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年収420万円で3500万円のマンション購入 余裕のはずがローン地獄にハマった理由
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180208-00000048-sasahi-bus_all
AERA dot. 2/9(金) 11:30配信
気がつけば“ローン地獄”とならないように…(※イメージ写真)
荻原博子/1954年、長野県生まれ。経済事務所に勤務後、82年にフリーの経済ジャーナリストとして独立。難しい経済と複雑なお金の仕組みを、生活に根ざしてわかりやすく解説することに定評がある。著書に『隠れ貧困』(朝日新書)、『10年後破綻する人、幸福な人』『投資なんか、おやめなさい』(共に新潮新書)など。テレビ出演や雑誌連載も多い
“老前破産”に至る家庭が増えている。
日本弁護士連合会が発表した「2014年破産事件及び個人再生事件記録調査」によれば、自己破産がもっともの多いのは40代(27.02%)、ついで50代(21.05%)が続き、自己破産の約半分を働き盛りの壮年が占めている。自己破産理由を見ると、「生活苦・低所得」がおよそ6割を占め、「浪費・遊興費・ギャンプル」は1割弱にすぎない。過度な贅沢や無駄遣いをしたわけでもないのに、破産してしまう例も少なくないということだ。
とはいえ、いわゆる「普通」の生活をしているだけで、自己破産に至るとは考えにくい。そこになにかしらのきっかけがあるはずだ。経済ジャーナリストの荻原博子氏は、著書『老前破産 年金支給70歳時代のお金サバイバル』(朝日新書)のなかで、老前破産の実態に迫っている。例えば、住宅購入をきっかけに、老前破産寸前にまで至ってしまった人のケースを紹介しよう。
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53歳の山田辰夫(仮)さんがマンションを購入したのは、1999年35歳の時。当時の年収は420万円で、妻と4歳の長男、2歳長女の4人家族で2LDKの賃貸アパートに暮らしていた。手狭な自宅に悩んでいたところに目にしたのが不動産の広告。“頭金ゼロ、返済額は家賃並み”のキャッチフレーズにひかれ、いざとなったら売却できるという営業マンの言葉も魅力的だった。そして、池袋まで30分の私鉄駅から徒歩15分の3LDKマンションを、3500万円で購入した。
広くなった自宅に満足して暮らしていた山田さんだが、風向きが変わり始めたのは購入から10年が経った頃。変動で借りていたローンの金利は2%から4%に。月々の支払いはおよそ1万7000円上がり、ボーナス払いも15万円上乗せされた。一方で、購入時には増えると目論んでいた給料は、長引く不況で期待したほどは上がらなかった。
そんな山田家の家計にさらなるダメージを与えたのが、2011年に起きた東日本大震災だ。東北に工場があった山田さんの勤め先はもろに震災の影響を受け手、業績不振に。ボーナスがカットされてしまう。わずかばかりの貯蓄を切り崩す生活が始まり、2人の子どもたちが大学に進学するころには、住宅ローンと教育ローンの“ダブルローン地獄”に陥ってしまう。
ついにボーナス返済が不可能になった山田さんは銀行に相談。事情を理解したローン担当者によって、子どもが大学を卒業するまで、元金の返済の猶予を受け、利息分の支払いだけに減額してもらうことができた。
それでも悩みは尽きない。元金の返済猶予の影響で、70歳の完済予定は73歳にずれ込んでしまう。定年を65歳までとして73歳までの8年間のローンを無事に返済することができるのだろうか。考えるだけで不安になる。もう一つの悩みが建物の老朽化だ。築18年のマンションはあちらこちらが傷み、修繕積立金だけでは十分な修繕ができなくなっている。しかし、経済的に苦しいのはどの家庭も同じ。修繕積立金の値上げは難しい。その結果、十分な修繕ができないため、マンションの価値の低下が予想される。そうすると、資産に余裕のある人は価値が下がりきる前に、別のマンションへと移り住んでいく。代わりに引っ越してくるのは、より所得の低い人だ。修繕積立金の増収は期待できない。マンションの老朽化と価値下落のスパイラルが山田さんを苦しめる。その不安感から、山田さんは息苦しさで目覚めることもある。医者からは、不安障害の疑いがあると言われたそうだ。
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荻原氏は、山田さんが苦境に立ってしまった理由を「売れない、貸せない、直せない」の三重苦に縛られる自宅マンションにあると指摘する。
空き家問題は深刻だ。現在、首都圏でも10軒に1軒の割合で空き家がある。そんな状況下において、住宅はよほど立地がよく、建物としてのグレードが高いなどの条件がなければ、取得価格より高値で売却することは難しい。山田さんも、実際に資産をしてみると、売っても1000万円以上の赤字になってしまうそうだ。
老前破産に陥らないよう、住宅を選ぶポイントはどこか。荻原氏の著書「老前破産」内で詳しく解説されている。転ばぬ先の杖として、知識を仕入れておきたいものだ。
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