものがあるようだが、これはスマートフォンの画面上での確認でも代用できた。地域によるかもしれないが、わざわざ印刷した実物は必要ないようだ。
「ご近所付き合い」が被災から町を救う
こうして記事にはしたものの、僕自身、現在進行形の被災者でもあるので、この先どんなことが発生してくるかはまだわからない。保険会社とのやりとりはまだ続くし、そもそも今回のようなケースで、簡易査定の保険金額で修繕が事足りるのかもよくわからない(見積もりは今まさに待っている最中だ)。
自身が被災して実感したのは、いざとなると大事なのは近隣住人同士の協力だということだ。
自分の場合、たまたま「隣家でまったく被害がなかった家が複数件あった」おかげで、掃除や浸水した家財の運び出しなどを、近所の人たちが手伝ってくれた。なかには、立ち話程度しかしたことのない人もいて、一気に仲良くなってしまった。おかげで3日ほどでゴミはすべて出し切れた。助けがなけば、1週間以上はかかりきりになっていたはずだ。「感謝」という言葉では足りないほど感謝している。
不幸中の幸いだが、災害をきっかけに電気や風呂を借りたり、足りないものを融通したり、保健所や罹災関連の知識を情報交換したりなど、突然、昔ながらの町内会的付き合いが復活したようになり、活気が出てきた。
もしものための保険加入は大事だが、それ以上に、助けあえる町をつくっておけるかどうか。災害の多い日本だからこそ、これは気にしておくべき点なんだろうという気がしている。
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