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もし今東京湾北部地震が発生すれば。
東京湾北部地震は関東平野の中で比較的発生しやすい地震です。なぜなら、内陸に最も入った湾の奥であり、周囲の地殻に比べて地殻の厚さが薄く、破壊されやすいからです。実際、311大地震以降、東京湾北部周辺で震度1以上を観測する地震が多く起こっている時期が何回もあります。例えば2012年2月
http://www.tenki.jp/bousai/earthquake/seismicity_map/entries_by_month?year=2012&month=2&area_type=japan_east
です。
東京湾北部で起こる地震の大きさ次第ですが、M7ではなくて、M8が東京湾北部付近で発生する可能性もあります。政府の想定はM7で行われていますが、M7で収まるという根拠はないのです。単に、この数百年、多分600年程度はM8規模の東京湾北部が発生していないはずだと言うだけのことです。311大地震は1000年ぶりの地震ですから、今後起こる東京湾北部地震がM8である可能性はかなり高いはずなのです。
仮にM8規模であると、その影響は港区などにも及びます。霞が関にも及ぶでしょう。更に、沿岸部にある様々な化石燃料タンクが大破します。その炎が津波にのって内陸部に広がります。
低層から中層のビルは出入り口のドアが歪んでしまい、室内への閉じ込め事故が多発するはずです。
首都機能は一気に失われてしまいます。
テレビ放送とかメールなどの情報メディアが止まってしまう可能性が高いのです。国内向けのメールであっても、全てのメールはアメリカ国内を一時経由する形になっていて、その海底ケーブルへの中継部分(の建物)が被災してしまう可能性があります。
被災地域は東京湾北部を中心に23区のほぼ全域に及ぶはずです。いわば、1995年の阪神大震災で震度7の帯と言われた地域が東京23区の半分程度の地域に広がるのです。
多分、この地震の損害は非常に大きく、直接的な損害だけでも200兆円は大きく超えるはずです。この結果、銀行が設定していた不動産の担保価値は大きく毀損され、銀行の財務は一気に痛みます。
首都機能の不全は数年は続くでしょう。その結果、経済活動は低迷し、円安、債券安、株安がやってきます。
それは、同時に輸入物価高を意味します。ガソリン1リットル300円は多分すぐです。
物価は上昇し、5%程度のインフレは数年もしないうちに起こるでしょう。その場合、銀行が保有している各種の債券はほとんどが逆ザヤになります。つまり、債券についてくる利回りよりもインフレの方が大きくなります。その結果、銀行などが債券(国債、県債などの債券や社債)を売りに出し、これが更なる円安、債券安、株安を呼び込むという悪循環に陥ります。
国や県、市町村は債券発行が出来なくなります。税収は落ち込み、しかも既に積み上がった国債や県債は長年減額したことはなく、一貫して増え続けてきたのですから、今更その債権が普通に償還されると思って買う金融機関はありません。それどころか、全ての金融機関は保有している債権の借り換えを認めず、現金での償還を求めるでしょう。それは不可能ですから、国も地方自治体も一気に財政が行き詰るのです。
停電は日常化し、原発を動かせと言う声も大きくなるでしょう。しかし、関東で大地震が起こったということは、太平洋プレートの西向き圧力が関東平野に本格的に大きくかかりだしたということであり、その後、本州全体で内陸部での地震がどんどんと発生して行きます。
本州の最も細い所、つまり、伊勢湾、琵琶湖、若狭湾の部分でもM8からM9地震が起こる可能性があります。
原発を動かさないと、空調が効かず、ビル内で仕事をするのは非常に不快なものになるでしょう。しかし、原発を動かすと大地震で事故の可能性が高い。こういった究極の選択を実際の生活の中で迫られる事態になるのです。
町には失業者があふれ、食料は不足し、社会はどんどんと劣化して行きます。
こういった事態になることはかなり確実なことです。それにしては、あまりにこのことについて、誰もが関心を向けようとしません。まるで、311大地震と福島第一原発事故前に、大地震と原発事故の可能性を誰もがほとんど意識しなかったのと同じである様に思えます。
まだ首都圏での大地震は発生していません。まだ対策は打てるのです。最も優先するべきことは首都機能の地方への移転です。次に、輸入比率の高い品目の自給率向上です。
2017年10月11日22時30分 武田信弘
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