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100年近く大噴火ゼロ「異常な時代」はもうすぐ終わる 『島村英紀』
(武蔵野学院大学特任教授)
群馬県の草津白根山が1月23日に噴火した。事前に何の警告もない噴火だったので、噴火口から100メートルあまりしか離れていないスキー場にいた人たちが被害に遭い、12人の死傷者が出た。火山学的にはこの噴火はマグマが地表まで上がってこなかった水蒸気噴火であり、2014年の御嶽噴火の10分の1以下という小さなものだった。だが、たまたま噴火口周辺に人がいたので大きな被害を生んでしまった。
一番の関心は、この噴火がいつまで続くのか、もっと大きな噴火があるのかどうか、ということだろう。だが、火山学では、噴火の経緯を見通すことと、いつ噴火が終わるかを知ることは、噴火予知よりも、もっと難しいといわれている。今までの日本の噴火で、これらが的確に予想できたことは一度もない。
短いものでは、御嶽山の噴火は1回きりで終わった。しかし、1990年から始まった雲仙普賢岳の噴火は6年も続き、噴火の開始から1年たってから、当時戦後最大になった火山災害を起こしてしまった。火山から出てきた溶岩ドームが崩れて大きな火砕流を出し、43人が亡くなったのだ。つまり、この草津白根山の噴火がいつまで、どういう形で続くかは、現在の火山学では分からないのである。
激しく噴煙を上げる御嶽山=2014年9月、長野・岐阜県境(甘利慈撮影)
噴火の規模はごく小さなものから巨大なものまで、とても範囲が広い。噴火の規模を示す指標はいくつかあるが、噴火の時に火口から飛び出したものの体積を立方メートルで表すのが一般的に行われている。火口から飛び出すものには、火山灰のほか、噴石、火山弾、溶岩などがある。火山弾というのは溶けた溶岩が飛び出して空中で固まったものである。
容積の指標の一つとしてよく使われる東京ドームは124万立方メートルあるが、その東京ドームで数えると250杯分以上だったものを「大噴火」という。実に3億立方メートルという途方もない量だ。ちなみに2014年の御嶽噴火は、東京ドームの半分ほどだった。つまり戦後最大の犠牲者を出した御嶽噴火でさえ、噴火としてはごく小さなものだったのである。
しかし、この「大噴火」は過去たびたび日本で起きてきた。記録がちゃんと残っている17世紀以降だと、日本のどこかで各世紀に4〜6回の「大噴火」が起きてきた。起きた場所は九州や北海道が多かったが、その地域ばかりではなく、富士山や伊豆大島も「大噴火」を起こした。
ところが不思議なことに、20世紀の初めに2回の「大噴火」があった後、現在に至る100年近くはこの「大噴火」がないのである。その2回とは1914年に起きた鹿児島・桜島の噴火と1929年の北海道・駒ケ岳の噴火だ。この先いつまでも、日本で「大噴火」が起きないということはあるまい。残り80年あまりしかない21世紀に「大噴火」が4回ほどあっても驚かない、という火山学者は多い。
「大噴火」というものが不思議なほど起こらない、ある意味では「異常な時代」が続いているが、その状態が元に戻るきっかけが、もしかしたら東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)であったと考える根拠がある。
2011年に起きた東北地方太平洋沖地震はマグニチュード(M)9・0という、世界的にも珍しい巨大地震だった。この地震は広く日本の地下にある基盤岩を一挙に動かしてしまった。そのとき動いた量は、震源に近い牡鹿(おじか)半島で5メートルを超え、遠くに行くにしたがって徐々に小さくなっているが、それでも首都圏や富士・箱根の地下で30〜40センチに達した。
日本には太平洋プレートやフィリピン海プレートが4〜8センチほど押し寄せてきているから地震も火山も多いのだが、プレートがゆっくり動いていた何年分もが、大震災で一挙に動いてしまったのである。
世界的に見てもM9クラスの巨大地震はこれまでに7回しか知られていないが、実は東日本大震災以外のすべてで、地震後に大きな噴火が近くで起きた。御嶽噴火や今回の草津白根山の噴火があったものの、まだ大きな噴火が起きていないのは日本だけなのである。
