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健介は目を凝らした。手探りで懐中電灯を探したが、手に触れるものは壁が崩れたがれきばかり。
幸いなことに、ベットに倒れかかる家具などはもともとどけてあったので、ゆっくりと立ち上がることが出来た。靴は見当たらない。シーツを破って足を覆った。
自分の部屋は7階にある。床は傾いていないから、この17階建てのマンションは倒壊をまのがれたことになる。しかし、非常に大きなショックだった。体が浮き上がったのだ。
窓までそろそろと歩き、カーテンを開けた。月明かりに照らされるビル群。いつも見慣れた風景。それがあったことにほっとした。
と思ったとたん、足元を掬われた。大きな横揺れが来たのだ。窓枠につかまって外を見ていると、目の前の20階建てぐらいのビルがゆっくりと横転するのが見えた。
速く外へ逃げなければ。服と靴を。しかし、室内は月明かりでは暗く、よく見えない。相変わらず小刻みの揺れが床を揺らし、壁が鳴る。
ドアにたどり着いた。ノブを回すが開かない。暗くて状況が分からない。明かりがないことがこんなに不便だとは思わなかった。チェーンを外すことを思い出した。しかし、それでも開かない。多分、鍵自体は外れている。ドアの枠が歪んでドアが動かないのだ。
おかしい。いつもは室内の明かりをすべて消していてもかなり明るいのだ。街の明かりが消えている。停電が広域に起こっている。いつもなら、自家発電ですぐに明かりがともるはずのビルさえ暗いままのようだ。
携帯を探す。しかし、分からない。部屋の中にはベットと事務机と椅子しかない。椅子は床に横倒しになっているがベットと机はそのままだ。しかし、床一面に天井や壁の崩れたがれきが散らばっていて、携帯がどこにあるのか分からない。
水は出るのか? 蛇口を探しひねってみる。出る。しかし、多分、すぐに止まるだろう。空のペットボトルを用意しておくべきだったと思う。
最初の揺れから10分程度がたっただろうか。こんなに大きな揺れが来るとは思っていなかった。縦揺れに日本の耐震設計は対応していない。これから起こる地震は大変に危険だ。そうは聞いていた。
今は何時だ?床に就いたのが23時過ぎ。多分、数時間は寝ている。だから午前2時か3時頃だ。明るくなるのは3時間程度後だ。
まずはきちんと服を着ることだ。クローゼットの中からなるべく暖かいものを探して着替えた。いざという時のために、クローゼットの中に運動靴と軍手、ゴーグル、マスク、非常用の食料が入ったリュックを用意してあった。
一応、水も2リットルある。これで多分数日は生き延びることが出来る。しかし、ドアが開かないまま、このビルが倒れたら、、、。
ガンガンという音が突然聞こえ出した。多分、他の部屋の住人がドアを瓦礫で叩いている。しかし、そう簡単に歪んだドアが開くはずはない。
それに、多分、このビルの低層階、多分一階か二階はパンケーキ崩壊している。つまり、上層階に救助は簡単には来ない。また、下手をしたら、このままビルが倒壊する可能性もある。
火災が問題だが、多分このビルは燃えない。可燃物がもともとあまりないからだ。
窓から逃げることは無理だ。窓は開くはずだが、ベランダはない。ドアが開かないとは、、、。縄梯子を用意しておくべきだった。
- Re: 2017年11月**日 taked4700 2017/9/19 14:50:16
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- Re: 2017年11月**日 taked4700 2017/9/19 15:33:01
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- 2017年11月**日(最終回) taked4700 2017/9/19 16:51:54
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- 2017年11月**日(最終回) taked4700 2017/9/19 16:51:54
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- Re: 2017年11月**日 taked4700 2017/9/19 15:33:01
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