これまで世界で起きた例では、2004年のスマトラ沖地震(M9・3)の後、タラン山やメラピ、ケルート両火山などが地震後4カ月以降に起きているし、1964年のアラスカ地震(M9・2)後、3カ月以降にトライデント火山やリダウト火山が相次いで噴火した。
このほか、1960年のチリ地震(M9・5)、1954年のアリューシャン地震(M9・2)、1952年のカムチャツカ地震(M9・0)など、いずれも巨大地震の直後、早ければ数カ月以内、遅ければ数年以内に大きな噴火が続いた。
巨大地震から短くても数カ月、長ければ数年以上という時間の遅れがあるのは、プレートの動きや地下の岩盤の動きと直接関係するのが地震であるのに対して、火山活動は間接的なためである。プレートの動きが地下でマグマを作り、それが上がってくるのが噴火であるために遅れが生じる。その意味では、東日本大震災から7年たったとはいえ、日本はまだ「執行猶予期間が終わった」とは言えない情勢にある。
次に、日本のどの火山が噴火するかは、現在の火山学では分からない。しかし、活火山だけでも110を超える日本では、いつ噴火してもおかしくない火山が多い。
いずれ噴火することが確かで、もし噴火したら首都圏、引いては日本全体や世界にも影響が及ぶ活火山に、富士山と箱根がある。ともに活火山の中でも噴火警戒レベルが設定されている38火山に入っているほどの活動度が高い活火山である。
それゆえ、これらの火山では密度の高い機械観測が行われているが、富士山の一番近年の噴火は1707年の宝永噴火で、箱根は1200年前が最後の噴火だから、噴火の前にどんな前兆があったかは知られていない。もちろん機械観測などなかった。
このように富士山や箱根で各種の観測が行われているが、観測データがどこまでいったら危ないのか、その閾値(しきいち)が分かっていない。富士山や箱根はいつ噴火してもおかしくない活火山なのを忘れてはいけないが、予兆の観測には全面的に頼れまい。
三保松原から望む富士山=静岡市清水区
1995年に発表された草津白根山の火山防災マップでは、想定火口が湯釜に限られている。しかし今回の草津白根山で噴火した草津白根山の南部、本白根山は約3千年前から約1万年前まで、盛んに噴火していたことが火山地質学の調査から分かっている。これは1983年に発行された「草津白根火山地質図」で明らかになっていた。
ただ、歴史記録が残っている約300年間は、噴火はもっぱら草津白根山の北部、つまり白根山の山頂付近で小規模な水蒸気噴火ばかり繰り返し起きており、そこばかり警戒していて南のことは忘れていた。現行の防災マップでも、特定の火口で最近発生した小規模な水蒸気噴火だけしか示されていなかったのである。
人間にとっては3千年というのはとてつもなく古い歴史だが、火山や地球の物差しでみれば、ごく最近のことである。富士山の300年というのも、つかの間の休息かもしれない。M9の巨大地震の影響も、地球のスケールでは「すぐ後に引き続いて」起きるものなのだ。
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311は東日本のほぼ中央で起こっていますから、これの影響で噴火するのは東日本の火山です。
北海道駒ヶ岳、恵山、十和田湖、焼岳などの東北から北海道の南部の火山、そして、関東から中部の浅間山、富士山などが今後噴火するはずです。
>ところが不思議なことに、20世紀の初めに2回の「大噴火」があった後、現在に至る100年近くはこの「大噴火」がないのである。その2回とは1914年に起きた鹿児島・桜島の噴火と1929年の北海道・駒ケ岳の噴火だ。
>1914年に起きた鹿児島・桜島の噴火
この噴火の9年後の1923年に関東大震災が起こっています。多分、フィリピン海プレートが急激に西への圧力を強め、マグマだまりが圧縮された結果の噴火。
>1929年の北海道・駒ケ岳の噴火
この噴火の6年前の1923年に関東大震災。関東大震災である程度、日本海溝付近の太平洋プレートが西に進み、それで、北海道南部の駒ヶ岳噴火に至った。
>1990年から始まった雲仙普賢岳の噴火は6年も続き、噴火の開始から1年たってから、当時戦後最大になった火山災害を起こしてしまった。
1995年に阪神大震災。雲仙普賢岳は九州の長崎にある火山ですから、西日本の中央構造線の北側が動いたはず。それが阪神大震災に影響を与えたのです。
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